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導入事例 順天堂大学医学部附属順天堂医院様

順天堂大学医学部附属順天堂医院外観写真

情報担当師長の配置でデータの精度を向上させ継続的なデータマネジメントを実践


日本看護協会が2015年度にスタートした「労働と看護の質向上のためのデータベース(DiNQL)事業」は、全国の病院・病棟へ年々広がっており、参加病院ではデータ活用を模索しています。DiNQL事業にパイロットスタディから参加する順天堂医院では、DiNQLのためのデータ抽出システム「HOPE EGMAIN-GX オプション for DiNQL」を導入し、専任の情報担当師長が情報関連業務を集約・軽減しつつ、データの利活用を進めています。看護部に専任の情報担当者を配置する意味とその役割、DiNQLの運用と活用の実際についてうかがいました。

専任の情報担当者を置くことでデータ精度と継続性が向上

Q:貴院の看護部の特徴をお聞かせください。

玉本和紀情報担当師長と幅下貞美看護部長

玉本和紀情報担当師長と幅下貞美看護部長

幅下氏:当院は1838年に開設し、2018年で180周年を迎える長い歴史を持つ病院です。看護も145年の歴史があります。
  順天堂は学是に「仁」を掲げており、看護部もその精神を理念に取り入れて、Quality of Life の向上をめざした患者さん中心の看護を日々実践しています。

Q:看護部の情報担当師長の役割を教えてください。

玉本氏:看護部では、2001年から看護のさまざまなデータを活用するために専任の情報担当者を配置しました。その活動範囲は、電子カルテを中心とするシステムの構築や運用検討、ベンダーも含めた各部署間の調整、QIの測定など、院内のデータ活用に幅広くかかわっています。看護部内のデータマネジメントも主要な業務であり、DiNQLのためのデータ抽出や利活用も、その一環です。

Q:看護部に専任の情報担当を置く意義とは何ですか。

玉本氏:病棟師長の役割は患者さんの状態把握や看護師の指示指導に加え、日々の管理業務があります。一方で、在院日数の縮小や病床回転率の上昇に対応するデータマネジメントが求められています。病棟では、データ抽出作業が負担とならない方法でなければ、データの利活用は継続できません。データの精度という観点でも、看護師長が個別にデータを出す方法のみに頼るよりも、集約型の方が効率性は良く、かつ信頼性が高いです。また、データの収集や活用は看護部内だけで完結するものではありません。そのため、専任の担当者を立て、データの集約やネットワークづくりを通じて、看護部長など意思決定にかかわるリーダーと各部署をつなぐことが理想的な体制の一つだと考えます。私は、DiNQL事業に参加初期のタイミングで病棟から現職へ異動し携わっています。私にとっては青天の霹靂でしたが、今では“ネットワークづくり”を担う責任を実感しています。

DiNQLデータで課題に気づき看護の質の向上に活用

Q:DiNQL事業に参加された経緯をお聞かせください。

玉本氏:当院は2012年のパイロットスタディから参加し、データ収集方法や指標の定義について意見交換も行いました。当初は1病棟でしたが、現在は31病棟すべてが参加しています。評価指標については、記録からうまく収集できないデータもありますが、ほとんどの指標に対応しています。

Q:データの抽出や入力方法は、どのように検討されましたか。

玉本氏:データの集約には、電子カルテなどシステムから抽出するか、手作業で収集するか、他部門へ依頼するかという3つの方法で検討する必要がありますが、私たちは可能な限り手作業に依存しない集約型のデータ収集をめざしました。記録や勤務システムから収集できる場合はExcelに抽出し、データを作成していました。一方で、従来のままでは手作業が必要な指標もありました。例えば「臨床経験年数別看護職員数」は、採用前のキャリアや長期休暇の履歴が集計できず、システムの運用方法を検討した項目でした。また他部署との連携も必須であり、感染関連の指標では、感染対策室にデータ提供を依頼しています。研修データなど病棟師長が集計する項目もあり、最終的に私のところで集約しDiNQLへ入力できるよう確認しています。

