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事例紹介 株式会社朝日工業社 様

株式会社朝日工業社 様 製造 生産

製造業としてのあるべき姿を目指し、業務プロセスとシステムの双方で改善・改革活動を継続

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精密環境制御機器の開発・販売を手がける朝日工業社 機器事業部様では、生産管理プロセスの改革を目指してフィールド・イノベーションを導入しました。フィールド・イノベータ(以下、FIer:エフアイヤー)と共に業務や組織体制を抜本的に見直し、劇的な効率化とコスト削減を実現。この取り組みを通して継続的な改善体質を身に付けた同事業部では、その後も自主的な改善・改革活動を展開し多くの成果を上げています。

INDEX
  • 1 生産管理の抜本改革が課題に
  • 2 認識とは異なる事実が判明
  • 3 納期回答の改善に成功
  • 4 標準化をめざして自主的な改善活動に着手
  • 5 在庫金額の誤差がゼロに
  • 6 物流業務の改革も推進
  • 7 根づいた改善・改革体質
  • 8 お客様概要
  • 9 Fler 今回のプロジェクトを通しての感想

生産管理の抜本改革が課題に

空調設備工事業をベースとした業務プロセスからの変革を目指す

「空気・水・熱の科学に基づく高度な技術によって最適空間を創造する」を企業理念として掲げる朝日工業社。その中で、精密な温度制御やクリーン化を実現する精密環境制御機器の開発・販売を手がけているのが機器事業部です。

取締役 上席執行役員 機器事業部長 中田 昌男氏 の写真

取締役 上席執行役員 機器事業部長 中田 昌男氏は「当社では長年にわたり空調設備工事事業を展開しており、この分野に関する高い技術力と豊富な経験を保有しています。機器事業部ではこのノウハウを応用した製品を開発し、半導体や液晶パネルなどの製造に欠かせない精密な温度制御とクリーンな環境をご提供しています」と説明します。

高い技術力に基づいて開発された同社製品は、半導体メーカーや液晶パネルメーカーからも高い評価を獲得。世界でもトップクラスのシェアを誇っています。しかし、事業が順調に発展する一方で、新たな課題も生まれていました。製品規模が年々大型化したことで、業務量が飛躍的に増大。その結果、業績管理に時間が掛かる、内部統制の作業工数が増えるなどの問題が生じていたのです。

機器事業部 製造部長 工藤 健洋氏 の写真機器事業部 製造部長 工藤 健洋氏は「当事業部は業種で言えば製造業。しかし会社が空調設備工事業からスタートした関係で、生産管理の仕組みも個々の物件単位で情報を管理する工事業の手法がベースになっていました。製品規模がまだ小さかった時代にはそれでも対応できましたが、現在のように事業が大きくなってしまうとやはり無理が生じます。今後も製造業として成長を続けていくためには、業務の仕組みも製造業へと転換し、調達・生産・物流プロセスの全体最適化を目指していく必要性があると考えました」と振り返ります。

総務本部 情報システム部長 船戸 守氏 の写真 こうした課題を解消すべく導入されたのが、富士通のフィールド・イノベーションです。総務本部 情報システム部長 船戸 守氏は「現場部門からは我々情報システム部門にいろいろな改善要望がありましたが、単にシステムに手を入れただけでは抜本的な解決にはつながらないと感じていました。ちょうどそんな時にフィールド・イノベーションを知り、ぜひ当社でも導入したいと考えたのです」と語ります。

認識とは異なる事実が判明

業務プロセスの見える化で具体的な課題を洗い出す

今回のプロジェクトを担当したFIerは、事実の見える化と業務フローの洗い出しに着手。その結果、今までは予想もしなかった事実が浮かび上がってきました。
たとえば、これまで同事業部内では、既存の生産管理システムの使いにくさが業務に手間が掛かる原因だと考えられていました。業務内容の聞き取り調査でも、「全作業時間の60~70%を生産管理システムの作業に費やしている」との回答が数多く見受けられました。ところが実際にPC作業可視化ツールを用いて利用時間を調査してみると、生産管理システムを使っている時間は全体の約30%程度。残りの約70%の時間は、メールでの連絡や表計算ソフトによる集計作業などに充てられていたのです。

