札幌市北区 様

データとロジックで自治体の窓口サービスを強化
AI/IoTで窓口サービスを見える化し、庁舎改築プランを策定

札幌市北区様では手続き拡充に伴う増員・増築の根拠をどう割り出すかの課題がありました。そこでフィールド・イノベーションを活用して、AI/IoTで窓口サービスを見える化し、庁舎改築プランを策定しました。

課題
効果
課題手続き拡充に伴う庁舎改築プランの根拠を明確に示したい
効果手続き拡充で増える業務量から、必要な人員数、庁舎スペースを定量的な数字で算出
課題予算化に向けた庁内調整を、経験則や感覚ではなく、論理的に進めたい
効果事実データに基づく議論により、庁内調整がより論理的で建設的な場に

背景

手続き拡充に伴う増員・増築の根拠をどう割り出すか

全国有数の大都市である札幌市。その行政区で、最多となる約29万人の人口を誇るのが北区である。北区市民部 市民部長 仙波 晴彦氏は「当区は面積でも市内で3番目に広く、東西方向の距離は約15kmにも達します。区役所から遠い場所にお住まいの方も多いため、篠路出張所を置いています」と説明する。

元々は住民票の交付などを主に行っていた篠路出張所だが、人口増加やニーズの多様化に対応すべく段階的に業務を拡充してきた。そして今回は、札幌市まちづくり戦略ビジョンに基づき、区民サービスのさらなる向上を目指して取り扱い手続きの拡充に着手した。しかし、ここで大きな課題に直面する。

篠路出張所 所長 國方 大翼氏は、「より多くの手続きを行うためには、出張所の職員や執務スペースも増やす必要があります。しかし、それが何人/何平米なのかという根拠を、明確に示すのが難しかったのです」と振り返る。当然のことながら、篠路出張所の増強に充てられる費用は税金である。市の財政部門に増員や増築を要求するにも、その妥当性がきちんと裏付けられていることが必要だ。これがひいては、市民への説明責任を果たすことにもなる。手続き拡充と増改築をつなぐストーリーが立てられなかったのだ。

札幌市 総務局 行政部 改革推進室 推進課長 満保 修一 氏 札幌市
総務局 行政部 改革推進室 推進課長
満保 修一 氏
札幌市 北区 市民部 市民部長 仙波 晴彦 氏 札幌市
北区市民部
市民部長
仙波 晴彦 氏
札幌市 北区 篠路出張所(篠路茨戸まちづくりセンター)國方 大翼 氏 札幌市
北区篠路出張所(篠路茨戸まちづくりセンター)
所長
國方 大翼 氏

経緯

数値に裏付けられた説得力のあるストーリーを描く

こうした課題を解決すべく導入されたのが、富士通のフィールド・イノベーションである。札幌市 総務局 行政部 改革推進室 推進課長 満保 修一氏は、導入の経緯を「札幌市では、全庁的な行政改革の一環として『業務の見える化』を推進しています。経験則ではなく事実に基づいた議論を行うことで、業務の最適化や生産性向上を図るのが狙いです。その点、フィールド・イノベーションは、以前に他の区で実施した取り組みでも大きな改善成果を挙げられました。客観的なデータに基づいて現場職員が議論し、自ら改革を進める手法に感銘を受け、篠路出張所でもぜひ活用してもらいたいと考えたのです」と語る。

そこで、今回のプロジェクトを担当したフィールド・イノベータ(以下、FIer)は、増築後のレイアウト図検討に至るまでのストーリーを確認。手続き拡充によって増える「業務量」、増えた業務量を遂行するために必要な「職員数」、来庁者や職員数に見合った「庁舎面積」を徹底的に数値で明らかにすることで、納税者や財政部門に対しても説得力のある計画を示すことを目指した。

ポイント

最新デジタル技術が業務見える化に威力を発揮

今回の取り組みでは、それぞれのプロセスをどれだけ論理的に数値化できるかが大きなカギとなる。そこで、最新のデジタル技術も駆使して同出張所の現状を見える化していった。

まず、業務量については、窓口に並ぶ人数や駐車場の駐車台数を正確に把握することで庁舎の混雑状況を見える化。ここでは、測域センサーを用いて窓口前の人数を計測すると共に、駐車場に設置したカメラの映像をAIで画像分析している。