Q:DiNQLのデータが生かされた事例はありますか。

玉本氏:褥瘡に関連する「体圧分散用具使用割合」のベンチマークにおいて、当院の使用割合が他院の水準に比較して低いことがわかりました。その理由を調査したところ、車イス用クッションと静止型マットレスの保有数が少ないことが考えられたのです。このデータを看護部に報告し、皮膚・排泄ケア認定看護師とともに病院に交渉し、体圧分散用具の購入につなげることができました。

「オプション for DiNQL」により集計作業を軽減

Q:「オプション for DiNQL」の導入についてお聞かせください。

玉本氏:DiNQLのためのデータ集計システム導入に当たっては、従来の看護業務の運用を変えずに抽出できるようにしてほしいと要望しました。標準化を目的とする記録方法の検討は必要ですが、データ抽出のためだけにテンプレートを追加するようでは本末転倒です。そのため、データは日常的な看護記録の動線を変えずに抽出できるよう、できる限り経過表から抽出する方法を提案しました。集約型のデータ収集をめざしてシステムを検討した経験も生かされたと思います。

Q:オプション for DiNQLの導入効果についてお聞かせください。

玉本氏:以前は、抽出した1 か月分のデータの加工や各部署からのデータ集約に、1週間程度かかっていたこともありました。オプション for DiNQLでは、DiNQLで求められる項目に合わせて加工されたデータが、自動で抽出されます。いまのところ対象は主要な30指標ほどですが、さらにデータの利用を可能にする経過表などの標準化を行い、集計作業の負担は軽減されると期待しています。何より、データをよりタイムリーに活用できることがメリットになります。また、データは蓄積することによってその意義を増していくものです。このシステムでは、扱う看護管理者が代わっても、常に信頼性のあるデータの利活用を継続できるというメリットもあります。

データを活用する力をアップする検討会を設置

Q:看護部でのデータの利活用の取り組みについてお聞かせください。

玉本氏:DiNQL評価指標をはじめとするデータの活用をテーマに、看護師長による検討会を設けています。部署の目標管理のために、データを活用した取り組みや分析を共有して、データマネジメントの実践力を向上することを目的としています。参加した師長からは、「人員や労働の質を分析する機会になった」「転倒転落発生率で実践の水準を知ることができた」「勤続年数の比較から教育の重要性を認識した」「退院支援のプロセスを確認できた」といった意見を聞くことができました。

看護ケアの質を可視化し把握することが重要

Q:看護部におけるデータ利活用の展望をお聞かせください。

幅下氏:転倒・転落や誤薬などの有害事象は、未然に防止することが大切です。看護における指標の多くは、患者さんの安全を守るための基本的な部分で、ケアの質を測っています。加えて、看護の質は患者さんの満足度や苦痛の軽減、QOLなどの側面でも可視化し評価していく必要があります。特に看護のプロセスとして、看護計画がいつどのように立てられているのかを可視化する指標をシステム化できないかと考えています。医療安全に関する改善はもちろん大事ですが、私たちが質の高い看護ケアを提供できているのかどうかを、正しく把握することは重要です。それらを知ることは、モチベーションの向上にもつながります。データを有効に活用し、看護の問題を明らかにする、そして限られた人数で効率良く業務を行う、その改善を図ることは看護の質の向上にとても役立ちます。

玉本氏:医療の質の枠組みでストラクチャーに当たる人員配置では、各データにより適正配置の根拠が見える化されるようになりました。私たち看護師長には、看護の実践環境や物品の充足度が、どのようにプロセス・アウトカムと関係しているのか、マネジメントの観点で把握し分析することが求められています。なぜなら、人員や労働量、業務の手順を増やすことが、必ずしも安全の向上や患者さんの満足度、QOL改善につながるとは限らないからです。データを活用して看護の質を向上させるために必要なことは、DiNQLのようにベンチマークによる国内の看護の標準を知ること、そして多角的な視点で何が良質な看護や医療につながるのか、仮説を立てて実践する取り組みを続けていくことなのだと思います。私のこれからのDiNQLへの取り組みとして、継続的に看護師の実績を可視化し、院内で共有できるデータとして他部門へアピールし、多職種との協働へとさらにつなげていきたいと考えています。



施設概要

順天堂大学医学部附属順天堂医院様

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