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Fujitsu

Japan

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注:このページはアーカイブ化さたコンテンツです。各論文の記載内容は、掲載開始時の最新情報です。

雑誌FUJITSU

1998-7月号 (VOL.49, NO.4)

富士通の最新技術を隔月に紹介する情報誌です。 冊子体の販売はしておりませんのでご了承下さい。


雑誌FUJITSU 1998-7

特集: 「EC/CALS」

EC/CALS特集に寄せて(PDF)

特集: EC/CALS 目次〕

概要

  • EC/CALSの概要

業種EC/CALS

  • 自動車業界におけるCALSの取組み
  • 電機CALSにおけるSGMLの研究と実証
  • ソフトウェアCALS環境の構築と実証実験
  • EC実証実験におけるデータ公証

グローバルスタンダードを中核とした新技術

  • STEP実用化を容易にするHLDAIの研究と実装
  • 大規模分散PDMに向けてのCORBA新技術の実現
  • SECEプロジェクト
  • 国際EDI標準:EDIFACT
  • 富士通社内CALSの実践

EC/CALSを支える製品の紹介

  • 製造業におけるトータルソリューション:@EC CALS VISION
  • ディジタルプロセスを実現するパッケージ:PDMSTAGE
  • STEPデータを容易に扱えるパッケージ:STEPSTAGE
  • PDMと連携した設計委託パッケージ:WitWeb/PDM
  • SGML文書処理製品

EC/CALS関連企業の紹介

  • JCS(日本認証サービス株式会社)

一般

  • 宇宙ロボット:高機能ハンドシステム
  • 図書館情報システム:iLiswave
  • 監視用途向け多機能ビデオコーデック:FEDIS-U

特集:EC/CALS


概要

企業や産業社会の効率化および高付加価値化を実現する施策として,EC/CALSが注目されている。EC/CALSの基本的な考え方は,情報の電子化と標準化および共有化を行うことにより,部門間や企業間での効率的な企業経営を実現することである。日本においては,1995年度より通商産業省が産業活性化の一施策として高度電子商取引推進事業を推進し,その中で産業別にEC/CALSの実証が行われ,これを契機に企業は,実用化に向けて新たな取組みを展開している。EC/CALSの導入により,コスト低減やビジネスのスピードアップ,製品の品質の向上などの効果が期待できる。また,企業グループや系列といった従来の枠を超えて,新しい企業関係を構築することができる。以上のことから,EC/CALSは,グローバルレベルでの競争力を向上させる一施策として今後も進展していくものと思われる。

伊藤 大挙、鈴木 英彦

業種EC/CALS

自動車業界では,設計の期間短縮による国際競争力向上を目指し, CALS標準化活動による対応施策を研究してきた。本論文では,自動車業界でのCALSの取組みの事例として,1996年4月から,1998年3月までの2年間実施されたV-CALS(Vehicle CALS)の取組みの概要を紹介する。V-CALSでは四つのワーキンググループと六つのサブワーキンググループがあり,本書ではそれぞれのサブワーキングの取組みについて,研究の目的およびそれぞれの成果について紹介する。

上山 信夫、橋口 光明、松本 隆之

本稿では,業種CALSの事例として電機業界における一般電子部品の情報共有を目的とした 「情報提供システム」 の開発について述べる。
情報提供システムにおいては,情報の電子化に当たり表現型式としてSGMLを採用した。データベースとしては富士通の新コンポーネントであるSGML Stationを適用しており,開発者側のメリットとして,SGMLに関する知識が未成熟の開発技術者であってもシステム開発を可能にする方法について述べる。
また,従来のRDBも併用しており,RDBとSGML Stationの併用方法について,RDBのインデックステーブルの構造およびアプリケーション構造についてもその特徴を具体的に説明する。

小泉 元春、星野 徳雄、細井 和宏

本稿では,国内主要ベンダ21社によって実施された 「ソフトウェアCALSプロジェクト」 の活動について述べる。本プロジェクトでは,インターネットで結ばれた企業間でソフトウェアビジネスを効率的に行うことを目的として,開発・保守フェーズ,ソフトウェア調達フェーズ,コンポーネント組立て型ソフトウェア開発の三つの実証実験とそれに必要な支援環境の開発を行った。

