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事例紹介 三菱化学株式会社 様

三菱化学株式会社 様 製造 生産

業務プロセスの標準化を追求し受注・出荷業務の最適化を実現

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三菱ケミカルホールディングスグループの一員として、多種多様な化学素材・機能商品を提供する三菱化学では、業務革新室を中心に全社的な業務改革活動を推進中です。この一環として、OPC(有機感光体)ドラムやトナーの製造・販売を手がけるイメージング事業部では、受注・出荷業務を担うデリバリーグループの業務改革を目指してフィールド・イノベーションを導入しました。フィールド・イノベータ(以下、FIer:エフアイヤー)と共に業務プロセス標準化やICT活用に取り組むことで、顧客満足度向上や業務効率化、スタッフの負担軽減など多くの成果を上げています。

INDEX
  • 1 業務処理の違いが課題に
  • 2 課題の明確化とプロジェクトの決定
  • 3 主要業務の効率化【1】
  • 4 主要業務の効率化【2】
  • 5 ICTの有効活用
  • 6 改革の成果をさらに拡げる
  • 7 お客様概要
  • 8 Fler プロジェクトの感想

業務処理の違いが課題に

担当者ごとに異なっていた受注・出荷業務プロセス

情報電子本部 イメージング事業部長 仙波 靖雄氏 の写真三菱化学の中で、複写機やプリンタに欠かせないOPCドラム、トナーなどの製品を担当しているのがイメージング事業部です。 イメージング事業部長 仙波 靖雄氏は「当事業部は日本、北米、アジアに工場を展開しており、そこで生産された製品を世界中の情報機器メーカーに供給しています。この分野ではお客さまのニーズが刻々と変化しますので、必要な製品を必要な時にお届けできるよう、グローバルSCM(注1)の最適化に力を注いでいます」と語ります。

こうした取り組みの先駆けとして実施されたのが、「デリバリーグループ」の改革でした。デリバリーグループは、フォーキャスト(需要見込)情報や確定受注情報の管理、納期管理、出荷指示など、顧客企業と工場をつなぐ業務を担当しています。

情報電子本部 イメージング事業部 事業企画国内営業統括マネージャー 兼 デリバリーグループ統括マネージャー 大倉 健氏 の写真そのデリバリーグループの業務プロセスには、多くの課題がありました。イメージング事業部 事業企画国内営業統括マネージャー 兼 デリバリーグループ統括マネージャー 大倉 健氏は「特に大きな課題だったのが、受注・出荷業務を担当するスタッフごとに業務の進め方が違っていたことです。各個人にとっては最適な方法であっても、もし誰かが休むと他の人では代わりが務まらない。このような業務プロセスは現場のスタッフにとっても大きな負担であり、残業時間の増加や派遣社員がなかなか定着しないといった課題につながっていました」と振り返ります。

業務革新室 業務改革グループ グループマネージャー 高谷 秀史氏 の写真こうした状況を打開すべく導入されたのが、富士通のフィールド・イノベーションです。業務革新室 業務改革グループ グループマネージャー 高谷 秀史氏は「他社の業務改革について調査をしていた際に、偶然フィールド・イノベーションを知りました。実際に導入した企業に話を聞くと、『現場起点の自発的な改善活動であり、その成果は非常に大きい』と評価が高い。そこで当社も、ぜひデリバリーグループの改革に活用したいと考えました」と説明します。

課題の明確化とプロジェクトの決定

デリバリーグループの業務効率化が改革のターゲットに

FIerは、まずデリバリーグループを含めた関連10部門のスタッフにインタビューを実施。そこで抽出された約120件に上る課題を、部門別・業務プロセス別に整理しました。これにより、プロセスごとに部門によってどのような課題認識があるのかを明確にしました。そして、個々の部門では把握しきれなかった課題をプロジェクトメンバー全員で話し合うことで、認識を共有していきました。

集中討議でプロジェクトを決定 インタビューによって洗い出された課題を基にメンバーによる集中討議を実施。その結果、主要業務の効率化とICTの有効活用が優先テーマに選ばれた。

インタビューによって課題認識を洗い出したFIerは、次のステップとして、デリバリーグループの現場観察、並びに工場への情報伝達の実態を調査。こうして最適な出荷業務の進め方を実現するために、改善すべき作業を絞り込んで行ったのです。

その結果、「1日の業務時間の中で『出荷管理表の作成』と『メールによる連絡』に最も多くの時間が費やされている」ということが分かりました。出荷管理表は、確定受注情報の管理や納期調整、出荷業務などに利用するもので、品名や価格、数量、納期、納入先など、顧客との取引に必要な情報が網羅された表です。現場のスタッフはこの表の作成や、それに伴う顧客や工場との連絡作業に日々追われていました。
また、同じ業務データを本社のシステムと工場のシステムに二重入力していることや、需要見込表および出荷管理表のフォーマットとその伝達手段が担当者ごとにバラバラで、重要な情報が的確に上手く工場に伝わっていないことも明らかになりました。

