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スマートスピーカー:音声対話の「環境知能」がライフスタイルを変える

設置型の音声対話端末「Amazon Echo」が米国でヒット商品になっています。グーグルやアップルも類似製品を発売・発表し、「スマートスピーカー」の競争が始まりました。

次世代デバイス競争が始まる

スマートスピーカーとは、インターネット接続された音声対話の仕組みを持つ据え置き型のスピーカーデバイスのことです。音声対話はクラウド経由の人工知能(AI)で処理されるため、「AIスピーカー」とも呼ばれます。2014年11月にアマゾンが米国で「Amazon Echo」を発表し、クリスマス商戦では品切れになるほどの人気となりました。

アマゾンはその後、ミニサイズの「Amazon Dot」、ポータブルの「Amazon Tap」、そしてディスプレイとカメラ付きの「Amazon Echo Show」を発売してラインナップを充実させました。Amazon Echoに対抗する形で、Googleが「Google Home」を発売し、Appleは「HomePod」、日本のLINEは「WAVE」を今後発売予定です。これ以外にも各社がスマートスピーカー市場に参入して、スマートスピーカーはスマホに続く次世代デバイスとして期待されています。

米調査会社eMarketerの調査によると、米国で3,560万人が少なくとも月に1度、スマートスピーカーを利用しており、この比率は前年比で128.9%増加しました。製品別のシェアは、Amazon Echoが70.6%、Google Homeが23.8%となっており、アマゾンが先行者メリットを活かしているようです。

図:デバイス操作方法の進化

据え置き型音声対話デバイスの価値

では、音声対話で何ができるのでしょうか。Amazon Echoを指示する合図(ウエイクワード)は「Alexa」で、例えば「Alexa, play music.」とAmazon Echoに話しかけると音楽が流れ始めます。音楽以外にもニュースや天気のチェック、情報検索などができます。このような対話機能はiPhoneなどに搭載されている「Siri」と同じですが、Amazon Echoには据え置き型の特長があります。

iPhoneではタッチしてスマートフォンを起動させてからSiriと対話します。これに対してAmazon Echoは常時起動しているので、タッチしなくても「Alexa」と呼びかければ反応してくれます。Amazon Echoには7個のマイクが搭載され音声認識率向上に力を入れています。音楽を流しながらでも指示を認識したり、複数の会話を聞き分けて家族みんなで使えるようになっています。個人が持つスマートフォンと、居間で家族が使うスマートスピーカーの違いはここにあるのかもしれません。

スマートフォンにはSiriだけでなく「Googleアシスタント」なども搭載されていますが、日本では利用する人が少ないようです。利用しない理由として、反応が遅く精度が低いといったことや、そもそも、音声での操作に慣れていない、ということが挙げられます。特に、外で音声指示することに違和感を持つ人が多いようです。しかし、家の中でタッチ不要で話しかけるだけなら、利用する人が多いかもしれません。

エコシステムで様々なことができるように

Amazon Echoとはデバイスの名称で、クラウド上の音声対話システムは「Alexa」です。この開発にも特長があります。SiriはAppleだけが開発しているクローズドなシステムですが、Alexaはサードパーティなども開発できるオープンなシステムです。Alexaのプログラムは「スキル(Skill)」と呼ばれ、様々なスキルが各社から提供されています。

2017年にラスベガスで開催されたCES(家電見本市)では、家電のLGや自動車のFord Motorなど、多くのメーカーがAlexa対応製品を展示していました。LGのスマート冷蔵庫「LG Smart InstaView Refrigerator」はAlexaを通して、レシピの検索やアマゾンへの注文ができるようになっています。この冷蔵庫であれば、庫内を見て足りない食品に気づいたら、対話するだけで注文できるようになるでしょう。また、Fordは自宅の中からクルマのカギなどを操作する「Alexa at home」と、クルマの中で目的地の探索とそのルート表示、ニュースや音楽の再生などをする「Alexa on the go」を発表しています。

Alexa用に提供されているスキルは2017年6月に15,000を超えました。アマゾンはAlexaプラットフォームでエコシステムを形成することで、IoT機器の操作など、音声対話で出来ることを急速に増やしています。

環境知能でライフスタイルが変わる

パソコンなどのデバイスのUIは、キーボードを使った文字入力、タッチ画面を使ったタッチ&フリック入力、そして音声入力へと進化してきました。この進化に伴い利用者が業務で利用する人から一般の人へと広がると同時に、曲をリクエストしたい、調べたいといった、何かしたいと思ったら気軽に実現できる環境ができあがりつつあります。

ICTによって環境が賢くなり人の活動を助けてくれる機能を、「環境知能(アンビエント・インテリジェンス)」と言います。人間が持つ知能を高めるだけでなく、人間を取り巻く環境の能力を高めることで、より人々の生活は豊かになるでしょう。

Amazon Echoに代表されるスマートスピーカーは、環境知能の入り口と言え、今後人々のライフスタイルを変えることになるでしょう。

(株式会社富士通総研 田中 秀樹)
株式会社富士通総研(FRI)

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