吉岡 明彦

近年,ネットワーク上での商取引が活発に行われてきているが,セキュリティ技術や認証技術,暗号技術など,様々な課題が山積みになっているのが現状である。セキュリティ問題に対する試みとして,また今後のビジネス展開の第一歩として, 「電子公証人システム」 の開発および実証実験を行った。本システムは,認証や決済といった従来技術に加え,取引の安全性を確保するための 「公証機能」 と実ビジネスに必要な業務を行う 「立会人機能」 を備えていることを特徴としている。今回設定した実証項目に関しては,ほぼ正当性および有効性の評価を得たが,今後,実ビジネスでの適用を考えると,取引事実の公証という業務だけでは成立しにくく, 「電子公証」 されたデータをベースに契約,受発注といった取引を一連に管理し,さらに銀行と接続することにより決済まで行う機関(立会人機能)の充実が大きな課題になると思われる。

伊藤 康晴、小島 基、朝倉 晋

グローバルスタンダードを中核とした新技術

本プロジェクトでは,STEP(Standard for the Exchange of Product model data)データをオブジェクトレベルで扱う新しいアプローチを提案している。それは,STEPのAIMデータに直接アクセスするのではなく,HLDAI(High Level Data Access Interface)というアプリケーションのビューを持つユーザに親しみ易いインタフェースを用いるものである。本システムの原理は宣言的なマッピング言語の技術に立脚している。つまりHLDAIゼネレーション機能によって,新たに定義されたAPM(Application Program Model)とAIM(Application Interpreted Model)間のマッピング記述がなされる。つぎにこのマッピング記述をコンパイルすることによって,HLDAI部品が自動的に創成され,アプリケーション開発者に提供される。この研究は通産省・情報処理振興事業協会の 「企業間高度電子商取引推進事業」 プロジェクトの一環として(財)日本情報処理開発協会・STEP推進センターが請け負い,(株)富士通九州システムエンジニアリングが開発したものである。

井上 和、岩本 卓也、山本 雄樹

自動車業界では,自動車設計開発業務のグローバル化が急速に進む中,分散されたデザイン情報をいかに効率よくアクセスし,また同期を取って管理できるかが今後の大きな課題である。ここでは,分散ネットワーク技術の世界標準としてCORBAを適用し,かつ自動車設計開発業務の特長である大規模な分散情報を高速にアクセスする技術を,CORBA標準に加えて適用,評価した。今後の,世界的なオープンネットワーク時代を予測した先進的な事例であり,CORBAの一般的なアーキテクチャと,新技術の適用について紹介する。

橋口 光明、成田 雅彦

消費者ECの一つの形態として,金融機関および販売店によるインターネットショッピングのためのシステム構築が始まっている。本稿では,通産省,情報処理振興事業協会(IPA)によるエレクトロニック・コマース推進事業の一環として,消費者が仮想商店でショッピングを行った後に,代金支払いを安全に行うインターネットプロトコルを開発したSECE(Secure Electronic Commerce Environment)プロジェクトについて概説する。
SECEプロジェクトでは,クレジット取引についてはインターネット取引を中心にしたSET(Secure Electronic Transaction)と呼ばれる国際標準プロトコルとの整合性を保ちつつ日本の商習慣を反映したプロトコルを提案し,これがSETで標準として採用された。また,銀行取引についてもインターネット上のプロトコルを策定し適用分野を拡大した。有価証券取引については現在プロトコル策定に取り組んでいる。
なお,SECEプロジェクトの成果を富士通製品COMMERCESTAGEに採り入れている。

古田 茂樹、天野 大緑、橋本 伸之

企業間で電子的にデータ交換を行うEDI(Electronic Data Interchange:電子的データ交換)は,資材調達や受発注などの業務においてその効率化を図るために普及してきた。そして,CALSやECの進展に伴い,企業間の情報交換を迅速に行えるEDIの重要性が高まってきている。また,企業活動のグローバル化により,海外とのEDIを行うためのシステムの導入が急務となってきている。UN/EDIFACT(United Nations/EDI For Administration,Commerce and Transport:行政,商業,運輸のための電子データ交換)はそういったEDIを実現するための国際EDI標準である。FEDIT/EDIFACT-TRは,EDIFACTを支援するトランスレータとして開発した。また,1997年に改訂された新しいUN/EDIFACT規格のうち,日本語,バイナリデータのサポートを業界に先駆けて行い,さらに,ビジュアルインタフェースの採用により,容易な操作性を実現した。

