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事例紹介 山口県立総合医療センター 様

山口県立総合医療センター 様 医療・教育 営業・サービス

良質の医療を提供する体制づくりに向け会計待ち時間を大幅に短縮、外来患者の満足度向上を実現

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山口県の基幹病院として救命救急医療やへき地医療など多様な医療分野に対応し、地域住民から厚い信頼を得ている山口県立総合医療センター。同センターでは、外来患者の増加に伴い、患者の待ち時間の長さが問題になっていました。そこで、待ち時間短縮による患者の満足度向上を目指し、フィールド・イノベーションを導入。問題の真因を見える化した上で様々な施策を打ち、会計待ち時間を3分の1以下に短縮することができました。

INDEX
  • 1 総合医療センターとしての満足度向上への課題
  • 2 待ち時間の内容を見える化
  • 3 会計に時間がかかる要因を探る
  • 4 「会計待ち時間5分」を目指す
  • 5 待ち時間が劇的に短縮
  • 6 より質の高い医療を目指して
  • 7 お客様概要
  • 8 Fler 今回のプロジェクトを通しての感想

総合医療センターとしての満足度向上への課題

外来患者の増加により待ち時間の長さが問題に

山口県中央部、瀬戸内海に面して位置する防府市に、県を代表する病院の1つ、山口県立総合医療センターがあります。病床数504床の大規模病院であり、隣接する山口市を含めた山口・防府医療圏約30万人の健康を支える重要な役割を担っています。

院長 前川 剛志氏 の写真「当センターは県立の総合病院ということで、一般的な病気にとどまらず、救命救急医療やへき地医療、周産期母子医療、地域がん診療拠点など幅広い医療分野に対応しています。先進医療や高度医療への取り組みも強化しており、特に心臓病や脳疾患などについては高レベルの医療技術を有しています」と話す同センター院長の前川 剛志氏。7対1看護体制()を実現したほか、医師の業務をサポートするスタッフの増強も進めるなど、患者に良質で満足度の高い医療を提供する体制づくりに力を注いでいます。

県内各所から患者が集まる同センターでは、車で来院される方が多いため、広い駐車場を備えていますが、外来患者の増加に伴い駐車場が不足していました。
「病院内での待ち時間が長く患者様がなかなか帰れないため、駐車場が混雑しピーク時には近隣道路に渋滞を引き起こすということもありました。待ち時間が長引くことで患者様のストレスになっていました。患者様の満足度を高める上で、解決しなくてはならないと考えていたのです」と前川院長は語ります。

山口県立病院機構 本部事務局 経営企画室長 國弘 哲哉氏 の写真そんな時に、電子カルテシステムを担当していた富士通から提案されたのが、フィールド・イノベーションでした。本部事務局 経営企画室長の國弘 哲哉氏は、「病院の中が人でごった返していて診察以外の待ち時間も多く、何とかしないといけないと思っていましたが、何から手をつけていいのか分かりませんでした。そこで、改善を進めるためにフィールド・イノベーションに取り組みました」と振り返ります。

プロジェクト推進体制 経営企画室の國弘氏をリーダーに、医事課の植村氏らがコアメンバーとしてプロジェクトを推進。看護部やシステム関連部署もメンバーに加え、改革に取り組む体制を構築。

待ち時間の内容を見える化

「会計・精算待ち時間」の短縮に目標を定める

2012年5月、同病院を担当したフィールド・イノベータ(以下、FIer:エフアイヤー)は、待ち時間の長さの根本原因を突き止めるための活動を開始しました。病院内で患者が「どこで、どのように待っているのか」を明らかにするため、まず医師や看護師、スタッフにインタビューを実施。さらに受付機や電子カルテ、会計・精算システムなどに蓄えられているデータの解析を行ないました。

医事課 植村 直弘氏 の写真「受付機のデータからは『いつ受付したか』、電子カルテシステムのデータからは『いつ診察が開始され、終了したか』会計・精算システムのデータからは『会計受付をしてから精算機で精算を済ませるまでどのくらい時間がかかっているか』が分かります。FIerに、これらのデータを組み合わせて、1人ひとりの患者様が病院に来てから帰るまで、どのように流れているのかを見える化してもらったのです。これまで、そうしたデータがあることは分かっていたものの、それをどう分析するのかというノウハウがありませんでした」と、同センター 医事課の植村 直弘氏は語ります。

待ち時間には大きく、血液検査などを待つ「検査待ち時間」、診察の順番を待つ「診察待ち時間」、診察を終えて会計・精算を行なうまでの「会計・精算待ち時間」の3つがあることが分かりました。しかもそのうち特に、「会計・精算待ち時間」に不満が多い一方、診察待ち時間については、「待ってもいいから早い時間に予約を入れてほしい」という患者の要求が多いことも明らかになったのです。
この理由について國弘氏は「患者様は診察のために待つことはできる。しかし、診察が終わった後に会計でも待たされるとなると、『ここでもまた待つのか』とさらなるストレスを感じるケースが多いのです」と指摘しました。

