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事例紹介 学校法人 東海大学 様

学校法人 東海大学 様 医療・教育 営業・サービス

大学図書館の原点に立ち返り利用者目線でサービス向上を目指す

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大学の基幹施設である付属図書館は、学生の学習・研究活動を支える存在です。より多くの学生に図書館を利用してもらうために、東海大学付属図書館では、フィールド・イノベーションを導入。フィールド・イノベータ(以下、FIer:エフアイヤー)と共に業務の改善・改革に取り組むことで、図書館利用率向上や貸出冊数の増加などを実現。ICTを利用者サービス向上に活かす取り組みも進めています。

INDEX
  • 1 図書館の利用率向上が課題に
  • 2 インタビューで課題を抽出
  • 3 利用者は図書館をどう見ているのか
  • 4 教員の声が改善のヒントに
  • 5 利用者目線でサービス改善に取り組む
  • 6 ICTを利用した意思決定プロセスの改革を推進
  • 7 根付いた継続的な改革体質
  • 8 お客様概要
  • 9 Flerプロジェクトの感想

図書館の利用率向上が課題に

「学びの場」としての図書館の役割を見つめなおす

少子化の進展や大学教育に対するニーズの多様化など、大学を取り巻く環境は大きく変わりつつあります。「文理融合」を教育理念として掲げ、全国10ヵ所のキャンパスを擁する東海大学でも、新学部の設置や九州東海大学、北海道東海大学との統合など、環境変化に対応してきました。こうした中、付属図書館においても、新たな課題への対応を迫られていました。

中央図書館 図書課 課長 三井 悟氏 の写真中央図書館 図書課 課長 三井 悟氏は「ICT化が進んだことで非来館利用が増え、ここ数年、図書館の利用者数、図書の貸出冊数は減少傾向にありました。学生の中には、3年生や4年生になってから、初めて卒論やレポートのために図書館に来る人もいるほどです。学生に対して学びの場を提供するのが大学図書館の役割ですから、こうした状況は望ましいものとは言えません。学生がもっと積極的に利用したくなるための取り組みが必要と感じていました」と説明します。
図書館が有効に利用されていない裏側には、業務のプロセスや仕組みの中に自分たちが気付いていない問題が潜んでいるのではないだろうか。そう考えた付属図書館では、富士通のフィールド・イノベーションに着目。FIerと共に改善・改革活動に乗り出しました。

東海大学様のフィールド・イノベーション活動の流れ 今回のフィールド・イノベーション活動は3期に渡り行われ、利用者サービスの向上を目指す取り組みを展開。

インタビューで課題を抽出

問題意識や業務に対する考えを共有し改善・改革に向けた気運を醸成

活動の最初の舞台となったのは、同大学の湘南キャンパスに位置する中央図書館です。図書約143万冊、雑誌約1万7千点、座席数約2千席の規模を誇り、東海大学全14図書館の中でも中核的な役割を担っています。
プロジェクトを担当したFIerは、まず図書館員の意識を把握し、課題を関知するためにインタビューを実施。もっともこの段階では、活動に対する館員側の戸惑いも少なくありませんでした。

中央図書館 図書課 システム係 係長 秋山 緑氏の写真中央図書館 図書課 システム係 係長 秋山 緑氏は「最初はフィールド・イノベーションがどういう活動なのか具体的に分からなかったので、館員の中にはインタビューで何を聞かれるのかとの不安感もありましたね」と振り返ります。
しかし、FIerのインタビューは、まずは現在の状況を把握し、そして仕事へのやりがいや目指したい姿を聴き、次に向けたステップにつなげていくことが目的であり、丹念に対話を重ねることで、次第に館員のフィールド・イノベーションに対する理解も深まっていきました。

中央図書館 図書課 システム係 望月 江梨香氏の写真中央図書館 図書課 システム係 望月 江梨香氏は「これまでも一人ひとりの館員にはさまざまな問題意識がありましたが、改善のための体制や期限が特にあったわけでもなく、なかなか形にはなりませんでした。それがFIerと話をしていくうちに、何にどう取り組むべきかという優先順位が明確になってきました」と話します。

中央図書館 図書課 システム係 岩崎 ゆかり氏の写真中央図書館 図書課 システム係 岩崎 ゆかり氏も「最初は正直不安でしたが、インタビューで漠然としていた業務に対する危機感が具体的な目標へと変わっていきました。また、できるところから始めれば良いというアプローチで接してもらったことで、少しずつでも改善を前に進めようというモチベーションも生まれました」と話します。