PCVAツールによるPC作業可視化従来は生産管理システムが使いづらいために作業に時間が掛かると考えていた。しかし実際には、他の作業に多くの時間を費やしていた。(PC Visualization and Analysis:PC作業の状況を可視化するツール)

また、システムそのものについても、事前の予想とは異なる点がありました。同事業部では、自分たちが使いたい機能がシステムに備わっていないと考えていました。しかしFIerと一緒に改めてシステムの状況をチェックしたところ、実際には機能自体は備わっていたものの、度重なるカスタマイズによって使えなくなっていたことが判明しました。
こうした事実を目の当たりにすることで、プロジェクトに参加したメンバーの意識も次第に変わっていきました。

機器事業部 購買課 副参事 加藤 尚倫氏 の写真機器事業部 購買課 副参事 加藤 尚倫氏は、「今まで当たり前と思っていた業務プロセスが、実は世間一般の業務プロセスとは大きく異なる。そう知った時には、やはりかなりの驚きを感じましたね。自分たちだけでは分からないことも多いので、FIerの助言も仰ぎながら、製造業としてのあるべき姿を目指そうと考えました」と振り返ります。

機器事業部 製造部 製造管理課 主任 新谷 雅典氏 の写真機器事業部 製造部 製造管理課 主任 新谷 雅典氏も「普段はなかなか自分の業務を見直す機会がありませんから、ワークショップを通して業務プロセスの全容が洗い出された時には非常に新鮮に感じました。自分が時間を掛けていると思っていた部分が意外とそうでもなかったり、逆に無意識に行っていたことが実は重要な意味を持っていたりと、思いもよらなかったことが数多くありましたね。このことによって改善・改革に向けた道筋が見えてきました」と言います。

納期回答の改善に成功

納期確認のプロセスを全面的に改め回答率を大幅に向上

同事業部では見える化によって明らかになった事実を踏まえて、具体的な業務改善の取り組みを進めていきました。その一例が、資材購買業務における納期回答プロセスの迅速化です。同社では製品の生産に必要な部材を様々な取引先から購入していますが、従来はその納期確認に多くの時間と工数を要していました。

「取引先に対する発注は1ヶ月あたり約4,000~7,000件にも達しますが、以前はこれらに対する納期確認が担当者ごとに異なっていた上に、戻ってきた回答をシステムに入力するのもすべて手作業でした」と加藤氏は説明します。

こうした状況を改善するために、まず納期管理に必要な項目を統一した標準フォーマットを作成。取引先のベンダーが入力した情報を、メールで受け取った後にシステムに自動入力する仕組みを新たに構築しました。その結果、作業時間は2時間から15分へと大幅に削減され、入力データの打ち間違いなどのミスも未然に防ぐことが可能になりました。現在は発注から3日以内を納期回答の期限としていますが、回答率は以前の68%から98%へと飛躍的に向上。業務効率化や欠品防止など、さまざまなメリットが実現しています。
「FIerが第三者視点で客観的に問題点を指摘してくれたのが良かったですね。自社の社員だけで改善・改革に取り組んだのでは、これほどの成果を上げるのは難しかったでしょう」と船戸氏は語ります。

標準化をめざして自主的な改善活動に着手

組織体制の再編と生産管理システムの再構築を実施

さらに同事業部では、FIerの提言を取り入れて、組織体制の全面的な再編にも踏み切りました。「従来型の業務プロセスでは、一案件につき一人の担当者が生産管理から購買まですべての業務を担当する方式でした。このやり方を改め、生産管理グループ、購買グループ、物流グループと、業務の機能別に担当者を配置する方式に切り替えました」と工藤氏は話します。
また、これと並行して実施されたのが、生産管理システムの再構築です。船戸氏は「元々旧システムは工事業のシステムをベースに、機器事業部の業務に合うようにカスタマイズしていました。しかし、新システムでは逆に当社の強みとなる部分以外はできるだけ業務を標準のパッケージソフトに合わせ、製造業としての標準的な業務プロセスを確立したいと考えました」と説明します。