こうしたことから山口県立総合医療センターでは、効果に即効性が見込め、かつ満足度向上に大きく貢献する「会計・精算待ち時間の短縮」を目標に定めました。「フィールド・イノベーションによる『見える化』の結果、まずどこをターゲットにすべきか明確になったのは大きかったですね」と植村氏は言います。

会計に時間がかかる要因を探る

会計担当者が業務に専念できないのが根本的な問題

FIerは続いて、この「会計・精算待ち時間」を、さらにドリルダウンし、3つに分類しました。「会計・精算待ち時間」は、(1)診察を終えた患者からファイルを受け取り、会計の番号札を渡すまでの「受付待ち時間」、(2)計算担当が請求書を作成し、会計番号が表示されるまでの「会計待ち時間」、(3)会計番号が表示されてから患者が精算機に並び、精算を完了するまでの「精算機待ち時間」の3つです。これら3つについて、会計・精算システムのデータと、実際に会計受付の横に立ってのストップウオッチの計測などで、どの時間帯で、どこにどれだけ時間がかかっているのかを見える化していきました。

外来患者待ち時間要素 外来患者の待ち時間の中でも、即効性・満足度向上が見込める「会計・精算待ち時間」の短縮をターゲットに設定。さらに「会計・精算待ち時間」を3つに分類した。

こうした分析の結果、プロジェクトを開始した段階で、「会計・精算待ち時間」は、ピーク時で約17分に達していることが判明。そして、「受付待ち時間」「会計待ち時間」は、時間帯に応じて変動がある一方で、「精算機待ち時間」は時間帯に関係なくほぼ一定であることも見えてきました。
「時間帯に応じて変動があるということは、改善の余地があるということ。そこで『受付待ち時間』『会計待ち時間』の2つについて、どうしたら短縮できるかを考えることにしたのです」と國弘氏は語ります。

受付+会計+精算機待ち時間の調査結果 分析の結果、待ち時間のうち「会計待ち時間」の長さが大きな要因となっていることが判明した。

そこでFIerは、会計処理を行なう計算担当者の業務内容を見える化することに取り組みました。

まずは計算担当者の伝票1枚あたりの処理時間を、ストップウオッチで計測。この結果、平均51秒という数値が出ました。これは患者が会計に来るピーク時でも十分に対応できる速さであり、計算担当者の処理速度自体は充分であると判断されました。

計算担当者の1枚あたりの伝票処理時間 平均は、ピーク時に患者が会計に来るペースを上回っており、計算担当者の処理速度は充分と判断。

FIerは続いて、計算担当者が作業時間中にどのような動きをしているかも計測。その結果、実際に会計処理を行なっている時間は44%で、残りの56%については電子カルテの確認や電話対応、患者からの質問対応など会計以外の業務に時間を割いており、会計処理に専念できていないことが判明したのです。計算担当者の数と患者の待ち時間の関係についても調べたところ、計算担当者が電話対応や質問対応などで会計業務に集中できなくなる、すなわち計算処理時間が長い患者が発生すると、途端に患者の行列ができることも分かりました。

計算担当者の作業時間の内訳 会計処理を行なっている時間は半分以下であることが判明。

「つまり、会計スピードは問題ないものの、会計以外の業務が入るとそれをリカバーできない状態だったことが、待ち時間の増加に大きく影響していたことが分かったのです」と植村氏は述べます。

國弘氏は、「こうしたことが『見える化』される前は、もっと別の部分で時間がかかっていると計算委託業者は思っていました。例えば、電子カルテと会計システム間で、データの整合性が一部とれていないことによる請求書の修正です。確かにそれも一因ではあったのですが、FIerの分析によって待ち時間が長くなる真の原因が明らかになったことで初めて、委託業者にも新たな気づきが生まれ、課題解決に動き出すことができたのです」と振り返ります。國弘氏はさらに、「普段の業務の中では、どうしても今見えている範囲の中でしか、考えを広げることができません。それぞれスタッフは懸命に仕事をしていますから。第三者による事実の提示が、活動に関わるチーム全員の意識改革につながりました」と見える化の意義を評価します。

「会計待ち時間5分」を目指す

関連部門・業務も含めた対策を打ち出し次々に実行

外来患者の「待ち時間」の実態が明らかになったことにより、どこに対して施策を打つべきか、何を目標にすべきかに確信を持てます。

こうして始まったのが「会計待ち時間5分間プロジェクト」です。「活動と並行して、近隣の病院をいくつか視察したところ、会計・精算待ち時間が5分以内に収まっている病院では、人の流れがスムーズな印象を持ちました。そこで当院でも会計・精算の待ち時間の目標値を5分に定めることにしたのです」と國弘氏。この目標に向け、メンバー自主的に対策を検討し、着々と実行に移していきました。

