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事例紹介 栃木県 小山市 様

栃木県 小山市 様 公共 営業・サービス

市民サービス向上を目指し福祉課業務を改革 業務を軽減し生活支援への注力を実現

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地域の行政を担う市役所にとって、地域福祉の重要性はますます高まっています。こうしたなか、栃木県 小山市では、福祉課の業務改革を目指してフィールド・イノベーションを導入しました。フィールド・イノベータ(以下、FIer:エフアイヤー)と共に、生活保護/障がい者福祉業務の効率化に取り組み、行政本来の役割である福祉サービスを必要とされる市民への支援に注力できる環境を実現しています。

INDEX
  • 1 市民サービスの向上を目指す小山市
  • 2 行政品質向上を目指し福祉業務の改革に着手
  • 3 業務効率化と市民サービス向上に取り組む
  • 4 可視化で具体的な課題を抽出
  • 5 定例給付(生活保護)業務の改善に取り組む
  • 6 ICTを活用した効率化も推進
  • 7 市民の利便性向上施策も展開
  • 8 根付いた継続的な改善体質
  • 9 お客様概要
  • 10 Fler 今回のプロジェクトを通しての感想

市民サービスの向上を目指す小山市

一定の評価を得ても妥協せず改善に努める

小山市は、世界のラムサール条約湿地登録の「渡良瀬遊水地」に代表される「水と緑と大地」の豊かな自然と、世界のユネスコ無形文化遺産「本場結城紬」に代表される古い歴史・文化を有し、特に戦国乱世に終止符を打ち、平和な世、徳川幕府の成立を決定付けたと言われる天下分け目の軍議「小山評定」が開かれた『開運のまち』であり、東京圏からわずか60キロメートルの新幹線の停車する鉄道・国道共に交差する交通の要衝として発展を続けている栃木県内第2の南都です。

小山市長 大久保 寿夫氏の写真小山市では、市役所は「市内最大のサービス機関」との考えから、これまで市民サービスの向上や業務の効率化などの施策を展開しており、2013年の「全国市区『高齢化対応度』調査()」全国第1位や2014年の「女性活用度調査()」第11位をはじめ、「全国市区経営革新度調査()」「全国都市のサステナブル度調査()」「行政サービス調査()」の各調査において上位に位置づけられるなど一定の評価をいただいておりますが、今後も、職員一人一人がそれぞれの業務を常に見直し、創意工夫を行い、効率的、効果的な事業の実施を図り、常に市民の視点や立場に立ち、改善意識を持って業務に取り組み、業務の効率化と行政の基本である市民サービスのさらなる向上を目指していきたいと考えています。

 

行政品質向上を目指し福祉業務の改革に着手

多忙を極める福祉課の業務改革が課題に

自治体経営の効率化を重要課題として掲げる同市では、2008年より行政経営品質向上率先活動に取り組み、着実に成果を積み上げてきました。この取り組みを加速させるべく、2012年には富士通のフィールド・イノベーションを初めて導入。納税課の滞納整理業務の改革に取り組み、多くの改善に成功しました。

小山市 保健福祉部 部長 栗原 千早氏の写真そして今回、同市では2度目のフィールド・イノベーション活動に着手。その舞台となったのは、生活保護や障がい者福祉などの業務を担う保健福祉部 福祉課です。同市 保健福祉部 部長 栗原千早氏は、導入の背景を「福祉課の業務は非常に多忙であり、職員が残業を強いられる場面も少なくありませんでした。この点については以前から大きな課題と認識していたところ、総務部 行政経営課からフィールド・イノベーションに取り組んでみないかという打診がありました。その手法を学ぶことで改善を図っていけるのなら、ぜひ我々も取り組んでみたいと思いました」と説明します。

 

小山市 総務部 部長 石川 和男氏の写真また、同市 総務部 部長 石川和男氏も「私も以前、保健福祉部に所属していたことがあり、その業務の大変さをよく知っています。納税課で成果を挙げたフィールド・イノベーションを導入すれば、きっと同じように大きな改善を図れるだろうと考えたのです」と語ります。

 

業務効率化と市民サービス向上に取り組む

大量の事務処理や法制度対応の効率化を目指す

小山市 保健福祉部 福祉課 課長 宮田 美明氏の写真新たにフィールド・イノベーションに取り組むことになった福祉課は、障がいを持つ方々への助成や生活保護の給付など、福祉に関わる様々な行政サービスを提供する部門です。同市 保健福祉部 福祉課 課長 宮田 美明氏は「当課の業務の特徴として、各種の福祉制度やサービスに関する相談・申請業務が、窓口に集中するという点が挙げられます。窓口カウンターにも余裕がない中で、毎日多くのお客さまに対応していますので、窓口以外の業務は時間外に行わざるを得ません。その結果、どうしても残業が増えるという状況になっていました」と振り返ります。

