東広島市様
IPKNOWLEDGE 内部情報ソリューション

紙の使いやすさを電子で実現することで
財政会計審査業務を100%電子化

東広島市役所 庁舎外観

広島県東広島市様は、長年にわたり運用を続けてきたシステムを更新。IPKNOWLEDGE 財務会計、庶務事務、文書管理、そして電子決裁を導入し、事務作業負荷の大幅軽減を実現しました。導入においてこだわったのは、「完全電子化」でした。決裁については、添付文書の原本保管の考え方や添付する文書のルールを見直し、最上層部における柔軟な運用により円滑に電子化を実現。財務会計の審査業務については、紙の使いやすさを電子で実現したチェック画面を作り込むことで、完全電子化に成功しました。

課題
効果
課題全業務の完全電子化を進め、業務における無駄を省き効率化したい
効果文書管理をシステム化。同時に庶務事務、財務会計の一部にとどまっていた電子決裁を全業務に拡大。決裁ルートの作成、決裁確認方法を共通化。合議や支所から本庁への決裁が迅速化した
課題財務会計審査の正確性を担保しつつ、同業務を効率化したい
効果複数の審査担当者が手書き感覚で審査項目をチェックできる機能、審査画面と添付文書を並べて表示する機能を作り込み、審査の完全電子化による業務効率化を実現した
課題出納業務において、手作業で行っている財務伝票の確定処理作業および支払済伝票の並べ替え作業における伝票紛失や確定処理漏れをなくし、効率化したい
効果 財務伝票の電子化により、1~2時間の確定処理作業が5分に短縮。支払済伝票の並べ替え作業が不要になり、作業スペースおよび職員一人分の作業が削減した

旧システムの課題点

旧システムの運用状況、および課題点等についてお聞かせいただけますか

長年運用を続けていたホストをクライアントサーバ方式のシステムに入れ替え始めたのが平成17年、1市5町の合併時です。平成20年以降はマルチベンダーによりオープン化を進めながら、常に業務に徹底フィットさせたシステムを目指してきました。その結果、使いやすさでは申し分のないシステムだったのですが、制度改正対応時の検証工数の増加、改修コストの高止まりといった課題が顕在化してきました。また、職員のスキルの観点からいえば、自らシステムを独自開発するレベルにあったのですが、職員の世代交代とともにそのレベルの維持が困難になっていました。旧システムは庶務事務および財務会計の一部についてのみ電子決裁を行うシステムでした。

新システム移行に踏み切った契機は何だったのでしょうか

全業務の電子化推進がいちばんのポイントでした。その目的はワークスタイル変革を実現することです。すでに知られるように、今後も自治体職員数は減員していきます。しかし住民サービスは多様化、複雑化しています。サービスレベルを維持していくには、いつでもどこでも効率的に業務を遂行できる環境、特に電子文書を中心にワークフローを展開していくシステムが必要です。しかしながら旧システムでは、電子決裁実施は庶務事務と財務会計の歳入にとどまっていましたし、文書管理はファイルサーバに文書を格納し、決裁は押印という運用で対応していました。

これらの課題をはじめ、全業務の電子化が実現すれば業務の効率化、スピードアップにつながることは見えていましたが、財務会計の審査における正確性の担保が難しく、これがネックとなって電子化が進みませんでした。また、原本管理を紙という物理空間ではなく、財務システム内の情報空間で行うことを決定するまでの議論に時間が掛ったことも電子化を遅らせていた要因でした。

東広島市 政策企画部 市政情報課 参事兼情報戦略室長兼情報管理係長 橋本 光太郎 氏の写真東広島市 政策企画部
市政情報課
参事兼情報戦略室長兼
情報管理係長
橋本 光太郎 氏
東広島市 会計管理室 会計課 出納係 主査 宮本 伸尚 氏の写真東広島市 会計管理室
会計課
出納係 主査
宮本 伸尚 氏
東広島市 政策企画部 市政情報課 主任主事 新谷 裕貴 氏の写真東広島市 政策企画部
市政情報課 主任主事
新谷 裕貴 氏
東広島市 会計管理室 会計課 出納係 主事 温井 宏樹 氏の写真東広島市 会計管理室
会計課
出納係 主事
温井 宏樹 氏