組織体制の再編 組織の再編を実施。個々の案件の担当者が全業務を担当する方式から、生産・物流・購買の各機能別に担当者を置く方式に切り替えた。

ここで注目されるのは、これ以降の改善・改革活動が、すべて同事業部の部員の力だけで行われたという点です。実は、FIerが参画してのフィールド・イノベーションは、先に触れた取引先納期回答の迅速化などの効果が達成できた時点で一旦終了しています。しかし、継続的な改善・改革マインドを身に付けた同事業部では、その後も社内で自主的なフィールド・イノベーションを展開。2011年11月に富士通の生産管理パッケージ「PRONES」による新生産管理システムが稼動してからは、その取り組みがいっそう加速していくこととなりました。

在庫金額の誤差がゼロに

製造業の標準的な在庫管理プロセスに転換し精度向上を実現

自主的な改善・改革活動の成果は、業務のあらゆる場面で見ることができます。その一つが、「単品」と呼ばれるリペアパーツや消耗部品などの納期改善です。こうした部品はラインで生産される通常の部品と異なり、顧客からのオーダーに応じて一点ずつ製造します。製品の大規模化が進む中で、突発的な要望に迅速に対応することが難しくなっていました。そこで、フィールド・イノベーションを経験した製造部門の課長が設計/製造部門を巻き込み、ルールやプロセスの見直しを実施。その結果、納期遵守率を65%から95%に向上させることに成功しました。

単品の納期改善 小規模オーダー部品である「単品」の納期改善に着手。関連部門の課長3名が共同でプロセスとルールを見直し、納期遵守率を95%に向上させた。

部材の在庫管理の方法についても、これまでと大きく様変わりしています。以前は工事業と同じように、個々の案件ごとに製番管理方式で部材を管理し、また入庫と同時に仕掛在庫として扱っていました。このため、異なる案件間で部材を融通したりすることが難しく、正確な在庫数量を把握するのにも苦労していました。
そこで倉庫管理システムを刷新すると同時に、共通の品番管理を行った上で、必要に応じて引き当てる方法へ、また、生産工程に投入される前の部材は、すべて材料在庫として扱うように変更しました。これにより、どこに、何点在庫されているかが正確に把握できるようになったのです。

機器事業部 製造部 製品課 上田 明美氏 の写真機器事業部 製造部 製品課 上田 明美氏は「以前は今ほど事務部門と工場との情報連携が密接でなかったので、システムで『在庫がない』となっていても本当はあるのではないかと現場まで確認しに行くようなこともありました。しかし現在では、購買部門の発注がリアルタイムに在庫に反映され、工程への引き当ても的確に行われます。情報の不一致は完全になくなり、在庫金額も1円単位でピッタリ合うようになりました。しかも業務スピードについても、月次の棚卸し作業は1日から3時間程度に、決算時の作業は3日から1日にと、格段に向上しています」と語ります。在庫の状態が正確に把握できるようになったことで、長期にわたって滞留するような部材もなくなり、在庫金額の圧縮にもつながりました。

部材管理の効率化 部材倉庫の1件あたりの作業時間は改善前の87秒から、改善後は63秒に削減した。システム再構築後の改善活動でさらに51秒まで削減。

物流業務の改革も推進

物流手配の一元化と倉庫の集約でコストとスピードを大幅に改善

機器事業部 製品課 副参事 佐藤 幸治氏 の写真

もう一つ劇的な改善効果を上げることに成功したのが物流業務です。機器事業部 製品課 副参事 佐藤 幸治氏は「当時は販管費の削減が課題となっていたため、当事業部でも部材や製品の物流プロセスの見直しに着手しました。その結果、従来は個々の案件の担当者が別々にトラックを手配しており、同じお客様のところへ何度も便が出るなど、非効率な点があることが分かってきました」と振り返ります。