 

小山市 保健福祉部 福祉課 保護第2係 小藤 安弘氏の写真現場で働く福祉課の職員も、それぞれに様々な課題意識を持っていました。福祉課 保護第2係 小藤 安弘氏は「保護係では、1人の職員が約100世帯の生活保護業務を担当しています。その一方で新規のご相談への対応や日常的な事務処理もありますので、処理すべき業務量は非常に多かったです」と語ります。

 

小山市 保健福祉部 福祉課 障がい福祉係 寺田 朱里氏の写真また、障がい福祉係 寺田 朱里氏は「福祉業務に関連する法制度が多岐にわたり、頻繁に変更されるため、市民から問い合わせがあっても担当外の業務の質問には、すぐにお答えできないケースもありました」と語ります。

 

小山市 保健福祉部 福祉課 福祉管理係 伴 奈津穂氏の写真福祉管理係 伴 奈津穂氏も「業務プロセスが紙ベースであった点も大きな課題でした。業務の内容によって使用する帳票が異なる上に、大量の文書を保管するスペースも必要です。その置き場所を確保するのに苦労するようなことも少なくありませんでした」と続けます。

 

こうした状況が今後も続くようであれば、市民が望む最善のサービスを実現することは困難です。そこで、今回のフィールド・イノベーション活動では、業務効率化や接客環境の改善を図ることで、市民サービスの質をより高めることが目標となりました。

可視化で具体的な課題を抽出

ワークショップを通して5つの改革テーマを設定

活動の推進役となるFIerは、インタビューやアンケート、4日間にわたる現場観察を通して、事実を可視化し課題を抽出。その結果、現状業務の非効率さや情報共有不足、接遇スキル向上の必要性、窓口環境の改善など、全部で47件の課題が浮かび上がってきました。さらに、この結果を基にワークショップを実施し、プロジェクトメンバー全員で課題解決に向けた施策立案と実施計画を策定しました。

こうした一連の取り組みの中で、メンバーの意識にも次第に変化が。「ワークショップで良かったのが、業務に対する課題を全員で共有できたことです。今までは係を越えて話し合いをする機会が持てなかったので、全員が同じような課題意識を持っていることが分かったのは非常に心強かった。これなら改善を進めていけるだろうと感じました」と寺田氏は語ります。

施策立案のため集中検討会を実施 ワークショップではメンバーそれぞれが感じていた業務課題を抽出。これを基に全員で討議を重ねつつ、改革テーマの設定や具体的な施策の立案を行っていった。

また、事実の可視化の過程で一つ嬉しいニュースがあったことも、活動を大きく後押ししました。伴氏はこの点について「市民の方々の評価を知るために出口調査を実施したのですが、そこで窓口応対に対するスコアが思っていた以上に高かったのです。自分たちの仕事ぶりを市民の方々がちゃんと評価してくださっていると知ったことは、その後の大きなモチベーション向上に繋がりました」と語ります。

ワークショップでの討議を経て、同市では最終的には47の課題を「職員の対応力向上」「業務効率化」「お客さま環境と職場環境の改善」の3分野に集約。これに基づき、「1.スキルアップ」「2.情報の共有化」「3.定例給付(生活保護)業務の事務量削減」「4.福祉業務の効率化」「5.環境改善」の5つのテーマを設定し、実際の改善・改革活動に取り組んでいくこととなりました。

取り組み目標の実現に向け5つの改革テーマを設定 市民サービス向上という大目標に向けて、「スキルアップ」「情報の共有化」「定例給付業務の事務量削減」「福祉業務の効率化」「環境改善」の5つの改革テーマを設定した。

定例給付(生活保護)業務の改善に取り組む

現金給付世帯を4割以上削減。事前準備と当日の給付対応も省力化

こうした同市の取り組みの中から、「3.定例給付業務の事務量削減」「4.福祉事務の効率化」の2点について、具体的な活動内容とその成果を見ていきましょう。
まず前者では、毎月実施される生活保護給付に、多くの時間がかかる点が課題になっていました。生活保護給付には現金給付と銀行振り込みの2つの方法がありますが、同市では銀行振り込みに移行する基準が無かったために、現金給付の割合が高いままとなっていたのです。
「給付当日には、多くの方が窓口を訪問されるため、窓口が混雑していました」と小藤氏は説明します。

