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事例紹介 名古屋大学医学部附属病院 様

名古屋大学医学部附属病院 様

優れた病棟の業務を可視化し、
そのエッセンスを抽出
他病棟に拡大し、病院全体の看護力向上を目指す

名古屋大学医学部附属病院様では、名大式ペア看護の評価にフィールド・イノベーションを活用。フィールド・イノベータが業務を可視化し、リーダー看護師の業務の平準化とペア活動の活性化・標準化を推進。他病棟へも広げることで病院全体の看護力向上を目指しています。

課題と効果

  • 柔軟に運用してきたペア看護体制の評価が困難
    ペア看護の成果が最も出ていた病棟を、客観的に評価
  • リーダーが各看護師の日々の業務の進捗を把握しづらかった
    リーダーが各看護師の動きを把握し、先を読んだサポートを実現
  • 看護師ごとに業務の手順やペア看護の進め方が異なっていた
    ペア看護業務の手順書を改善し、よりよい看護が可能に

背景

ペア看護体制をいかに評価するか

名古屋大学医学部附属病院は、特に「がん医療」、「小児医療」、「移植医療」に注力し、東海地方や中部地方のみならず、全国レベルでも中核的な役割を担う総合病院である。そのため現場は、常に多忙を極める。看護部長 市村 尚子氏は、「当院の看護師は本当に忙しい。通常の看護業務に加え、先進医療に取り組むため日々勉強もしなければなりません。いつも忙しいのに頑張っている現場の看護師には感心し、感謝しています」と語る。

同院は国立大学医学部で初めて医療安全講座を開設し、安全に注力している。1,000人以上いる看護師のうち卒後3年以下の若い人が多いという現状もあり、若い看護師が安全な看護を安心して行うため、同病院が参考にしたのが、福井大学医学部附属病院が推進するPNS(パートナーシップ・ナーシング・システム)である。

一般的に病棟看護は、複数の患者を看護師が1人で担当する。しかし若い看護師の場合、処置を確認してもらうために都度先輩を探す必要があり、先輩が見つからないと対処方法を一人で抱え込むことになりがちだ。また、経験が浅いと重篤な患者を担当できず、経験を積みにくいという課題もあった。PNSではペアで看護を行うため、確認作業が容易で、若い看護師と先輩看護師とがペアを組むことで経験も積みやすい。「ただ、福井大学医学部附属病院と当院では状況が異なるところも多いので、仕組みをそのまま導入するのではなく、当院の実情に合わせたより柔軟な『名大式のペア看護』を目指しました」(市村氏)。

ペア看護は2011年から順次導入し、病棟や手術室、放射線科など導入可能な部署にはすべて展開。一定の成果をあげたものの、課題もあった。「チームワークがよくなり活性化する部署がある一方、そうならない部署もある。部署によって働き方が異なることもあり、ペア看護体制の評価が難しく、どうすればいいか悩んでいました」(市村氏)。

  • 名古屋大学医学部附属病院 看護部長   市村 尚子氏

    名古屋大学医学部附属病院 看護部長
    市村 尚子氏

  • 名古屋大学医学部附属病院 7W病棟 看護師長   横山 しのぶ 氏

    名古屋大学医学部附属病院 7W病棟 看護師長
    横山 しのぶ 氏

  • 名古屋大学医学部附属病院 7W病棟 看護師   淺野 香 氏

    名古屋大学医学部附属病院 7W病棟 看護師
    淺野 香 氏

経緯

成功のエッセンスを抽出するための可視化

そのような時、富士通のフィールド・イノベーションを知る。「第三者が現場に入って看護師の行動を可視化してもらえると聞き、客観的な評価が得られるのではないかと思いました」(市村氏)。

同院がターゲットとしたのは、極めて多忙ながらコミュニケーションが活発で、最もペア活動の成果がみえていた7W病棟(消化器外科)である。成功のエッセンスを抽出してペア看護の「ありたい姿」を明確にすることで、他部署へのヒントとするためだ。

まず、業務実態を客観的な数値で把握するためフィールド・イノベータ(以下、FIer)が可視化作業を開始。看護師へのインタビューの後、リーダー4名とペア看護を行っているメンバー6名の行動を始業時から終業時まで1分ごとに現場観察。7W病棟 看護師長 横山 しのぶ氏は、「以前自分たちで5分単位の業務量調査をしたことがありましたが、自分で行うとどうしてもズレが生じます。今回は、より客観的に細かく記録してもらえたことで、正確なデータになりました」と語る。

