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IoTがもたらす新たなるビッグデータ

クラウドと現場の処理を融合することで新たな発見が得られる

2017年3月1日 更新


Internet of Things(以下、IoT)は、2020年には、世界で年間約200兆円の新規市場を創出すると言われており、様々な企業が新技術や新サービスを企画し、先行事例も出始めています。しかし、IoTとして現場で発生する非常にたくさんのデータは、ほとんど活用されていないのが現状です。クラウドと現場の処理を融合させることにより、多くの活用されてないデータが活用でき、新たな発見を得ることができます。

IoTの概要と新たなるビッグデータ

IoTはMachine to Machine(以下、M2M)を発展拡張する考え方として、ここ1~2年で頻繁に使われる用語になってきました。正確な定義は、IoT関連の商品を提供する企業や調査会社によって異なりますが、概ね、「機器だけでなく人や周辺環境もトータルにネットワーク経由で情報システムと双方向に接続させ、情報をリアルタイムで収 集、分析、処理し、アクションを行うことで、企業のビジネス課題や社会的課題を解決していくこと」を意味しています。応用できる分野は、製造、リテール、交通、ヘルスケア、ホーム、公共など幅広く、スマートシティ等の分野を横断した取り組みも始まっています。

IoTで発生する現場の機器、人、周辺環境のデータは、新たなビッグデータを形作り、これは、従来のソーシャルビッグデータとは異なる「リアルタイム性」「コスト」「冗長性」という3つの特性を持ちます。

ソーシャルビッグデータは大容量のネットワークが利用可能なインターネット上のクラウド等に存在していますが、IoTビッグデータは現場に存在し、その現場は一般的には低容量のネットワーク環境しか無いか、そもそもネットワークにはつながっていない場合が多いです。そのため、IoTビッグデータ収集にあたっては、ネットワークにつながっていない機器をネットワークにつなげる第一の目的としての障害検知等、リアルタイム性が必要な状況である場合が多く、かつ収集に関するコストも高いのです。

また、人のアウトプットであるソーシャルビッグデータと異なり、センサーを介したデジタル情報のアウトプットであるIoTビッグデータは、センシング間隔を細かくして、センシング対象を増やすことで、比較的容易に生データを増やすことができます。すなわち、データとしての冗長性が高く(=無駄な情報が多く)なりやすいのです。

これらの特性のため、生データをすべてクラウドに集めることは、IoTの分野では非現実的となっています。

IoTは「ビッグデータ処理」以前の段階

これまで、このような特性を持つIoTビッグデータの「処理」は、単純に、生データを極力捨てることで成り立ってきました。例えば、センシングされた生データを、センサーもしくはゲートウェイ装置において、5~10分で要約した最小/最大/平均値に加工し、その結果のみをクラウドに送信し、生データを捨てていました。さらには、あらかじめ設定した閾値(しきいち)を超えた時のイベントのみをクラウドに送信するといったように、結果として ほぼすべての生データを捨てていることもあります。

一方、ビッグデータの最新の動向としては、人間の専門家が考えたロジックを演繹的に適用することに対して、ビッグデータをもとにコンピュータが帰納的に学習判断する機械学習の優位性が実証されつつあり、将棋ソフトや機械翻訳などの分野をはじめとして、多くの分野で機械学習の成果が出てきています。

このことと照らし合わせると、これまでのIoTは、「あらかじめ設定した閾値によってイベントを上げる」等の「専門家ロジックの演繹適用」であり、「大量の生データを活用した最新のビッグデータ処理」以前の段階に留まっていることが分かります。

クラウドと現場の処理を融合し真の「ビッグデータ処理」に

このような状況に対して、ネットワークコスト等の漸進的改善による解決を待つ方法もありますが、富士通としては、クラウドと現場の処理を融合することでの、ドラスティックな解決技術を提案しています。

