国立大学法人大阪教育大学 様

全国公立小中学校のモデルとなる働き方を目指し
附属小学校を舞台に教職員の業務改善を推進

課題
効果
課題附属学校部内の事務職員の業務分掌が明確化されていない
効果主要10業務の業務フロー図を作成し仕事の流れを明らかにすることに成功
課題附属学校園に対応した教育委員会機能の整備が必要
効果学校運営に求められる機能区分を課題項目に分類し、それぞれの指針を検討

背景

業務改善加速事業を契機に教職員の働き方改革に着手

国内有数の歴史と伝統を誇る教育大学として、これからの学校教育を担う教員の養成に邁進する大阪教育大学。同大学では、2018年度に文科省より「学校現場における業務改善加速事業」を受託した。

理事・副学長を務める森田 英嗣氏は、その背景を「学校の先生は職務に熱心な方が多く、ともすれば働き過ぎになりがちです。しかし、いくら子供たちを思ってのこととはいえ、教育現場が疲弊してしまうようでは問題です。文科省からも『全国の公立小中学校の参考となるようなモデルを築き上げて欲しい』と要望されましたので、本学の附属小学校を指定学校とし、働き方改革に取り組むことにしました」と語る。

さらに同大学では、富士通のフィールド・イノベーションも導入。「加速事業では様々な活動に取り組みましたが、本学にはその成果を具体的に検証するノウハウが十分ではありませんでした。その点、外部の客観的な視点で我々の活動を整理してもらえば、今後の働き方改革にも大きな弾みが付くと考えました」。(森田氏)

国立大学法人大阪教育大学 理事・副学長(研究・国際・附属学校担当) 森田 英嗣 氏 国立大学法人大阪教育大学
理事・副学長(研究・国際・附属学校担当)
森田 英嗣 氏

経緯

事務部門における業務分掌の明確化が重要テーマに

今回のプロジェクトを担当したフィールド・イノベータ(以下、FIer)は、まず同事業のアンケートと教職員へのインタビュー結果から課題を抽出。これにより、教員と職員のそれぞれにおいて、取り組むべき方向性が見えてきた。特に職員側での重要テーマとなったのが、「事務部門の業務分掌の明確化」である。

附属学校課課長代理 南山 美智子氏は「以前は事務職員の仕事が体系化されておらず、異動の際の引継ぎなども前任者と個人的に行っていました。その結果、どこまでが自分の仕事なのか明確で無く、同じ業務でも、今回の活動の舞台である附属天王寺小学校と他の附属学校園とでは、それぞれ進め方が違いました」と振り返る。

国立大学法人大阪教育大学 附属学校課 課長代理 南山 美智子 氏 国立大学法人大阪教育大学
附属学校課課長代理
南山 美智子 氏

組織や業務についての共通認識が薄く、自らの処理が正しいかどうか不安を感じるような状況は決して好ましいものとは言えない。また、紙、押印、送付などのアナログ処理が数多く存在していることも問題であった。そこで同大学では、FIerと共にこれらの改善に着手。同時に、もう一つのテーマである「大学としての教育委員会機能の指針策定」にも取り組むこととなった。

ポイント

業務フロー図で学校事務室の仕事の全容が明らかに

事務部門の業務分掌を明確化する上で、大きな役割を果たしたのが、FIerが作成した業務フロー図である。これは、学校事務室が行っている仕事内容をヒアリングし、負担、時間がかかっている10の主要業務を抽出。それぞれの流れを明らかにすると共に、各業務が抱える課題を抽出したものだ。

附属学校課 工藤 宏介氏は「我々は基本的に大学職員なので、附属学校事務室の業務を深く知っているわけではありません。しかし、業務フロー図を作ってもらったおかげで、容易に全体像を把握することができました。現場に2,3日張り付いただけで、これだけのものが作成できるというのは正直驚きでした」と語る。

国立大学法人大阪教育大学 附属学校課 工藤 宏介 氏 国立大学法人大阪教育大学
附属学校課
工藤 宏介 氏

この業務フロー図を見ただけで、すぐに改善につなげられた点もあった。工藤氏は「たとえば年度初めの教員名簿作成ですが、以前は事務職員が管理職の教員に何度も先生方の異動情報を確認していました。しかし、その情報は先に当課に届いていますので、こちらから一括で伝えれば確認の手間が無くなります。我々も、現場がそこで困っているとは知らなかったので、業務フロー図に基づいて改善する意義は大きいと感じました」と続ける。学校内部でも、活動を通して教職員間のコミュニケーションが改善され、業務に関わる情報のやりとりがスムーズになるなどの効果が生まれている。

