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事例紹介 マルコメ株式会社様

マルコメ株式会社様 製造 生産

需給調整や資材調達など、生産管理業務を改革 組織横断的なフィールド・イノベーション活動が組織間の問題を解決し、在庫の削減や業務の属人化をなくすきっかけに

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味噌の製造販売で老舗大手であるマルコメ株式会社。味噌へのカップ容器採用やだし入り味噌をいちはやく発売するなど、日本の食文化づくりに貢献されてきました。近年は小型味噌汁サーバー「椀ショット」や、「塩糀」をはじめとする「プラス糀シリーズ」など、商品の幅を拡大しています。
しかし、調達や生産の計画が部門間で共有されておらず、商品や資材の種類の増加に伴い、それらの過不足リスクを抱えていました。それらを解決するため富士通のフィールド・イノベーションを導入、生産計画と資材調達に関わる一連の業務フロー改善に取り組み、効果を上げています。

INDEX
  • 1 更なる事業拡大に向けた取り組み
  • 2 4つの課題
  • 3 経験と勘が頼りの発注
  • 4 生産計画フォーマットを統一
  • 5 立案したデータを生産管理システムに直接投入
  • 6 参加組織の拡大
  • 7 業務効率化の活動は第2ステージに
  • 8 お客様概要
  • 9 FIer

更なる事業拡大に向けた取り組み

フィールド・イノベーションで、業務を徹底的に見える化

長野市に本社を置くマルコメ様は、安政元年(1854年)創業の味噌醸造の老舗。ちなみに1854年は、米国のペリー提督が再度浦賀に来航し日米和親条約を結び、英国やロシアの軍艦も徳川幕府に開国を迫るなど、幕末騒乱が本格的な幕開けを迎えた年でした。

常務取締役 生産本部 本部長 一條 範好氏長い歴史を持つマルコメ様、味噌の生産ではトップのメーカーです。しかし国内の味噌の消費量は、消費の多様化により年々縮小傾向にあるため、従来の味噌に依存するのではなく、液味噌や即席味噌汁、ディップソース、糀商品など商品の多角化や海外展開にも積極的に取り組んでいます。 「そうした事業拡大を推進するためのベースになる体制作りが、当社の課題になっていました」と常務取締役 生産本部 本部長 一條 範好氏は語ります。

マルコメ様では、そうした体制作りのためにも、情報システムを有効活用できるように業務を見直したいと考えていました。そこで富士通から3人のフィールド・イノベータ(以下、FIer:エフアイヤー)を投入しフィールド・イノベーション活動を開始しました。

FIerは、まず全社インタビューを実施し、各職場の業務の状況を把握しました。「熱心に調査、インタビューをしていた姿が印象的でした。こちらも年末を控えて忙しい時期でしたが、前向きに取り組むことができました」(一條氏)と言います。

4つの課題

生産管理業務の課題だった資材調達と生産計画フォーマット

インタビューの結果、マルコメ様の生産管理業務で4つの課題がみえてきました。これらの中でも経営に大きなインパクトを与える要素となっていたのが「調達リードタイムに対応した中日程計画に基づく資材調達」と「製品担当者それぞれが経験と勘で独自に作成していた生産計画フォーマットの統一と自動化」です。まずはこの2つをフィールド・イノベーション活動で解決し、他の2つはじっくり解決していく事としました。

4つの課題 「1 商品の販売特長に合わせた生産管理の構築」 「2 調達リードタイムに対応した中日程計画に基づく資材調達」 「3 担当者毎に異なっていた生産計画フォーマットの統一と自動化」 「4 製造能力の把握による計画実行力の向上」 インタビューから4つの課題を抽出

そこでマルコメ様では、プロジェクトチームを結成し、現場視察と並行して業務フロー図やデータから現状を見える化し、本格的なフィールド・イノベーション活動に着手しました。しかし活動が本格化した矢先、折しも活動メンバー全員でワークショップを実施しているまさにその時に東日本大震災が発生。その後、3か月の中断を余儀なくされました。

