九州産業大学 様

業務改革の手法や先端ICTを課題解決型学習に活用
アクティブ・ラーニングの成果を高めることに成功

課題
効果
課題教員が多忙で課題解決型学習の時間やリソース確保が困難
効果実社会で実践されている改善・改革技法やICTを活用することで授業を改善
課題アクティブ・ラーニングの実践ノウハウが共有されていない
効果活動成果を学会や学内に広く発表しノウハウを横展開

背景

PBLが抱える課題をいかにして解決するか

「産業と大学は車の両輪のように一体となって、時々の社会のニーズを満たすべきである」を意味する「産学一如」を建学の理想として掲げる九州産業大学。同大学では、「KSUプロジェクト型教育」と呼ばれるアクティブ・ラーニングを推進している。

建築都市工学部 住居・インテリア学科 教授 小泉 隆氏は「『実践力』『共創力』『統率力』の3つの力を養うことが、KSUプロジェクト型教育の目的です。これからの時代を生き抜くには、他の人々とも積極的に関わり、自分自身や様々な仕組みを自らデザインしていける能力が求められます。これを身に付ける上で、アクティブ・ラーニングは非常に有効です」と説明する。

九州産業大学 建築都市工学部 住居・インテリア学科 教授 小泉 隆 氏 九州産業大学
建築都市工学部
住居・インテリア学科
教授
小泉 隆 氏

もっとも、取り組みを進める中では、様々な課題にも直面した。建築都市工学部 住居・インテリア学科 准教授 香川 治美氏は「大学教員は非常に多忙ですので、PBL(課題解決型教育)のための時間やリソースを確保するのは大変です。また、せっかくのノウハウが教員間で共有されない点も問題でした」と語る。

九州産業大学 建築都市工学部 住居・インテリア学科 准教授 香川 治美 氏 九州産業大学
建築都市工学部
住居・インテリア学科
准教授
香川 治美 氏

経緯

業務改革の手法やICTを授業改善に活かす

こうした悩みを解決すべく導入されたのが、富士通のフィールド・イノベーションである。当時、総合情報基盤センターの室長を務めていた人事部付係長 橋本 忍氏は「本学では以前にもフィールド・イノベーションに取り組み、高い成果を上げた実績があります。実社会で実践されている技法やICTを活用すれば、この時と同様にアクティブ・ラーニングにまつわる課題も解決できると考えました」と語る。

九州産業大学 人事部付係長 橋本 忍 氏 九州産業大学
人事部付係長
橋本 忍 氏

そこで香川氏が担当する居住環境デザインゼミナールでフィールド・イノベーションのプロセスや技法を活かし、地域共創型PBLの授業支援を行うこととなった。

ポイント

4つの研究テーマで学生の活動を支援

今回の対象となった居住環境デザインゼミナールでの4つの研究は、それぞれ「1. 応急仮設住宅の居住環境調査」「2. 小中学校の空調設備調査」「3. 学生のICT利活用調査」「4. 病院待合スペースの導入前後動線調査」をテーマとしている。これらの事実可視化に欠かせないのが、アンケート/インタビュー調査だ。そこで本件を担当したフィールド・イノベータ(以下、FIer)は、まず学生に対し研修形式でアンケート/インタビューの基本を伝授した。

「そういう調査が必要であることは学生も知っていますが、実際にどう進めればいいのかが分からない。FIerにポイントを教えてもらったり、学生同士で討議したりすることで、具体的な手法を身に付けることができました。学生も非常に積極的で、こちらが驚くくらい活発な議論が交わされていましたね」と香川氏は振り返る。

こうして必要なスキルを習得した学生は、それぞれの研究テーマごとにアンケート/インタビュー調査を実施。集まった情報を整理する際には、富士通のインタビューログ自動化ツールも活用された。「これはインタビューの際に録音した音声を自動的にテキスト化してくれるツールですが、このような先端技術を学びの場で使わせてもらえたことは非常に良かった。学生が社会に出た時にも、貴重な経験として役立つと思います」と香川氏は語る。