富士通研究所が開発した分散処理管理基盤(図1)は、(1)一定の処理ルール/ポリシーのもとに、(2)処理を現場で行うかクラウドで行うかを算出し、(3)ダイナミックに処理を再配置することができます。その動作を、(4)リアルタイムに状況監視することで、(5)余剰リソースを見極め、再度の処理位置算出・再配置を行うことができます。これをクラウドが管理する多数の現場の多数のゲートウェイやセンサーに対して適用することができるのです。

今までだと、例えば、100箇所の現場で「あらかじめ設定した閾値によってイベントを上げる」処理を行うだけで、新たな発見の基になる生のセンサー情報は集められませんでした。分散処理管理基盤を使うと、リソースの範囲内で、95箇所の現場で「あらかじめ設定した閾値によってイベントを上げる」処理を行いますが、5箇所の現場からは生のセンサー情報を上げるといった処理に変わり、生のセンサー情報を基にした新たな発見の可能性が出現します。

さらに、全体のイベント頻度が高くなり、リソースの範囲内で5箇所の現場からは生のセンサー情報を上げられなくなった際には、自動的な再計算と再配置により、生のセンサー情報を上げる箇所を減らし、リアルタイム性が必要なイベント処理を守りつつ、全体リソースと生データ収集のバランスをとることが可能になります。

なお、得られた生のセンサー情報からどのように発見を行うかについては、本技術の範囲外ですが、ソーシャルビッグデータと同様な手法が適用できると考えています。

最近では、カメラ映像を基にしたセンシングも重要になってきています。カメラ映像の場合は、非可逆なデータ圧縮がデータ量に大きな影響を与えるとともに、過剰に圧縮してしまうと分析が困難になります。本技術適用により、多数の現場における圧縮精度をリアルタイムに全体最適して調整することが可能で、効果が高い利用シーンと考えています。

図1 分散処理管理基盤

[図1 分散処理管理基盤]

富士通のIoTに向けた共創への取り組み

富士通では、IoTの目的を、働く人々や生活者に対してのワークスタイルや生活を豊かにして、さらに感動を持続的に与えるものと捉え「ヒューマンセントリックIoT」という考え方を提唱しています。また、多くのIoT応用分野でこれを実現していくには、各分野で事業展開しているお客様企業と、多様な技術を持つグローバルベンダーと、共に創り上げていくこと(共創)が不可欠であると考えています。

そのために、IoTプラットフォームを軸とした共創環境を提供し、様々なフィールド実証を行っていきます(図2)。今回紹介した技術は、IoTプラットフォームの中で実証を可能にし、1年後を目標として商用提供していく予定です。

図2 富士通が提供するIoT共創の場

[図2 富士通が提供するIoT共創の場]


大澤 達蔵

富士通株式会社
ネットワークサービス事業本部 IoTビジネス推進室
シニアディレクター

新たな未来の到来

あらゆるモノがつながっていく新たな世界では、どのようにテクノロジーを使ってイノベーションを生み出すかが鍵となります。富士通はICTを活用し、「ヒューマンセントリック・インテリジェントソサエティ」の実現に向け様々な企業活動に取り組んでいます。

消費者の行動を多面的に理解したオムニチャネル戦略立案に必要なICTとは

富士通IoT・ビッグデータ活用フォーラム「IoT活用が加速するオムニチャネル戦略~「個」客洞察の深化によるマーケティング変革~」では、スマートデバイスなどの活用による消費行動可視化とオムニチャネルの施策例、AI技術活用の展望などを紹介しました。

センシングデータ活用による製造現場の最適化

富士通アイ・ネットワークシステムズ山梨工場でのIoT実証実験をご紹介します。工場現場に散在する各種データをセンシングし、既存データと合わせてクラウドで情報を統合管理することで、稼働状況や改善箇所をリアルタイムに可視化します。

IoTによるお客様とのビジネス共創

お客様の製品・サービスの価値を向上する各種センサーや、ビジネス実証用の簡易アプリケーション開発ツールなどのIoTソリューションを、RT.ワークス株式会社様電動歩行アシストカートの事例をもとにご紹介します。

参考資料

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