IPKNOWLEDGE採用理由

富士通IPKNOWLEDGEの採用に至った理由についてお聞かせください

富士通の紹介により、すでにIPKNOWLEDGEによって決裁の完全電子化を実現している他市の事例を、この目で確かめられたことが大きな採用理由です。それまで、決裁は電子で行っているものの、添付文書は紙で回送しているといった一部のみ電子化の事例は耳に入っていました。しかし当市は決裁も添付文書もすべて電子化することにこだわりました。依然として紙が添付文書として回っていくと、今までと変わらない運用であり効率化したとはいえないし、そのために多額の予算をかけるのは税金の無駄遣いだからです。

ネックとなっていた審査の電子化については、審査項目のチェックを入れる画面により従来の手作業によるチェックを電子化できること、そして画面と添付書類のpdfを1画面に同時表示しチェックできる見やすさを実現できるとのことで採用となりました。また、長年にわたりシステムを業務にフィットさせるよう、職員がAccessやExcelなどで作り込んでいたツールを新システムで全てカバーしますと断言頂いた点を高く評価しました。

導入に際しての工夫/導入効果

<電子決裁>

電子決裁の導入にあたり、どのようなご苦労があり、それをどう解決なさったか、お聞かせいただけますか

電子文書を原本とみなすことについて合意しておく必要がありました。所管部門がそれぞれ電子決裁導入にあたって検討した内容をもちより、部局長や副市長へ合意形成を図っていきました。財務会計については、既に歳入関連の文書を電子で保存していたので、歳出等の文書においても電子文書を原本とすることは違和感なく合意に至りました。文書管理については、完結処理を実施した電子文書は、一般職員には変更できないため、原本とみなして問題はないということで合意し、電子化に踏み切ったのです。

実際に、当初予想していた、添付文書をスキャンして電子化することの負担は想像ほど大きくありませんでした。既に各課へは複合機が展開されており、スキャンした文書はそのままファイルサーバに格納される仕組みがあったからです。あらたに必要になったのはルール化です。例えば、特別職や部局長などの幹部職員に対して、決裁時に説明を行う場合でも文書の印刷は必要なものだけに絞る、大判図面などサイズやボリュームのある添付文書は紙文書の添付とするといった新たな運用ルールを策定しました。これらルールについては、研修会で周知するとともに、職員目線の手引書を作成しました。

反省するべき点としては、電子決裁機能の要件定義、詳細設計等の段階で、財務、文書、庶務のチームがどうしても別々に打ち合わせ等を重ねるため、横断的な判断が十分でなかったことです。担当者レベルだけでなく、もう少し決裁者レベルの視点を入れるべきだったと感じています。そのため、運用開始後いくつかの改善要求が生じました。

IPKNOWLEDGE 電子決裁システムを導入し、どのような効果が得られましたか

まず文書、財務、庶務の各業務における決裁ルートの作成、決裁確認方法が共通化し、起案者と決裁者双方の負担が軽減しました。決裁者の在席状況にあわせて文書を持ち回る時間もなくなり、とくに合議等の決裁や支所から本庁への決裁が迅速化しました。決裁者にとっても、空いている時間に効率的に決裁できるようになったわけです。

<電子審査>

電子審査の導入にあたり、どのようなご苦労があり、どう解決なさったか、お聞かせいただけますか

紙と電子、それぞれのメリットを活かした審査機能を徹底的に追求できるかが電子審査実現の鍵になると考えました。そこで、審査画面と添付文書を横に並べて表示する機能も作り込みました。これらの機能によって紙と電子の使いやすさを兼ね備えたシステムになると確信していました。また、自分がどの項目をチェックしたかがひと目で分かるように、チェック項目を縦に並べ、それぞれにチェックボックスを設け、手書き感覚でチェックマークを入れるという画面を作り込んだのです。ほとんどの添付文書がA4であり、原寸より小さな表示では見にくくなることから、電子審査部門にはA4を100パーセント表示できる大型ディスプレイを導入しています。さらに、使い慣れた押印決裁につい流れてしまうことがないよう、システムで押印決裁モードの選択を不可とし、完全電子化を実現しています。10年後、インプット情報も電子化が進んでいくことが想定される中で現在と同じ紙での審査をしていていいのかと問題提起し、電子化により改善される点や紙に近いイメージで電子運用が行える点を上司だけでなく担当者一人ひとりへ説明し、合意形成を図っていきました。

