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Fujitsu

Japan

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注:このページはアーカイブ化さたコンテンツです。各論文の記載内容は、掲載開始時の最新情報です。

雑誌FUJITSU

1998-11月号 (VOL.49, NO.6)

富士通の最新技術を隔月に紹介する情報誌です。 冊子体の販売はしておりませんのでご了承下さい。


雑誌FUJITSU 1998-6

特集: 「電子図書館を支える技術」

電子図書館を支える技術特集に寄せて(PDF)

特集: 電子図書館を支える技術 目次〕

特集

  • 電子図書館システム:iLisminds
  • 電子図書館システムのためのブラウジング検索機能
  • 図書の電子化のための文書認識技術
  • 言語知識に基づいた検索支援システム
  • 文書情報の収集・整理・発信を支援する文書処理ツール
  • 文書中の情報を整理する情報抽出技術
  • 動画像を対象とする内容検索方式

一般

  • INTERSTAGE関連製品の紹介
  • SGML/XMLの技術動向と富士通の取組み
  • 高性能・低消費電力DSPコア:Hi-Perionシリーズ

特集:電子図書館を支える技術


特集

情報化時代を迎え,図書館も電子図書館時代を迎えようとしている。富士通は,電子図書館システム(iLisminds)を開発し,1998年1月に京都大学附属図書館に納入した。本稿では,iLismindsの提供する機能と図書館の本来持つべきサービス機能との関係と,iLismindsの代表的な機能を紹介する。
電子図書館システムは,書誌情報を対象とする図書館システムの機能を包含する必要があり,iLismindsは,富士通の新しい図書館システム(iLiswave)と連携することによって,この機能を実現している。また,全文情報を対象とした高度な検索支援機能,ブックメタファを採用した電子読書支援機能,既存図書を効果的にハイパーテキスト化する情報加工支援機能,図書館員が利用者の情報検索を支援する運用支援機能,利用者認証機能などの特徴的な機能を実現している。

吉田 哲三

最近のコンピュータネットワークとパーソナルコンピュータ技術の発展により,電子図書館においても,分散した情報源から情報検索する必要性が増している。テキストに関しては,古くから情報検索システムが開発されてきたが,他のメディアで表現された情報に関しては効率的な検索がいまだ実現できていない。また,テキストに対しても,インターネット上にあるような種々雑多な大量のデータを対象にする場合は検索効率が悪くなってくる。
本稿では,これらの問題を実用的なレベルで解決するために,検索結果の情報を対象に,この情報を特徴付けるキーワードや色などの特徴をもとに分類し,さらに,この分類結果を使ってブラウジングに適するように情報を3次元空間に配置する方法について述べる。さらに,この方法が,検索結果の情報を多様な見方で概観する機能を実現し,マルチメディアデータに対しても適用できることを示す。

柿元 俊博

電子図書館のコンテンツ作成を目的として,雑誌や新聞を含む印刷図書を高精度に電子コード化する文書認識技術を開発した。図書から文字コードを認識するには,イメージスキャナにより得られた文書画像から文章,表,図などの領域を抽出した後,文章や表の中の文字を電子コードにする文字認識を適用する。領域識別処理においては,「仮説検証方式」により,横書と縦書が混在した図書に対しても高精度に識別可能にした。文字認識処理では,「精度保証型高速分類方式」により,候補文字を抽出する大分類を行わず,直接に詳細な文字識別を行った場合の文字認識精度を達成可能にした。さらに,将来的にカラー図書の電子化を目指して,一様色の文章画像を高精度に2値画像に変換できる「情報保存型2値化方式」を開発した。富士通では,これらの技術を利用して電子図書館システムを開発している。

鎌田 洋、藤本 克仁、黒川 浩司

一般のユーザでも,簡単に効率良く,意図する情報を手に入れることができるような検索支援システムの実現を目指し,3種類の検索支援インタフェースを開発した。これらは,検索対象となるテキストから抽出した言語知識-単語,単語と単語との関係,文章の主題や重要情報など-を利用して検索支援を行うものである。インタフェースの一つ目は,検索結果を絞り込むためのキータームの候補を表示して,複雑な検索式の作成を支援する「絞り込み支援検索」である。二つ目は,記事の主題や重要情報を抽出しておくことによって,製品動向調査や業界動向調査を目的とする検索を支援する「テンプレート検索」である。三つ目はキータームの共起語を用いて,新しい事実の発見を支援する「発見的検索」である。
本稿では,これら3種類の検索インタフェースとその仕組みについて紹介する。