同市では、こうした状況を解消すべく、銀行振り込みへの移行促進に着手。給付業務を担当するケースワーカー全員に改善の主旨を説明し、銀行振り込みに移行する世帯(対象者)の基準を討議し明確にして、特別な事情がある方以外は、銀行振り込みへ移行していただけるように、達成目標もあわせて関係者全員で合意形成を図ったうえでスタートを切りました。

その結果は、まさに驚くべきものでした。活動開始時に392世帯あった現金支給世帯数は、月を重ねるごとに減少。当初は「現金支給世帯数3割削減」を目標として掲げましたが、12ヶ月後には230世帯と、4割以上も減らすことができたのです。
「現金支給世帯数が減少することで、給付に関する事務作業を大幅に減らすことができました。その結果、給付業務以外の窓口対応にあてられる時間も増えたと感じています」と小藤氏は語ります。

活動開始以降の現金支給世帯数の推移 取り組み開始以来、現金支給世帯数は着実に減少。当初掲げた3割削減という目標をわずか9ヶ月でクリアし、1年間で4割以上もの削減に成功している。

ICTを活用した効率化も推進

システム改修で約500時間を超える時間削減が可能に

定例給付業務に関しては、帳票業務の効率化も行われています。この業務では保護決定調書、保護決定変更通知書の原本、控えと3種類の帳票を使用しますが、これまで保護決定調書はファイリングの番号順、保護決定変更通知書は世帯名の五十音順と、帳票の管理方法が異なっていました。両方の帳票を突合せて並び替える作業に大変な手間がかかっていました。
「もちろん、両方とも五十音順に並べた方が、作業効率が良いことは言うまでもありません。この点についても、なかなか手を付ける機会がなかったのですが、今回の活動をきっかけに改善に踏み切ることにしました」と小藤氏は語ります。

しかし、保護決定通知書の管理方法を変えるためには、システムの改修も必要になります。そこで、福祉課では、改善による業務量削減の投資対効果を詳細に算出し総務部のIT推進課に協力を求め、改修することになりました。改修の結果、定例給付業務1回あたり8時間の削減ができました。
「さらに、帳票作成機能を強化すれば、年間500時間が削減できるとの見積りを提示して、改善の重要性を粘り強く説いたところ、IT推進課がシステム改修に理解を示してくれたのです」と小藤氏は語ります。

帳票作成機能の稼動は2015年10月に予定しており、これが実現すれば大幅な事務量削減が現実のものとなります。さらに大きいのは、市民サービス向上という目標に向けて大きく前進できるという点です。小藤氏は「銀行振り込みへの移行やシステム化によって、ケースワーカーの事務処理の煩雑さが解消されれば、その時間をより有効に利用できるようになります。今後も効率化を推進し、世帯訪問の時間を確保し、本来の業務である、要保護者の生活実態把握や自立へ向けての指導をしていきたい」と語ります。

市民の利便性向上施策も展開

福祉ガイドブックの改善や申請書ダウンロードの拡充も実施

一方、「4.福祉事務の効率化」では、市民の利便性向上と紙作業の効率化に向けた取り組みが展開されました。同市では以前から福祉サービスを利用される方のためのガイドブックを作成していましたが、度重なる法制度変更による修正でつぎはぎ状態となり、制度の内容や申請に必要なものなどが分かりにくくなっていました。フォーマットも統一感が無く、改版作業も行いにくい状況になっていました。

そこでまず、他市の福祉ガイドブックとの比較調査を実施。これを基に重要な改善点を洗い出し、市民にとってより分かりやすい内容へと改めました。「ここで非常に役立ったのがFIerの支援です。私たちがどのようなフォーマットが良いのか悩んでいたところ、FIerから文書テンプレートの提供や、複数職員間で改版するための様々な技術を提供してもらいました。おかげで、市民の方々にとっては分かりやすく、改版作業もしやすい新しい福祉ガイドブックが実現できました」と伴氏はにこやかに語ります。

見やすく・改版しやすくなったガイドブック 分かりにくい/改版がしにくいなどの課題を抱えていたガイドブックについても、FIerが提供したテンプレートなどを活用して内容を全面的に刷新した。

また、より一層の利便性向上のために、各種申請書のダウンロード施策に取り組みました。「従来はお客さまが窓口に来られてから申請書に記入していただいていたので、制度の内容や記入方法の説明などでどうしても時間がかかりがちでした。しかし申請書や記入見本などを事前にダウンロードできれば、お客さまをお待たせする時間も減り、事務処理も効率的に進められます」と伴氏。今後もダウンロードできる申請書の種類をどんどん増やして行きたいと続けます。