FIerは館員の考えや意見を基に、現状の問題点や今後取り組むべき課題点を抽出。これを全員で共有することで、次第に改善・改革に向けた取り組みが動き出しました。
「図書館員は専門職ですから、業務に対するそれぞれのこだわりや思い入れも強い。FIerはその奥底にあるものを丁寧に掘り出し、同じ方向性へとまとめていくきっかけを作ってくれました。これだけでも大変な成果だと感じましたね。自分たちだけの取り組みでは、とてもこうはいかなかったでしょう」と三井氏は語ります。

利用者は図書館をどう見ているのか

認知度/満足度アンケートにより改善すべき対象を絞り込む

取り組みの第一弾として、まず図書館利用者に対して認知度アンケートを行いました。図書館では、夏期休暇中の貸出冊数増加や卒論作成のための長期貸し出し、他図書館からの文献複写など、多岐にわたるサービスを提供しています。これらのサービスがどの程度利用者に知られているのか、また知られている場合はどこからその情報を得ているのかを明らかにし、図書館への期待やニーズをつかむことが目的です。

その結果見えてきたのは、「図書館は積極的にサービスに関する情報発信を行っているつもりなのに、意外と利用者に伝わっていない」という事実でした。アンケート結果を分析したところ、利用者の情報認知度は約34%に留まっていたのです。
「実際の認知度が我々の予想以上に低かったのは、やはり残念なことでした。ポイントの低かった項目については、早急な改善が必要と痛感しました。その反面、アンケートの回収率が非常に高かったり、感謝や激励のメッセージが寄せられたり、利用者の期待の高さも感じることができました」と秋山氏は語ります。

さらに第二弾として、図書館サービスに対する満足度アンケートも実施しました。このアンケートでは、湘南キャンパスだけでなく、全国10ヵ所のキャンパスすべてを巻き込んで行いました。
「本学では全国にキャンパスがあり、図書館サービスの内容も各キャンパスによって若干の差がありました。どのキャンパスに通っていようと同じ東海大学の学生なわけですから、全員に同じレベルのサービスを提供するのが本来の姿です。そこで、キャンパス横断的なアンケートを実施することで、サービスレベルの底上げや均質化に役立てようと考えたのです」と三井氏は説明します。

こうして実施された二つのアンケートから、活動メンバーは新たな気づきを得ました。
「まず認知度アンケートでは、先生方から図書館に関する情報を得た学生や、図書館ガイダンス(注1)に参加した学生ほど、サービス内容の認知度が高いことが分かりました。また、満足度アンケートでは、個々の項目の満足度にはバラツキはあるものの、全体としては図書館員の対応が良いほど満足度が向上することが分かりました」と望月氏は語ります。

全キャンパスを対象にしたアンケートから見えてきたこと

教員の声が改善のヒントに

図書館ガイダンスの内容を見直し、要望に応じてカスタマイズ

図書館ではこれらの結果を受けてワークショップによる議論と検討を重ね、教員との連携強化やガイダンスの改善などさまざまな施策を進めていくことになりました。

まず情報伝達ルートで要となる教員との連携強化に取り組みました。教員自身にとって図書館の蔵書やサービスを教員にとっても満足度の高いものにすれば、学生への紹介につながるという思いがあったからです。しかし教員との連携を進めていく上では一つのハードルがありました。もともと窓口係の一部の館員以外は教員との交流が少なく、どのようにして意見や要望を聞き出せば良いのか分からなかったのです。そこでFIerがメンバーに対して、インタビューを行う際の手法や心構えをアドバイスし、教員とスムーズに話せるよう後押しをしました。

ワークショップ実施風景 フィールド・イノベーション活動に参加したメンバーが業務の課題や改善策などを積極的に話し合い、具体的な行動へとつなげていった。の写真

「先生へのインタビューには聞き役、書記役の最低二人で臨むと同時に、できるだけ多くの館員に担当してもらうようにしました。今までは研究室を訪ねる機会もほとんどなかったので、最初は気後れする面もあったと思います。しかし実際に話をしてみると先生方も非常に協力的で、図書館に対するさまざまな声を聞かせてくださいました。図書館と先生方との間につながりが生まれたことは、私たちにとっても大きな財産になったと思います」と秋山氏は話します。

インタビューを受けた教員からは、もう一つの施策である図書館ガイダンスの改善についても「1年生からデータベースの使い方を教えて欲しい」「論文の探し方や取り寄せ方を教えて欲しい」など、数多くの要望が寄せられました。その中には、非常にレベルの高い要求もありました。

