LMS検討チームで利用しながら、1年間徹底検証し全学へ導入 アクティブ・ラーニングや反転学習に「CoursePower」を活用

青山学院大学様 外観

学校法人青山学院 青山学院大学様 導入事例


青山学院大学様では、ICT活用による教育の高度化を目的にLMS (Learning Management System、授業支援システム)を全学に導入しました。LMSの選択では、1年間、教員による検討チームが実際に利用し徹底検証。その結果、インターフェース、利用履歴の容易な活用、スマートフォン対応、高信頼性など総合的な観点から「FUJITSU 文教ソリューション CoursePower」が選択されました。導入後、LMSとしての基本的な活用はもとより、アクティブラーニングにおける形成的評価や、反転学習での事前学習など新たな活用にも取り組んでいます。

[ 2014年05月13日掲載 ]

【導入事例概要】
業種: 文教
ソリューション: 大学向け授業支援システム「FUJITSU 文教ソリューション CoursePower」

青山学院大学附置 情報メディアセンター 所長
宮川 裕之 氏

「大学における情報センターの役割は変わりつつあります。私たちは、教育研究システムによって、いかに教育の高度化が図れたかという、本質的な成果に焦点をあてています。「CoursePower」を使ってどのような学習支援が成し遂げられるのかを示し、デバイス、教育コンテンツ、LMSを包含した「教育環境のデザイン」を考えていくのが、これからの情報メディアセンターの重要なテーマとなります」

【課題と効果】
1 学生が1人1台のデバイスを持つ時代に応える教育環境を実現したい 「CoursePower」を全学に導入し、学生が主体的に学ぶための教育基盤を構築。教員の授業以外での学びの支援が充実
2 全学にLMSの利用を拡大するため教員に使いやすいインターフェースを実現したい 「CoursePower」はインターフェースに一貫性があり、1つの機能を使えれば他の機能の利用も容易。LMSに初めての教員も使いやすい
3 アクティブラーニングにおいて授業外の学生の活動を把握して評価しサポートしたい 「CoursePower」のディスカッション機能を使って学生が日報を書くことで、教員は学生の活動を把握して評価しサポート。またアンケート機能を使って学生相互が評価しあう場を実現

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導入の背景

1人1台のデバイスを学生が持つ時代 全学LMS導入による新しい教育環境

キリスト教信仰に基づく人間教育の姿勢を貫く青山学院大学様。同大学は、広い視野で物事を考え、自ら問題意識を持ち、高い倫理観と社会性、そして行動力をもって課題を解決していく人材の育成に努めています。

自ら考え、行動し時代を切り拓く人材を育成するためには、学生が主体的に学べる教育環境が必要です。その実現に向けてICTの果たす役割は一層高まっています。

青山学院大学附置 情報メディアセンター 所長 宮川 裕之 氏の写真
宮川 裕之
青山学院大学附置
情報メディアセンター 所長

「1人1台のデバイスを学生が持つ時代に、大学の教育研究サービスは何をなすべきか。こうした問題意識から2013年4月に情報メディアセンターが設立されました。当センターはICTインフラの維持管理ばかりでなく、教育支援の観点からシステムの利用や活用を重視している点が特徴です。当センターの新たな方向性の象徴ともいえるのが、全学へのLMSの導入です。LMSの導入においても、これまでできなかった教育ができるのか、いままで実現していなかった学習支援を学生に提供できるのか、こうした教育的成果が重要な評価軸となります」と、情報メディアセンター 所長 宮川裕之氏は話します。

導入のポイント

教員による検討チームが1年間、利用しながら徹底的に検証

従来、同大学では、学部単位、または各教員が個別でLMSを運用していました。新しい教育環境の基盤整備を目指したLMSの全学導入にあたり、同大学はLMSに精通した教員だけでなく、あまり詳しくない教員も含めて検討チームを発足。2011年度から1年間をかけて、実際に利用しながら検証を行いました。

LMSの選択では、教員目線での使いやすさ、学習の質の担保につながる利用履歴の容易な管理、学生の利用を促進するスマートフォン対応の大きく3つのポイントを重視しました。また、LMSは大学運営の根幹に関わる授業や成績に直結し、なおかつ全学2万人規模での利用を想定していることから、高い信頼性が求められました。

LMS検討チームは議論を重ね、総合的な観点から富士通の大学向け授業支援システム「CoursePower」の選択に至りました。検討チームの一員でもあった情報メディアセンター 湯浅且敏氏は「教員が100人いれば100通りの教え方、使い方があるため、汎用性のあるLMSを探していました。検討においては、オンラインテストの実施からレポート提出までユーザのタスクフローを組み、必要なステップ数や導線の確保などを検証しました。『CoursePower』はインターフェースに一貫性があり、1つの機能が使えるようになれば他の機能の利用も容易です。LMSに詳しくない教員も使いやすい点を高く評価しました。また、利用ログの閲覧画面が用意されており、ログデータを容易に活用できる点もポイントとなりました」と話します。

青山学院大学附置 情報メディアセンター 湯浅 且敏 氏の写真
湯浅 且敏
青山学院大学附置
情報メディアセンター

導入の効果

アクティブラーニングの授業において形成的評価を行うときにとても有効

2012年度に教育基盤として「CoursePower」の全学導入を決定、2013年度4月より運用を開始しました。教員、学生に対しサポートラウンジでのワンストップサポートはもとより、前期・後期ごとの教員向け研修会の実施、学内誌での広報、授業に出向いて使い方を紹介する「ショートレクチャー」などのきめ細かい周知活動もあり、運用後、1年が経過し、学内の授業全体における3割で「CoursePower」を利用するという当初目標に迫っており、利用率は伸び続けています。