調達部 資材課 課長 樽井 謙治氏しかしその間も問題が発生していました。震災により国内のサプライチェーンが分断され、多くの産業で生産活動に影響が出ました。マルコメ様も例外ではなく、「パッケージが足りないという状況に直面しました。パッケージがなければ商品を生産できないのですが、どこをあたっても出荷できないという回答でした」とパッケージを含む資材調達を担当する調達部 資材課 課長 樽井 謙治氏は、当時の緊迫した状況を振り返ります。「しかしそれも5月の連休まででした。連休後は状況が一変し、生産と調達の調整に苦労した」と言います。震災という状況下で、確実な情報と物流体制を持ったサプライチェーンを確保することの重要性は、日本の産業全体の課題となりましたが、マルコメ様でも同様でした。そこで、活動メンバーは、資材調達の課題解決を最優先することとしました。

経験と勘が頼りの発注

資材の「不安発注」が在庫増加やロスの要因

震災によりワークショップを中断している間も、それまでの活動の知見から得られたデータを基に現状の見える化や在庫データの分析は継続しました。そして混乱が収まると、本格的にフィールド・イノベーション活動を再開しました。在庫シミュレーションや課題抽出、施策検討とそれらに対応した個別調査など、課題解決に向けた活動は深度を増しました。

執行役員 生産本部 副本部長 兼 製造グループ統括部長 冨永 聡氏課題としてあげられた資材調達では、従来は味噌のパッケージの発注にあたり、在庫切れを心配するあまり、担当者が経験と勘を頼りに多めに発注していることがわかりました。「味噌の主力商品の場合、パッケージの調達に数週間かかります。そのリードタイムで考えると在庫の確保に不安感を持っていました。そのため在庫が減るとメーカーに発注し在庫を積み増す、ということが常態化していました」執行役員 生産本部 副本部長 兼 製造グループ統括部長 冨永 聡氏は語ります。

しかも「パッケージの場合、商品名がプレプリントされて納品されるため、他に転用することができません。商品の改廃で廃棄に至るケースもあり、ロスにつながっていました」(樽井氏)。パッケージメーカーにとっても、マルコメ様向けの在庫を積み増せばメーカー在庫となり、反対に抑制すれば発注に対して十分な供給量を確保できない危険性もありました。さらに商品の改廃があれば、積み増した在庫を廃棄することになります。そうした過剰在庫も、原因は生産計画と資材調達管理の連携不足にありました。

これを解決するために、パッケージの発注状況と入荷状況を生産管理部門と生産現場で情報を共有することで在庫の状況が分かるしくみを作りました。

生産計画フォーマットを統一

生産計画の問題を抽出・整理するために問題点ネットワーク図を作成

調査・ヒアリングの結果、それらの問題を引き起こす要因としてFIerが着目したのは、生産計画立案は各製品担当者が独自のフォーマットで作成していること、商品によっては需要変動もあるが、生産変動も大きいこと、生産計画通りに生産できていない時期や品種があること、予実管理の不徹底、在庫切れ・在庫増に明確な時期があること、などでした。

生産管理部 生産管理課 課長 美谷島 裕明氏そうした問題が存在していたことで、「長年、生産計画を担当していれば、経験と勘で生産計画の立案と発注ができるのですが、担当者が変わると、経験がないために適切な計画が立案できなかったり、発注過多や在庫切れが発生したりしました。それが生産現場の負荷のバラツキにもつながっていました」と生産管理部 生産管理課 課長 美谷島 裕明氏は話します。

FIerは、資材発注の精度向上のためには、資材発注を生産計画からコントロールすることで、「不安発注」をなくすことが重要と判断しました。そこで生産管理部門のメンバーだけでなく需給調整や資材購買の担当者が集まって、ワークショップを開催。過剰在庫と在庫切れをテーマに、問題点ネットワーク図(注1)の作成に取りかかりました。

