近年増加しているゲリラ豪雨や台風等の災害を想定し、遠隔地から浸水状況のモニタリングを検討されておりました。
無人ビルにおける、FUJITSU IoT Solution Battery-free Beacon PulsarGum(以下、PulsarGum)を活用した浸水検知の実現性を確認するために実施した、東北エリアにおける実証トライアルについて、NTT東日本/NTT-MEご担当者様にお話を伺いました。
[ 2018年12月制作 ]
NTT東日本グループでは、強靭な設備作りや有事に備えた人材育成・体制整備など、サービス品質維持に向けて従来から様々な取り組みを行っています。
最近では、IoT、AI、RPA等の最新技術を積極的に取り入れ、さらに業務を高品質かつ効率的に行うための「スマートオペレーション」(図1)の推進に取り組んでおります。
図1:NTT東日本におけるスマートオペレーション
NTT東日本は、東日本エリアの通信ビルに設置してあるネットワーク設備を使って広域にわたり電気通信サービスを提供しています。通信ビルは山間部のような都心部以外にも存在するため、保守作業員が常駐していないビル(無人ビル)も存在します。
自然災害などが発生した際は、設備や通信ビルへの被害・影響を確認をするために、被災エリアの全ビルへ保守作業員を派遣し設備の点検を行っています。
IoT機器を無人の通信ビルにあらかじめ設置することにより、遠隔地から無人ビルの状況を把握し、点検の優先度を判断するための「スマートオペレーション」の実現に向け取り組んでいます。
特に近年増加しているゲリラ豪雨や大型台風等の水害を踏まえ、無人ビル内の浸水状況を遠隔地から常時モニタリングを可能とするため、IoTセンサを活用する検討を開始しました。(図2)
図2:IoTを活用した業務効率化イメージ
図3:小型で曲げることが可能なPulsarGum
IoTセンサの選定にあたり、無人ビルに設置するため、可能な限り長期間メンテナンスフリーであることに重点をおきました。そこで、富士通製バッテリーフリービーコンである[PulsarGum]が持つ、以下3つの特徴に着目し、選定候補に挙がりました。
本来ビーコンは、位置トレースを目的としたIoT機器として用いられますが、PulsarGumが発信する2.4GHz帯のBluetooth Low Energy(BLE)電波が、水中で減衰する特性(図4)を活用することとしました。
図4:浸水による電波強度減衰イメージ
PulsarGumを無人ビル内部に設置し、閉域ネットワークを介して、PulsarGumが発信するBLE電波強度を遠隔地から常時モニタリングを行いました。
無人ビル内に疑似の浸水を発生させ、浸水検知の実証トライアルを行い、遠隔地から検知できることを確認しました。(図5)
図5:実証トライアルイメージ
(実証トライアル内容)
期間 :2018年6月下旬から9月末
実施場所:NTT東日本 東北エリア
各社役割:
○東日本電信電話株式会社
IoT技術方式検討、技術支援
○株式会社エヌ・ティ・ティ エムイー
センサ情報監視・現場駆け付け対応
○富士通株式会社
PulsarGum提供
今回の実証トライアル成果を踏まえて、PulsarGum(浸水検知)以外にも温湿度センサ等の様々なIoT機器を追加設置し、導入エリアの拡大および更に有効的な活用方法を検討・推進していきます。
ネットワーク事業推進本部
高度化推進部
主査 下條 裕之 氏
ネットワーク事業推進本部
高度化推進部
田部井 覚 氏
ネットワークサービス
事業本部
東北事業所
主査 馬場 貴大 氏