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事例紹介 株式会社東急百貨店 様

販売 営業・サービス

お客様サービスの向上を目指して店舗運営改革を推進

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東急グループのリテール事業の中核を担う東急百貨店様では、訪日旅行客へのサービス向上と新たな店舗運営モデルの確立を目指して富士通のフィールド・イノベーションを導入。フィールド・イノベータ(以下、FIer)と共にモバイルPOSの導入や店舗業務の標準化・効率化に取り組み多くの成果につなげています。

【 課題と効果 】
  • オリンピックを見据え、訪日旅行客への対応を早急に強化したい
  • 全体業務の中で非効率なところを洗い出し、改善。お客様サービスと収益の向上につなげる

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  • モバイルPOSを適正に配置し、お客様に不安を抱かせないクレジットカードの面前決済を実現
  • モデル店舗の業務を可視化することで、店舗運営モデルの確立に向けた10の施策を立案

お客様サービスの向上を目指して

「業務の実態を定性/定量の両面から把握したい」

営業政策室 店舗運営部 部長 中野和夫氏の写真

営業政策室
店舗運営部 部長
中野 和夫氏

旗艦店である渋谷本店を中心に、個性豊かな12の百貨店や商業施設を展開する東急百貨店様。営業政策室 店舗運営部 部長 中野和夫氏は「現在、2015-2017年度を事業年度とする新・中期計画を展開中です。そこでは『既存百貨店事業の構造改革』『新たな成長エンジンの創出』の2点を柱に、様々な活動を進めています」と語ります。
前者の取り組みにおいては、店舗業務の標準化・効率化をより加速させることで、お客様サービスのさらなる向上を、後者においては、近年活況を呈している訪日旅行客(インバウンド)の消費を取り込むためのサービス強化を目指しています。

しかし、こうした取り組みを進めていく中では、課題となる点もありました。経営統括室 情報システム部 企画担当部長 久保浩次氏は「成果がでる業務改善をするには、業務の現状を定性/定量の両面でしっかりと把握しておかなくてはなりません」と話します。
そこで同社は、富士通のフィールド・イノベーションを活用することにしました。百貨店業界ではない第三者ならではの客観的な視点を活かすことで、改善活動の効果をより高めていくことを狙ったのです。

経営統括室 情報システム部 企画担当部長 久保浩次氏の写真

経営統括室 情報システム部
企画担当部長
久保 浩次氏

東急百貨店のお客様サービス向上のための2つの柱
2本柱である「既存百貨店事業の構造改革」「新たな成長エンジンの創出」の両面で、様々な施策を展開した。

面前決済を強化

「海外のお客様にもっと安心を!」

先にも触れた通り、同社では訪日旅行客へのサービス強化を重要な取り組みと位置付けています。そこで、2本柱のうち、新たな成長エンジンの創出の施策として「面前決済を念頭に置いたPOS/モバイルPOSの適正配置」を行いました。
久保氏は「クレジットカード決済では、お客様のカードを販売員がお預かりして離れたレジで決済を行うことがあります。しかし海外のお客様は、カードを預けることに抵抗があるため、面前決済と呼ばれるお客様の目の前で決済できる環境を整備する必要がありました」と説明します。
有効な手段の一つが、狭い売り場でも設置できる小型の「モバイルPOS」の増設です。しかし増設にはコストがかかるため、無闇に台数を増やすわけにはいきません。海外のお客様の不安を解消しつつ、投資規模としても最適であることが求められたのです。
FIerは、まずコアメンバーによる集中討議を開催。そこでの議論を経て、「面前決済」を「クレジットカードでの決済を、お客様に不安を与えずに、手元が見える環境で、スムーズに処理を行うこと」と定義しました。次に渋谷本店をはじめとする7店舗を対象に現地調査を実施。非面前の売場がどこに、どのくらいあるのかを洗い出していきました。現地調査ではウェアラブルカメラを利用した動画撮影も行い、お客様の目線ではどのように売場が見えているのかも明らかにしています。その結果、モバイルPOSを配置すべき場所が具体的に見えてきました。

ウェアラブルカメラによる顧客目線調査
面前決済の実施にあたっては、ウェアラブルカメラを利用した顧客目線調査なども実施し、モバイルPOSの配置が必要な売場を丹念に洗い出していった。

経営統括室 情報システム部 活用支援担当 統括マネジャー 中川昌宏氏の写真

経営統括室 情報システム部
活用支援担当 統括マネジャー
中川 昌宏氏

こうしたFIerの手法は、活動に参加したメンバーにも新鮮な驚きをもたらしました。経営統括室 情報システム部 活用支援担当 統括マネジャー 中川昌宏氏は「特に参考になったのが、集中討議の進め方です。参加者全員で自由に意見を出し合い、それを整理・分類していくことで、課題や解決に向けた道筋が明らかになっていきます。また、他の人の意見を聞くことで、新たな気付きも得られます。なるほどこうやって議論を進めていけば良いのかと、非常に感心させられましたね」と語ります。

