全国農業協同組合連合会長野県本部 様

農産物の販売事業拡大に向けて
組織横断できのこ販売事業のプロセス改革を推進

JA全農長野様では販売事業の改革の一環でフィールド・イノベーションを活用。フィールド・イノベータがきのこの契約的取引に関わる全ての部門の業務を確認し、そのプロセスを明らかにすることで各業務のつながりを可視化。業務プロセスを見直し更にシステム化することで、作業全体の20%の削減を見込んでいる。

課題
効果
課題取引量やアイテム数の増加に伴い拡大した業務負担・時間外勤務の削減が急務
効果JAとの価格調整作業を早期化、作業時間の前倒しにより時間外勤務を削減
課題紙ベースでの情報伝達により生じる様々な非効率性を改善したい
効果情報伝達の電子化をベースに、処理効率化を実現するシステム化要件を明確化

背景

取引量やアイテム数の増大に伴う業務負荷が大きな課題に

県内16の農協(JA)と連携し、農畜産物の流通を中心とした販売事業や、肥料・農薬などの購買事業を展開するJA全農長野。県内で生産された安全・安心な農畜産物の需要を的確に見極め、最適な消費地・消費者に届けることで、農業生産の活性化と生産者の所得増大に貢献している。販売事業のJAグループ取扱高において、北海道に次ぐ第2位※を獲得するなど、その取り組みは生産者からもしっかりと支持されている。

「生産者が手塩に掛けた農畜産物を、生産者が納得できる条件で販売するため、販売事業の改革に積極的に取り組んでいます。その一環として、価格形成を卸売市場での競りに委ねる委託販売から、予め実需者との間で販売条件を定める契約的取引へのシフトを進めています」と語るのは、生産販売部 副部長 きのこ課長 小林正明氏。全国1位の生産量を誇るきのこでは、契約的取引の割合が約75%にまで達している。

一方で、契約的取引の比重拡大とともに新たな課題が生まれていた。小林氏は「取引全体を最適化するためには、実需者側からもたらされる需要情報と、JAから通知される供給情報の最適なマッチングを導き出す必要があります。取引量やアイテム数が大幅に増えたことで、このマッチング作業のための業務負担が増大し、時間外勤務も増えてしまいました」と振り返る。

※農林水産省 平成29事業年度総合農協統計表より

全国農業協同組合連合会長野県本部 生産販売部 副部長 きのこ課長 小林 正明 氏 全国農業協同組合連合会長野県本部
生産販売部 副部長
きのこ課長 小林 正明 氏

経緯

関連部門の業務可視化で課題が浮き彫りに

こうした状況を抜本的に改善すべく導入したのが、富士通のフィールド・イノベーションである。小林氏は「第三者の視点で課題を可視化できるのが最大の魅力でした。これによって、業務プロセスの改善実現に期待を持ちました」と語る。

プロジェクトを担当したフィールド・イノベータ(以下、FIer)は、今回の対象である「きのこ分荷業務」の可視化に着手。この業務では、営業部門を通してもたらされる実需者側の所要情報と、供給者となるJAからの集出荷/在庫情報をマッチングし、商品の配送手配までを行う。このように複数の部門が関わるため、関連する全ての部門の業務を確認する必要があると判断。具体的には業務量が最も多く、改善の最優先ターゲットとなった北信事業所に加えて、南信事業所、営業課、東京販売事務所などの主要拠点を訪れ、その業務を可視化した上で、業務フローやグラフ、タイムラインチャートなどにまとめた。

その結果、様々な問題点が浮かび上がってきた。たとえば、情報のやりとりが紙/FAXで行われていた上に、同じ発注情報を北信事業所と東京販売事務所でそれぞれ個別に入力していたことがわかった。また、北信事業所では木曜日に時間外勤務が多く発生していたが、その原因が東京販売事務所に次週のきのこの販売予定価格を通知するタイミングにあったことも判明した。北信事業所では、東京販売事務所に販売予定価格を通知し、その価格をもとに市場からの要請量(発注見込み)を受け取ってから、出荷に向けたシミュレーション作業を行う。しかし、JAとの価格調整結果を木曜日の昼に通知しているため、要請量が夕刻にならないと北信事業所に伝わらず、シミュレーションを時間外に行わざるを得なかった。

「それぞれの業務プロセスがどうつながって、どこに時間が掛かる原因があるのかが俯瞰的に理解できたことは非常に大きかったです。これがわかれば、具体的な改善策が考えられます」と語るのは、生産販売部 きのこ課 係長 中澤芳明氏。生産販売部営業課 考査役 井上慎也氏も「可視化結果から業務の様々なところに無駄があることを改めて痛感しました。紙ではなくデータで情報を管理することの重要さも強く認識できました」と続ける。

