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Fujitsu

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注:このページはアーカイブ化さたコンテンツです。各論文の記載内容は、掲載開始時の最新情報です。

雑誌FUJITSU

2000-5月号 (VOL.51, NO.3)

富士通の最新技術を隔月に紹介する情報誌です。 冊子体の販売はしておりませんのでご了承下さい。


雑誌FUJITSU 2000-05

特集: 「インターネットを支える化合物半導体デバイス」

インターネットを支える化合物半導体デバイス特集に寄せて(PDF)

特集: インターネットを支える化合物半導体デバイス 目次〕

解説

  • フォトニックネットワークシステムの技術動向
  • 超高速光通信用デバイスの技術動向

特集

  • WDMシステム用波長ロッカ付レーザモジュール
  • 10 Gbps用APDレシーバモジュール
  • CATV伝送用光デバイス
  • 移動体通信用高効率パワーデバイス
  • 準ミリ波帯送信/受信用増幅器MMIC
  • ミリ波無線システム用低コストRFモジュール
  • 高速光通信用GaAs IC
  • 化合物半導体デバイスの品質保証
  • 可視光半導体レーザ
  • 76 GHz 車載レーダ用HEMT MMIC

一般

  • フォーム理解に基づく帳票認識技術

特集:インターネットを支える化合物半導体デバイス


解説

桑原 秀夫

今井 元

特集

情報量の爆発的増大に伴い,高密度波長多重通信方式(DWDM)が重要になってきた。このDWDM通信方式を実現するためには,高い波長安定性が要求される。
本稿では,高い波長安定性を実現する波長ロッカを内蔵したレーザモジュールについて述べる。
このレーザモジュールにより,100 GHzという狭チャネル間隔の波長多重化通信が可能になった。さらに,波長ロック機構に100 GHzの周期をもった構造を採用することにより,100 GHz間隔時,4チャネルをチューニングすることが可能になった。これにより,チャネル可変とすることができ,システム構築上のフレキシビリティを高めることができる。一方,装置内予備機として使用する場合には,装置の冗長性を高めることができる。

米谷 治雄、町田 豊稔、山腰 茂伸

インターネットのネットワークを支える幹線系光通信は,2.4 Gbpsから10 Gbpsへと高速大容量化が進んでいる。富士通カンタムデバイスでは,この度10 Gbpsのシステム用受光デバイスとして,新たに光吸収層となだれ増倍層を分離したアバランシェフォトダイオード(APD)を開発し,量産化に成功した。さらに,APDと広帯域GaAs HBTプリアンプICを小型パッケージに集積した,感度・広帯域のAPD/プリアンプレシーバモジュールも他社に先駆けて製品化した。
本稿では,これら開発した基幹光通信用の10 Gbps超高速APDおよびAPD/プリアンプレシーバモジュールを紹介する。

佐藤 敬二、花輪 育夫、小林 正宏

1,310 nm帯アナログ映像伝送用光源として,光出力が11 dBm以上の高出力動作時においても十分な低歪み特性を持つ半導体レーザモジュールを開発した。さらに,1,550 nm帯ディジタル映像伝送用光源として,FMレスポンスが100 MHz/mA以下の低チャープ半導体レーザを開発し,60 km伝送後でも十分な低歪み特性を実現した。

河村 浩充、近藤 真人、島 克人

次世代移動体通信(W-CDMA)に使用されるデバイスの最新技術について紹介する。移動体端末用デバイスとして開発したHBTパワーアンプモジュールは,歪みを相殺する設計技術を用いて,出力電力28 dBm点で隣接チャネル漏洩電力比(ACPR)-41 dBc,電力付加効率(PAE.)40.2%を達成した。
さらに基地局用高出力デバイスとしては,高耐圧化・低歪み化を図り,飽和出力150 WのGaAs FETを開発した。出力電力25 W時の特性は,隣接チャネル漏洩電力比-39 dBc,電力付加効率25%を実現している。

小原 史郎、蛯原 要、深谷 潤

準ミリ波帯で使用される送信用電力増幅器MMIC(Monolithic Microwave IC),受信用低雑音増幅器MMICの最新技術について紹介する。送信用電力増幅器MMICにはパワーp-HEMTを採用し,高精度の設計手法を用いて広帯域電力増幅器MMICや高効率電力増幅器MMICを開発した。一方,受信用低雑音増幅器MMICには,DBS用の低雑音デバイスとして実績のあるローノイズHEMTを採用し,またRF,DC回路を高密度化して,小型,低雑音かつ高利得特性を実現した。

佐藤 富雄、平田 雅史、黒田 滋

本稿では,ミリ波無線システムの大幅なコスト低減を目的とした新しいミリ波RFモジュールの概念を提案する。このRFモジュールは,MMICとともに小型平面アンテナを一つのパッケージに実装することにより,ミリ波端子を不要としたことを特徴としている。これにより,非接触の高周波出荷試験が可能となるとともに大幅に工数削減が図られ,デバイスコストの低減が期待できる。さらに,デバイスを使う上では,3GHz程度までのIF技術があればミリ波システムを構築することができ,高度なミリ波技術と高価なミリ波測定器が不要となり,システムコストを大幅に低減することが可能となる。
今回試作したミリ波RFモジュールは,屋内における59.5 GHz,8相位相変調,156 Mbpsによる伝送実験において,半径5mまでビット誤り率(BER)10-6 以下の良好な伝送特性を示し,ミリ波無線システムへの適応可能性を実証した。

