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Fujitsu

Japan

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注:このページはアーカイブ化さたコンテンツです。各論文の記載内容は、掲載開始時の最新情報です。

雑誌FUJITSU

2000-1月号 (VOL.51, NO.1)

富士通の最新技術を隔月に紹介する情報誌です。 冊子体の販売はしておりませんのでご了承下さい。


雑誌FUJITSU 2000-01

年頭ごあいさつ

特集: 「IMT-2000」

IMT-2000特集に寄せて(PDF)

特集: IMT-2000 目次〕

特別寄稿

  • IMT-2000への富士通の取組み

特集

  • IMT-2000のネットワーク
  • W-CDMAシステムの無線方式
  • W-CDMA方式の無線系信号方式
  • W-CDMAシステムのフィールド実験
  • cdma2000携帯電話実験システム
  • ネットワークノード
  • W-CDMA無線基地局装置
  • 無線ネットワーク装置
  • W-CDMA用移動機
  • 移動通信向け画像・音声処理技術
  • W-CDMA用干渉キャンセラ
  • Adaptive Antenna Array for IMT-2000
  • IMT-2000のモバイルマルチメディアサービス

解説

  • IMT-2000の標準化動向

一般

  • 高性能データマイニングシステム

特集:IMT-2000


特別寄稿

岩渕 英介

特集

現在,世界各国で運用されている移動電話サービスやデータ通信サービスを提供しているディジタル移動網は,PDC(Personal Digital Cellular)方式,cdmaOne方式やGSM(Global Systems for Mobile communications)方式であり,いずれも第二世代移動網と呼ばれている。今後の移動体需要の増加やサービス高度化のために,IMT-2000と呼ばれる第三世代移動体システムの仕様が国際標準化機関で検討されている。
本稿では,IMT-2000で勧告化されるサービスの概要と,基地局装置,交換局,各種サーバなどから構成されるIMT-2000網の網構成,パケットの処理方式,IMT-2000網を構築するための手法などを紹介する。
また,高度付加サービスを提供のための技術として導入されるインテリジェントネットワーク関連技術についても言及する。

柚木 秀夫、鈴木 昌哉、矢野 敏行

W-CDMAシステムは,第三世代移動通信(IMT-2000)の無線インタフェース方式の一つとして世界標準化が進められており,今後急速な普及が予想されるモバイルマルチメディアのインフラストラクチャとして大きな期待が寄せられている。日本では世界に先駆けて2001年の商用サービス開始を目指してシステムや装置の開発が進められるとともに,高速データ伝送が可能な新しいハードウェアに対応したサービスやコンテンツビジネスの模索が始まっている。
本稿では,W-CDMAシステムの無線インタフェースについて,物理フォーマット,チャネルコーディング,拡散と変調,同期,ハンドオーバ手順や送信電力制御方法などを規定したレイヤ1の仕様について概説する。

大石 泰之、箕輪 守彦、中村 隆治

W-CDMA方式は,次世代携帯電話システムとして世界統一規格による標準化が進められているIMT-2000(International Mobile Telecommunications-2000)用無線インタフェースの中の一方式である。従来からある音声通話サービスのみでなく固定網並みの高音質な音声サービス,マルチメディア移動通信サービス,さらに世界各国で移動端末(携帯電話機)を共通に使用可能とするグローバルローミングサービスも提供される。W-CDMA方式における無線系信号方式は,日欧米を始めとする各国の標準化推進団体が共同で3GPP(3rd Generation Partnership Project)という枠組みを組織して検討を進めている。
本稿では,W-CDMA方式の無線インタフェースプロトコルについて,レイヤ1,レイヤ2およびレイヤ3が提供する機能とそれぞれのレイヤが扱うチャネルについて述べる。

中村 隆治、川端 和生、大淵 一央

富士通は,本格的なモバイルマルチメディアに対応した第三世代移動通信システムIMT-2000の無線アクセス方式の一つであるW-CDMAシステムのフィールド実験を英国において実施した。実験は,英国のオペレータであるOrange社と相互協力し,同社の基地局局舎,鉄塔,アンテナなどと,富士通のW-CDMA実験局装置一式(基地局装置,疑似交換局装置,移動局装置)を用いて実験エリアを走行して行われた。これまでに電界強度測定,アンテナダイバーシチ効果確認などの基本伝送特性実験,送信電力制御やソフトハンドオフなどのアクセス実験,および動画像伝送やパケット伝送などのアプリケーション実験を行い,各種の貴重なフィールドデータを取得蓄積すると同時に,W-CDMAシステム特有のセル設計・制御における有用なノウハウを取得することができた。
本稿ではこのフィールド実験の概要について報告する。