藤田 勉、村形 武志

CALSプロジェクト推進室は1996年4月,富士通グループのCALS化推進の統括部門として設立された。当室の担当業務の一つにCALS関連要素技術の開発があり,SGML,STEP,EDI,IETM,CITISなど多岐にわたる技術をベースに富士通の企業活動サイクル(企画,開発,購買,製造,販売,保守,廃棄迄)を支援するシステムを開発し,パイロットユーザ部門で試行・評価を実施してきた。
とくに,当室が担当する各種支援システムは部門間や社外との情報共有に必要となる領域を狙いとして,業務改善・改革も考慮したシステムを開発し,その成果を標準化・汎用化しグループ内外へ順次展開している。
本稿では,富士通のCALS化推進の実践事例の一例とし,PDM(製品情報管理)システム,統合部品データベースシステムおよび技術情報統合化EDIシステム開発の概要を紹介する。

村上 進、瓜田 誠一、吉田 茂

EC/CALSを支える製品の紹介

伊藤 大挙、鈴木 英彦、橘 身江子

田端 正昭、前多 克英、木原 美弦

松本 隆之、芝原 輝夫

細井 和宏、岩本 好史

岩垂 誠、上谷 卓己

EC/CALS関連企業の紹介

インターネットに代表されるオープンなネットワーク環境において,電子商取引を行うためには,物理的に相対する相手同士で行う従来の取引とは異なり,電子的に相手を確認し,安全に取引を行える仕掛けが必要となる。
日本認証サービス株式会社(JCS)では,ISO/IEC9594-8|ITU-T X.509に準拠した公開鍵認証書(認証書)を利用するとともに,暗号技術を利用した電子商取引を安全に行うための国内業界標準であるSECE(Secure Electronic Commerce Environment),および国際業界標準であるSET(Secure Electronic Transaction)技術を基盤とし 「電子認証書発行代行サービス」 を提供している。JCSは被認証者の審査・登録を行う機関(お客様)からの委託に基づいて認証書を発行する。
本稿では,認証局機能とJCSサービスの位置付け,認証局の役割分担について紹介する。

野口 雄治、藤原 寛文

一般

宇宙空間において人間の代わりに多様で器用な作業を行う宇宙ロボットの実現が望まれる。その基礎技術を実際に宇宙で検証するために,世界的にも最先端レベルの宇宙ロボット : 高機能ハンドシステム(Advanced Robotic Hand System : ARH)を開発した。
従来の宇宙ロボットは,マニピュレータの先端に専用の結合機構を持つクレーンのようなものであった。ARHは,宇宙飛行士の手先に匹敵する器用さを実現するために,3 本の指と5種のセンサを持つハンド,小型のアームおよび制御装置などを搭載機器として有し,地上には遠隔制御のための運用システムを持つ。センサ情報に基づき衛星上でフィードバック制御により自律的に動作する機能や,地上からの遠隔操作指令に基づき制御位置の誤差を吸収して動作する機能などを有する。この3月には宇宙において基本的な機能の確認を完了した。本稿では,この開発背景,システムの特徴・構成および宇宙実験について概説する。

三上 龍男、町田 和雄、秋田 健三

富士通では,大学図書館向けのパッケージとして,メインフレームやUNIXなどで動作するILISシリーズを提供してきた。本シリーズは,全国初の総合図書館パッケージであるILIS,書誌構造・典拠・分館対応などの近代的な機能を提供したILIS/X-70,オープンシステムの先駆けとして開発されたILIS/X-WRからなる。
この度,学術情報センターが新目録所在情報サービスを開始することを契機に,富士通はこのサービスに対応した,全国初の大学図書館パッケージiLiswaveをシリーズの集大成として開発した。
iLiswaveはクライアント・サーバ型システムで,業務モジュールを選択することにより,図書館の事情に合わせて段階的に導入できる。また,図書館利用者が望むサービスを実現するために必要な専門的機能を備えている。

松永 義昭

遠隔地点を映像によって監視するシステムにおいては,帯域に限りのあるネットワーク経由で映像を伝送するため,ビデオコーデック(映像を符号化/復号化する装置)が必要である。その場合,ビデオコーデックが単独で利用されることは稀であり,様々なコンポーネントと組み合わせて特定のシステムが構築されるのが一般的である。
富士通は,監視用途向けに特化した小型多機能のビデオコーデックを新たに市場に投入した。このビデオコーデックはほかの機器と組み合わせて利用されることを前提に開発されており,映像の圧縮伝送機能を持つだけでなく,ネットワークまで含めたシステム構築が容易であること,通常ビデオコーデック外部で実現される映像ハンドリング機能を内蔵していること,などの特長を持つ。
本稿では,遠隔地点を映像によって監視するシステムの要件について説明し,今回開発したビデオコーデックの機能と,それを実現するための技術について紹介する。

三浦 真樹、梅崎 靖、溝口 美智子


---> English (Abstracts of Papers)