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事例紹介 日本赤十字社医療センター 様

日本赤十字社医療センター 様 医療・教育 営業・サービス

高度急性期医療を支える病棟看護業務を改革 業務を効率化し、より患者様のケアを充実させる

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高品質な医療サービスを提供する上では、看護師が患者様へのケアに注力できる環境作りが欠かせません。こうした中、日本赤十字社医療センター様では、病棟看護業務の改革を目指してフィールド・イノベーション(FI)を導入しました。フィールド・イノベータ(以下、FIer:エフアイヤー)と共に業務の見直しに取り組み、報告・記録業務や薬剤業務の軽減を図ることで、同病院が基本理念として掲げる患者様本位の医療の実現に役立てています。

【 課題と効果 】
1 報告・記録業務が全業務時間の1/3以上を占めていた

→

申し送りの回数・時間を適正化し患者様のケアに注力
2 時間外に行われている薬剤業務が残業の要因になっていた

→

薬剤業務の業務分担を見直し残業を160時間削減
3 入院患者様のモニタリング業務に最適化の余地があった

→

医師と協働で内容を精査し対象者を従来の半分に削減

看護業務の改善を目指す

すべての患者様により手厚いケアを提供するために

日本赤十字社医療センター 看護部長 古川 祐子氏の写真

日本赤十字社医療センター
看護部長
古川 祐子氏

「赤十字精神『人道・博愛』の実践」の基本理念に基づき、約130年にわたり高品質な医療サービスを提供し続けている日本赤十字医療センター。がん・周産期医療・救命救急・災害医療の4分野を中心に、高度先進医療機関としての重要な役割を果たしています。
また、同センターでは、看護人材の育成に取り組んでいます。日本赤十字社医療センター 看護部長 古川祐子氏は「当院では病院開設4年後の1890年より、救護看護婦生徒の養成事業を開始。125年を超える看護教育の歴史は現在も連綿と息づいており、日本赤十字看護大学や日本赤十字社助産師学校などの関連機関とも連携しながら、看護人材の育成を推進しています」と説明します。

先に触れた4つの分野においても、高度な技能を有する認定看護師や専門看護師が多く育っており、同センターの「地域の中核病院」としての成長にも大きく貢献しています。しかし、看護の現場には改善すべき様々な課題も存在していました。古川氏は「度重なる医療制度改革に伴い、看護師の担当業務は以前より大幅に増加。最近は患者様が早く退院できるよう短期間に集中して治療を行うため、仕事に追われがちでした」と振り返ります。
そこで今回、業務の非効率さを解消し、患者により手厚いケアを提供するため、富士通のフィールド・イノベーションを活用した業務の改善・改革に踏み切ったのです。

第三者の視点を改革に活かす

FI可視化体系図を利用して課題と目標を整理

日本赤十字社医療センター 看護副部長 井本 寛子氏の写真
日本赤十字社医療センター
看護副部長
井本 寛子氏

同センターでは、これまで様々な形で業務改善を進めてきました。しかし、なかなか思うような成果を上げられないケースもあったといいます。日本赤十字社医療センター 看護副部長 井本寛子氏は「その理由として考えられるのが、内部のスタッフだけで活動を行っていたという点です。内側からの視点だけでは本質的な課題が見えにくく、具体的な改善ノウハウも限られています。とはいえ、看護師が本来の業務に専念し、看護の質を向上させることは非常に重要なテーマですので、何かいい方法はないかとずっと模索し続けていました」と語ります。

こうした状況を変えるきっかけとなったのが、フィールド・イノベーションでした。ある会合で、フィールド・イノベーションを導入した浜松赤十字病院の事例が発表されたのです。

「これを聞いた時には本当に衝撃を受けましたね。医療分野ではない他業種の企業と共に業務改革を行うというのは、まさに私たちの望んでいたところでもあります。発表内容でも『外部の第三者の視点が入ることが改革に大きく役立った』と述べられていましたので、ぜひ当センターでも導入してみたいと考えました」と井本氏は振り返ります。

同センターにおけるフィールド・イノベーション活動はまず、井本氏らが抱いていた課題をFIerとともに整理することから始まりました。

「実際の取り組みに先立ち、FIerとのセッションを実施。看護師の状況や悩みが本当に理解できるのか、最初はあえて挑戦的な質問もぶつけてみました。しかし、FIerは医療や看護の実情をよく知っている上に、私たちの思いもうまく引き出してくれる。この時に『FI可視化体系図』で現状を整理したことで、それまで抱えていたモヤモヤ感がスッキリと解消できました。この人たちとなら、改革を進めていけるだろうとの手応えがありましたね」と井本氏は語ります。

