2016年2月に新庁舎による業務を開始した呉市様は、総合窓口の開設を目指して「MICJET MISALIO 住民情報ソリューション」を導入。これまで市特有の事務運用に沿ったカスタマイズをかけてきた住民記録システムの刷新と総合窓口システムの構築を実施されました。その経緯やシステム選定で重視されたポイント、今後の取り組みについて、呉市様に詳しくお聞きしました。
[ 2016年4月1日掲載 ]
業種 | 地方自治体 |
---|---|
ソリューション | 住民情報ソリューション |
製品 | MICJET MISALIO 住民情報ソリューション |
2016年4月1日から中核市に移行する呉市様は、広島県では広島市、福山市に次ぐ3番目の人口規模を誇ります。すでに施行時特例市として県から約8割の項目で事務の移譲を受けていますが、今後その範囲が広がりさらなる住民サービスの向上が期待されています。
時を同じくして2016年2月に新庁舎での業務を開始。住民サービス向上のための窓口のワンストップサービスの導入、高い耐震性のある防災の拠点、市民主体のまちづくりを実践する拠点を目指し建設された新庁舎ですが、その一環として、既存の住民記録システムの再構築も含めた窓口支援システムを導入されました。
今回のシステム選定においては、過去の法改正時の改修対応に苦慮した経験や今後のマイナンバー制度対応を見据え、極力カスタマイズをかけることなく運用していけるシステムを選定するという方針のもと、「MICJET MISALIO 住民情報ソリューション」を採用いただき、業務の効率化と住民サービスの向上を実現されています。
1 | 窓口支援システムを構築し、担当者の業務熟練度等に依存した窓口運用を改めるとともに、住民サービス向上を目指したい |
|
ライフイベントにかかる手続きの流れや必要な書類等を担当者へ案内でき、住民の方には手続き案内や4情報をあらかじめ印字した申請書をお渡しできるようになった。
豊富なパラメーター機能を用い、さらなるサービスレベルの向上に期待している |
2 | マイナンバー制度を見据え、極力カスタマイズをかけることなく運用できるシステムを導入し、法改正対応への職員負荷と改修コストの軽減を図りたい |
|
カスタマイズしなくても、パッケージ標準機能を活用して運用ができるようになり、法改正対応時のコストが削減できた。また、機能性、操作性が良くなったことで、操作に関する問い合わせや入力ミスが減り、作業効率が向上した |
3 | 住民記録システムと住基ネット間の連携不具合等で発生しているデータの不整合が課題。このままでは将来のマイナンバー対応に不安があった |
|
富士通にて不整合データの洗い出しを実施し、「MICJET MISALIO 住民情報ソリューション」稼働時には不整合なしの状態にできたので、マイナンバー対応への不安も払拭された |
企画部 情報統計課 課長
森下 益生 氏
呉市では、老朽化する本庁舎の建て替えが長年の懸念事項となっていました。課題の一つが窓口の分散化で、本庁舎と福祉担当部署の建物が離れており、来庁者に往来を依頼せざるを得ない状況でした。そんな中、2011年に呉市新庁舎建設基本方針が策定され、この中で「総合窓口」の設置が決定されました。ライフイベントに関連する手続きをワンストップで提供することで、市民の皆様へのさらなるサービス向上を目指しました。
その運用をICTでサポートするため、窓口支援システム構築に向けて始動したのです。
当初は既存の住民記録システムをベースに窓口支援システムを構築する予定でしたが、それには課題がありました。
以前の住民記録システムは業務に合わせたカスタマイズを重ねており、大きな法改正のたびに不具合が散見されるようになりました。また、住基ネット(住民基本台帳ネットワークシステム)からのデータ取り込みが適切に行えず、主管課である市民窓口課の職員が修正する等、事務負荷が大きくなっていました。目前に迫っていたマイナンバー制度という大きな法改正に対して、既存の住民記録システムを対応させることに大きな不安を抱えていました。
そこで、窓口支援システムを構築するにあたり、その根幹となる住民記録システムをあわせて整備しようという方針が固まりました。
企画部 情報統計課
グループリーダー
池田 正和 氏
極力カスタマイズをかけることなく運用していけるシステムを選定する、ということを基本方針としました。
前述のとおり、法改正対応に伴い市民窓口課職員の事務負荷が増加し、その負荷を一掃したいという強い思いがありました。
そこで、新システムの選定にあたっては、本市の運用に近い機能を、パッケージが標準で有していることを重視することとしました。
主に3つの理由があります。
特に 3. が決め手でした。我々は、システムの内容以上に、共にシステムを構築していく「人」を重視しました。プレゼンテーションの際に「呉市のために一緒にシステムを作っていきましょう」という言葉をいただき、このSEの方と一緒にプロジェクトを進めていきたいという思いが強くなりました。
企画部 情報統計課 副主任
平賀 英司 氏