「本学の学部・学科の中には、まとまった書籍や文献の少ない研究分野を取り扱っているところもあります。こうしたところでは、いろいろな資料の中から学習・研究に必要な情報を探し出してくる必要があるため、より突っ込んだ図書館の利用法を教えて欲しいとのご要望を頂きました」と岩崎氏は説明します。

図書館では、このような教員の期待に応えるべく、早速ガイダンスの内容や体制の見直しに取りかかりました。
これまでは担当していなかった館員でもガイダンスを行えるよう、人前での話し方研修などを実施。また、要求レベルの高い学部・学科については、通常は授業1コマ分のガイダンス時間を2コマに増やして詳しく説明を行うなど、カスタマイズの要望にも応じるようにしました。
こうした取り組みや、それらをホームページ等でしっかり発信することにより、ガイダンスを希望する教員も次第に増え始めました。その結果、以前は年間60回あまりだった実施回数が100回以上へと大幅に増え、参加者も約1,600名から約2,800名へと伸びたのです。

認知度向上に向けて実施した活動 アンケートによって明らかになった事実を基に、「教員との連携強化」「図書館ガイダンスの充実」「情報発信力の強化」の3点を重点施策として進めていった。

利用者目線でサービス改善に取り組む

窓口対応のレベルアップとニーズに合わせた利用ルールの見直し

さらに、満足度アンケートの結果を受けた活動として、館員の窓口対応に関してレベルアップを図るためにはどうしたら良いのか、館員全員が問題意識をもち協議しました。その中で取り組んだのが、指針となる「図書館サービスガイドライン」の作成です。ここではFIerによる現場観察の結果なども参考にして、基本的な軸となる骨子をまず作成。そこにワークショップで出された意見なども盛り込むことで、“「してあげる」のではなく、「仕方をアドバイス」する”“利用者からどう見られているか常に意識する”など、全部で8項目のガイドラインを設定しました。

「普段は窓口に出ることの少ない館員でも、ガイドラインを見れば適切な対応が行えます。一見当たり前のようなことも含まれているのですが、窓口のクオリティーを保つためにはいずれも大事なことばかりです。そのことを改めて認識する上でも、大きな効果があったと感じています」と岩崎氏は話します。
中央図書館では正規の職員の他に臨時職員や勤労奨学生など、さまざまな立場の人が働いているため、以前は対応にバラツキが生じる場面もありました。しかしガイドラインをベースにした職務を行うことで、こうした問題もなくなりつつあります。

サービスガイドラインの作成 満足度向上を図るためのサービスガイドラインを新たに作成。これを参考にすることで、窓口係以外の館員が対応を行う際にも、均質なサービスが提供できるようになった。

また、図書館では、ガイドラインに基づいたサービスへの満足度を向上させる施策の一環として、これまで禁止してきた図書館内へのペットボトルやカバンの持ち込みも出来るようにしました。
「従来の活動は施設管理や教育指導的な観点から行うことが多かったため、どうしても禁止事項が先に来る傾向がありました。しかし活動を推進していくうちに、『利用者目線でのサービスになっているだろうか』と原点に立ち返ってみたのです」と望月氏はその理由を説明します。

管理面に重点を置いた従来業務では、利用者の快適性や利便性にまで思い至らない面があったと館員の皆さんは振り返ります。フィールド・イノベーション活動を通して客観的な評価を把握したことで、利用者視点でのサービス向上こそが真の業務改善に欠かせないという気づきが生まれたのです。

ICTを活用した意思決定プロセスの改革を推進

貸出データの分析結果を選書や複本購入に活かす

人の意識が変わり、業務プロセスの改革を進めていく中で、ICT活用の重要性が再認識され、現在は意思決定プロセスの改善に取り組んでいます。
「近年では図書や雑誌などの紙媒体だけでなく、各種データベースなどの電子媒体も図書館の重要な情報資源になっています。しかし、新たな媒体が増えたからといって、予算がその分増えるわけではありません。限られた予算の中で、教員や学生に必要な資料を揃えていくためには、実際の利用動向をきちんとデータで把握する必要があると考えました」と三井氏は説明します。

そこで富士通の図書館パッケージ「iLiswave-J(アイリスウェーブ・ジェイ)」(注2)に蓄積されている貸出データに目をつけました。これを利用して学部ごとの貸出冊数や一人当たりの貸出冊数を割り出してみたところ、学部・学科によって利用状況に大きな差があることが分かりました。また、過去5年間の受入れ図書の年別貸出数の推移や、過去10年間、貸出のなかった図書の調査などから、今までは分からなかった事実も見えてきました。現在、図書館ではこうした分析データを業務に活かすための取り組みを富士通のSEとともに推進中です。
「得られたデータや分析結果を、選書や複本(注3)購入、不要図書の廃棄などの意思決定に反映させることで、利用者の利便性向上と図書館運営の効率化を両立させていきたい」と三井氏は語ります。

