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全数データとパネルデータの融合がより良い暮らしの提案を支援

2017年3月1日 更新


2013年5月16日、ICTサービス最大手の富士通と広告業界最大手の電通は、ビッグデータを活用したマーケティング領域の事業で協業を発表しました。ICTベンダーと広告代理店、まるで両極に存在するかのような文化・慣習を持つ異業種同士の協業が、何を目的として何を生み出そうとしているのかをご紹介します。

企業のビッグデータ活用における課題

昨今の企業システムの大きな変化として、基幹システムとフロント系システム(eコマース、顧客管理、販売管理など)、そしてユーザーとのインタフェースとなる販売チャネル(ウェブサイト、SNS、アンケート、店舗など)などが連携し、社内外に存在する情報が統合されつつあります。一方マーケティング活動もこれまでの販売戦略やプロモーション活動から企業のバリューチェーン全体のデザインと活動の最大化・効率化へと変化してきています。

企業のバリューチェーンにおいて、基幹・フロント系システムは情報システム部門、販売戦略やプロモーションはマーケティング部門が担当しているケースが多くあります。マーケティング活動を一気通貫で機能させるには両部門の連携が必須ですが、うまく連携できないケースが多いようです。

その中で、情報システム部門をサポートする富士通と、マーケティング部門をサポートする電通による共同支援体制は、企業のデータ活用を全社的に推進させる大きな後ろ盾となります。(図1)

図1 企業におけるデータ活用の課題と、富士通と電通の協業による支援

[図1 企業におけるデータ活用の課題と、富士通と電通の協業による支援]

ビッグデータ活用の具体例

では、実際、富士通と電通の共同支援によりデータ活用を推進させている企業の具体例をご紹介します。

静岡県中東部を中心に都市ガス事業を展開している静岡ガスでは、市場の自由化が進み、今後厳しい事業環境が想定されるエネルギー業界において、従来の都市ガス供給事業者から「暮らしを支える総合エネルギー事業者」への変革を積極的に図っています。

より快適な暮らしをお客さまへ提供していくためには、お客さま理解をさらに深め、個のお客さまをイメージするためのデータ分析と組織的なマーケティング活動の実施が喫緊の課題でした。

今回、この事業課題を解決するため、まずは暮らし事業の中核となるリフォーム事業を対象に静岡ガス社内にプロジェクトチームが発足し、富士通グループ(注1)、電通と共に取り組むことになりました。

本プロジェクトにおいての協業チームとしての新たな取り組みは以下になります。

  • 業種横断的な知見を持ったビジネスプロデューサーによるマネジメント
  • 全数データの分析結果とパネルデータ(注2)の融合
  • 全数データを用いた有望客と育成客の判定と施策立案

現在ICTベンダーによるビッグデータ分析の多くが、分析を含めたコンサルティングサービスやソフトウェア、基盤の提供に留まり、企業からサービスを受けるお客さまへのアプローチには関与できていません。現実的には分析結果からお客さまへ策を打つフェーズが最もハードルが高いのです。そういった状況がビッグデータの業務適用を阻んでいる要因のひとつと考えられます。

今回、静岡ガスでの先進的な取り組みを通して、協業チームは、顧客企業にとって最もハードルが高い、お客さまへのアプローチを立案するフェーズまで一気通貫で支援しました。(図2)

図2 富士通×電通協業によるプロジェクト全体像

[図2 富士通×電通協業によるプロジェクト全体像]

本プロジェクトでは異なる文化・慣習を持つプレイヤが多数関わっていましたが、業種横断的な知見を保有する富士通のビジネスプロデューサーが中心となりプロジェクト全体をマネジメントし、富士通総研のコンサルタントと共に各フェーズの設計を行う事でプロジェクトを円滑に推進することができました。

まずデータ分析のフェーズでは、対象となる各家庭のエネルギー利用データや過去の接点データからお客さまがリフォームに至る際の特徴を分析しました。

分析には様々な機械学習の手法(注3)を使う事ができる富士通のデータキュレーションサービスを活用し、従来の業務知見では導き出せなかったリフォーム成約確度の高いお客さまのエネルギーデータの特徴を全数データの分析から抽出することに成功しました。また、お客さまごとのリフォーム成約確度をスコアリングで指標化しました。

