日本工業大学 様

中高を含む学園全体の財務業務統合に着手
旅費精算業務の効率化・省力化に成功

課題
効果
課題出張経路や費用の調査が申請者の負担になっている
効果旅費精算システムの導入により、申請者の負担を軽減
課題出張内容や金額の確認・承認作業が重複している
効果重複を削減し、簡便で負担の少ない確認・承認作業を実現

背景

学園強靭化プロジェクトの一環で財務業務の統合に着手

「実工学の理念にもとづく工業教育と先進的研究により、新たな価値創造と科学技術の発展に寄与する」を建学の精神・理念として掲げる日本工業大学。同大学の理事長を務める柳澤 章氏は、「次世代を担う技術人材を育成することが本学のミッション。実社会で役立つ実践的な教育プログラムを展開すると同時に、学内の実験・研究設備についても最先端の環境を整備しています」と説明する。

学齢人口の減少が急速に進む中で、学校運営を取り巻く状況も一段と厳しさを増しつつある。そこで同学園では、経営体質の強化と持続的な発展を目指す「学園強靭化プロジェクト」を2015年にスタート。そのテーマの一つが「学園財務業務統合」である。「本学園は大学、法人本部、附属中学校/高等学校で構成されていますが、従来はそれぞれ財務処理の方法が異なっていました。学園全体で合理化・効率化を目指す上では、こうした状況を変えていく必要がありました」と柳澤氏は語る。

学校法人 日本工業大学 理事長 工学博士 柳澤 章 氏 学校法人 日本工業大学
理事長 工学博士
柳澤 章 氏

経緯

旅費精算業務を軽減

財務統合に向けて、同大学では教職員の出張などに伴う旅費精算業務を選定。この業務は、申請者、承認者の双方に負担が大きかった。財務部 評議員 部長 磯 雄二氏は「これまでも、伝票入力を手書きから表計算ソフトに変更するなどの工夫は行っていました。しかし、その後の業務プロセスが紙ベースであるため、処理が完結するまでに時間が掛かっていました。また、旅費精算業務は教務部や総務部など複数の部門にまたがることから、財務部だけで解決するのは困難でした」と振り返る。

日本工業大学 財務部 評議員 部長 磯 雄二 氏 日本工業大学
評議員
財務部
部長
磯 雄二 氏

今回のプロジェクトを担当したフィールド・イノベータ(以下FIer)は、まず実態を明らかにすべく、申請者/承認部門のそれぞれの業務を可視化。その結果、申請者は、伝票を起票する前の準備に多くの時間を取られていることが判明。そのほとんどを乗換案内アプリなどによる経路証明書の準備が占めていた。また、承認部門については、出張内容や金額などの確認作業を、教務、総務、財務などの複数の部門が重複して行っていることが分かった。

財務部 財務課 主事 山本 好央氏は「財務では、他部門の作業は見えませんので、可視化によって重複が判明したことは大きな収穫でした。この事実を基に、旅費精算に携わる複数の部門の職員が集まってワークショップを開催し、業務効率化に向けた検討を進めていきました」と語る。

日本工業大学 財務部 財務課 主事 山本 好央 氏 日本工業大学
財務部 財務課
主事
山本 好央 氏

ポイント

紙とシステムを組み合わせた新業務運用を確立

ワークショップでの議論を通して、申請者/承認者の負担を軽減する新たな旅費精算業務プロセスを確立。紙とシステムを組み合わせたハイブリッドな業務運用をすることになった。

「FIerからはすべてシステム化する方法も提案されましたが、会計監査への対応などを考えると、紙が残っていた方が便利な場合もあります。そこで今回は実効性を重視して、あえてこのようなプロセスとしました」と磯氏は語る。

また、山本氏も「内部だけの取り組みだと、どうしても意見がまとまりにくい面があります。その点今回は、FIerが客観的な第三者の視点で議論を整理してくれたため、全員の意見をうまく集約できました。目標達成に向けた大きな推進力になってくれたと感謝しています」と続ける。