まず行なったのは、会計受付や計算担当者が、繁忙時に相互にカバーできる運用にすることです。スキルアップにより、繁忙時には計算担当者以外も空き端末を利用して会計を実施するようにしました。また、計算担当者が会計業務に専念できるように、繁忙期にはフリー要員を配置して、患者からの質問に対応することにしました。
「従来、患者様から質問が来た時には、ベテラン職員が対応することが多く、その人が席を外すことが会計処理に時間がかかる原因にもなっていました。その意味でもフリー要員を配置したことは効果がありました」と植村氏は語ります。

計算担当者が会計業務に専念できない原因には、電子カルテの記入事項の確認もありました。これについて植村氏は「例えば、ポリープの大きさが『2センチ以上』か『2センチ未満』かが、電子カルテの記述から読み取れない場合、担当の医師に電話をかけて確認しなくてはならなかったのです。また、内視鏡室、透析室、中央処置室、CT室など、部署によってカルテの入力方法が異なり、それによって計算処理に時間がかかることもありました」と具体例を挙げました。

そこで、電子カルテに必要な記入欄を新たに設けたり、それぞれの部署に入力方法を統一するよう呼びかけたりといった施策を実施しました。同時に、電子カルテシステムのマスターデータのメンテナンスも実施。データの整合性をきちんと取れるようにし、会計時の修正を省けるようにしました。

「こうした対策を立案・実施するにあたっても、FIerが、進め方やスタッフへの説明の仕方などについて適切なアドバイスをしてくれました。また、いろいろな部署に協力を求める際に提示するグラフなどを用いたデータ資料を作成してくれたのもありがたかったですね。口で説明するだけでなく、事実をデータできちんと示したほうが納得してもらえるし、共通理解も図りやすいですから」と國弘氏は語ります。

待ち時間が劇的に短縮

状況を分析し、改善を自律的に継続する体質が芽生えた

様々な施策を行なった結果、会計処理にかかる時間は劇的に短縮。8か月後には、目標としていた「会計待ち時間5分間」を達成しました。待ち時間に関する患者からの要望はなくなりました。また、診察が終わった患者はすぐに帰れるようになったことで、駐車場の渋滞も大幅に緩和されました。今回の活動は、患者の満足度向上に大きく貢献したといえます。前川院長は「課題をきちんと数値化したことで、現場がスムーズに動き出した。これはFIerに入ってもらわなくては実現できなかったこと。大変満足しています」と笑顔を見せます。

会計・精算待ち時間5分間プロジェクトの達成 改善活動の結果、会計・精算機待ち時間は、従来の17分から5分へと大幅に短縮。

また、活動を通じて得られた最も大きな成果は、「現場に改善の仕組みを作れた」ことと、「そうした改善を自律的に立案し、実施していく体質が芽生えた」ことです。この点について國弘氏は、「こういうことをコンサルタントに頼むと、『ではこうしましょう』という結果をもらって終わり、となりかねません。その点、フィールド・イノベーションは、データ分析の手法やアイデアも一緒に検討してくれて、自分たちの中にもノウハウをためることができた。この点が非常にありがたかったですね」と強調します。

より質の高い医療を目指して

看護師の業務改善など、次なる改善目標に取り組む

山口県立総合医療センターでは、今回の「会計待ち時間5分間プロジェクト」で得た知見・ノウハウを活用して、他の課題についてもフィールド・イノベーションによる改善活動に取り組んでいます。次は看護師の業務改善プロジェクトを予定しています。同センターでは、以前から看護師一人ひとりが日々、いつ、どんなことに時間を使っているか200項目に及ぶ業務量調査を行ない、詳細なデータを保有していますが、その活用が進んでいませんでした。「このデータを、フィールド・イノベーションの手法を使って解析・見える化して、看護師の業務効率化につなげたい。業務のどこに無理・無駄があるかを明らかにし、それを削減することで、看護師たちにとってより働きやすい職場環境を実現できると考えます」こう力強く語る前川院長。さらなる医療サービス向上に向けた山口県立総合医療センターの取り組みは、これからも続いていきます。

注記

(注)7対1看護体制:
入院患者7人に対して、常時看護師1人以上を配置するなどして、手厚い看護を行なう体制のこと。

お客様概要

山口県立総合医療センター 様

設立:1949年4月1日
診療科:26科
病床数:504床
URL:http://www.ymghp.jp/Open a new window

FIer

今回のプロジェクトを通しての感想

左から、伊勢田 衡平、前多 宏志 の写真今回のフィールド・イノベーションでは、データに基づいた、徹底的な事実の見える化にこだわった活動を進めました。見える化手法と結果を活動メンバーと討議し、病院の特性に応じて改善を繰り返すことで、山口県立総合医療センター様が期待されている『見える化』の結果が出せたと思います。改革意識の高いお客様でしたので、結果を示せたことで改善が加速したことを実感しました。さらにこのノウハウをお客様が自分のものとされ、改善を継続して進められることに関し、フィールド・イノベーション活動を通じてお手伝いができたことを、嬉しく思っています。

【導入事例(PDF版)】

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[2014年1月 公開]

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