中野 洋、平地 康剛、加藤 明人

通信ネットワークの大容量化に対応するため,光通信装置用高速GaAs ICとして,2.5 Gbps動作のD-FF内蔵レーザ駆動用ICと10 Gbps動作の受信モジュール用IC(3種)を開発した。
2.5 Gbps D-FF内蔵レーザ駆動用ICは,新規に開発したゲート長0.4 μmのMESFETを採用し,出力の立ち上がり/立ち下がり時間は80 ps,位相余裕300 ps(2.5 Gbps動作時)と良好な特性が得られた。
今回開発した10 Gbps光受信モジュール用ICは,PreAMP,EQL&CDR,VCOの3種類のICチップであり,エミッタにInGaP,ベースにGaAsを使った高信頼度の高性能HBTを採用した。10 Gbpsにおいて,最小受信感度-26.5 dBmと良好な特性が得られ,通信装置の小型化・低コスト化に寄与している。

内藤 英俊、滝川 正彦、大野 健一

本稿では,化合物半導体製品の高信頼性を実現するために構築した,製品の企画,設計,開発,製造,そしてクレーム処理にいたるまでの品質保証体系について述べる。 品質保証体系は,生産財マーケティングの考え方を取り入れた全部門参画型の製品開発が特徴である。つぎに,製品品質を検証するために実施している信頼性試験について,代表品種として光半導体デバイスではレーザダイオードを,高速デバイス(マイクロ波半導体およびGaAs IC)ではマイクロ波トランジスタを例にとってその実施項目と条件を具体的に述べる。さらに,故障解析のために使用している各種解析設備とその用途を紹介し,走査型電子顕微鏡や集束イオンビーム装置を使って解析した最近の故障解析事例についても述べる。

鷲見 勝司、森 義彦、小松 嘉英

光ディスク装置の高密度化の要求に伴い,発振波長の短波長化に加えて,ビーム形状や非点隔差などのビーム特性についても良好な特性を持つ半導体レーザが要求されている。本稿では,この要求を満たすため,今回開発した独自構造のAlGaInP系赤色可視光半導体レーザについて述べる。
富士通のレーザは,ステップ状基板上に形成された屈折率導波のレーザであり,ステップの内外でのp/n不純物の取込まれ方の違いを利用して電流狭窄(きょうさく)部を含むレーザ構造を1回のMOVPE成長で作成できることに特長がある。電流狭窄部がレーザ光を吸収しないため非点隔差が発生しにくく,また光導波路幅を狭くしても光吸収による特性劣化がないため,ビーム形状を円形に近づけた設計が可能となった。
上記特長を生かした680 nm帯の高出力レーザを製品化し,また現在660 nmの高出力レーザの開発を行っている。

古谷 章、棚橋 俊之

76 GHz車載レーダ用HEMT MMIC(Monolithic Microwave IC)を紹介する。この用途のMMICは,高周波での電気的特性はもとより,信頼度,耐環境性,品質管理の面でも最高の技術を必要とする一方,高量産性,低コストでなければならない。本稿では,低コスト製造技術という視点から,そのキーテクノロジであるフリップチップ実装技術とパッケージング技術を中心に述べる。
フリップチップ実装のためにMMICチップ上に形成したAuのピラーを,AuSn溶着によりパッケージ基板に接着することで,ミリ波特性と製造性,信頼性に優れたMMICを実現した。パッケージは,アルミナ単板の簡単な構造ながら,気密性を保ち,低コストであり,耐環境性にも優れている。

青木 芳雄、渡邊 祐、大久保 尚史

一般

多種多様な帳票から顧客データを効率よく電子化したいというニーズに応え,このたび,著者らは,多種多様なフォームを理解して帳票を認識する技術を開発した。本技術では,まず,フォームから罫線を抽出する。つぎに,罫線間の種々の位置関係をフォームの構造的な特徴とみなし,入力したい未知フォームの罫線構造と登録してある多種多様なフォームの罫線構造を照合し,フォームを識別する。これによりフォームが特定でき,読み取りたい項目が分かる。ここで,読取り項目には手書き文字で書かれる場合もあれば,活字で印刷する場合もあるので,手書きと活字の判別処理を行い,文字認識エンジンを使い分けることで高精度に帳票認識できる。
本技術は,富士通の金融・損保向けの帳票イメージ処理を行うITF(Image Transaction Flow)をはじめ,汎用帳票OCRのDynaEye,ファイリング&OCRのImageOFFICE,表OCR for Excel,OASYS LXシリーズ,Listworksオーバレイジェネレータなどに適用されている。

直井 聡、秋元 晴雄、小原 敦子


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