旭化成マイクロシステム株式会社 様

工場を個別最適から全体最適へ
生産計画の見直しで適切な生産性向上を実現

旭化成マイクロシステム様ではLSI製造業務の生産改善にフィールド・イノベーションを活用。フィールド・イノベータの調査で前工程と後工程のプロセスが一貫しておらず全体最適になっていないことが明らかになりました。そこで生産計画を見直すと同時に、改善を推進する人材育成にも取り組みました。

課題
効果
課題生産工程が未連携のため、工程ごとに仕掛品/滞留品が発生
効果生産計画の見直しで、在庫の逓減と納期遵守率の大幅改善
課題改善・改革活動に必要な知識やノウハウを有する人材不足
効果自律的な改善体質構築による現場の意識改革

背景

非効率な生産プロセスがビジネス上の課題に

独自のミクスドシグナル技術を活かしたアナログ・デジタル混載LSIや各種センサーなど、多彩な電子部品を提供する旭化成エレクトロニクス。その製造子会社として、車載製品や各種産業用デバイスの生産を手がけるのが旭化成マイクロシステムだ。

同社 代表取締役社長 兼 延岡事業所 所長 津田 亮氏は「長年の経験に裏打ちされた高度な設計・生産技術が当社の強み。世界的な評価をいただいている製品も多く、品質には徹底的にこだわっています」と語る。

今回、同社では、LSI製造業務の生産改善プロジェクトを実施した。津田氏はその背景を「半導体の製造工程は、ウェハに電気回路を形成する前工程と、組立・パッケージ・検査などを行う後工程に大別されますが、以前はこのプロセスが一貫していませんでした。その結果、工程のあちこちに仕掛品が生じたり、計画通りにモノが生産できていませんでした」と明かす。

旭化成マイクロシステム株式会社 代表取締役社長 兼 延岡事業所 所長 津田 亮 氏 旭化成マイクロシステム株式会社
代表取締役社長
兼 延岡事業所 所長
津田 亮 氏
旭化成マイクロシステム株式会社 延岡事業所 製品検査課 課長 高橋 宏和 氏 旭化成マイクロシステム株式会社
延岡事業所
製品検査課 課長
高橋 宏和 氏
旭化成マイクロシステム株式会社 延岡事業所 生産管理課 SCM推進実行グループリーダー 主査 荒木 誠二 氏 旭化成マイクロシステム株式会社
延岡事業所 生産管理課
SCM推進実行グループ
リーダー 主査
荒木 誠二 氏

経緯

全体最適を目指し改善活動に着手

製品検査課 課長 高橋 宏和氏は「各工程の担当者は、個別に改善に取り組んできましたが、当時はどうやって全体最適を目指すのか分かりませんでした」と振り返る。

ここで導入されたのが、同社の他事業所でも実績を上げた富士通のフィールド・イノベーションだ。「計画通りに製品を計上することがモノづくりであり、それはお客様満足度向上にもつながります。国内から半導体工場がどんどん消えていく中で、短期間で変わらないと生き残れないという危機感も強かっただけに、活動に掛ける期待は大きかったですね」と津田氏は語る。

今回の活動を担当したフィールド・イノベータ(以下、FIer)は早速、同事業所の現状を調査。その結果、前工程が後工程の状況を十分に考慮せず生産しているために多くの仕掛が生じていること、また後工程でも各工程で個別に計画が行われており、納期遵守率が上がらないなどの問題点が見えてきた。そこで、「コスト削減と収益増大」を上位目標として掲げると共に、工場として「市場の変化に対して柔軟に対応できるライン」を目指すことを提言した。

生産管理課 SCM推進実行グループリーダー 主査 荒木 誠二氏は「今回の活動では後引き生産やかんばん方式の考え方を用いています。最初は当事業所のような少量・多品種の工場に合うのか不安でしたが、半導体製造分野の知見が豊富なFIerが我々に合わせて一緒に考えてくれましたので、これならできると感じました」と語る。