適正なPOS配置を実現

「最適な設置場所・台数を探り出せ」

このように売場の可視化を進める一方で、もう一つFIerが行ったのがPOSデータの分析です。久保氏はその狙いを「各売場にはそれぞれ繁閑がありますので、全店舗に同じ台数のモバイルPOSが必要なわけではありません。たとえば、お客様の多い食品売場などでは店舗専用POSが必要でも、比較的高額な商品を取り扱うブティックなどでは3店舗に1台でも十分かもしれない。適正な設置台数を導き出すためには、やはり各売場の決済状況を、きちんとデータで捉えておく必要があります」と説明します。
そこでFIerは、POSデータから各売場の購買件数に占めるクレジット決済の比率を割り出し、面前決済の効果を算出。また、実際にモバイルPOSが設置された場合の想定利用件数もシミュレーションし、店舗専用POSを設置すべきなのか、それとも複数店舗での共用利用でカバーすべきかの判断材料としました。
「もちろん我々も、この売場にはこれくらいの台数が必要だろうという定性的な感覚は掴めます。しかし、それだけでは、投資に踏み切れません。FIerのフロア図へのマッピングやグラフなどを使った多角的な分析のおかげで、定量的なデータに基づく議論ができ、投資の判断材料になりました」と久保氏は語ります。

想定使用件数をシミュレーションし、モバイルPOSの配置を決定
POSデータを分析し、実際にモバイルPOSが設置された場合の使用想定件数をシミュレーション。これを基に各売場への適正な設置台数を導き出した。

同社では、こうしてFIerから提供された情報を基に、モバイルPOSの具体的な配置計画の策定に着手。最終的に、特に対策が必要と判断された本店、たまプラーザ店、さっぽろ店など7店舗に対し、既存モバイルPOSの入替も含め360台の設置を行うことを決定しました。
「これほど大規模に設備を拡充できたのは、FIerの支援があったからこそ。経営層に対して必要性を訴える納得感のあるデータを示せましたので、我々も自信を持って説明することができました」と中川氏は力強く語ります。訪日旅行客が安心してお買い物が楽しめる環境を整えることで、本来の目的である新たな成長エンジンの創出にも大きく寄与すると期待されています。

新店舗運営モデルの確立に挑む

「何に力を入れるべきか」が明確に

POSの適正配置は設備を対象とした改善活動でしたが、お客様サービスの向上に向けては、「人」の力を最大限に引き出す取り組みも欠かせません。そこで、2本柱のうち、既存百貨店事業の構造改革のため実施された施策が、「新たな店舗運営モデルの仕組み構築」です。ここでは、売場を指揮するセールスマネジャー(以下SM)のより効率的な動き方を追求することになりました。
中野氏はその背景を「元々当社では、各店舗それぞれの強みを活かすことを重視しています。とはいえ、あまりに個店主義が進みすぎてしまうと、非効率です。そこで現在重視しているのが、『CPCC』(注1)という考え方です。これは店舗業務の標準化・効率化や優れたノウハウの横展開を本部側で支援し、全体として最適でありつつ、なおかつ各店舗の強みも発揮できる環境を目指すもの。これを下支えするための業務調査なども毎年行ってきましたが、そのデータをうまく整理・活用し切れていませんでした」と振り返ります。
SMや販売員の動きを可視化し、適正な人員や配置、生産性を科学的に解明することで、店舗業務の標準化・効率化をもう一歩先に進めたい――。こうした同社の思いに応えるべく、FIerは事実可視化に着手。SMへのインタビューを行うと同時に、既に蓄積されていた業務調査の情報も再分析・整理して「お客様視点」「社内視点」「時間をかけるべき業務」「時間をかけたくない業務」の4象限マトリックスにまとめました。
「社内では当たり前と見過ごされてしまうようなことでも、FIerはゼロベースで疑問を投げ掛けてくれるのが大変参考になりました。それによって気付かされることも多かったですし、4象限マトリックスに整理することでやるべきことも明確になっていきました」と中野氏は語ります。

4象限マトリックスで目指すべき方向・各役割を整理
従来はテキストベースでまとめられていた資料を、4象限マトリックスで整理。
(注1)CPCC:セントラルプランニング・セントラルコントロール

