社会福祉法人 聖隷福祉事業団 様

介護システムを最大限に活用し事務作業を効率化
利用者に向き合う時間を捻出し
サービス品質を向上

聖隷福祉事業団様では高齢化社会に伴い福祉部門の人材が不足していました。そこでフィールド・イノベーションを活用して、導入済の介護システム「WINCARE」の活用状況と間接業務を可視化。その結果からシステムを有効活用することで業務を効率化し、年間6,400時間の間接業務を削減しました。

課題
効果
課題利用者に向き合う時間を増やすため、間接業務を効率化する
効果将来の医療連携に向けて介護情報を整備する
課題システムの有効活用により間接業務を大幅に削減
効果介護情報を利活用できるデジタルデータとして集約

背景

全介護施設にシステムを導入するも活用しきれず

社会福祉法人 聖隷福祉事業団は、静岡県を中心に1都8県で158施設(2019年12月現在)を展開し、「医療」、「福祉」、「保健」、「介護サービス」の4つの事業を柱としたヒューマンサービスを提供している。

地域の高齢化に伴い、同事業団では福祉部門の需要が増えているが、対応できる人材が不足していた。和合せいれいの里 総園長梅田 和寛氏は、次のように語る。「介護人材が不足しており、介護を学ぶ学生も減っています。そこで介護が専門ではない学生も受け入れて育てています。こうした若手の活躍には、ベテランの知見を含む介護情報を蓄積したシステムの活用が必須です」。

また、医療分野との将来的な連携も経営課題だった。医療分野では電子カルテが普及しているが、介護分野では記録の電子化が進んでいない。梅田氏は、「病院医療はまだ介護情報を必要としていませんが、いずれ必要とされるでしょう。そのために先を見越して準備をする必要があると考えました」と語る。

同事業団の介護施設ではこれまで、介護に関する情報を紙帳票に記録するとともに、現場で手書きした内容を事務所でシステムに入力し直していた。このシステムを2018年4月に刷新し、富士通の介護システム「WINCARE」(※)を全介護施設に導入。しかしWINCARE導入後も、日々の業務に忙殺され、その機能を使いこなせていなかった。和合せいれいの里 特別養護老人ホーム 和合愛光園 副園長 課長 松本 有司氏は、「新システムを導入したものの、旧システムと同等の機能を使うだけで、プロセスを変えることが出来ませんでした。その結果、紙帳票も残業時間も減らせませんでした」と振り返る。
※介護事業者支援システム FUJITSU ヘルスケアソリューション HOPE WINCARE-ES

社会福祉法人 聖隷福祉事業団 在宅・福祉サービス事業部 静岡第1エリア エリア長 和合せいれいの里 総園長 梅田 和寛 氏 社会福祉法人
聖隷福祉事業団
在宅・福祉サービス事業部
静岡第1エリア エリア長
和合せいれいの里
総園長 梅田 和寛 氏
社会福祉法人 聖隷福祉事業団 和合せいれいの里 特別養護老人ホーム 和合愛光園 副園長 課長 松本 有司 氏 社会福祉法人
聖隷福祉事業団
和合せいれいの里
特別養護老人ホーム
和合愛光園 副園長
課長 松本 有司 氏
社会福祉法人 聖隷福祉事業団 和合せいれいの里 特別養護老人ホーム 和合愛光園 係長 大亀 真人 氏 社会福祉法人
聖隷福祉事業団
和合せいれいの里
特別養護老人ホーム
和合愛光園
係長 大亀 真人 氏

経緯

間接業務の可視化で効率化の必要性を実感

新システムの導入は、梅田氏にとって新たな挑戦の始まりだった。「導入して終わりではなく、徹底して使いこなさなければなりません。その点も富士通の支援を期待していました」と同氏は語る。そこで同年7月から、特別養護老人ホーム 和合愛光園と地域密着型介護老人福祉施設 和合愛光園 和合サテライトの2施設で富士通のフィールド・イノベーション活動を始めた。

フィールド・イノベータ(以下、FIer)は、まず職員にインタビューを実施した。そこで改めて「不要な書類や間接業務が多い」「人材が不足している」「WINCAREを十分に使いこなせていない」という3つの現場での問題認識が浮き彫りになった。

さらにFIerは、これらのポイントに基づき、職員の業務を仔細に調査・分析し可視化した。活動メンバーのひとり、和合愛光園 係長 大亀 真人氏は、「業務が可視化されたことで多くの気づきがありました。例えば、以前から帳票が多いと感じていましたが、実際に並べると想像以上に多くて驚きました。また、同じ帳票なのに部門ごとに少しずつ違い、職員は異動するたびに覚え直さなければなりませんでした。これらの業務に時間を取られ、利用者に向き合う時間が減っていたのだと気づきました」と語る。