全国農業協同組合連合会長野県本部 生産販売部 きのこ課 係長 中澤 芳明 氏 国農業協同組合連合会長野県本部
生産販売部 きのこ課
係長 中澤 芳明 氏
全国農業協同組合連合会長野県本部 生産販売部 営業課 考査役 井上 慎也 氏 全国農業協同組合連合会長野県本部
生産販売部 営業課
考査役 井上 慎也 氏
全国農業協同組合連合会長野県本部 北信事業所 生産販売課 係長 中村 達哉 氏 全国農業協同組合連合会長野県本部
北信事業所 生産販売課
係長 中村 達哉 氏

ポイント

ワークショップを通して4つの改善ポイントを策定

これらの可視化結果を踏まえ、FIerは改善に向けたワークショップを実施し、「1. 情報伝達手段の電子データ化推進」「2. 要請量データの入力項目と責任所在の明確化」「3. 要請量入力完了の早期化」「4. プロセス効率化に向けたシステムの二次開発」の4点を改善ポイントとして策定した。

可視化結果をもとにワークショップを実施
図1他部門の担当者同士で議論を重ねたことで、今まで見えなかった部署ごとの悩みも明らかに。

北信事業所 生産販売課 係長 中村達哉氏は「以前は異なる部門の担当者が一堂に会して議論する機会がなかったのですが今回、お互いに率直な議論が交わせたことで、それぞれの考え方や悩みを理解することができ非常に有意義でした。FIerからの客観的な指摘も、長い間に慣習化して当たり前と感じていた業務を見直すきっかけになりました」と振り返る。

また、井上氏も「組織横断での議論を通して、メンバー間の意思疎通が深まりベクトルを合わせられたのも良かった。FIerの支援もあり、大変前向きに改善策を検討できたので、もっと早くこうした活動に取り組めば良かったと感じました」とにこやかに語る。

改善に向けた具体的な活動も進みつつある。たとえば、1. については、紙でやりとりされていた情報を電子データ化するためのフォーマット策定や情報伝達手段の標準化作業に着手。また、3. に関しても、一連の作業の起点となるJAとの価格調整作業を前日に前倒しすることで、時間外に作業を行わなくても済むよう改善を進めている。

「現在は、システムでなくてもできるところに手を付けている段階です。業務プロセスが整理できた暁には、ICTを活用しさらなる効率化を追求したい」と中澤氏は語る。現状は、北信事業所における帳票出力など一部業務のシステム化に留まっているが、複数部門でデータ共有ができるようになれば、二重入力が解消され業務効率もアップできる。「できるだけ早期に新システムを稼働させたい」と小林氏は語った。

電子データ化推進とプロセス見直しにより業務効率化
図2値決め作業の起点となるJAとの価格調整を半日前倒しにすることで、
シミュレーションを定時までに行えるようになった。

今後の展望

活動成果を横展開し、他組織を巻き込んだ改革も視野に

価格調整の前倒しは、関係各所の協力により半日程度作業を早められる見通しがついた。さらに、一連の施策が全て実を結ぶと、作業全体の20%の時間削減ができる見込みである。今後は他の取り組みも鋭意推進し、20%削減の目標を達成したい」と小林氏は力強く語る。

契約的取引の割合が約75%に達するきのこ販売事業は、JA長野県グループの中でも販売事業改革のトップランナーとも言える。その事業で抜本的な改革の目処が立てば、同様の取り組みは、果実や野菜といった他の品目の販売業務改革にも大きな効果をもたらすことが期待できる。

小林氏は今後に向けた展望を「将来的には、組織内部だけでなくJAや市場など他の組織も巻き込んでいきたい。そこでは、また新たな課題に直面することもあるでしょうから、FIerの支援を再び活用することも検討したいです」と述べた。

FIer

現場の皆さんは、JA全農長野として価値提供する相手、つまり生産者側の代表である各JAや、消費者側の代表である市場等からの日々の要求に応えることに腐心し、自分たちの業務プロセスをじっくり見直す余裕がない状況と見受けられました。
ただ、現場の皆さん自身「もっと効率を上げなければ」という思いは強く、その思いを原動力に今回の活動にも積極的に参画いただいた結果、実効性のある施策につなげることができました。
抜本的な効率化に向けてはまだ道半ば。今後も是非活動を継続いただき、改革の果実を収穫していただきたいと思います。

左から、堀内 伸保、石田 眞、中村 徹

全国農業協同組合連合会長野県本部 様

本所 長野県長野市大字南長野北石堂町1177-3
設立 1950年(長野県経済連発足)
資本金 69億9,260万円
ホームページ https://www.nn.zennoh.or.jp/

全国農業協同組合連合会長野県本部 様

[2019年9月掲載]

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