橋本 三奈子、松井 くにお

自動要約技術などの自然言語処理技術を利用して,大量の文書情報の活用を支援するツールを二つ紹介する。一つは,大量文書の選別用に簡潔なダイジェスト付き文書一覧を作成するツールであり,もう一つは,長い文書の拾い読みを助けつつ,利用者に合わせた要約の作成を行う文書読解支援ツールである。文書情報の活用サイクルは,情報を集め,分析・整理し,必要に応じて自己の見解などを加えて新たな情報を発信するというモデルでとらえることができる。文書一覧作成ツールは,この活用サイクルに必要な「集めた文書を選んで読む」という作業を支援するツールであり,文書分類・要約技術を使って,集めた文書を選びやすい順序で簡潔に提示することに特徴がある。文書読解支援ツールは,「選んだ文書を読んでまとめる」という作業を支援するツールであり,利用者の関心と理解の度合に合わせて閲覧文書の要約を対話的に作成することに特徴がある。

仲尾 由雄、小川 知也

世の中には電子化された文書があるが,ほとんどは有効利用されない。それは情報が整理されていないからである。情報を活用するには,大量の文書の中から情報ニーズに合う文書を収集し,さらにこれらの文書群を精製し,余分な情報や不要な情報を捨てることが重要である。著者らは構造化されていない文書の中から有用と思われる情報を抽出する情報抽出システムを開発した。このシステムの特徴は,事象モデルおよび事象に特徴的な表層上の手がかりに基づいてパターンマッチング処理を行って,文章をトップダウンに解析することである。著者らは現在,新聞記事中の企業活動に関する事象を対象にした情報抽出規則の開発を進めている。このシステムにより,企業活動に対して,要点を整理した検索・提示などが可能になっている。

西野 文人、落谷 亮、橋本 三奈子

将来の電子図書館では,ビデオデータもテキストデータと同様に収集・保管され利用できると考えられる。その際に重要な技術となる,ビデオデータを対象とする検索技術の一つとして開発した,動体内の特徴量を用いる検索方式を説明する。
本検索方式では,動画像内の動体(動いている物体)が持つ色分布および移動方向を特徴量として用い,検索したい動体の出現するショットを検索する機能を提供する。MPEG-2データに含まれる動ベクトル情報とDC成分から動体領域抽出と領域内の色分布を求め,特徴量としてデータベースに蓄積する。検索にはGUIを用い,検索したい動体が持つ色分布と移動方向を入力する。それに類似する特徴量を持つ動体を検索し,結果を類似度順に表示する。
プロトタイプでの実験では,色を指定して検索したときの正解率が0.83であった。検索時間は166 MHz Pentium上で9~95秒であり,類似度計算を行う候補数に影響される。

加藤 光幾、石川 博

一般

ネットワークコンピューティングの最新技術動向について述べるとともに,富士通のネットワークコンピューティングを実現するソフトウェア製品“INTERSTAGE”を紹介する。 INTERSTAGEは,OMG CORBA2.0準拠製品であるObjectDirectorやトランザクションサービスを提供するTransactionDirectorを中心としたコンポーネント群であり,インターネット上の分散オブジェクト環境を提供するものである。なかでも,1995年11月に国内最初のORB(Object Request Broker)として製品化されたObjectDirectorは,パソコン連携やインターネット連携をはじめとした豊富な機能を提供し,通産省VCALSプロジェクトや国立天文台すばるシステム,GLOVIAなど様々な分野のプロジェクトで採用されている。このような分散システム環境を構築するための基盤ソフトウェアは,今後ますます重要性が高まるであろう。

成田 雅彦

本稿では,SGML {Standard Generalized Markup Language(ISO国際標準)} と,その発展型であり次世代の文書論理構造記述仕様として注目されているXML {eXtensible Markup Language(W3C勧告)} について基本的な知識を概説する。
まずSGML登場の背景とその後の発展・適用分野について述べる。つぎにXMLの登場について述べ,それとSGMLや現在爆発的に普及しているHTML(Hyper Text Markup Language)と比較することで,XMLが両者の欠点を補いつつ利点を継承していることを示す。またXMLの応用規約・関連規約を説明し,さらにXMLのアプリケーション例やブラウザの実装例を示しつつ,XMLが今後のネットワーク環境およびアプリケーションの中核となるべき技術であることを示す。

鈴木 利光、土屋 哲

携帯電話のディジタルベースバンド部で用いられる音声コーデックなどのディジタル信号処理を高性能かつ低消費電力で実現する16ビット固定小数点DSPコア(Hi-Perion)を紹介する。
Hi-Perionは,最高動作周波数100 MHzと業界トップクラスの性能を達成した。また,消費電力においても,1.8 Vという低電圧動作を可能にすることで,富士通従来品に比べ70%以下に抑えることができた。 Hi-Perionを用いれば,次世代移動体通信の重要な技術要素として注目されているCDMA方式やPDCで用いられている複雑かつ高速処理が要求される音声コーデック処理を低消費電力で実現できる。
本稿では,16ビット固定小数点DSPコアの優れたアーキテクチャ,およびDSPを用いたシステム開発に欠かせない開発環境について説明する。

糟谷 武


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