情報電子本部 イメージング事業部 デリバリーグループ 太田 里紗氏 の写真現場観察によって判明した事実の中には、スタッフに驚きを与えたものもあります。イメージング事業部 デリバリーグループ 太田 里紗氏は「私たちは、システムへの二重入力により多くの手間が掛かっていると思っていました。しかし現場観察の結果を見ると、実際には出荷管理表の作成に費やす時間の方が長いことが分かりました。自分たちの感覚ではなく、事実に基づいて改善を行うことの大切さに気付かされましたね」と語ります。

可視化により分かった事実 可視化によって3つの事実が明らかになった。デリバリーグループではこれらの事実を基にして、具体的な改善施策を展開していった。

さまざまな手法を用いた可視化の結果を基に集中討議を行った結果、「主要業務の効率化」だけでなく「ICTの有効活用」が重要であると気づいた同社では、2つのプロジェクトを起こし、活動に取り組みました。
「業務プロセスを改善するためには、システム面での対応も必要です。そこで、業務革新室では情報システム部門にもプロジェクトに加わってもらい、しっかりとメンバーをサポートできる体制を整えました」と高谷氏は説明します。

プロジェクト実行体制 プロジェクトには、デリバリーグループだけでなく本社事業企画部門や販売部門、工場、情報システム部門の社員もメンバーとして参画。全社を挙げて改革に臨んだ。

主要業務の効率化【1】

需要見込表を集約・統一しフォーキャストを的確に管理

三菱化学ハイテクニカ株式会社 小田原テクノセンター OPC製造部 製造1課 植松 浩二氏 の写真改善に向けて実施された施策の一つが、需要見込表の統一です。 工場で生産業務を担当する三菱化学ハイテクニカ株式会社 小田原テクノセンター OPC製造部 製造1課 植松 浩二氏は「以前は、需要見込表は製品や工場ごとに8種類の表に分かれ、且つ、月初と月中に2回送られてくる運用となっていました。工場ではそれらの表を何度も見比べながら、何が変わっていて、何が変わっていないのかを苦労して読み取っていました。また、情報伝達の手段もメールや電話、システム経由と担当者ごとに異なっていたため、必要な情報を素早く把握することが困難でした」と振り返ります。

しかし統一フォーマットにすべての情報を集約した結果、1枚の表を見るだけで的確にフォーキャストを管理することが可能になりました。お客さまから頂いた内示がその後どう変化したのか、計画値と実績の差はどれくらいあるのかといったことも、一目で分かるようになりました。

「需要見込表」の統一と改善
従来は複数のシートに分かれていた需要見込表を1枚に集約。フォーキャストの推移が一目で分かるようにした。

主要業務の効率化【2】

バラバラだった出荷管理表を共通化、同じプロセスでの業務遂行が可能に

さらに出荷管理表については、フォーマットの統一と情報伝達手段の標準化を実施しました。「実は以前の出荷管理表では、個々の担当者ごとに管理項目自体が異なっていました。人によって管理している項目もあれば、管理していない項目もあるといった状態だったのです」と太田氏は明かします。
そこで「そもそも出荷管理表とは何なのか」という原点に立ち返り、業務に本当に必要な項目は何で、それをどう管理すべきなのかを考えることで、スタッフ全員が同じプロセスで業務が行える環境を目指しました。
もっとも、いくら標準化のためとはいえ、単純に同じフォーマットを全員に押しつけたのでは逆効果になることも考えられます。たとえば国内向けの業務を担当しているスタッフにとって、輸出業務で使用する項目は不要です。そこで今回新たに作られた出荷管理表では、自分の業務に必要な項目だけをボタン1つで表示できるようにするなど、使い勝手を向上させる工夫も盛り込まれました。

また、情報伝達の仕組みについても、デリバリーグループと工場で共通に使用するファイルサーバを新たに構築し、データ保管方法などのルールも設定。これにより各自が業務に必要な情報をタイムリーに得られるようになりました。
「これまでは、それぞれのお客さまに特化した受注・出荷プロセスを担当者間で個別に引き継いできました。『ここは変えた方が良いのでは』と感じても、日々の業務に追われてなかなか手が付けられませんでした。しかしFIerの方々が私たちをフォローして、第三者視点で業務を整理してくださったことで、これまでの仕事の進め方が特殊であったことを痛感しました」と太田氏は語ります。

情報電子本部 イメージング事業部 デリバリーグループ 原 昌子氏 の写真また、イメージング事業部 デリバリーグループ 原 昌子氏も「以前は、隣に座っている人が、今は何の業務をしているのか分かりませんでした。しかしお互いの業務について話し合ったことで、グループ全体の中での自分達の役割や改善すべき点が見えてきました。出荷管理表が統一された現在では、誰でも業務の状況や、取るべき対応が分かります。もし担当者が不在だとしても、以前のように業務が止まってしまう心配はありません」と語ります。