こうして策定された新プロセスの内容は、概ね次のようなものだ。まず申請者は、ワークショップでの議論を踏まえて導入した旅費精算システムに出張内容、日時、出発地、目的地などの情報を入力。システムは経路探索ソフトと連携しており、以前のように自分で経路や費用を調べる必要はない。

また、システムに入力された情報は紙出力され、領収書原本などと一緒に、教務部、総務部での確認作業に回される。「ここでも教務部は出張内容、総務部は旅費や日当の金額と、それぞれの業務に関連する点だけを確認しますので、課題であった重複作業は解消されました」と山本氏は語る。

財務部での承認作業はシステム上で行い、特に訂正がない場合はボタンを押すだけだ。「支払処理へのデータ連携も自動的に行われますので、以前と比べると格段に効率よく作業ができるようになりました。こうして捻出できた時間を、他の業務に充てられるようになったことも、大きな成果と言えます」と磯氏は語る。

現時点では、コロナ禍の影響で処理すべき伝票の数が減っている。しかし、従来の伝票数を想定すると年間で約25%の時間削減が図れると試算されている。「システム提案ではなく、現場の可視化と分析をしたうえで改善案を出しつつシステム化する。こうしたアプローチが取れるのが、フィールド・イノベーションならではの良さですね」と柳澤氏はにこやかに語る。

確認作業の重複が判明
図1従来の業務プロセスを可視化した結果、複数の部門で重複した確認作業が判明。その割合は、承認作業全体の約40%にも達していた。

大幅な時間削減が可能に
図2従来の伝票数で試算すると、新業務運用プロセスを適用することで、年間715時間/約25%の削減が図られる見込みだ。

今後の展望

他のテーマでもフィールド・イノベーションを推進

今回は「学園財務業務統合」の実現に向け、紙ベースの旅費精算業務の効率化・省力化に着手し、その道筋をつけた。

もう一つ見逃せないのが、事務部門間の連携を強められた点だ。「附属学校も含めた複数の部門が、同じテーマで議論するというのは今回が初めて。全員が一丸となって課題や解決策を検討できたのは、我々にとっても非常に貴重な体験でした。お互いに顔が見える関係が築けたことで、新たな課題が見つかった際にも相談がしやすくなりました」と山本氏は話す。

こうして、学園財務統合に向けて大きく前進した日本工業大学。さらに今後も、図書・情報複合施設「LCセンター」の改革など様々なテーマに挑んでいく。「外部の知見を活用することで解決できる課題はまだまだ多い。学内に対しても、『フィールド・イノベーションをずっと続ける』と宣言しています」と柳澤氏は力強く語った。

※掲載している職制等は取材時のものです。

FIer

今回の活動では、教務部・総務部・財務部の職員の方々が組織の垣根を越えて旅費精算業務の効率化・省力化という一つのテーマで活発に議論を重ね、理想的な業務の形に見直すことができました。その結果、システム導入の目的が明確化でき効果的なシステム活用につながる結果となりました。
柳澤理事長のFI活動に対する深いご理解と、磯部長をはじめ事務部門の方々のお互いを信頼する姿勢が本活動を成功させた大きな要因と考えています。
今後も我々フィールド・イノベータは、大学経営課題の解決に向けお客様の実状に合った、現場起点の問題解決へのご支援を進めてまいります。

FIerは左から、木村 剛美、小林 努、大野 優人

日本工業大学 様

所在地 埼玉県南埼玉郡宮代町学園台4-1
学部・学科 3学部・大学院2研究科
開学 1967年4月
ホームページ https://www.nit.ac.jp/
大学概要 基幹工学部・先進工学部・建築学部の3学部ならびに大学院2研究科を擁する工業大学。「実工学の理念にもとづく工業教育と先進的研究により、新たな価値創造と科学技術の発展に寄与する」を建学の精神・理念として掲げている。

日本工業大学 様

[2021年2月掲載]

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