ウエルシア薬局株式会社 様

地域のライフラインを担える店舗づくりを目指し
自社で物流をコントロールする体制を構築

ウエルシア薬局は、地域のライフラインを担える店舗づくりを目指し、24時間営業の店舗の増加と同時に、食品・雑貨の品揃えを強化している。そこで課題となったのが物流体制だ。そこで、3PLに任せていた物流を自社でコントロールする体制に変革。「FUJITSUロジスティクスソリューションLogifit WM」を採用し、統一されたWMS(物流倉庫管理システム)で運営することにより、作業効率化と物流の質の向上を実現した。

課題
効果
課題商品数、店舗数の増加に対応できる物流体制が必要
効果3PL任せの物流を自社でコントロールできる体制に変革
課題ピッキング・入荷検品など作業状況が把握できない
効果作業状況の見える化で無駄を改善し作業を効率化
課題3PL毎に作業の品質にバラツキが出ている
効果WMSの統一により同じ指標で作業を比較し、品質を向上

背景

品揃えの強化と店舗数拡大に対応するために
物流改革に取り組む

近年、ドラッグストア業界は、2009年の医薬品販売の規制緩和に伴いコンビニエンスストアとの競合が加速している。
「出店数ではコンビニに勝てませんが、品数で言えばドラッグストアです。我々の店舗でも通常2万品種くらいの商品を扱っています。コンビニではあまり売れない商品はすぐに消えてしまいますが、ドラッグストアはお客様が要望しているなら店舗に並べておく、そうした品揃えの多さが特長です」と業界最大手のウエルシア薬局 取締役 安倍崇氏は話す。

品揃えの充実は、物流の量に直結する。同社では、より地域のライフラインを担える店舗づくりを目指し、24時間営業の店舗を増やすのと同時に、食品・雑貨の品揃えを強化している。さらに、M&Aで出店数そのものも増えている。そのためここ数年の物流量が増加し、オペレーションも複雑になり、これまでの物流を根底から変える必要があった。そこで、同社は「物流改革」を今後の企業成長の柱のひとつに位置づけ取り組みを開始した。

「物流改革の重要性を認識したきっかけは東日本大震災です。震災で物流が滞ったとき、他社の店舗に比べて我々の店舗の棚に置かれた商品数が明らかに少なかった。“地域のライフラインを担える店舗”を標榜する我々がこれではいけないと、センターのDC(Distribution Center)化を決めたのです。」(安倍氏)

そこで、同社は、5箇所の物流センターの移転拡張とともに、”物流の質”の改革に取り組み、従来と比べて3割増の2千店規模でも対応できる物流体制の構築に取り組むことにした。
「それまで、物流センターの運営管理は3社の3PLに任せていて、我々でコントロールできていませんでした」と安倍氏。

3PLそれぞれが商品を管理して店舗への配達を行う体制では、作業のバラツキもあり、全体としてどのように改善すれば生産性が向上するのか掴みきれずにいた。また3PLごとに異なるWMSで管理していたため、作業効率の単純比較が難しかった。さらに欠品などの問題が起きた場合にも原因を瞬時に把握できず、改善指示も的確に行えていなかった。

そうした課題を克服し、生産性を上げるために、自社でWMSを導入して運営管理を行うことを決めた。そこで採用したのが、富士通の物流センター管理システム「FUJITSU ロジスティクスソリューション Logifit WM」だった。

ウエルシア薬局株式会社
取締役
情報システム本部 本部長
安倍 崇 氏
ウエルシア薬局株式会社
物流本部 物流部
神野 秀和 氏
埼玉センコーロジサービス株式会社
嵐山センター
喜多 良平 氏

経緯

フィールド・イノベーションにより
要望にフィットしたシステム構成を立案

「システムだけでなく、業務改革も含めた提案で信頼性が高かったので富士通さんを選定しました。フィールド・イノベーションという手法で、物流現場と店舗作業を可視化し、現場の課題と必要な対策を明確にしていくところから富士通さんと一緒に取り組みました」(安倍氏)。

Logifit WM は埼玉県の嵐山物流センターのスタートに合わせ、2017年6月から稼働を開始した。
「約1年間、富士通さんと連携しながらシステムの開発を行いました」と話すのは物流本部物流部 神野秀和氏。「物流管理で経験豊富な富士通さんが作成した設計書とスケジュールに沿って、アドバイスをいただきながら開発できたため、スムーズに導入できました(神野氏)」