標準化・効率化の足がかりを掴む

「なぜ問題が起きるのか」を徹底的に追求

営業政策室 店舗運営部 上席マネジャー 岸田薫氏の写真

営業政策室 店舗運営部
上席マネジャー
岸田 薫氏

さらにFIerは、SMの行動を可視化。RFIDタグとセンサーを利用して、SMがいつ、どこで、何をしているのかをデータ化しました。営業政策室 店舗運営部 上席マネジャー 岸田薫氏は「丸一日分の動きをすべて可視化してみると、あるSMは最も販売指揮が取りやすい場所に長く滞在して的確な指示を出していることがわかりました。こうした好事例を全員で共有することで、小売業最大のテーマであるお客様接点の品質向上に役立てています」と語ります。

また、同社では他の可視化結果も加えて、新たな店舗運営モデルの確立に向けた10の施策を立案。この内、「業務センターへの作業移管によるSMの負担軽減」など、半分は実施済みで、残りの半分についても鋭意改善に向けて取り組んでいます。

可視化結果から店舗にて10の施策を立案
洗い出された課題から施策を立案。これを基に店舗業務の標準化・効率化と新たな店舗モデルの確立に向けた取り組みを展開した。

その中でも特にメンバーに強い印象を残したのが、「ストックスペース改善」です。これは、どの店舗においても長年にわたる課題で、改善を図ってきました。従来は「置き場所をどう確保するか」を前提にしていましたが、今回は視点を変えて、「そもそもなぜストックスペースの不足が発生するのか」をテーマに集中討議を行いました。
「こうして問題の根本原因を徹底的に深掘りしたところ、『商品計画が不足している』『ストックスペース全体をコントロールする部署が不明確』『ストックスペースに対する意識が薄れがち』など、今まで気付かなかったポイントが浮かび上がってきたのです。そこで現在、商品計画の精度向上やストックスペース削減キャンペーンなどを実施し、抜本的な解消に努めています」と岸田氏は語ります。
中野氏は「FIerと共にモデル店舗で行った取り組みを、現在我々の手で他の店舗にも拡げているところです。その成果も徐々に出始めており、東急百貨店全体の店舗業務の標準化・効率化にも大きく寄与できることと確信しています」と手応えを語ります。

集中討議で課題を掘下げ背後にある原因を追究
「そもそもなぜストックスペース課題が生じるのか」を徹底的に深掘りすることで、課題の本質に迫れるようになった。

継続的な改善活動を推進

たゆまぬ改善で「より魅力あるサービスを」

今回の活動は、参加したメンバーの意識変革を促す大きなきっかけともなりました。「我々IT部門は、現場と連携しながら改善を進めていくことの大切さを改めて実感しましたね。売場で起きていることを定量的に可視化し、その結果をまた現場にフィードバックすることで、点と点だった店舗と事務所が結びつきました。」と中川氏。岸田氏も「FIerが行った分析や改善の手法なども、大いに参考になりました。問題をわかりやすく整理し、役割分担と期限を明確にすることで、改善に向けたPDCAを効果的に廻していけるようになります。我々としても、ぜひこの経験を今後につなげていきたい」と続けます。
さらに、今後を見据えた新たな活動も既に動き始めています。「たとえば、海外のお客様には、常に最新のレートを見やすく表示する必要があります。そこで、決済をするPOS系のネットワークと、お客様への情報提供のためのネットワークを統合し、スムーズな面前決済ができるようにしました。今後はこの新たなインフラをフル活用し、お客様により魅力あるサービスをお届けしていきたい」と久保氏は語ります。
また中野氏も「経営トップは、すぐには変わらなくても活動を継続することが重要と言っており、今後も継続して改善に取り組みたい」と抱負を述べました。

お客様概要プロフィール

株式会社東急百貨店 様

本 店:東京都渋谷区道玄坂2-24-1
設 立:1919年3月7日
資本金:1億円
URL:http://www.tokyu-dept.co.jp/Open a new window
東急グループのリテール事業を支える中核企業として、渋谷地区/首都圏エリアを中心に百貨店事業を展開。新規ビジネスの開発にも意欲的に取り組んでおり、2016年3月には新業態のセレクトストア「HINKA RINKA」を東急プラザ銀座内にオープンした。

FIer

今回のプロジェクトを通して

写真左から、石川 準、栗田 尚樹、堀田 悦伸、加藤 博明東急百貨店様では、お買い物をされるお客様を第一に考え、売場の設計、サービスの向上をどのように実現するかを悩まれていると感じました。
POSの導入にあたっては、効果的な投資も念頭に置き、お客様と一体となって意見交換して台数を決定していくことが出来ました。店舗運営の改善では、モデル店舗で実績をあげ、しっかりと横展開していくという強い思いを示し活動されていました。
現場可視化をはじめとするFIの様々な手法を使いながらお手伝いできたことをうれしく思っています。
FI活動の最終報告で、「これが始まりであり、しっかりと活動を継続いく」とのオーナーの宣言どおり、今も積極的に活動を継続されていることをお聞きし、活動への真剣さを改めて実感しました。

【導入事例(PDF版)】

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[2016年8月 公開]

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