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事例紹介 南薩土地改良区 様

南薩土地改良区 様

地域農業を支える畑地かんがい施設の
点検業務を改革
技術伝承の仕組みを確立し
ICTで点検精度向上も実現

南薩土地改良区様では、地域農業を支える畑地かんがい施設の点検業務の改革とその技術の伝承にフィールド・イノベーションを活用。経験と勘から、データに基づいて点検計画をたてることで、点検精度が向上しました。

課題と効果

  • 新人の即戦力化とベテランのノウハウ継承の仕組みづくり
    ノウハウ蓄積を兼ねた報告書様式の改良と現場勉強会により、技術伝承を実現
  • 施設・設備を維持運用するための精度の高い点検計画を作成
    業務時間のシミュレーションと位置情報の組み合わせで、計画精度が大幅に向上

背景

施設維持管理の技術伝承が大きな課題に

豊かな自然環境と多くの観光資源に恵まれた鹿児島県指宿市・南九州市・枕崎市。この地において、国や県から委託・譲渡された数多くの畑地かんがい施設の維持管理を行っているのが南薩土地改良区である。1970年より池田湖を水源として利用する事業に着手。現在では全国でも有数の高い生産性を実現している。

その一方で様々な課題もあった。中央管理所長の寺田 功次氏は「近年では施設の老朽化に伴う更新事業の設計などに時間を取られることが多く、なかなか本業の維持管理業務に手が廻り切らない状況でした。また、こうした中で、新人職員をいかに育成するかという点についても悩みを抱えていました」と振り返る。

  • 南薩土地改良区 中央管理所長 寺田 功次 氏

    南薩土地改良区 中央管理所長
    寺田 功次 氏

  • 南薩土地改良区 中央管理所 管理1係長 竹之内 智博 氏

    南薩土地改良区 中央管理所 管理1係長
    竹之内 智博 氏

  • 南薩土地改良区 吉田 亮 氏

    南薩土地改良区
    吉田 亮 氏

経緯

職場風土の変革をフィールド・イノベーションに期待

この課題を解決するきっかけとなったのが、富士通のフィールド・イノベーションである。寺田氏は活動の狙いを「全職員が共通の進むべき目標を持って業務改革に取り組むことで、点検技術の全体的な向上も図れますし、新人への技術伝承もスムーズに行えます。また、活動を通して、誰もが気軽に意見を出し合えるような職場風土が確立できればと期待しました」と語る。

プロジェクトを担当したフィールド・イノベータ(以下、FIer)は、早速インタビューや業務量調査による事実確認を実施。そのデータを基に活動メンバーによる集中検討会を開催し、施策立案に向けた議論を重ねていった。中央管理所 管理1係長の竹之内 智博氏は、「最初は自分たちで施策を作ることに不安もありましたが、FIerのサポートで活発な議論を交わせました。おかげで、これまであまり話し合う機会のなかった業務に対するそれぞれの考え方なども知ることができました」と語る。

ポイント

「見て覚える」文化からの脱却

ここで導き出された活動テーマは、「教育手法の確立」と「点検計画作成のための情報収集と立案」の2点。まず1つ目のテーマについては、「現場勉強会の実施」「現場勉強会の教育資料作成」「施設点検表の作成と運用」「改良修繕作業報告書の改訂」の4つの施策を実施した。

「以前は『見て覚える』文化でしたので、教育用の資料などもありませんでした。そこで、機器の操作方法やそれが必要な理由をまとめた教材を新たに作成。これを現場勉強会で利用し、一人でも操作できるように指導しています」と竹之内氏は説明する。さらにベテランにとっても新たな気づきを得る機会となった。同様に、従来は各職員の頭の中にあった施設点検項目や点検方法を、今回の取り組みを契機に施設点検表として明文化。これにより、誰が実施しても均質な作業を行うことが可能になり、最後の改良修繕作業報告書は従来のフォーマットを改定し記載項目や写真などを追加。単に報告書としてだけではなく、「なぜその作業を行ったのか」「どういう工法で作業したか」を学べる教育用資料としても使えるようにした。




点検計画作成に身近なICTツールを活用

2つ目のテーマでは、新人でも施設・設備の点検計画作成が行えるようにするための施策を実施。竹之内氏は「以前は点検業務の作業量を具体的に把握できていなかったため、職員の経験と勘に基づいて点検に廻るエリアを決めていました。しかし、FIerが行った業務量調査のデータを利用することで、施設ごとの作業時間や移動時間の基準値を設定することが可能に。これらを組み合わせることで、実行可能な施設の点検計画を作成できるようになりました」と語る。