実は、税や国保など他業務システムと住記の異動データ連携の洗い出しと、その対応などで予期せぬ作業が発生しました。構築開始前に既存システムのデータ連携等の状況をあらかじめ調査していたのですが、マルチベンダー環境だったこともあり調べきれない部分がありました。そのためシステム構築開始後に連携先が次々に発見されたのですが、そのたびに連携する他ベンダーとの協議にもSEの方が同席し、時間をかけて課題を解決してくれました。呉市の運用上の課題についても、SEの方と主管課の双方が共有し、呉市の運用を大きく変えることなくパッケージ機能を最大限に活かす方法について時間をかけて協議しました。
また、市民窓口課で呉市の運用に即した独自操作マニュアルを作成しました。現在も、市内に17カ所ある市民センターからの意見等を取り入れ継続的に改訂しています。
「MICJET MISALIO 住民情報ソリューション」導入後、誤入力が減り職員のデータ修正に要していた時間も激減しました。これは、システムの審査機能で窓口運用を二線式に変更できたことと、システム操作が容易になったためと考えています。
各種操作が非常に速くできるようになり、作業効率が上がりました。各市民センターからの問い合わせも減り、結果、窓口対応に専念できる職員が増え、市民の皆様へのサービス向上につながっています。
第一に、システム導入の目的・デメリットをきちんと職員に説明するということです。
システム導入の目的を、「初任者であっても、手続きもれなくワンストップサービスを提供できるようにする」と設定しました。一方で、事務に慣れた職員はシステムを使用することにより、事務の手間や所要時間が増えることが懸念されました。
そこで、操作研修の冒頭で、システム導入の背景を説明する時間を取りました。職員の手間や1件当たりの所要時間は増えるかもしれないが、手続きもれによって生じる来庁者の不利益をなくしたいという目的のために協力してほしいと説明することで、窓口に立つ職員の理解を得られるよう心掛けました。
第二に、表示される文言一つひとつへのこだわりです。
システムの構築にあたっては、市民窓口課と各担当課が協議を進めました。一つの業務についてナビゲーション画面を作成するにしても、市民窓口課・各担当課、そして各市民センターの立場で様々な思いがあり、画面上どのように見えるかもあわせて考慮しなければなりませんでした。SEの方に相談をしたところ、レイアウト変更等の対応をしてくださり、表現の幅を広げることができました。
最終的には、来庁者の方にお渡しする資料にどのような形で表示されるかを重視して、職員間の協議を進めていくことができました。
新庁舎開庁と同時の稼働でしたが、混乱なく事務を進めることができています。4情報を印字した帳票出力や手続きの最後にお渡しする案内表などが来庁者に好評です。
システムを操作するにあたって、来庁者への聞き取りの重要性が再認識され、より丁寧な窓口対応につながっています。
現在、窓口支援システムを使用しているのは市民窓口課および各市民センターの職員ですが、今後、使用する範囲を福祉部署の職員にも広げていきたいと考えています。例えば、手続きが未完了の方が後日、福祉担当部署に来庁された際に、福祉担当職員も窓口支援システムで対象者を検索、状況を確認して「手続きはすべて完了しています」「まだ他の手続きが残っていますので、担当窓口をご案内します」というご案内ができるように、総合窓口の範囲を広げていきたいというビジョンがあります。そのために市民窓口課、福祉部署の職員間で協議を行い、システムへの理解を深め運用アイデアを広く求めていく予定です。
また、呉市のシステムはマルチベンダーであるため、自動判定機能などを十分に活かしきれていません。そこで、各ベンダーの持つ情報を共有ライブラリで整理し、窓口支援システムに反映させていく予定です。SEの方が連携する他ベンダーとの協議にも時間をかけて課題解決してくださり、適用開始のめどが立っています。
法改正や制度改正等にも、富士通からの情報提供といったサポートのもと、迅速かつ的確に対応できる体制づくりを進め、市民の皆様からのご期待に応えられるよう、情報基盤をさらに充実させていきたいと考えております。
前列左より 呉市 森下氏、池田氏、平賀氏
後列左より 富士通 福富、堺
所在地 | 広島県呉市中央4丁目1番6号 |
---|---|
代表者 | 呉市長 小村 和年 |
人口 | 232,925人(2015年12月末日現在) |
世帯数 | 111,204世帯(2015年12月末日現在) |
職員数 | 2,093名(2015年4月1日現在) |
ホームページ | http://www.city.kure.lg.jp/ |
呉市のご紹介 |
広島県の南西部に位置した呉市は、瀬戸内海で一番長い海岸線を有し、戦前から海軍とともに栄えてきたまちであり、現在では海上自衛隊のまちとしてはもちろん、瀬戸内海の多島美など様々な魅力に溢れたまちとなっています。
|
本事例中に記載の肩書きや数値、固有名詞等は掲載日現在のものであり、このページの閲覧時には変更されている可能性があることをご了承ください。