和合愛光園における1シフトあたりの業務量調査(1日/1人)
図1間接業務比率やその内訳など、効率化のポイントが明確になった。

ポイント

業務課題整理や先行事例見学で方向性が定まる

可視化結果を基に、FIerがファシリテーターとなって、課題抽出のためのワークショップを実施。活動メンバーが感じていた課題を整理・分類した結果、ペーパーレスの推進と記録の電子化に向けたシステムの徹底活用とを中心に、業務改革に取り組むことになった。大亀氏は、「以前からそれぞれ課題だと感じていましたが、ぼんやりとしか捉えておらず、解決の仕方が分かりませんでした。しかし、課題を細かく分類することで解決できそうだと思えるようになりました」と語る。

課題解決のために、FIerから紹介された、既にWINCAREを使いこなしている他の介護施設を視察。そこでは、職員がパソコンの前だけでなく施設内のさまざまな場所でタブレットを使って情報を入力していた。「我々もタブレットはありましたが、十分に活用できていませんでした。入力は事務所に戻ってキーボードでやるものと思っていたのです。やり方を工夫すれば、タブレットでも十分入力できることに気付きました」と大亀氏。業務プロセスの再構築は新人職員が配属される前の、2019年3月末までに完了する必要があった。克服すべき優先課題と解決の方向性を定め、メンバーは一丸となって改善施策に取り組んだ。

タブレット活用で業務を効率化
図2事務所に戻ることなく、入所者の傍らで必要な情報を随時確認・入力できる。

今後の展望

他施設・他事業への横展開でグループ全体の業務品質向上へ

新しい業務プロセスでは、職員一人ひとりが使用できるようにタブレットの台数を増やし、タブレット携帯用のポシェットや、利用方法を分かりやすく示したマニュアルを用意した。これにより、介護業務と並行して介護記録を入力できるようになった。「今では70歳くらいの職員もタブレットで入力しています」と松本氏。この結果、事務所でパソコンに向かう時間は半減した。また、30種類もあった帳票は13種類に削減。WINCAREの利用率は改善前から7割増加した。部門ごとに異なっていた書式も統一し、間接業務は26%削減、帳票に手書きする時間は93%も削減された。さらに介護情報が集約されたことで、引継ぎにかかる時間も半減している。

活動を通じて、自ら課題や解決方法を探り、継続して改善を続ける人材が育ったことも大きな成果だ。例えば、ショートステイに関する業務では紙帳票が多く残っていたが、大亀氏が率先して改善し、2日後にはプロトタイプを作った。「改善のやり方が分かったのが大きいですね。やり始めると皆がついてきてくれ、職場の一体感も高まりました」(大亀氏)。

これまでは、介護施設が地域に密着した存在であることから地域ごとの特性を優先し、運営方法を標準化してこなかった。梅田氏は、「他の施設に一方的にやり方を押し付けても上手くいかないので、フィット&ギャップ分析を行いながらそれぞれの良いところを取り入れ、活動の成果を他の地域の施設にも展開していきます」と語る。

聖隷福祉事業団では、まずは静岡エリアから改革をスタートし、関東・関西へと拡大予定だ。今後は介護施設だけではなく、在宅事業への展開も視野に、グループ全体のサービス品質の向上を目指している。

和合愛光園における活動成果例
図3システムの有効活用により、大幅に間接業務の削減ができた。

FIer

介護業界は慢性的な人手不足もあり、事務作業の効率化が大きな課題となっています。
また、現場では、システムを導入しても、従来の運用を変えられずに、介護記録を帳票と システムに2重入力するなど、システムを効率的に活用出来ていないケースが多いのが現状です。
今回のフィールド・イノベーション活動では、そうした介護現場の業務実態を第三者視点で 可視化し、ワークショップを通して、課題や施策の体系化を図ることで、現場リーダーの 意識改革とシステムの有効活用についてご支援しました。その結果、リーダーが現場の職員に改善施策を指導され、職場が一体となってペーパーレス化に取り組むことで、今まで実現出来なかった間接業務の削減につながった事を、大変嬉しく思っています。

左から、千木良 泰弘、下岡 靖典

社会福祉法人 聖隷福祉事業団 様

所在地 静岡県浜松市中区住吉2-12-12
設立 1930年
サービス活動収益 約1,161億円(2018年度)
ホームページ http://www.seirei.or.jp/hq/

社会福祉法人 聖隷福祉事業団 様

[2020年3月掲載]

本事例に関するお問い合わせ

Webでのお問い合わせ
お電話でのお問い合わせ
ページの先頭へ