株式会社百五銀行 様 導入事例

歴史ある銀行の働き方改革に向け、情報基盤「知恵の環システム」を全面刷新!

株式会社百五銀行様 外観写真

1878年(明治11年)創立の株式会社百五銀行様は、三重県を代表する歴史のある銀行です。同行が現在取り組んでいる中期経営計画の中で、大きな柱として位置づけられたのが、新しい働き方の実現です。旧情報基盤IBM Notes(以下、Notes)の老朽化と本社移転を機に、富士通が実践するグローバルコミュニケーション基盤に刷新することを決断し、同行は新しい働き方実現への第一歩を踏み出しました。

業種 金融
導入システム グローバルコミュニケーション基盤
導入の目的 老朽化した情報基盤の刷新による、生産性の向上や業務効率の改善
採用のポイント ① 富士通自身がグローバルコミュニケーション基盤を社内実践していたこと
② 稼働後の利用定着に向けた富士通からのノウハウ提供
課題
効果
課題システムの老朽化による機能追加の制限
効果情報基盤の刷新による、最新のコミュニケーション基盤の実現と、生産性の向上や業務効率の改善
課題インターネット閲覧制限やサブシステムごとに異なるIDとパスワードなど、利用者の利便性向上
効果同一端末からのセキュアなインターネット/イントラネット閲覧とシングルサインオンの実現
課題行内全域の情報収集力向上と共有化
効果ポータルサイトを活用した情報の一元管理と行内発信

導入の背景

旧情報基盤(Notes)の保守期限到来を機に、新しい働き方を目指した生産性の高い職場環境を構築

百五銀行様は、2018年に創立140周年を迎える三重県を代表する歴史のある銀行です。2016年には、中期経営計画『「Next COMPASS 140」~今こそ、磐石。次の未来のステージへ~』を発表。そこでは、人口減少による競争激化や、マイナス金利による事業収益の変化などに対応するため、役員・行員一人一人が働き方を見直し、より一層の付加価値を生み出して、地域とともに成長することがうたわれています。

同行が行内イントラシステムとして長年活用してきた「知恵の環(ちえのわ)システム」を更改する背景には、中期経営計画でうたった「未来のステージを目指す」、という高い目標があったのです。システム統括部 システム企画課 課長代理 門前孝明 氏は、以前のシステムの課題について、次のように説明します。

「知恵の環システムは、行員の情報共有や伝達の迅速化などを目指して、1996年に構築した情報基盤です。メールやグループウェア、掲示板、ポータルなどを運用してきましたが、老朽化が進み、機能追加で対応できる範囲も限られてきました。また、知恵の環システムは、業務用サブシステムへのポータルの役割も持っていますが、WebブラウザがInternet Explorer 6(IE6)であったため、新しいサブシステムを導入する際にも、IE6を前提に開発せざるをえないという課題も抱えていました」(門前氏)

また、同行では、セキュリティの観点から、知恵の環システムからのインターネット閲覧を厳しく制限し、調査等でインターネットにアクセスする場合は、独立した別の端末を利用していました。さらに、サブシステムごとに異なるID、パスワードが複数必要になるなど、現場行員の利便性という観点でも、さまざまな課題を抱えていました。

こうした中、情報共有の中心的な役割を果たしている「知恵の環システム」を刷新することで、生産性を向上させると共に、中期経営計画でうたった新しい働き方の実現を目指したのです。

百五銀行 門前 孝明 氏の写真 門前 孝明 氏
株式会社百五銀行
システム統括部 システム企画課
課長代理

導入の経緯

富士通自身が社内実践し、全行員に定着するまでの手厚い技術サポートを含んだ提案内容を評価して富士通を選択

新しい「知恵の環システム」の開発にあたって、同行では、まず現場のニーズ・要望に耳を傾けることからはじめました。システム統括部 システム企画課長 田中伸治 氏は、次のように説明します。

「プロジェクトがスタートする前に、システム部門だけでなく、営業部門や各営業店も含めた現場スタッフ約20名に集まってもらい、合宿を行いました。そこで新しい『知恵の環システム』に求めることを集約し、それをRFPとしてまとめました」(田中氏)

各ベンダーは、このRFPに基づいて提案を行い、最終的に選択されたのが、富士通が自社実践を進めるグローバルコミュニケーション基盤を中心とする提案でした。選択の理由を、田中氏は次のように説明します。

