GTM-MML4VXJ
Skip to main content
  1. ホーム >
  2. サービス >
  3. ビジネス&テクノロジーソリューション >
  4. テクニカルコンピューティング >
  5. トピックス >
  6. 【第七回】立花隆氏 / 未来を切り拓くスーパーコンピュータ(前編)

【第七回】立花隆氏 / 未来を切り拓くスーパーコンピュータ(前編)

シミュレーション技術の進化が社会や企業のこれからを変革する

事業仕分けなど逆境を乗り越えて開発されたスーパーコンピュータ「京(けい)」は、2012年秋からの供用が予定されている。スーパーコンピュータは何が凄いのか、何を変えていくのか。

逆風の中、1位を獲得したスーパーコンピュータ「京」

国家プロジェクトとして開発されたスーパーコンピュータ「京」は、2012年秋からの供用が予定されています。立花さんは初期の段階から、この計画に関わってきたそうですね。

ジャーナリスト 立花隆氏

「京」の開発を推進するために設置されたアドバイザリーボードでは、当初からメンバーとして参加しました。また、「京」を有効に活用するために理研内につくられた計算科学研究機構設立準備室アドバイザリー委員も務めています。したがって、この計画の紆余曲折も含めてかなり間近で見てきました。

スーパーコンピュータ分野で、国際的に認められている評価の機会がいくつかあります。「京」は演算速度のランキングであるTOP500リストで2011年6月と11月に連続して1位、2011年のHPCチャレンジ賞でも4部門のすべてで1位を獲得しました。

2011年のゴードン・ベル賞の最高性能賞も受賞していますね。つまり、現時点において文句なしに世界一のスーパーコンピュータということ。TOP500リストで日本がNo.1の座についたのは、「京」が4回目です。

最初は1993年に稼働した航空宇宙技術研究所(2003年にJAXAに統合)と富士通が共同で開発した「数値風洞」。航空機開発における風洞実験のシミュレーションが主な目的でした。航空機の模型をつくってリアルな風洞実験をするとき、強い風を起こすにはとてつもなく大量の電力を消費しますが、シミュレーションで代替すれば、条件を少しずつ変えながら何度でも実験できる。それまで圧倒的なNo.1を維持してきた米国は、その地位を奪われたことに大きなショックを受けたと言います。

2回目は筑波大学が日立製作所の協力を得て開発した「CP-PACS」(1996年運用開始)。これは素粒子物理学の分野で活用されました。3回目が2002年に完成した海洋開発研究機構の「地球シミュレータ」。その開発にメーカーとして参画したのはNECです。気候変動などのシミュレーションに利用され、大きな成果を上げています。

そして、4回目が「京」。1つの装置としてまとめ上げる技術もさることながら、その核となるCPUが凄い。富士通が開発した「SPARC64 VIIIfx」です。新しい発想の高性能プロセッサを構想し、それを実際に形にするというのは並大抵のことではありません。

六次元メッシュトーラスというユニークな構造といい、水冷式を採用したあの冷却方式といい、日本の技術力がいかんなく発揮されました。世界広しといえども、あのクラスのチップの開発力を持つのは、日本とアメリカだけです。

この分野の世界一がどれほどの意味を持つのか、どうも世の中にあまり伝わっていないようです。国家基幹技術の名の通り、まさに国運がかかった技術でした。それなのに、事業仕分けでやり玉に挙げられて、「エッ、ウソ!」と思いました。



【第七回】立花隆氏トップ