ICTの有効活用

システム連携で二重入力を排除し、出荷指示業務の自動化を実現

業務プロセスを支えるICTについても、改善が加えられました。懸案であったデータの二重入力については、情報システム部門の協力を得てデータ連携ツールを開発。本社のシステムに入力したデータは自動的に工場のシステムに反映されるようにしました。 また、システム環境全体を見直した結果、従来は伝票を手書きしていた出荷指示業務を自動化できました。
高谷氏は「この改善は他工場の手法を取り入れることで実現しています。これまでは工場間が物理的に遠いこともあり、お互いに会話や情報共有を行う機会がありませんでした。しかし今回はそうした壁を乗り越え、一体となって改善に取り組むことができました」と語ります。
こうした数々の改善施策はデリバリーグループにおける「標準業務フロー」としてまとめられ、今後も継続的な運用が可能になっています。

業務システムの改善 本社システムと工場システムの連携ツールを構築してデータの二重入力を排除。従来は未使用だった機能を活用することで、出荷指示業務を自動化。

改革の成果をさらに拡げる

スタッフの残業時間を大幅に削減、国内外の拠点にも改革の取り組みを拡大

フィールド・イノベーション活動により、業務の効率化・標準化が進んだ結果、デリバリーグループの残業時間は約45%削減されました。輸出業務の委託先でも約15%の残業時間削減が実現しています。

情報電子本部 イメージング事業部 事業企画統括マネージャー 田邉 大地氏 の写真フィールド・イノベーションの成果は、事業部門や工場からも高く評価されています。プロジェクトのリーダーを務めたイメージング事業部 事業企画統括マネージャー 田邉 大地氏は「顧客と工場をつなぐデリバリーグループの業務改革は、我々にとっても積年の課題でした。主要業務の効率化やICTの有効活用が進んだことにより、課題であった業務の属人性も解消でき、お客さま満足度向上や機会損失防止に集中して取り組めるようになりました。スタッフの負担も大幅に減ったため、人材定着率も大きく向上しました」と語ります。

また、デリバリーグループの業務が改善されたことで、工場への情報伝達がスムーズになりました。その結果、リードタイムも短縮され、お客様からの要望や問い合わせにも、より迅速に応えられるようになりました。
生産業務を担当する植松氏は「工場においてはリードタイム短縮が重要なテーマですが、情報伝達のスピードと精度が上がったおかげで、原材料調達のタイミングなどを前倒しできるようになりました」と語ります。

このように、活動の成果が実感できたことで、現場スタッフに自律的な改善活動を進めていこうという意識も高まっています。太田氏、原氏は「上から言われてということではなく、ボトムアップで業務を変えていけるのがフィールド・イノベーションの良さ。自分たちもどんどん意見や提案を述べて良いのだという雰囲気ができましたので、今後も積極的に発言していきたい」と口を揃えます。同社ではこうした気運をさらに盛り上げるべく、改革を担う人材の育成にも力を入れる構えです。

さらにもう一つ見逃せないのが、今後に向けたビジネス戦略にも活動の成果が活かされている点です。
「業務プロセスの整理と標準化が実現できたことで、デリバリーグループの情報を戦略立案のための材料として利用できるようになりました。たとえば、本社部門でトレンド把握や今後の状況を予測するためのデータとして、以前は複数の情報を集めて加工、再集計していましたが、現在は需要見込表・出荷管理表の情報をそのまま活用しています。よりタイムリーに判断を下せるようになりました」と田邉氏は語ります。

同事業部ではこうした成果をさらに拡げるべく、改善・改革活動の横展開を進めていく予定です。仙波氏は今後に向けた意気込みを「グローバルSCMの最適化を目指すには、デリバリーグループの成果を他の国内や海外の拠点でも活かさない手はないと考えています。フィールド・イノベーションで得た経験やノウハウを、販売・生産の連携や在庫適正化を世界中で実現するための素材として使っていきたい。今後の富士通の支援に大いに期待しています」と語ってくださいました。

注記

(注1)SCM:
サプライチェーン・マネジメント

お客様概要

三菱化学株式会社 様

設立:1950年6月1日
資本金:500億円
従業員数:27,689名(2012年3月末現在:連結)
URL:http://www.m-kagaku.co.jp/Open a new window

FIer

今回のプロジェクトを通しての感想

左から松本 章男、佐藤 昌孝、藤田 一郎 の写真「お互いに課題認識を持ち業務を良くしたいと思っていながら、解決策を見出せずに悩んでいる」というのが、我々が最初に実施させて頂いたインタビューでの感想でした。
我々FIerは皆様の思いを一つにするために、課題認識の共有、事実の可視化、そして原点に立ち返って考えること、を様々なフィールド・イノベーション技法やフレームワークを用いてサポートさせて頂きました。業務の基幹を担うツールを改善し、ICTを有効活用して、組織を跨いだ業務全体の効率化を実現できたのは、各リーダーをはじめ、メンバーの皆さんの知恵と熱意があったからこそ、と感謝しています。
今後も業務革新室の皆様と一緒に、三菱化学様の全社的な改革活動を支援していきたいと考えております。

【導入事例(PDF版)】

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[2013年3月 公開]

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