複数の組織が連携 生産管理部門のメンバーだけでなく、物流部、調達部の担当者も加わってワークショップを開催

そして「生産能力が正確に把握できないために、必要以上に生産してしまう」という現状が浮かび上がりました。それが過剰在庫を引き起こし、場合によっては廃棄ロスにつながっていました。また、在庫切れについては、営業・マーケティング部門からの大口注文や特売情報が生産管理部門にタイムリーに伝達されていなかったこと、原材料や資材の在庫数の精度が低かったこと、工場の生産能力や生産状況が営業・マーケティング部門と共有できていなかったこと、が明らかになりました。

情報システム部 部長 長澤 仁氏各担当者が生産計画を立案しているのですが、「それぞれが前年実績や過去データ、市場動向をもとにして計画立案しており、作成するフォーマットが担当者ごとに違っていました。その結果、各個人のフォーマットからシステムへのデータ入力や、生産結果や入庫データをシステムから個人フォーマットに転記する作業に時間をとられ、本来行わなければいけない市場の変化に対する生産計画への反映を行う時間が十分に取れずにいました。夜遅くまで業務に時間を取られる担当もおりました。」と情報システム部 部長の長澤 仁氏は話します。

物流部 需給調整課 課長 斉藤 憲治氏さらに大きな問題として物流部 需給調整課 課長の斉藤 憲治氏は、「各担当者がそれぞれのフォーマットで生産計画を作成していたため、担当者が異動した場合にそのノウハウが継承されていませんでした。また、異動の度にフォーマットが作り直されることで、業務の煩雑さがふくれあがっていました」と指摘します。

立案したデータを生産管理システムに直接投入

パッケージ在庫の40%削減と月150時間の工数削減を達成

こうした生産管理面での課題を解決するために、それぞれの課題に対して活動メンバーが施策を検討し、それぞれの課題解決の方向性を見出しました。

課題と解決策 課題に対して、活動メンバーが施策を検討し、解決の方向性を見出した。

成果は着実に表れています。需要予測から導き出した生産計画をベースとすることで、原材料やパッケージの過不足や急な発注が減少しました。また、中期的なパッケージの必要量をシミュレーションし、メーカーの生産着手時期を含めて在庫の最適化を図る仕組みを構築、情報システム部門がトライアル版を作るなどして活用しました。実際にこの仕組みを展開することで「商品によっては当社のパッケージ在庫が40%削減できました。当社だけでなく発注先メーカーの生産の効率化にも貢献しています。パッケージメーカーの生産計画サイクルと連動させることで、メーカーも生産計画を立てやすくなりました」(樽井氏)というように、社内外のサプライチェーン強化につながったといいます。

実際に社内の在庫保有量とメーカーの資材在庫量、仕掛量をグラフで見ることができるようにしたことで、必要な資材の保有量や調達可能時期が見える化され、過剰在庫が発生する原因となる発注点も従来に比べて30%下げることができました。

施策適用前後の在庫と効果 社内での保有量と、パッケージメーカーの保有量、仕掛量を同時に見られるようにし、在庫を適切にコントロールすることで、パッケージ在庫を40%削減

また、生産計画もフォーマットが統一されたことで、属人性を排除でき、「計画担当者の異動があっても問題なく引き継ぎができています。」(冨永氏)と言います。美谷島氏は、「生産現場からは計画から生産まで一貫性が出たことで、仕事が楽になったという反応も返ってきています」と変化の大きさを実感されています。同じように「情報システム部でもシステムの運用や企画といった本来業務のウェートを高めることができるようになりました」と長澤氏も語ります。フォーマットを統一したことで、大幅な工数削減につながっていることが「楽になった」という反応につながっているようです。

生産計画フォーマットの統一と自動化 生産計画担当者毎に異なっていた、生産計画フォーマットを統一し、生産実績を自動取込みすることで、150時間/月の工数を削減

参加組織の拡大

業務改革にむけて組織間の壁を越えた自由な意見交換

従来の手法に固執するのではなく、「業務改革のために第三者の意見を聞くことには、これまでにも積極的に取り組んできました」と一條氏は語ります。FIerをパートナーとして生産管理の改革を図ったのもその一環です。

