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Fujitsu

Japan

iCAD SX 導入事例


3次元CAD導入で1世紀の歴史をもつ3社の技術DNAを融合。
真似のできないモノづくりによりグローバル展開を推進

-3事業所3種類のCADから移行・統一が実現できたのはICADだから

株式会社日本AEパワーシステムズ様

国内・海外向けの変圧器、開閉装置など電力インフラ設備を製造・供給する日本AEパワーシステムズは、グローバル市場における競争力をより強化するため、設計・製造プロセスの効率化に取り組んだ。電力インフラ装置メーカーの老舗3社の事業提携で生まれた同社は、効率化の第1歩として設計ツールのプラットフォームを3次元CADで統一。異なる母体会社の設計アプローチを、1つのベクトルに集中させ、競争力を高める基盤構築に成功した。


世界トップクラスの技術力で電力インフラのグローバル市場を躍進

隅 和憲 様

隅 和憲 様
変圧器事業部
副事業部長 兼
大形変圧器
ビジネスユニット
統括部長

伊藤 利和 様

伊藤 利和 様
変圧器事業部
大形変圧器
ビジネスユニット
設計部
千葉構造設計グループ
アシスタントマネージャ

千田 薫 様

千田 薫 様
変圧器事業部
大形変圧器
ビジネスユニット
設計部
国分構造設計グループ
技師

森 健太郎 様

森 健太郎 様
変圧器事業部
中形変圧器
ビジネスユニット
設計部
沼津構造設計グループ

 日本AEパワーシステムズは、変圧器、開閉装置など電力インフラ関連設備の設計から製造までを手がけている。会社設立は2001年、日立製作所、富士電機、明電舎の送変電、受変電、配電分野の事業提携により誕生した。会社としては若いが、母体である各会社が1世紀にわたって培った技術を継承し、それぞれの強みと特長を結集し、ビジネスを展開している。
 同社は、柱上変圧器を除く全ての変圧器を手がけるレパートリーの広さを特長としている。また事業展開先は国内のみならず、中近東、中国、アジア、北米、アフリカなどグローバル規模であり、世界の電力インフラの安定稼働に貢献している。技術においては電圧100万ボルトクラスの変圧器、開閉装置を手がけ、世界トップクラスを誇り、近年においては、世界で初めて変圧器用絶縁油として鉱油の代わりに植物油(パームヤシ油)を用いた変圧器を製品化するなど環境配慮型ものづくりにも力を入れている。

変圧器用タンク 500kV 複合型ガス絶縁開閉装置

変圧器用タンク パームヤシ油入変圧器


母体3社の技術DNAを融合する解を求めて

変圧器用タンク 変圧器用タンク

  グローバル展開で業績アップを狙う同社は、設計から加工・組み立てに至る過程のロスを徹底的に省き、設計業務効率化によるコスト競争力の強化を重視する。同社が受注する電力インフラ設備は、発電所・変電所、工場内の受変電設備の電源容量、敷地の広さなどにより、それぞれ仕様が異なるため、一品一様の設計を求められる。そのため手間と時間のかかる設計・製造プロセスの効率化が重要な課題となっていた。
  また同社は、コスト競争力アップと同時に、母体3社の技術力の融合と、それによる高品質・高信頼性の追求を重視する。つまりコスト競争力と高品質・高信頼性の両立をグローバル戦略のキーポイントに置いている。変圧器事業部副事業部長の隅和憲氏はこう述べる。「1世紀にわたって培ってきた技術力は各社のDNAともいえます。3社のDNAを合わせ持つことは当社の強みですが、その融合は容易ではありません。しかし難しいからと手をこまねいていてはグローバル市場で戦えません。第1歩をどう踏み出すか考えた末、設計のツールを統一することから始めようとの結論に至りました。技術力の基本はやはり設計にあるからです」。


