岩田は、プロダクトデザインをする際に、まずは「人のことを考える」と言います。ターゲットとなるユーザーは「どのような生活をしているのか」「普段の暮らしでは、どこでどう使うのか」など具体的なペルソナや利用シーンを細かく考えることもあれば、もっとシンプルに年齢、性別、家族構成などから考えることもあります。
そして、ユーザーは自宅や職場などで「対象となる製品をどう使うのか」といった仮説を立て、検証しながらイメージを具体化していきます。「その人(ペルソナ)が求めるもの、ニーズに対して、どのような新しい体験や価値で応えていけるのか、『ユーザー起点』で考えていくことを大切にしています」と岩田は語ります。
こうしたデザイン思考は、ものづくりにおいて重要性が高まっていると同時に、デジタルトランスフォーメーション(DX)を加速させる原動力になります。「プロダクトデザインとは、デザインする製品やサービスの先にあるユーザー起点でニーズや課題を捉え、仮説立案と検証を繰り返す作業です。プロダクトのデザインを通じて新たな体験価値を提供することが、DXの推進へと繋がっていくと考えています」
最後に岩田は、「常に初心を忘れずにいたい」と語ります。「この仕事を志した時に抱いていた想いは『今、どう実現できているのか』自分自身、壁にぶつかった時はそこに立ち返っています。今後もその自分自身の原点に加え、“新しさ”と“物事の本質”を追求し、デザインを続けていきたいと考えています」視線の先には、プロダクトデザインの可能性が大きく広がっています。