松沢 宏、長谷川 一

cdma2000(IS-2000)方式は,米国TIA(電気通信業界連合)がITU(国際電気通信連合)に提案した第三世代移動通信システム(IMT-2000)無線規格案の一方式である。
今回,富士通は,沖電気工業株式会社,松下通信工業株式会社と共同で,本方式に準拠した実験システムを開発し,第二電電株式会社および日本移動通信株式会社に納入した。
実験システムの開発目的は,IMT-2000の特徴である高速データ通信サービス機能の屋内・屋外におけるシステムの性能検証,および無線伝送特性の評価を行い,その成果を商用システムの開発へ反映することである。
本稿では,cdma2000実験システムの概要,主要諸元,特徴などについて述べる。

水野 晋吾、上野 知行、石川 広

NTT DoCoMoのIMT-2000コアネットワークは,ATM技術を適用することで回線交換とパケット交換の統合ネットワークとすることから,富士通において交換ノード(MMS)はFETEX-150 E-Cube ATMシステムをベースとして開発中である。
IMT-2000交換ノードの特徴として,呼制御やモビリティ管理プロトコルなどの無線アクセス系高位レイヤ制御はGSM/GPRSの拡張方式を基本方針とした。また,RNC-MMS間およびコアネットワーク内の伝達系には,ATM AAL type2を適用した。
MMSシステム構成は,ハード/ソフトともにプラットフォーム部分はベンダごとに固有構成としている。IMT-2000専用装置はATM-SWの周辺装置として実現しており,ソフトウェアはベンダによらない共通アプリケーションとのインタフェース機能を持っている。

浅岡 栄、高村 信二、大崎 隆昭

W-CDMA方式用BTSについて,富士通ではすでにNTT DoCoMo向けに実験用装置の開発を完了し,製品化の目処をつけた。実験用装置は,現在,英国Orange社との共同フィールド実験にも使われている。現在富士通では,3GPP(3rd Generation Partnership Project)で進められている標準化仕様に基づき,無線技術,ネットワーク技術,デバイス技術など富士通の総力を結集して,商用BTSの開発に取り組んでいる。
本稿では,実験用装置および開発中の商用試作装置について,その概要と特徴を紹介する。

丸山 聡、矢部 俊寛、守 恒祐

W-CDMAシステムでは音声サービスにとどまらず,高速データ通信や画像通信などの多様なサービスを扱う,マルチメディア通信サービスの収容が求められている。
これらに対応するため,無線ネットワーク装置では多様なサービスの効率的な収容のためにATM(非同期転送モード:Asynchronous transfer mode)を,通信の高品質化のためにダイバーシチハンドオーバなどの技術を取り入れている。
本稿では,装置の機能概要,ハードウェア・ソフトウェア技術の特徴について述べる。

斉藤 宏行、熊谷 智憲、薗部 敬

W-CDMA実験用移動機を開発したので紹介する。W-CDMA方式は,従来の第二世代携帯電話システム(PDC,GSM,D-AMPS)などに比べ,10~100倍近い高速の無線伝送路をユーザに提供できる。この高速なサービス(高精細静止画,動画,その他ファイル情報など)を従来の音声中心の第二世代システムと比較して遜色のない通話時間,待ち受け時間,大きさ,重さ,コストでユーザに提供することが第三世代移動通信システムの普及の鍵を握る。富士通は,PDCで培った低消費電力化技術,ディジタル信号処理技術に加え,携帯機器における種々のキー部品(HBT電力増幅器,SAWデバイス,システムLSIなど)を有している。これらのキー部品をいかにW-CDMA移動機へ最適に展開するかが今後の課題である。本稿では,現在までの開発状況,および現在3GPP(日,欧などの第三世代移動通信システムの標準化機関)で採用された新方式を実現する上での技術について記述する。