学部や書籍分類毎の貸出冊数などを詳細に分析 iLiswave-Jに蓄積されたデータを基に貸出状況を分析。今まで気付かなかった事実が見えてきた。

また、ICTの面でもう一つの取り組みとして、蔵書検索端末の改善も進めています。
「学生の図書館学習を支援する重要な機能と注目した一つが蔵書検索です。せっかく図書館を利用しても検索端末を充分に使いこなせず、豊富な蔵書の中から目的の図書までたどりつけないケースが見られました。学生インタビューの結果から、蔵書の検索結果と、その後の学習意欲に関連性があることが分かっていたので、改善の必要があると感じました」と望月氏は説明します。
この取り組みでは、PCVA(注4)による端末操作状況の調査やFIerによる現場確認などを実施。これを基に端末のメニューや使い勝手の改善に役立てていく予定です。さらに、「iLiswave-Jには、いろいろな情報がデータとして蓄積されているが、使いこなせていなかった。今後はこれらのデータを有効に活用し、様々な改善活動につなげていきたいと考えています。」と三井氏は語ります。

根付いた継続的な改革体質

利用者数と貸出冊数が増加、理想の図書館を目指し活動を継続

3年間にわたる活動を通して、図書館は大きな進化を遂げました。減少傾向だった利用者数と貸出冊数が増加に転じ、業務改善に対する取り組みにも継続して積極的に取り組んでいます。

長らく減少が続いていた入館者数と貸出冊数だが、フィールド・イノベーション活動に取り組み始めてから上昇に転じた。

「一部の館員だけでなく、図書館全体でサービスを変えていこうという機運が生まれたことが大きな成果だと感じています。たとえば、初期には先生方との連携にチャレンジしましたが、今度は学生たちと一緒に何かできないか模索する動きも出てきています。こうした改善活動を自発的に進めていこうという姿勢に変わったことは、今までにない変化と言えるでしょう」と秋山氏は語ります。

また、今回の活動の過程で、学内におけるコミュニケーションも、より緊密になっていきました。普段はなかなか顔を合わせることのない他キャンパスの図書館員とも一緒に仕事する機会が出来たり、キャリア支援センターと共同でデータベース講習会を始めたり、といった新しい試みにつながりました。

「フィールド・イノベーション活動に取り組んだことで、『教員や学生のためにサービスを提供する施設』という図書館の原点に立ち返れたように思います。また館員は同じメンバーでも、学生は4年で変わっていくので、改善を繰り返し、きちんと継続していくことが重要です。今後も、教員との連携や、学習意欲の向上につながる選書、さまざまなデータを活用した状況把握といったサイクルを廻し続け、理想の図書館を目指していきたいですね」と三井氏は抱負を語ってくださいました。

お客様概要

学校法人 東海大学 様

所在地:神奈川県平塚市北金目4-1-1(湘南キャンパス)
創立:1942年12月
学部数:23学部
学生数:28,292名(2012年5月現在)
URL:http://www.u-tokai.ac.jp/Open a new window

FIer

今回のプロジェクトを通しての感想

後列左から、矢島 孝行、稲葉 実 前列左から、松岡 潤二、井出 浩之、貝谷 紀和の写真フィールド・イノベーションで大事なことは、お客さまの業務内容と業務に対する思いをしっかりと理解することです。そこで今回のプロジェクトでは、我々FIerも図書館業務や司書資格について勉強しました。そうした取り組みを通して図書館の奥深さを知ったことが、「図書館の魅力をもっと先生方や学生たちに知って欲しい」という図書館員の方々の思いを形にする上で役立ったのではないかと感じています。近年、大学では資料の電子化が急速に進み、大学図書館のあり方も大きく変わろうとしています。今後はそうした先進的な取り組みについての知見も深め、人・プロセス・ICTのすべての領域で、次世代の図書館を目指す活動をご支援していきたいと思います。

【導入事例(PDF版)】

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注記

(注1)図書館ガイダンス:
新入生等に対し、図書館の利用方法や文献の探し方、データベースの活用法等について説明・紹介する場。東海大学では毎年春と秋に行われている。
(注2)「iLiswave-J」:
富士通の大学図書館業務パッケージ。
(注3)「複本」:
図書館で利用機会の多い書籍などを複数所蔵すること。
(注4)「PCVA」:
PCの操作ログを詳細に取得し、集計・可視化するソフトウェア。

[2013年1月 公開]

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