  • ペア看護体制の改善成果を客観的に評価 - 活動前後の現場観察では、日勤リーダーとメンバーのコミュニケーションの割合が約2倍に増えていることが確認された。

可視化の結果、ペア活動の導入により超過勤務が大きく減るなど成果も出ていた7W病棟でも、リーダーのマネジメントやペア活動の業務が人によって異なるといった課題が見えてきた。「ペアによって動きに違いがあることは想定できていましたが、それが明確な数値として見えたことが大きな成果でした」(横山氏)。

その結果を踏まえ、7W病棟の看護師全員に「気づきカード」を提出してもらい、これらの素材を基にワークショップを実施。FIerのサポートを得ながら、ペア看護の「ありたい姿」やそれを実現するために何をすべきかを明確にし、5つの課題と8つの施策に絞り込み目標施策体系図を作成していった。

  • ペア業務マニュアルの改善 - ペア間の役割が明確になり、リーダーへの報告タイミングや報告内容なども明文化され、分かりやすくなった。

ポイント

リーダー業務の平準化とペア活動の活性化・標準化

今回、特に重きを置いたのが、リーダー業務の平準化とペア活動の活性化・標準化である。

前者については、リーダー全員から意見を聞き、リーダー業務を整理。マニュアルを大幅に加筆し、これまで暗黙知となっていたノウハウを明文化することで、新任リーダーにもわかりやすいマニュアルに改善した。さらに、メンバーの残務内容を把握するための「タイムアウト表」については、これまでは残務のみ申告してもらっていたが、それに加えて終業予定時間や休憩時間も記載するシートに変更。7W病棟 看護師でプロジェクトチームリーダーの1人である淺野 香氏は、「バラバラだった情報が一覧できるようになったことで、看護師のマネジメントがしやすくなりました。また、以前は記入時間を決めていなかったので、夕方にならないと状況が把握できず、看護師の残業につながっていました。今は昼前には全員の残務がわかるようになり、早い時点で手を打つことが可能になりました。これにより残業の削減につながっています」と語る。

後者については、ペア活動の中でもペアですべき業務と1人でも可能な業務を明確に分け、手順書を大幅に加筆修正。ペア間の役割が整理され、誰が何を行い、どのタイミングで報告するかまでを明確にした。フィールド・イノベーションに取り組んでいる間、看護師らが出入りする師長室の壁に皆が書いた気づきカードやワークショップの成果資料などを貼りだし、全員が取り組むべき活動として意識付けた。

効果と展望

名大式ペア看護の取り組みを横展開

7W病棟でフィールド・イノベーション活動に取り組んだ結果、日勤リーダーと看護師のコミュニケーションがさらに向上。新たに作成したペア業務手順書の遵守率が82%、タイムアウト表の遵守率が95%と、施策の定着が確実に進んだ。

今回の活動について淺野氏は、「7W病棟はチームワークもよく、最初はこれ以上何をすればよくなるだろうと思っていました。しかし、実際に取り組んでみると多くの改善点が見つかり、良い循環が生まれました。皆の働き方への意識も変わったと思います」と語る。

最後に市村氏は、「経験したことがない手法を使って事実を可視化してもらったことでペア活動を評価でき、これを続けるべきという意思決定ができました。今後は、他の師長に7W病棟に院内留学してもらうなど、この取り組みを目に見える形にして院内で知ってもらい、他部門に広げていきたいと思っています」と締めくくった。
※「PNS」は福井大学医学部附属病院の商標です。

名古屋大学医学部附属病院 様
所在地 愛知県名古屋市昭和区鶴舞町65
設立 1871年5月
ホームページ https://www.med.nagoya-u.ac.jp/hospital/ Open a new window

[2019年1月掲載]

FIer

今回のプロジェクトを通して

左から、山口 愼哉、森 淳一

名古屋大学医学部附属病院看護部は、「愛(やさ)しく、温かく、安全な看護の実践を目指す」の理念を掲げ、看護に取り組んでおられます。病棟に入った我々は、一緒に活動を進めていく中で、いかに現場目線が重要かを再認識しました。
これまでは、FIは「業務改善という仕事」という意識が働き、効率的に活動を進めることに拘る余り、ややもすると、物事を機械的に進めようとしてしまっていたのではないかと思います。
しかし、現場の看護師さん達の患者様へ寄り添った献身的な看護を目の当たりにし、現場の看護師さん達の気持ちを理解し、現場に寄り添うFIでなければならないと、改めて思いました。

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