また、古川氏も「内部だけの取り組みでは、業務を熟知しているが故に混沌としがちなところがあります。しかし、FIerのリードで課題を整理していく内に、自然と結論が見えてくるんですね。しかも、こうした作業が、会議の時間内にきっちりと収まってしまう。その進捗管理の巧みさにも感心しました」と語ります。

目標と課題・問題を体系化して短期に納得感のある意識共有へ:活動に先立ち実施されたセッションでは、FI可視体化系図を利用して現状の課題や目指すべき目標を整理。改善・改革に向けた意識共有を図った。

目標と課題・問題を体系化して短期に納得感のある意識共有へ:活動に先立ち実施されたセッションでは、FI可視体化系図を利用して現状の課題や目指すべき目標を整理。改善・改革に向けた意識共有を図った。

多忙な外科病棟の改善に着手

業務量調査で看護現場の課題を洗い出す

将来的には全病棟の業務改革を視野に入れ、今回のプロジェクトを開始。その第一弾が外科病棟です。この病棟は他病棟と比較して投薬オーダー数や看護師の残業時間が多く、業務改革の効果が大きいと予想したからです。また、活動を強力に推進するために、短期間での改善、周知が可能な「最強のメンバー」を各部門から集めました。

プロジェクト実行体制:プロジェクトのメンバーには、高い改革意欲とスキルを備えた精鋭スタッフを各部門から招集。「最強のメンバー」による布陣で改革に臨んだ。

プロジェクト実行体制:プロジェクトのメンバーには、高い改革意欲とスキルを備えた精鋭スタッフを各部門から招集。「最強のメンバー」による布陣で改革に臨んだ。

日本赤十字社医療センター 看護師長 山本 ひとみ氏の写真

日本赤十字社医療センター
看護師長
山本 ひとみ氏

プロジェクトを担当したFIerは、まず現在の業務実態を可視化すべく、タイムスタディシート(業務量調査シート)と定点観察による業務量調査を実施。PCの利用状況や職場での気づきなども記録し、どのような業務に、どれくらいの時間が割かれているのかを解き明かしていきました。

日本赤十字社医療センター 看護師長 山本ひとみ氏は「タイムスタディシートの設計にあたっては、現場の看護師が簡単に記入できるよう、様々な調査項目をA3用紙1枚のチェックリストに集約。作業が終わるごとにチェックを入れるだけで済むように工夫しました」と説明します。

自書式タイムスタディシートを作成:業務量調査のために作成されたオリジナルのタイムスタディシート。自分が実施した業務の項目を5分ごとにチェックしていくようになっている。

自書式タイムスタディシートを作成:業務量調査のために作成されたオリジナルのタイムスタディシート。自分が実施した業務の項目を5分ごとにチェックしていくようになっている。

日本赤十字社医療センター 看護師長 後藤 薫氏の写真
日本赤十字社医療センター
看護師長
後藤 薫氏

通常業務への影響をできるだけ抑えるために、ベテラン看護師によるプレテストなども実施。その意見や要望も反映した上で実際の調査に踏み切りました。また、看護部門全体を良くするための調査であることをスタッフに周知すると同時に、FIerからも活動の趣旨説明を行いました。

そして、こうした取り組みは、現場で働く看護師からも歓迎されました。当時、同病棟に所属していた日本赤十字社医療センター 看護師長 後藤薫氏は「それまでは、とにかく業務に追われる毎日でしたから、看護部門全体で私たちの業務改善を考えてくれると聞いて嬉しくなりました。いくら忙しいと訴えても、感覚的な話だけでは具体的な改善にはつながりません。この調査で得られるデータこそが課題解決のカギになるのだと伝えたところ、現場のスタッフたちも喜んで協力してくれました」と語ります。

調査によって見えてきた課題

報告・記録業務の効率化が課題解決のカギに

およそ半月にわたって実施された業務量調査の結果、同病棟が抱えていた課題が明確に浮かび上がってきました。日勤看護師の全業務時間の内、1/3以上の割合を占めていたのは報告・記録業務であり、本来力を注ぐべき患者様への直接ケアの割合を上回っていました。こうした傾向は残業時間中にさらに顕著で、実に6割強が報告・記録業務となっていたのです。