「これまでは、『今日は駐車場が混んでいる』『職員が忙しく動き回っている』といった感覚でしか状況を掴めませんでした。しかし、FIerに見える化してもらったことで、各駐車枠の利用率や来庁者の待ち状況などを、定量的な数値で語れるようになりました」と國方氏は語る。

さらに、執務スペースに設置したカメラの映像を分析して、職員の窓口応対に掛かる工数を算出。その結果、窓口業務を適切に廻すためには、一日の業務時間に占める窓口応対時間の比率を約50%程度に抑える必要があることが判明。手続き拡充後にはこの条件が満たせなくなり、業務量増加に見合った増員が必須であることが裏付けられた。

「ここで大きかったのが、より最適な窓口体制モデルを実現するためのシミュレーションです」と國方氏は続ける。これまで同出張所では、書類の受付・出力から審査、交付の各作業を4人の職員が代わる代わる担当する「周回モデル」を採用していた。この方式は少数精鋭で手続きが早いというメリットはあるものの、周りの職員の状況を常に把握しなければならない、一日中立ち仕事になるなどの問題があった。そこでFIerは、他の自治体では標準的な受付・出力、審査、交付の各プロセスを別々の職員が行う「分担モデル」を提案。ビーコンを用いた動線分析などの結果を基に、これまで通りの速さを維持しつつ、増加する業務量や繁忙期の待ち時間予測にも対応できる最小限の人員数を導き出した。

「ワークショップを通して、各職員のスキルマップを作れたのも良かったですね。このようなスキルを有する職員で現状業務をこう分担しているので、増えた業務はこれだけ職員を増やして分担すべき、とはっきり示せましたので、庁内関係者の理解も得やすかった。さらに、実際の庁内調整を想定したロールプレイングで、数ある事実データをきちんと組み合わせ、論理的に説明することを体得しました。これも非常に役立ちましたね」(國方氏)。

デジタル技術を業務の見える化に活用
図1駐車場の混雑状況分析では、AIによる画像分析で駐車台数の推移を明らかにしている。

今後の展望

区民サービス向上に向けた取り組みを加速

こうした活動の結果、事前に描いたストーリーをすべて数値で裏付けたレイアウト図が完成。その内容は、市政トップからも「論理的で説得力がある」と高く評価されている。計画に対する承認も得られ、具体的な増員・増築に向けて推進中である。

ロジカルに増築レイアウト図を作成
図2増加する業務量やその対応に必要な職員数が数値で裏付けられ、それに見合った庁舎面積を割り出せた。

「日々の業務をすべて見える化し、課題解決に向けて歩き出すことができたのも、FIerの支援があればこそ。役所の業務はとかく保守的になりがちですが、デジタル技術の活用も含め、これまでとは違う視点で様々なチャレンジができました。今回の取り組みは、他の自治体でも大いに参考になるのでは」と仙波氏。満保氏も「正確な見える化の技術と、活動に参加するメンバーの熱意やモチベーションを引き出すFIerの人間性。このデジタル/アナログの両方の要素をうまく噛み合わせられるのが、フィールド・イノベーションの価値ですね。この知見を活かし、見える化による全庁的な業務改革につなげていきます」と満足げに語る。

若手職員の意識改革にも貢献
写真若手の活動メンバーからは「意識していなかった自分の動きが見えて驚いた」「業務処理が早いと分かり自信になった」「根拠を数値で示す重要性に気づけた」などの声が挙がっている。

新・篠路出張所の実現で、さらなる区民サービスの向上が期待される。

※2020年3月取材・事例中に記載の職制は取材時のものです。

FIer

庁舎改築プラン策定は、フィールド・イノベーションでは新しい領域のプロジェクトでした。
これまで蓄積してきた見える化手法を駆使し、また新しい技術にも挑戦させてもらいました。
そして多くの関係者のみなさまと、事実データを基にした検討を積み重ねました。
なにより、「地域の方々によりよいサービスを!」という熱い想いに突き動かされ、私たちFIerも一心同体となって、庁舎改築ストーリーを創り上げることができました。
地域の未来を創るプロジェクトにご一緒できたことを嬉しく思います。
新しい庁舎にたくさんの笑顔が溢れる日を、私たちFIerも楽しみにしています。

札幌市 北区 様

面積 63.57km2
世帯数 139,172世帯(2020年4月1日現在)
人口 287,775人(2020年4月1日現在)
ホームページ https://www.city.sapporo.jp/kitaku/

[2020年5月掲載]

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