電子審査導入によるメリットについて、お聞かせいただけますか

4重の体制で臨んでいた審査業務を、要望どおりの審査画面を備えたシステムで処理することで電子審査業務が実現しました。

飛躍的な業務効率化が実現したのは出納業務です。従来、出納部門は審査終了後の確定処理において、多いときで日に1千枚以上の紙伝票を1枚1枚バーコードでシステムに読み込み、さらにExcelにも打ち込み、両方の結果が合っているか1~2時間かけて確かめていました。結果が合わなければ、再び伝票を1枚ずつチェックする作業になることもありました。これらの作業がシステム化により5分で終了、バーコードで読み込む作業もチェック作業も不要になりました。さらに支払処理終了後、全伝票を科目ごとに分類し保存する作業も必要なくなりました。一連の作業のために必要だった臨時職員1名の減員および作業スペースの削減がされました。このほか、支所における審査業務で、問い合わせ時の関連文書の郵送が不要になり、システムで同じ画面を確認しながら対応できるようになり、大幅にスピードアップしたことも大きなメリットです。

今後の展開/富士通への期待

今後の展開、取り組みについてお聞かせください

当面の課題は、市長、副市長など最上層部の決裁で行っている紙資料の提示を完全電子化していくことと文書の決裁手段において一部残っている押印決裁を減らしていくことです。少し先を見すえた取り組みとしては、IPKNOWLEDGE、グループウェア、ファイルサーバなどについて業務の流れをトータルにとらえ再設計することによる効率化です。決裁の完全電子化が実現すれば、モバイルワークなどの働き方改革も進めやすくなるでしょうし、業務ログを詳細に分析することでさらなる業務改善を実現できるシステムにもなるはずです。富士通には、他自治体での豊富な導入実績に裏付けられた、利用者目線からのアドバイスをいただきたいと思います。

左から 東広島市 温井 宏樹 氏、宮本 伸尚 氏、新谷 裕貴 氏、橋本 光太郎 氏 の写真左から 東広島市 温井 宏樹 氏、宮本 伸尚 氏、新谷 裕貴 氏、橋本 光太郎 氏

東広島市様 概要

所在地広島県東広島市西条栄町8番29号
代表者東広島市長 高垣 広徳
人口186,572人(2018年2月末日現在)
職員数1,543人(2017年4月1日現在)
ホームページhttps://www.city.higashihiroshima.lg.jp
東広島市のご紹介

東広島市は、1974(昭和49)年4月に西条・八本松・志和・高屋の4町の合併により誕生しました。その後、長い歴史と伝統、恵まれた自然環境を背景に「賀茂学園都市建設」および「広島中央テクノポリス建設」の2大プロジェクト、社会基盤や産業基盤の整備を進めてきました。また、2005(平成17)年2月、黒瀬・福富・豊栄・河内・安芸津の5町との合併により、内陸部の山々や瀬戸内海の多島美を望む海岸線まで市域が広がり、歴史・文化等の多くの地域資源が加わりました。

都市としての歴史は新しく、近年では学術研究都市として発展著しい東広島市。しかしその一方、戦国時代に白山城の築城を契機に生まれ、江戸時代に牛馬町として栄えた高屋町の白市(しらいち)、かつて安芸の国の国府があったとされる安芸津地区、近代に「酒都」として栄え、今なお全国に知られる数々の蔵元が建ち並ぶ西条など、随所に伝統の町並みを残しています。毎年10月上旬に開催される「酒まつり」は、全国約1000銘柄の地酒を試飲できるコーナー、名物「美酒鍋」が味わえる会場、各蔵元によるイベントなどが催され、20万人を超える人出で賑わっています。

庁舎屋上からの酒蔵方面

酒まつり

[2018年6月18日掲載]

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