次に全数データの結果とパネルデータの融合ですが、昨今マーケティングの世界ではすべての顧客接点において顧客に関するデータを収集し活用する事で、深い顧客理解のもと、顧客のペルソナ像(注4)を描き、顧客視点でのカスタマージャーニー(注5)に即したサービス経験価値を最大化する設計を行う事が重要であると言われています。

しかし、実際この顧客のペルソナを描く際に、顧客の行動履歴を中心とした全数のビッグデータが顧客のすべての理解を叶える事はありません。これまでの一定数のパネルデータと組み合わせ、お互いの長所短所を補完した使い方をする事でより深いペルソナを得る事が可能となると考えます。

この考え方に基づき、今回、静岡ガスが所有する世帯情報だけではなく、電通が所有する膨大なパネルデータも用いて、近しい特徴と属性情報、パネルデータからペルソナを描くアプローチを行いました。結果、データ分析の対象となったお客さまの3割弱のペルソナを把握する事が可能となり、アプローチ精度を高める事を可能にしました。

また、データ分析フェーズでスコアリングした結果を基に「成約ステージのお客さま(今すぐ成約の可能性大)」と「育成ステージのお客さま(将来的に成約の可能性大)」に分類し、有効なアプローチ方法が異なるそれぞれのステージのお客さまに対して最適な施策を立案しました。

特に「育成ステージ」のお客さまに対しては、いかに成約ステージまで引き上げていくか?という事が課題となりますが、これには電通が所有する顧客体験最適化設計のメソッドを適用する事で育成ステージのお客さまとのコミュニケーション戦略の骨子を設計しました。

現在、静岡ガスはこれらの結果を基にお客さまとのリレーションを更に強化し、お客さまごとのニーズに応えるより良い暮らしの提案に向けて取り組んでいます。

今後、継続的にデータ活用の取り組みをされる事が「暮らしを支える総合エネルギー事業者」への変革に大きく寄与するものと信じています。また、今回静岡ガスのプロジェクトメンバーが我々協業チームと共に主体的に関わられた事も今後の静岡ガスでの成功を予感させるものであり、大きなアセットとなります。

このように、富士通と電通のビッグデータ領域における協業は、様々な事業を展開する企業にとっての大きな後ろ盾となり得ることを実証したと言えます。真の意味でシステムとマーケティングを融合させたパイオニアとして、今後も実践を通じて、異なる部門や業務を、データを中心につなぎ、新たな価値を創出する事で、顧客企業の事業課題の解決に貢献していきたいと考えます。

静岡ガス 会社概要

(注1) 富士通グループ:富士通株式会社、株式会社富士通総研

(注2) パネルデータ:同一対象者に、消費行動とメディア接触に関する調査を、年複数回行って得た、電通オリジナルのシングルソースデータ。

(注3) 機械学習:人工知能(AI)における研究課題の一つ。人間の学習能力と同様の機能をコンピュータで実現する技術。

(注4) ペルソナ:インタビューや観察などユーザーへの定量的、定性的な調査結果の組み合わせから設定した顧客像。あたかも実在する人物のように具体的に記述することで顧客体験を想像しやすくなる。

(注5) カスタマージャーニー:商品やブランドとのコンタクトポイントで生じる、一連の顧客体験

大量のデータを活用するということ

私たちの身近で行われているデータ活用とは、大量のデータから知識を得ることです。企業や組織として、データを効果的に活用していくためのコツと、データ活用モデルを作成する富士通のサービス、「データキュレーションサービス」をご紹介します。

消費者の行動を多面的に理解したオムニチャネル戦略立案に必要なICTとは

富士通IoT・ビッグデータ活用フォーラム「IoT活用が加速するオムニチャネル戦略~「個」客洞察の深化によるマーケティング変革~」では、スマートデバイスなどの活用による消費行動可視化とオムニチャネルの施策例、AI技術活用の展望などを紹介しました。

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