内島 誠、古川 秀人、松山 幸二

IMT-2000に代表される移動高速ディジタル通信を活用したマルチメディアサービスを実現していく上での課題の1つは,高い伝送誤り率への対応である。テキストや静止画といったメディアには再送方式を導入して解決することができるが,画像や音声といった連続性が重要なメディアには,一般的には導入し難い。また会話形態のサービスでは,遅延時間の点からも再送方式を解決策とすることは難しい。逆に,画像や音声では送られた情報を1ビットの誤りもなく再現することは必須ではなく,見聞きする人の気にならない程度であれば誤差は許容できる。
本稿では,音声信号に対してはIMT-2000への採用が有力視されているGSM-AMR方式を,画像信号では,富士通で考案しITU-T H.263 Ver.2に採用されISO MPEG-4 Ver.2でも採用候補になっている可変解像度方式を対象として,両方式が伝送誤りにどのような耐性を示すかを述べる。

伊藤 隆、大田 恭士

マルチメディア移動通信への需要に対応するために,次世代移動通信システムの研究開発が各国で行われている。日本および欧州からは,システム容量が大きく,低速から高速まで多様な通信を効率よく実現できるW-CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)方式が提案されている。このW-CDMA方式では,各ユーザに割り当てられる拡散符号の相互相関によって生じる干渉が加入者容量を決める要因となるため,干渉キャンセラが,干渉除去技術の一つとして注目されている。著者らは,高速レートで通信しているユーザからの干渉に着目し,優先的にこれらを削減することで,キャンセラユニットの実装数を大きく削減し,大きな改善効果が得られるパーシャル干渉キャンセラを提案した。
本稿では,初めにW-CDMAにおいて干渉がシステムのチャネル容量に与える影響を述べ,著者らが提案する干渉キャンセラの構成および特長について説明する。つぎに,今回試作した干渉キャンセラを紹介し,おわりに得られた特性の評価結果を述べる。

田中 良紀、斉藤 民雄、武田 幸雄

アダプティブ・アレイ・アンテナは,IMT-2000移動通信システムに適用可能な容量改善技術の一つである。本論文では,上り信号用,および下り信号用アンテナビーム生成部をベースバンド帯に組み込んだ,W-CDMA用アダプティブ・アレイ・アンテナについて述べる。上り信号用ビーム生成については「フィンガ・ビーム生成」の考え方に基づき,マルチパス信号の支配的成分のそれぞれをビームの生成に割り当て,また,収束アルゴリズムとしては正規化LMSアルゴリズム(NLMS)を用いている。一方下り信号に関しては,構成が簡単で収束の早い逐次型ビーム・ステアリング法(IBS)を上り信号に適用することで下り信号用ビームを生成する。4素子アダプティブ・アレイ・アンテナを用いることにより,従来のセクタ化アンテナと比較して約4倍のシステム容量が達成できることをシミュレーションにより示し,また,試作機を用いて得られた実験結果も示した。

Y. J. Guo、Mario A. Bedoya-Martinez、Jahangir E. Austin

IMT-2000の実用化によって,携帯電話はモバイルマルチメディアを実現する主要な手段の一つとなる。IMT-2000は,高速性,高品質,グローバルローミングサービスなどの特長を持つ。今後,これらの特長を生かして,様々なモバイルマルチメディアサービスが提供されようとしている。個人向けには,個人同士の通話にマルチメディアが利用されるだけでなく,企業から個人に向けて音楽や映像などのコンテンツを配信するサービスも盛んになる。企業向けでは,移動時だけでなく,SOHOでの静止時の利用も考えられている。また,パソコンやカーナビゲーションシステムと一体化した端末や大型の液晶ディスプレイを搭載した端末の登場によって,モバイル環境での利便性は更に向上する。
本稿では,これらのIMT-2000の代表的なサービスについて紹介し,最後に,総合的な情報提供サービスにおけるIMT-2000の役割について考察する。

谷萩 祐之

解説

佐々木 進

一般

近年,大量データに埋没した価値ある情報を企業戦略へ有効活用するため,データから情報発見を行うデータマイニングの研究開発が盛んである。このデータマイニングシステムを実業務へ適用するためには,様々な目的とデータの性質に応じて使い分けできる複数の分析手法(マイニングエンジン)をサポートし,汎用システムから特定業務システムへのカストマイズまで対応可能とする柔軟なシステム構成が必要となる。
本稿では,まず富士通研究所で開発し,富士通のSymfoWARE Mining Serverに搭載されたデータマイニングシステムについて,その全体構成と各種マイニングエンジンを説明する。つぎに,マイニングエンジンの一つであるMemory Based Reasoning(MBR)について,その特長と実業務適用のためのエンハンスを述べる。また,適用例により効果を示し,最後に,今後のデータマイニングシステムに向けた方向性について述べる。

稲野 聡、松本 和宏、前田 一穂


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