冨永氏も、「今回、富士通のFIerが当社の業務を理解し、深く入ってもらったことで業務改革が実行できたと思っています」と振り返るとともに、「計画から生産管理、製造現場の効率アップだけでなく、副次的な効果にも注目しています」と話します。「生産管理部門からスタートして、製造部門だけでなく物流部需給調整課や調達部の資材調達課へとフィールド・イノベーション活動に関わる人が広がったことです。お互いに問題を出し合って改善すべきところは改善する。メンバーが率直に意見を出し合ったことで社内の組織間の壁がなくなりました」と、業務改革を通じて異なる組織の担当が顔を合わせて意見交換し、業務改革に向けたベクトルを合わせることで、組織縦割りではなく、横通しで自由に意見をぶつけることができたと振り返っています。

「最初は生産現場の反応はいまひとつだった感じがありました。しかし、改革に向けた取り組みのすそ野が広がっていく中で、本気で改革しようというモチベーションが高まってきました」(美谷島氏)と言います。

それぞれの部門で正当化されていた業務も、社内のサプライチェーンでは必ずしも正しい判断とはいえない場合が多々あります。今回のフィールド・イノベーション活動では、必要に応じて参加する組織のメンバーを広げたことで、問題点を共有し、それぞれの業務を見直すチャンスが生まれました。

「フィールド・イノベーション活動により、情報を出す側も受け取る側もそのデータが確かなものなのかという判断ができるようになり、お互いの合意形成が進んだと思います。それでデータをシステム的に連携して行くという方向性も見えてきました。これこそがまさに情報システム部が考えていた姿です」(長澤氏)。

業務効率化の活動は第2ステージに

活動メンバーへの更なる期待

一條氏は、「生産管理面での改革はこれで終わりではありません。今回のフィールド・イノベーション活動で関係部門の足並みを揃えることができました。それを次につなげていきたい」と意欲を示しています。味噌の国内消費量が縮減していく中、生産面での効率化は企業の成長に非常に重要です。

一條氏は、「今回のフィールド・イノベーション活動にとどまるのではなく、第2ステージとして、数値目標を掲げて改善に取り組んでいきたいと考えています。数値目標を定め、成果を数値化することで、確実に達成していくという段階に進むつもりです」と、今後の方向性を語ります。「すでにキックオフミーティングを開催し、社員にも、FIerにも、その意思は理解されているはずです。少なくとも今回FIerが入ったことで、次の段階につながるベースができたと考えています。第2ステージでは、数値目標としてより厳しい管理指標を目指すことになると思いますが、活動メンバーとFIerが一緒になって実現すると期待しています」(同)と、富士通のフィールド・イノベーションとそれを担う活動メンバーに高い期待を寄せています。

お客様概要

マルコメ株式会社様

創業:1854年
資本金:1億円
事業内容:家庭用・業務用みその製造販売、即席みそ汁の製造販売、スープ等原料の製造販売(ラーメンチェーン等)、加工品味噌の製造販売(対食品メーカー向け)、海外向け商品の開発
従業員数:395名
URL:http://www.marukome.co.jp/Open a new window

FIer

回を重ねるごとに皆さんの真剣さが伝わってきました

左から、横山 信久、米沢 祥二、寺井 博最初はFIerとは何だろうという思いもあったと思います。外部の我々が業務フローに大ナタを入れるわけですから、不安の方が大きいように感じました。しかしミーティングを重ねるごとに、マルコメ様の活動メンバー各人が「マルコメにとっての最適化するためにはどうしたらよいのか」という共通の思いを持って、真剣に我々の話に耳を傾けて頂けるようになり、それとともに議論も白熱し、自ら役目を担って前進して頂けました。我々は、そうしたマルコメ様の皆さんの変化が非常に嬉しかったです。皆さんがそれぞれに感じていた問題や改善点をだしていただき、皆さんで改善策を考えていただいたことで、大きな成果につながったと感じています。

【導入事例(PDF版)】

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注記

(注1)問題点ネットワーク図:
複雑に絡み合った問題の本質とその解決策を表した図

[2013年2月 公開]

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