さらに、決裁業務の効率化では、従来紙帳票とシステムの両方で処理されていた業務を抽出。これを電子決裁に集約することで二重管理を解消し、業務全体のスリム化とペーパーレス化を図っています。こちらの取り組みは現在も鋭意進行中ですが、「紙帳票で処理されている業務は日々着実に減っている」(伴氏)とのことです。

その他の3つのテーマにおいても、様々な成果が挙がっています。「たとえば『1.スキルアップ』では、職員の接遇/PCスキルや法制度の知識を高めるための研修会を実施。表計算ソフトの研修会では、業務で使えるスキルを習得しました。また、職員のPCスキルが分かるPCスキルマップを作成。高スキル者の氏名をオープンにして、課内で教え合う環境を作ることで、継続的なPCスキルアップが可能な環境を構築しました。

「分からないことはお互いに教え合う風土ができたことで、誰かに手伝ってもらう必要のあった業務も次第に一人でこなせるようになっています。このことは、業務効率化とサービス品質向上の両面で大きな改善につながっています」と寺田氏は語ります。また、取り組みの進め方などで迷った時には、FIerの助言や提案も非常に役立ったとのことです。

根付いた継続的な改善体質

改善・改革活動を継続し、より良い市民サービスを追求

日々の業務と改善活動を同時並行で進めていくことは、メンバーにとっても決して容易なことではありませんでした。しかし、それでもこうした数々の改善を成し遂げられたのは、「なぜ改善を行うのか」という意識を全員で共有できたからです。

「福祉課の仕事は単に心地よい窓口対応だけでなく、福祉サービスを必要とする市民に対する将来を見据えた助言や指導という面もあります。そこをしっかりと踏まえた上で、メンバー全員が『市民が望む最善のサービスを目指す』という目標を持てたからこそ様々な改善が実現できました。このことの意義は非常に大きいと感じています」と栗原氏。小藤氏、寺田氏、伴氏も、「いろいろと大変なこともあったが、今回の活動に取り組んで良かった」と口を揃えます。

フィールド・イノベーションにも、高い評価が寄せられています。「これまでも様々な形で改善活動を行ってきましたが、今回のようにまず事実を明らかにした上で、人・プロセス・ICTを一体で改革する取り組みは初めてです。スタート時にFIerが実施した現場観察には『ここまでやるのか』と驚かされましたが、それがあるからこそ後々の活動が実効性の高いものになります。我々とは違う第三者の客観的な視点が入ることの重要性を強く感じました」と宮田氏は語ります。

また、石川氏も「今回の取り組みでは、福祉課・IT推進課・行政経営課の連携も行われましたが、このように組織横断で改善活動に取り組んだケースは過去にもあまり例がありません。これも職員の意識が変わり、成長したことの証だと感じていますので、今後の行政品質率先活動にもぜひ反映させていきたい」と語ります。

もちろん、改善・改革の取り組みはこれで終わったわけではなく、同市では今後も新たな活動を展開していく予定です。栗原氏は「メンバー全員が自ら課題抽出や目標設定に取り組み、実際に成果を挙げられたことは、今後の自信にもつながることと考えています。さらなる市民サービス向上を目指して、今後も積極的に活動を継続していきたいです」と語りました。

注記

(注)出典:
『日経グローカル』(日本経済新聞社・産業地域研究所 発行)

お客様概要

栃木県 小山市 様

面 積:171.61km2
人 口:165,759人(2015年2月1日現在)
世帯数:67,110世帯(2015年2月1日現在)
栃木県県南部に位置する地方自治体。美しく豊かな自然と数多くの歴史・文化的遺産を有し、農業・工業・商業の調和のとれた街として発展を続けている。

FIer

今回のプロジェクトを通しての感想

左から、橋本浩実、松島哲也、四宮憲治お客様は日々の業務が大変忙しく、多様な市民の方へより良い福祉サービスを提供したいと思いながらも、業務の忙しさから充分に時間が割けないと悩んでおられました。FIerは、まず、業務の可視化を行いました。他市と比較してどのように見えるか第三者視点で比較いたしました。その結果、職員の問題意識が高まり、この機会に何とかしようとフィールド・イノベーション活動に取り組まれました。チームメンバー自らが知恵を出し、職員全員に働きかけ、さらに他部門を巻き込んで活動されました。これにより、業務効率化と市民サービス向上の施策も出て成果につながっています。さらにお客様自身で継続して改善が進んでいることは嬉しく、活動事例を他のお客様へも紹介させて頂ければと思います。

 

【導入事例(PDF版)】

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[2015年3月 公開]

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