さらに、定期的に実施している附属学校課の研修会でも業務フロー図を活用。「業務に関わる悩みや課題の共有は普段から行っていますが、今回は業務フロー図があったおかげで、より突っ込んだ議論ができました。他の附属学校の職員からも、ぜひ自校の業務フロー図を作って欲しいとの声が挙がっていました」と工藤氏は話す。こうして学校ごとの違いが分かれば、ナレッジの横展開や業務プロセスの標準化も図れるようになる。

「業務分掌の明確化では、多岐にわたる取り組みが求められるため、本格的な成果が表れるのはまだまだこれからです。しかし、改善すべきポイントは見えていますので、歩みを止めることなく活動を続けていきたい」と南山氏は語る。

また、もう一つのテーマである教育委員会機能の指針策定については、大学の附属学校ならではの事情があった。南山氏は「公立の小中学校などとは異なり、附属学校では大学の附属学校課が教育委員会の機能を受け持っています。しかし、附属学校課の職員は教育の専門職ではなく、人事異動などもあります。こうした中で、いかに教育委員会機能を整備するかが大きな課題でした」と説明する。

そこでFIerは、活動メンバーと共にワークショップを開催。学校運営で求められる機能区分を課題項目に分類し、それぞれごとに指針を検討した。「附属学校園を統括する新組織も立ち上げましたので、今後は今回検討した指針を、その中で活かしていくことになります」と南山氏は話す。

主要10業務の業務フロー図を作成
図1事務分掌の明確化に向け、学校事務室の主要10業務の業務フロー図を作成。これにより、誰がどのような仕事を行っているか、業務がどう流れているかが明らかになった。

全附属学校園の職員と課題を共有
図2全附属学校園の職員が一堂に会する研修会で業務フロー図に基づいた討議を実施、課題を共有した。

今後の展望

改善・改革に今後も意欲的に取り組む

働き方改革に向けて大きく前進した同大学。各学校における事務処理の違いや課題を共有したことで、他の附属学校園も含めた職員全体の業務改善につながることが期待されている。

活動を支援したFIerにも、高い評価が寄せられている。「たとえば、先生方の働き方に関するアンケートをFIerにデータ分析してもらったところ、こちらで事前に行った集計とは全く違うグラフが出てきました。基は同じデータでも、これだけ違う見方ができるのかと感心しました。また、常に傾聴の姿勢を崩さず、最後まで話を聞いてくれる点にも安心できました」と南山氏は語る。

教員の負担軽減や職員の業務効率化を目指す活動はこれからも続いていく。森田氏は「一連の活動は、まるで歪みのない鏡のように、我々の仕事を映し出してくれました。この成果を他の附属学校園にも展開し、教育現場の改善・改革をさらに推し進めていきたい」と今後の抱負を述べた。

※掲載している職制等は取材当時のものです。

FIer

教員業務は多岐にわたるとともに負担感もあり、その中で児童・生徒と接する時間をいかに創出するかが課題となっています。そこで、まず職員の事務分掌を明らかにし効率化した上で、教員の業務負担軽減につなげることとしました。
職員の主要な業務をフロー図として可視化し、問題点を明確化することですぐに改善に至るものもあり、改善の効果を実感いただけたことと思います。
今後は、全国の公立小中学校のモデルとなること目指し、ワークショップで実践いただいた課題整理の手法などを参考に、教員・職員が一体となり、組織としての改善施策を自ら進めて頂けますよう祈念いたします。

津田 順司
鈴木 景久
加藤 宏明
Fieldinnovation

国立大学法人 大阪教育大学 様

所在地 大阪府柏原市旭ヶ丘4-698-1
学部・学科 教育学部・連合教職実践研究科・教育学研究科
設置 1949年3月
ホームページ https://www.osaka-kyoiku.ac.jp/
大学概要 1874年(明治7年)に設置された教育伝習所を起源とする教育大学。大阪府柏原市と大阪市天王寺区に2カ所のキャンパスを有し、次世代の教育を担う人材の育成に取り組んでいる。初等・中等教育並びに特別支援教育に対応した11の附属学校園も展開。

大阪教育大学 様

[2021年2月掲載]

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