11の必須評価基準に照らして進めた選定作業

導油風冷式変圧器 導油風冷式変圧器

  同社は国内生産拠点である国分事業所、千葉事業所、沼津事業所の3事業所で利用しているCADの課題を踏まえ、統一3次元CADの選定、導入を進めるため、隅氏を統括責任者としたプロジェクト推進体制を整え5ヵ月間にわたりベンチマークテストを実施した。
  同テストにおいて必須評価として挙げられた11項目は、3次元モデリング、2次元作図、3次元フルモデルのレスポンス、データの読込性能、構想設計の作図機能・操作性、2次元の隠線処理操作性、DB資源の最小化、自動作図プログラムなどへの拡張性、生産手配システムとの連携性、2次元データDWG形式の変換など。これらを綿密に精査し、5段階で評価を経て最終的に選ばれたのが富士通ICAD/SXだったのである。


3次元立ち上がりをスムーズにした操作性とフレキシブルな運用性

遮音板を非表示にしての検証シーン 遮音板を非表示にしての検証シーン

  どうやって3次元CADを使うように持っていくか。実はこの問題をクリアするために一工夫が必要だった」と語るのは、千葉事業所の伊藤氏だ。同氏は、所属長に対し、まず1つの新しい製品をICAD/SXを使って設計するよう要請し、3次元設計チームを編制してもらった。また「ICAD/SXは、2次元と3次元がシームレスな3次元CADであり、3種類の2次元CADからスムーズに移行できたのは、この2次元と3次元の親和性の高さがあった」と沼津事業所の森氏はいう。複数の2次元や3次元CADから移行し統一しやすい3次元CADとも言える。さらに、「設計者の年齢や習得レベルに合わせて、フレキシブルな運用をできるため無理なく3次元設計を立ち上げることができた」と国分事業所の千田氏はいう。例えば3次元に抵抗感のある熟練設計者にはICAD/SXの2次元機能を中心に設計してもらい、次第に3次元設計を適用するといった具合だ。


設備への対投資効果や設計の質的効果が出る

  ICAD/SX導入の効果は、製品設計投入費用の低減など量的効果としてはっきりと現れている。「2006年度の生産高を100とすると、2009年度では219と約2.2倍に増加しているにも関わらず、製品設計に投入した全投入費用は、2006年を基準にして2009年度では約26%も下がっています。今後さらに効率化が進むと期待しています」(隅氏)。

設備投資回収効果

  また導入後、設計業務の質的面においても効果が現れている。隅氏は3事業所における 導入後の変化を俯瞰し、「3次元CADの利用が進み、最初に設計する人がパーツ図面を含む全体をつくるというようにフロント寄りになっています。その結果、設計作業におけるPDCAサイクルのループが小さくなり、手戻りなどのロスコストが半減しました」と語る。

製品設計場内トラブル設計 業務ロスコスト


3次元CAD だからできる先進的取り組み

  今後の展開について隅氏は次のように述べている。「加工・組み立ての製造現場との連携を考えています。また、自動設計を構築して繰り返し業務を極力減らす取組みを継続的に行っています」。
  また、「品質、信頼性はどこにも負けない自信がある。しかし、市場価格が低下している海外で競合メーカーと戦うには、いかに手間暇かけずにモノづくりをするかがポイントになる。仕事のやり方そのものを変えないと海外では戦えない。真似のできないモノづくりができるようICAD/SXには大いに期待しています」と隅氏は熱く語る。
富士通のICAD/SXは、機械装置メーカーがグローバルで戦うためのモノづくりに新たな力を与えるツールとして、お客様を支え続けていく。

【導入事例概要】
業種: 電機・精密機器
製品: FUJITSU Manufacturing Industry Solution iCAD SX
【株式会社日本AEパワーシステムズ様 会社概要】
所在地 本社:東京都港区芝浦三丁目9番1号 芝浦ルネサイトタワー5・6階
設立 2001年7月1日
資本金 200億円
売上高 930億円(2009年度)
従業員数 約1,400名
事業内容 送変電・受変電・配電にかかわる設備、機器の研究、開発、設計、製造、エンジニアリング、販売、据付及び保守・サービスに関する事業。

本事例中に記載の肩書きや数値、固有名詞等は取材時のものであり、このページの閲覧時には変更されている可能性があることをご了承ください。