「結果を見た時にはやはりそうだったかという印象でしたね。これが定量的なデータとして改めて証明されたことには、非常に大きな意味がありました」と後藤氏は語ります。

また、その一方で、意外な気づきもあったといいます。山本氏は「実は調査前には、細々とした雑用の割合がもっと多いのではと予想していました。ところが実際に結果を見てみると、業務時間全体に占める割合はそれほどでもない。この点については、むしろ心理的な負担感が大きかったのですね」と語ります。

可視化された事実「報告・記録、投薬が直接ケアを圧迫」:調査によって可視化された事実。業務時間の1/3以上が記録・報告業務で占められており、直接ケアの割合を上回っていることが明らかになった。

可視化された事実「報告・記録、投薬が直接ケアを圧迫」:調査によって可視化された事実。業務時間の1/3以上が記録・報告業務で占められており、直接ケアの割合を上回っていることが明らかになった。

FIerが提供したさまざまな支援も、モチベーション向上に大きく役立ちました。井本氏は「一番印象的だったのが、職場での気づきを記録するシートに、スタッフの笑い声を顔文字でカウントしてくれていたことです。これには全員で大笑いしてしまいましたね。看護の現場は厳しいですから、ともすると疲弊してしまいそうになりがちです。それでも自分たちは笑顔を忘れず業務に取り組めている。そう再認識できたことは、その後の大きな力にもなりました」と語ります。

タイムスタディシートと定点観察と併用した調査を実施:タイムスタディシートによる調査と並行して、FIerによる定点現場観察も実施。PCの利用状況や職場における気づきなどを記録していった。

タイムスタディシートと定点観察と併用した調査を実施:タイムスタディシートによる調査と並行して、FIerによる定点現場観察も実施。PCの利用状況や職場における気づきなどを記録していった。

頻繁だった申し送り業務を改善

時間・回数を見直し、漏れのない情報伝達を実現

外科病棟では、可視化によって得られたデータを元に具体的な改善活動に着手。その一つとして、申し送り業務の改善を行ないました。病院では日勤・中勤・夜勤の3交代制で業務を行っています。このため、シフト交代の際や毎朝の出勤時、昼食時間帯など、1日あたり6回の申し送りが行われていました。しかも、日勤・中勤・夜勤のシフト交代時については特に時間が掛かっており、1回の申し送りに30分以上掛かることもあったといいます。

「重要事項を必ず伝えることは大前提ですが、伝達ミスの心配をするあまり、余分なことまで伝えているのではないかという意識もありました。そこで調査データを参考に、申し送りの内容をもう一度精査したところ、記録に目を通せば分かることまで口頭で伝えていたことが分かったのです」と後藤氏は説明します。

こうした状況を改善するために、患者様の容態に関するデータなどの重要な情報は、引継ぎ時間までに必ず記録しておくようにしました。口頭で伝えるべき情報は口頭で、記録を見れば分かる情報は記録で伝えることで、申し送りの回数や時間を効率化し確実な情報伝達が行えるようにしたのです。そして1日あたりの申し送り回数を6回から3回に削減。この結果、削減できた時間は、そのまま患者様の直接ケアに充てられます。

看護師間の申し送り回数の改善:調査結果を元に看護師間の申し送りを改善。口頭と記録の二重伝達を省くなどして、毎日6回行われていた申し送りを3回に削減した。

看護師間の申し送り回数の改善:調査結果を元に看護師間の申し送りを改善。口頭と記録の二重伝達を省くなどして、毎日6回行われていた申し送りを3回に削減した。

「今回の活動を通して強く感じたのが、改善にはデータが欠かせないということです。客観的なデータがあれば、自分もスタッフも納得して活動に取り組めますし、他部門を説得する際の根拠にもなります」と後藤氏は語ります。

また、もう一つの成果は、情報課専従の看護師がフィールド・イノベーションの手法を会得して、自ら改革に取り組めるようになったことです。山本氏は「いくら管理職やリーダーだけが頑張っても、業務を変えることは難しい。しかし、今回の活動によって、全員参加で取り組めば改善は実現できるのだということを示せました。今後は継続が重要ですので、新しい職員にも活動の意義をしっかり伝えていきたい」と語ります。

他病棟へもフィールド・イノベーション活動を展開

各病棟の業務特性に合わせた改善を推進

このように外科病棟の業務改善を成し遂げた同センターでは、その後、循環器内科病棟や内科関連病棟など、他の病棟にもフィールド・イノベーション活動を展開。これまでの経験を活かし、業務の可視化や改善を推進しています。