こうした点を解消すべく、同事業部ではトラック手配を物流グループが一元的に行う体制に変更。ムダを省くための施策を展開していきました。また、一時期はかなりのスペースを借りていた倉庫についても、集約・統合化を積極的に進めていきました。
さらに、トラック手配に使用するシステムについても、業務を迅速に進めるための改良が加えられました。「以前は連携先の生産管理システムの情報を頻繁に見に行くような作りになっていたため、月末のピーク時などには手配書1枚作るのに約10分も掛かるような状況でした。そこで標準手配フォーマットを生産管理システムに投入する方法を採用。これにより、忙しい月末の時期でも、レスポンス良く作業が行えるようになりました」と佐藤氏は説明します。

このような施策の結果、物流費等の販管費は取り組みを始めた初年度で70%もの削減に成功。その翌年も30%の削減率を維持し、トータルでは改善活動開始以前の5分の1以下に削減しています。
ちなみに、改善活動を進めていく過程では、何度も倉庫に足を運んだりしてどこに問題があるのかを見極めていったとのこと。現場で起きている事実を明らかにし、業務プロセスの改善とICT活用によって課題解決を図るというフィールド・イノベーションの手法が、ここでもしっかりと活かされていたのです。

物流費など販管費の削減 トラックへの積み込み方や配送タイミングなどをきめ細かく改善した結果、取り組みを始めた初年度で物流費など販管費の70%もの削減に成功した。

根づいた改善・改革体質

今回の経験を活かし業務改善の取り組みを継続的に展開

フィールド・イノベーションを経験したことで、社内の雰囲気や仕事の進め方も大きく変わりました。 「私たちの部門で言えば、『たとえ棚卸しの件数が数千件あろうとも絶対に数を合わせるぞ』という強い意識を持つようになりました。今では正確に在庫を把握できる仕組みがありますから、きちんと仕事をこなせば確実に結果として現れます。もし在庫が合わなければ、製造や経理などの他部門の仕事にも影響が生じるわけですから、責任感も高まりましたね」と上田氏は言います。

また、新谷氏も「各部門のリーダーが集まる定例会議でも、短時間で密度の濃い会話ができるようになりました。どのメンバーも直近の現状報告と変更点の確認、今後に向けた課題の順で議題を進めるようになり、標準的なやり方に統一されています。これも全員の意識が同じ方向を向いているからこそ。フィールド・イノベーションの活動を通して、我々もずいぶん成長できたように感じます」とにこやかに話します。

朝日工業社内でのミーティングの様子 朝日工業社では富士通のFIerが離れた後も継続してミーティングや勉強会を開催。会議の進行も標準化が進み、効率的な情報共有・改善の場となっている。

「せっかく作り上げたルールと業務プロセスですから、これを標準としてしっかりと守り続けることが重要です。その上で市場環境の変化に対応し、今後の成長に向けた取り組みを展開していきたい」と工藤氏は語ります。
今後の富士通の支援にも、大きな期待が掛けられています。「当社は開発型の企業であり、常に業界の最先端を走り続けることを目指しています。とはいえ、ビジネスの土台がしっかりしていないと、その目標も果たせません。業務改善・改革の取り組みは今後も続いていきますので、ぜひこれまで同様の支援をお願いしたいですね」と中田氏は抱負を述べました。

お客様概要

株式会社朝日工業社 様

創業:1925年4月3日
設立:1940年8月8日
資本金:38億円5710万円
従業員数:920名(2013年3月末現在:連結)
URL:http://www.asahikogyosha.co.jp/Open a new window

FIer

今回のプロジェクトを通しての感想

左から、花岡正美、丸山研二、小林裕之 の写真初夏の午後、東京湾をのぞむ会議室で我々FIer3人を前に、朝日工業社様の執行役が「フィールド・イノベーションをやりましょう」と決断された日から、5年が経ちました。いま社員の皆様一人ひとりが、自らの言葉で改善・改革を語ってくださっています。
改善・改革が定着したのは、(1)改革の強い意志を持ったトップとリーダー、(2)後戻りは絶対しないと固い決意の課長、(3)改善のやり方を自ら考え実際に効果を示した現場の方々、という組織の力です。私たちFIerも全力を尽くしましたが、朝日工業社の皆様はそれに応えてくださいました。システムをつくり上げた富士通の営業、SE、そしてFIerの全員がお客様の改革に貢献できたことを誇りに思います。

【導入事例(PDF版)】

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[2014年3月 公開]

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