ここで注目されるのが、身近なICTツールをうまく活用した点だ。事業開始から約40年もの年月が経過しているため、例えば農業用水の配管のために各種弁が設置された弁室など、施設の中には藪や山林に埋もれてしまっているものも多い。「弁室は地中に埋設されており、周囲の景色も昔とは変わっているため、探すのに1時間以上掛かったこともあります」と寺田氏は苦笑する。そこでFIerの提案を基にスマートフォンのカメラとGPS機能を活用。現場の施設を撮影した画像から位置情報を取得すると同時に、これをウェブの地図アプリケーション上にマッピングして施設の場所を簡単に確認できるようにした。「スマートフォンも地図アプリケーションも当たり前のツールですが、それを組み合わせて業務に活用するという発想はありませんでした。今では誰でも迷わず目的の施設に辿り着けますので、非常に助かっています」と竹之内氏は語る。

  • ウェブの地図アプリケーションで位置情報を活用 - 点検時にスマートフォンのカメラで位置情報も取得し、地図アプリケーション上にマッピング。効率的に点検できるようになった。

加えて、移動時間の短縮も実現した。1日に複数の施設を廻る場合、食事をとる場所がないことから、以前は一度中央管理所に戻らざるを得なかった。しかし、業務量調査の結果、枕崎市の近くに休憩所を一か所設けることで移動時間を短縮できることが判明。「中央管理所から片道1時間近く掛かるような施設も多いので、効果は絶大です。作業効率も大幅に向上しており、以前は約1週間掛かっていた農業用ため池の清掃を、2日で終わらせることもできました」と寺田氏は満足げに語る。

  • 時間経過に伴って設備の発見が困難に - 30~40年前に設置された設備は、周辺の状況や景色が大きく変わっており、弁室の捜索に1時間以上掛かることもあった。

効果と展望

新人の即戦力化と職場風土の改善に成功

これらの施策を通して、新人を取り巻く職場環境も大きく変わった。新人の吉田 亮氏は「最初は先輩に何を聞けば良いのかも分からず、手探りで資料を探しながら自分で仕事を覚えようとしていました。しかし、集中検討会や現場勉強会に参加したことで、業務に対する知識や理解も深まり、先輩方にも気軽に相談できるようになりました」とにこやかに語る。

2つ目のテーマである施設点検計画は、FIerによる業務量調査で点検時間や移動時間が可視化された結果、現在は吉田氏を中心に計画作成が進められるようになった。吉田氏は「こうした業務に取り組むことで、達成感も生まれますし仕事への意欲も湧いてきます。今後は言われたことだけではなく、自分から積極的に業務に関わっていきたい」と抱負を語る。新たに立案された計画では、地域の農業を支える重要な施設を3年サイクルで点検できる見込みだ。また、吉田氏が戦力として加わることで、故障などへの対応力も向上し地域からの信頼も高まることが期待される。

「今回の活動で、人材育成のための土台が整い、職場内の雰囲気や風通しも格段に良くなりました。この成果をさらに高めるべく、今後も改革・改善に取り組んでいきたい」と寺田氏は展望を述べた。

南薩土地改良区 様
所在地 鹿児島県南九州市頴娃町郡1396
設立 1973年5月2日
受益面積 5840.77ha(2015年3月末現在)
概要 土地改良法に基づき南薩地域の畑地かんがい事業を行う団体として設立。取水施設、導水路、揚水施設、調整池、水路などの点検・整備事業を通して、受益地である指宿市・南九州市・枕崎市の3市の農業の発展に貢献している。

[2019年2月掲載]

FIer

今回のプロジェクトを通して

左から、影山 一彦、渡邊 康、川端 康雄

南薩土地改良区 中央管理所様では、自然豊かで広域に渡る畑地かんがい施設の効率的な点検の実現と、その業務を担う新人の短期育成を両立させるという困難な問題に直面されていました。
FIerは現場業務の事実可視化を行い、そのデータを元にベテランから新人まで全員で改善に向け徹底的に議論され、中央管理所様に合った施策を作り上げられました。
また、FIerから身近なICTツール例を紹介すると、点検計画の進捗管理、点検業務の効率化に活用されるなど積極的に取り入れられ、素早く活かしていく行動力を見せていただきました。既に新人の方が点検計画を設計できるレベルを実現されておりますが、さらなる高みを目指し、皆様ご自身で効率化、スキル向上に向けて継続的に行動いただけるものと確信しております。

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