お客様の要件に合ったフローや管理方式になるよう柔軟にプログラミングできることがLogifit WMの強みであり、ドラッグストアの物流ならではの細かな要望も叶えるシステムに組み上がった。

ポイント

現場の声も柔軟に反映し
自社に特化したシステムを開発

「物流の最終ゴールは店舗に商品を届けることですが、店舗側で品出ししやすい荷姿で納品することが大前提です。我々は医薬品に加え食品や化粧品なども扱っており、それらが同包されて店舗納品される場合があります。そうした場合は出荷時のラベルに同包されている旨が表示されるよう、機能を追加してもらっています。店舗側で荷物の中身を確認する手間が省けるため、品出しの時間も短縮されます」(神野氏)

他にも、流通事業者同士が受発注や出荷、検品などのデータを高速・低コストで交換できる流通BMS(Business Message Standard)を組み込んで、客注商品が他の商品に紛れることなく店舗に届けられるようにするなど、作業の効率化を目指したカスタマイズが施された。

開発に際しては、「3PLとも意見交換しながら、より使い勝手の良いシステムを目指しました。どんな機能があれば便利なのか意見を出し合い、開発に反映させました」と神野氏は話す。

「ユーザーインターフェースは実際に使う我々にとって使い勝手が良いようにカスタマイズしてもらいました」と話すのは嵐山物流センターで管理を担当する埼玉センコーロジサービス 嵐山センター 喜多良平氏。
「導入前から導入後まで、富士通さんのサポート体制は万全です。日々の作業で改良してほしい点が見つかった場合にも、SEの方が随時フォローしてくれますし、不具合が発生した時にも即時対応してもらえるので安心です」(喜多氏)

効果と今後の展望

主体性を持った運営管理で
作業の効率化と物流の質が向上

「導入によって一番変化したのは、自分たちが主体性を持って運営管理できるようになったことです。特に作業状況を見える化できたことが大きいです」と神野氏。

これまで3PLに管理を依存していたため、ピッキング作業、入荷検品など、どの作業がいつ行われているのか全く把握できていなかったが、Logifit WMを導入したことで「進捗状況をモニター画面でリアルタイムに確認できます。作業のどこに無駄が生じているのか判断ができるようになり、結果として作業効率が上がりました」(喜多氏)

さらに、統一したWMSを使うことで、3PL間の作業品質のバラツキも解消された。それぞれの作業に必要な人数や時間を単純に比較でき、問題がある場合には改善指示を出しやすい。

また、リアルタイムに作業状況が確認できることは、問題が発生した際の即時対応にも繋がる。例えば店舗納品で欠品や遅延が起こった場合でも、瞬時に状況を把握でき、対処も速やかに行えるなど、物流全体の質も向上した。

さらに今後、新たなセンターの立ち上げ時にも、自社でWMSを持つメリットは活かされる。「M&Aは縁あってのことですから、どのタイミングで店舗数が増えるのか予測できません。短期間で新たなセンターを立ち上げたい場合にも、使い慣れたWMSを持っていることは大きな強みです」(安倍氏)

また、「システムに新たな機能を追加する場合にも、統一したWMSであれば各センターにスムーズに導入できます」(安倍氏)

今回、嵐山物流センターにはLogifit WMとともに、効率的な発注業務や需要の予測を支援するシステムFOREPALSも導入されている。
「他にも配送管理システムなど、富士通さんには物流における様々なソリューションがあります。そうしたソリューションと連携を取りやすいことも富士通さんのWMSを導入する利点です」(神野氏)
「他のセンターでも順次、Logifit WMを導入していきたいと思っています。今後も店舗拡大を進めていきますが、そのためにはやはり物流が鍵となります。今後とも富士通さんのソリューションと共に物流改革を進めていきたいと思います」(安倍氏)

ウエルシア薬局株式会社 様

本社所在地 東京都千代田区外神田2-2-15
設立 1997年7月
ホームページ http://www.welcia-yakkyoku.co.jp
代表者 代表取締役社長 水野秀晴
概要 「お客様の豊かな社会生活と健康な暮らしを提供します」という企業理念の実現に向け、お客様視点の接客、予防・医療・介護の専門性と豊富な品ぞろえで、地域の客様に、より便利で安心して生活いただける超高齢社会のインフラとしての調剤併設型ドラッグストアを運営。

[2018年7月掲載]

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