ポイント

生産計画の抜本的な見直しと人材の育成

同事業所では、組織横断の改革チームを組織して改革に向けた様々な活動を展開。その一つが、納期遵守に向けた生産計画の見直しだ。従来のプロセスでは、前述の通りウェハの単体試験や組立、テーピングなどの各工程で独自に生産計画を作成していた。これに対し現在では、最初に最終工程の計画を作成し、これをそこから遡って各工程の計画を作成することで、生産計画全体をシームレスにつなげている。

生産計画全体をシームレスにつなげ、仕掛を減少
図1後工程から順番に遡って計画を作成することで、ムダのないモノづくりが可能に。

また、これと並行して、計画作成範囲のルール化も実施荒木氏は「以前は設備稼働率を最優先していましたが、FIerから『半年先に売る製品を今作る必要はあるのか』と指摘を受けました。そこで、生産計画の対象範囲を見直した結果、ラインにも余裕が生まれ、不測のトラブルなどにも柔軟に対処できるようになりました」と語る。さらに、従来は不定期で行っていた計画の見直しを毎週必ず行うように変更。これと同時に、予実管理も実施し始めた。各工程の進捗管理担当者の大半を生産管理課に異動させるなど、大規模な体制変更も実施している。

「これまでは自工程からモノを速く出すことを価値としていたわけですから、現場にはかなりのパラダイムシフトだったことは確かです。しかし、工場全体のレベルアップには、個々の工程だけが頑張っても仕方がありません。反発や抵抗もありましたが、粘り強く説得を重ねることで実現することができました」と津田氏は振り返る。

加えて、もう一つ見逃せないのが、次世代を担う人材の育成だ。高橋氏は「今回の活動で自律的に改善を推進できる人材が少ないことを痛感しました。進化し続けるには、主体的に推進するリーダーが欠かせません。そこで、FIerの支援も得て、人材育成を進めています」と説明する。若手社員に分野を限定せず改革プランを提案させる取り組みなどを始めている。津田氏は「こうした人材が協力して改善・改革を進められるようになれば、当事業所の未来も明るいはず」と期待を込める。

今後の展望

納期遵守率の大幅改善と現場の意識を改革

具体的な成果も、着々と現れつつある。「計画的に生産が行えるようになったことで、納期遵守率が劇的に改善。以前は営業担当からの納期の問い合わせが頻繁に寄せられていましたが、現在ではこうした状況も解消されています」と津田氏は満足げに語る。経営トップが取り組みの成果を社外に発信する、営業部門をはじめとする他部門からの評価が高まるなど、今回の活動によって社内でのプレゼンスも向上した。

生産計画の対象範囲をルール化し、納期遵守率を大幅改善
図2生産計画による目標値の維持に努めることで、仕掛品/滞留品が減少し、
不測のトラブルなどにも柔軟に対処できるようになり、納期遵守率が飛躍的に向上した。

もう一つの大きな成果は、部門の枠を超えた議論が活発に交わされるなど、現場の意識改革が進んだ点だ。「いくら優れた生産手法でも、取り組む側の意識が伴わないままでは機能しません。改善の目的や意義をきちんと納得した上で、自ら業務を変えていくという機運を醸成できたのも、FIerの支援の賜物だと感じています」と津田氏は語る。同事業所では、今後もSCM強化をはじめとする様々な分野で改善活動を推進し、少量・多品種という強みにさらなる磨きを掛けていく。

FIer

活動開始当初は、お客様は設備の高稼働の維持に拘っておられました。
その結果、能力の低い工程に仕掛が滞留してし、生産活動が混乱しておりました。
時間は掛かりましたが、活動を通して、その意識を変えて頂き、成果がでるまで活動を見守ってくださったオーナー・リーダーに感謝申し上げます。

左から、阿部 真、佐藤 公紀

旭化成マイクロシステム株式会社 様

本社 東京都千代田区有楽町1-1-2
設立 1993年1月
資本金 5000万円

旭化成マイクロシステム株式会社 様

[2020年3月掲載]

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