加えて、議論を円滑に進めるためのファシリテーション研修では、意見の引き出し方やまとめ方といったファシリテーションの基本に加えて、遠隔地との対話を可能にするICTツール「デジタルカードセッション(デジカ)」の活用法も紹介。「今の学生は普段からデジタル技術に親しんでいますので、皆で盛り上がりながら操作していましたね。楽しみながら学べるということは、教育面での効果も大きいと感じました」と橋本氏は語る。

もう一つ見逃せないのが、4.の研究テーマで利用された測域センサーだ。病院の待合室の快適性向上のための環境改善がこの研究の目的だが、以前は人の動きを手書きで記録しており、観測者ごとの誤差などが避けられなかった。「測域センサーなら、自動で客観的なデータを取れると紹介されましたので、本研究に取り入れてみることにしたのです」と香川氏は語る。

学生もこうしたツールを使うのは初めてであるため、まずキャンパス内のホールで実証実験を実施。ベンチの位置によって人の動きが変わることを確認した上で、病院での本番調査に取り掛かった。「デザインによる改善効果を定量的に示せるという点で、大きな価値があると感じました」と香川氏は語る。

ファシリテーション研修に「デジカ」を活用
図1ファシリテーション研修会では、「デジタルカードセッション」の活用法を紹介。
ゼミでは遠方の現場でフィールドワークを行うこともあるため、こうしたICTツールの有用性を体感できた。

測域センサーによる動線分析を実施
図2病院待合室の調査では、測域センサーを用いた動線分析を実施。以前は手書きで人の動きを記録していたが、手間をかけずに正確なデータを自動測定できるようになった。

今後の展望

高い学習効果を上げることに成功。学生からも高評価

これらの取り組みの結果、すべての研究テーマで成果があった。まず1.では、被災者が応急仮設住宅で生活する際の注意点をまとめたガイドラインを作成。画期的な取り組みとして、地元メディアにも取り上げられた。2.の調査・分析結果も調査先の自治体から高く評価され、継続調査の依頼を受けることとなった。さらに3.の研究成果も、学会や広報誌などで発表。最後の4.についても、引き続き調査中のデータと合わせて分析し、レイアウトデザインの改善効果を定量評価する技法提案としてまとめていく考えだ。

また、活動の過程では、同じくアクティブ・ラーニングに取り組む明治大学・阪井ゼミとのリモート交流会も実施。「お互いに大きな刺激を受けることができた」(香川氏)。活動に参加した学生の評価も高く、推奨度を示す「NPS」(※)で23.1%という高いスコアを記録した。

「今回の活動を通して、学生たちもより自信を持てるようになったように感じます。自らいろいろな人々と関わったり、ICTツールを駆使したりする姿を見て、大変頼もしく感じましたね。こうした学生の変化を見るのは、教員としても大きな喜びです」と語る香川氏。また、小泉氏も「座学を中心とした教育の中で育ってきた学生にとって、自らの探究心や積極性を掘り起こす良いきっかけになったことでしょう。KSUプロジェクト型教育にも資する活動ですので、今後は他の研究教育活動への横展開も進められればと思います」と述べた。

※NPS:Net Promoter Score 顧客推奨度。推奨者より批判者の割合が高いため、マイナス評価になることが多い。

※掲載している職制等は取材時のものです。

FIer

学生が主体で活動する課題解決型授業(PBL)に、先端ICT技術を活用することを主眼に活動支援を行いました。その中の成果として、センサー技術を駆使しての「人の動きや混雑状況を映像でなくデータによる可視化を行う」など、今までと違った活動成果を教員・学生と共有できました。
また、学生が年毎に入れ替わっていく教育現場で、成果をどう継承していくかという教員の課題も直に感じることができました。今回の活動を活かし、今後も教育研究分野でのフィールド・イノベーションを通して、大学のアクティブラーニング推進を支援していきます。

FIerは左から、首藤 好秋、児玉 卯、矢島 孝行

九州産業大学 様

所在地 福岡県福岡市東区松香台2-3-1
学部・学科 10学部・大学院5研究科
開学 1960年
ホームページ https://www.kyusan-u.ac.jp/

九州産業大学 様

[2021年2月掲載]

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