基本的な使い方以外に、LMSの可能性を広げる取り組みに挑んでいる点も同大学における特徴です。湯浅氏は自身の授業の中でアクティブラーニングの1つ、PBL(Project Based Learning/Problem Based Learning)(注1)において「CoursePower」の活用を実践しています。「教室での講義形式でないアクティブラーニングでは、学生が主体となって学習活動を行います。そのため、教員は授業外の活動において教育目標に対し学生の進捗状況はどうか、学生が何を学びたいと考えているのかなどを把握したうえで、その後の学習を促す形成的評価(注2)を行い、サポートすることが大切です。この形成的評価に『CoursePower』はとても有効です」(湯浅氏)。

学生は「CoursePower」のディスカッション機能を使って日報を書きます。その日報から教員は授業外の学生の活動を把握し評価やサポートを行います。また活動履歴が残ることから、学生やグループの成長過程や、グループにおける各学生の発言を後から振り返ることも可能です。スマートフォンからアンケート機能を活用し、発表会において学生が相互にグループの活動内容や成果を評価しあうことも行っています。さらにレポートの共有が行えるため、クラスの学生は他の学生のレポートを見ることができ、学生自らが活動を客観的に評価するヒントになります。

反転学習における事前学習にも活用

宮川氏も自身の授業で反転学習(注3)に「CoursePower」を活用しています。「システムの要求分析の授業を展開していく中で、学生が理解するためには簡単な財務会計の知識が必要でした。しかし90分の授業の中で扱う時間的な余裕はありません。そこで、財務会計の基礎的なことが学べるコンテンツをつくり、『CoursePower』上にアップし、授業までに学生に見ておくよう伝えました。また、利用履歴から勉強した学生とそうではない学生を把握できるので、授業のスムーズな進行が可能となります」(宮川氏)。

「アクティブラーニングにおいては、ブレインストーミングのやり方など様々な前提知識が必要です。学生がわからないことがあったとき、タイムリーに教材を見ることができる環境を準備しておくためにも非常に役立っています。また、2012年頃から授業の収録に取り組んでいますが、今回合わせて導入した動画配信システムと『CoursePower』を連携させることで、収録した授業を配信し、学習履歴を管理するインターフェースを『CoursePower』に統合できました。学生は、通常の授業と同じように、掲示板を使った意見交換やレポートの提出が可能です」と湯浅氏は話します。

青山学院大学様のシステム構成図です。授業支援システムを、青山キャンパスと相模原キャンパスの教員や学生が利用。学生が主体的に活動するアクティブラーニングでの形成的評価、さらに動画配信システムと連携させた反転学習における学習履歴の管理にも活用し、ICT活用による教育の高度化を実現しました。

将来の展望

デバイス、教育コンテンツ、LMSを包含した「教室のデザイン」が今後のテーマ

今後の展望について「大学における情報センターの役割は変わりつつあります。私たちは、教育研究システムによって、いかに教育の高度化が図れたかという、本質的な成果に焦点をあてています。「CoursePower」を使ってどのような学習支援が成し遂げられるのかを示し、デバイス、教育コンテンツ、LMSを包含した「教室のデザイン」を考えていくのが、これからの情報メディアセンターの重要なテーマとなります。具体的には、タブレット、スマートフォンなどデバイスが多様化する中で、パソコン教室を前提とするばかりでなく、一般教室でICTを活用した授業をどう展開していくのかは今後の課題です。また、近年、教員はファシリテーター(促進者)の役割が大きくなってきました。『CoursePower』にも使いやすさの向上はもとより学生が自律的に学ぶことを支援する機能の強化を期待しています」と宮川氏は話します。

富士通は学生一人ひとりが成長していく教育現場を大切に、時代の変化を敏感に捉え、学生や教員の視点に立って本質的な学びの向上に貢献していきます。

青山学院大学附置 情報メディアセンター 宮川 裕之 氏、湯浅 且敏 氏の写真
左から 宮川 裕之 氏、湯浅 且敏 氏

【学校法人青山学院 青山学院大学様 概要】
所在地 青山キャンパス
〒150-8366 東京都渋谷区渋谷4-4-25

相模原キャンパス
〒252-5258 神奈川県相模原市中央区淵野辺5-10-1
代表者 学長 仙波 憲一
創立 1874年
大学設置 1949年
設置者 学校法人青山学院
教員数 1,882名:専任教員 577名、非常勤講師 1,305名(2013年5月1日現在)
学生数 19,165 名(2013年5月1日現在)
概要 キリスト教信仰に基づく人間教育をベースに、「共に学び、探求し、世界に発信する大学」を目指す。青山キャンパス、相模原キャンパスを合わせて9学部、23学科、12研究科を擁す
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【導入事例(PDF版)】

用語解説

注1: PBL(Project Based Learning/Problem Based Learning)
問題解決型授業。具体的な課題を与え、少人数のグループで取り組み、成果を評価する学習形態
注2: 形成的評価
学習者の現段階での教育目標の達成状況を把握し、その後の学習を促すために行う評価のこと
注3: 反転学習
新しい学習内容をオンライン教材で事前に学習し、授業では演習や討議、応用課題に取り組む学習形態

本事例中に記載の肩書きや数値、固有名詞等は掲載日現在のものであり、このページの閲覧時には変更されている可能性があることをご了承ください。

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