「3病棟の業務時間を比較分析してみたところ、循環器内科病棟においては心電図などのモニタリング業務に最適化の余地がある、内科系病棟では時間外に行われている薬剤業務が残業の原因になっているなどの事実が明らかになりました。そこで、これらの点に対して改善に取り組み、その両方で大きな成果を上げました」と井本氏は力強く語ります。

たとえば前者のモニタリング業務では、複数の入院患者様の心電図データの判読作業を長時間掛けて行います。もちろん、治療に必要な場合は必ず行いますが、本当に対象者全員にその必要があるのかを改めて検証しました。その結果、半数は、継続的なモニタリングが不要であることが判明。これにより、業務量も従来の半分に減らすことができました。

「この取り組みで画期的だったのが、治療を担当する医師とも協働で改善に取り組めた点です。病院は専門職の集まりですから、職種を超えた取り組みには難しい面もあります。しかし、現状をデータとして示せたことで、医師も納得して快く活動に協力してくれました」と古川氏はにこやかに語ります。

これと同様の効果は、後者の薬剤業務の改善でも現れています。時間外に行われていた薬剤業務を夜勤業務へ移すことで、看護師の時間外勤務を、500時間から340時間へと160時間も削減できました。

病棟ごとに異なっていた時間外業務の比率:同じ内容の調査を複数の病棟で実施することで、各病棟の業務特性の違いを明確化。それぞれの実態に即した改善が行えるようにした。

病棟ごとに異なっていた時間外業務の比率:同じ内容の調査を複数の病棟で実施することで、各病棟の業務特性の違いを明確化。それぞれの実態に即した改善が行えるようにした。

患者様本位の看護を追求

病院全体で改革への取り組みを継続

現在では業務改善の取り組みがさらに拡大。これまで例に挙げた3病棟を含む5病棟で様々な活動が行われており、その領域もより幅広い業務分野へと拡がっています。

「フィールド・イノベーションの成果を目にした他病棟の看護師からも、『ぜひ自分たちの職場でもやって欲しい』という要望が寄せられるようになりました。そこで、こうした声に応えるべく、2015年度から業務改善効率化委員会という看護部門主導の改善組織を新たに立ち上げました。病院トップも活動に理解を示してくれていますので、今後はフィールド・イノベーション以外の改善活動とも連携し、看護師が本来の実力を発揮できる環境作りや改革を担う人材育成に力を注いでいきたい」と井本氏は抱負を語ります。

こうした取り組みではFIerの知見が役立つ場面も多いため、今後もFIerの積極的な支援が期待されています。

「当センターには、『看護の質』に徹底してこだわってきた歴史があります。いくら業務が効率化されても、患者様へのケアがおろそかになってしまったのでは意味がありません。看護の質を高めるための効率化であることを忘れずに、今後も改善・改革を進めていきたい」と展望を語る古川氏。患者様本位の看護を追求する同センターの取り組みを、今後もフィールド・イノベーションが支えていきます。

動画による事例紹介

日本赤十字社医療センター様 業務の効率化による患者様ケアのさらなる充実 【動画】


お客様概要

日本赤十字社医療センター

所在地:東京都渋谷区広尾4-1-22
開設:1886年11月
病床数:708床
URL:www.med.jrc.or.jpOpen a new window
「赤十字精神『人道・博愛』の実践」を基本理念として掲げる医療機関。患者一人ひとりの尊厳を重んじるホスピタリティと、最新エビデンスに基づく医療・看護を提供している。

FIer

今回のプロジェクトを通して

左から、長嶺 光一、千葉 広隆の写真お客様の看護の現場は、日々の業務に追われ、残業が多く、スタッフは疲弊していました。看護部門としては、現場活性化のために取り組むべき課題を明らかにしたいが、現場が忙しくて動かないというジレンマをお持ちでした。そこで、他病院で実績のある「可視化手法」を参考に、現場の負担感を少なくすることに心がけて、看護業務の現状と課題の可視化をお手伝いしました。
また、活動メンバーが忙しい方ばかりなので、可視化の計画段階では、「FI可視化体系図」を予行演習で作成したり、同僚のFIerから看護業務の知識を得たりするなどの準備をして打合せに臨みました。即断即決して頂くなど活動メンバーの協力もあって、毎回決められた時間内に結論を出すことができました。
私たちが提供した「FI可視化サービス」が、その後のお客様ご自身による業務改革、改善につながったことが何よりの喜びです。

【導入事例(PDF版)】

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[2015年6月 公開]

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