「旧知恵の環システムの仮想デスクトップ基盤(VDI)で富士通の製品を導入し、長いお付き合いだったこともありますが、何より富士通自身が情報基盤として社内活用し、多くのノウハウを蓄積していたことが大きい理由でした。また当行では、基幹システムにマイクロソフト社製品を採用し、これらの製品情報をある程度把握していたこともあり、マイクロソフト社製品で統一した方が全体最適できると判断しました。さらに、富士通の提案には、開発だけでなく、運用開始後の手厚い技術サポートも含まれていたことが、大きい後押しとなりました」(田中氏)

こうして、2015年5月、富士通の提案が正式に採用され、同年7月から開発プロジェクトがスタートしました。

旧情報基盤からの移行、ポータル画面のデザインなどのハードルを乗り越えて実現した新「知恵の環システム」

開発におけるハードルの1つが、NotesからMicrosoft SharePoint(以下、SharePoint)への移行でした。10年以上にわたってNotesを活用してきたため、その画面や操作性に慣れたユーザーが多かったのです。

「旧情報基盤のアプリケーションは、業務ごとに細かくカスタマイズされていました。それを1つずつ分析し、グループ分けしたうえで、移行方針を立てたのですが、データベースごとに主管部署が異なるため、SharePointに移行できる機能/できない機能を現場の担当者に丁寧に説明して回る必要がありました。その際は、富士通の担当者が我々といっしょに担当部署まで出向き、コミュニケーションをとってくれたので、たいへん助かりました」(門前氏)

なお、旧情報基盤の移行において、富士通はグループ企業からスペシャリストをアサインし、専門チームを編成して支援。膨大な数のデータベースを約4分の1まで絞り込み、移行を実施しました。

プロジェクトにおいて、2つ目の高いハードルとなったのが、新しい「知恵の環システム」の顔となる行内ポータル画面でした。特に他部署の利用者からの様々な要望に苦慮したと、田中氏は次のように振り返ります。

「当初は、他行のポータルをベースにデザインを作って行内の様々な関連部署に見せたのですが、『文字が多すぎる』『堅苦しい』……など、多くの意見が出ました。その意見を反映して、富士通に何度もデザインを修正してもらいました。最終的には、新しい知恵の環システムに相応しいポータルに仕上がったと思います」(田中氏)

もともと、百五銀行様は先進的な取り組みに積極的な銀行として知られています。たとえば、最近ではFintechを活用し、スマートフォンで公共料金や税金などの払込票に記されているバーコードを読み取り、預金口座からの支払い手続きが完了する、銀行初のサービスに取り組んでいます。

田中氏も「当行の経営陣は、お客様に新しいサービスを提供するなら、まずは自分達が体験すべきだと日頃から言っています。そのため、行内ポータルの構築にあたっても、『昔ながらの銀行を作るな』と言われていたのです」と語ります。

こうして、約1年半の開発期間をへて、2017年1月、新しい「知恵の環システム」が正式に稼働を開始しました。

百五銀行 田中 伸治 氏の写真 田中 伸治 氏
株式会社百五銀行
システム統括部 システム企画課長

導入の効果

生産性向上の第一弾として、同一端末からのインターネット閲覧とシングルサインオンを実現

新しい「知恵の環システム」では、コミュニケーション基盤だけでなく、それを支える認証・セキュリティ基盤、仮想デスクトップ基盤(VDI)も刷新され、その結果、従来から 課題であった同一端末からのインターネット閲覧が可能となり、サブシステムについてもシングルサインオンを実現できました。

「従来、インターネットで調べごとをするには、行内ネットワークとは切り離された別の端末からアクセスし情報を収集していました。しかし、今回、情報基盤を刷新し、同一端末で知恵の環システムとインターネットにセキュアにアクセスできるようになりました。また、知恵の環システムに入ればサブシステムのID・パスワードの入力が要らないシングルサインオンも可能な限り実現し、現場の利便性が向上しました」(門前氏)

情報基盤の本格的な活用はこれからですが、すでに成果は現れつつあると、田中氏は次のように説明します。

「たとえば、Microsoft Outlook(以下、Outlook)を使うと自分の予定管理だけでなく、他の人の予定も参照できて、会議予約までできますので、活用している行員からは評価をいただいています。また、Microsoft Skype for Businessで相手の在席状況を確認できるのも好評です」(田中氏)

デザインで苦労したポータルサイトも、行員間の情報共有に積極的に活用されています。

「ポータルのトップページでは、さまざまな情報を発信しています。各支店が開催したお客様向けのイベント、行員が地域のお祭りに参加したことを知らせるニュース、あるいは頭取からのメッセージなどを画像付きで定期的に発信しています。全職員が必ず目にする情報ですので、効果はあると思います」(田中氏)

百五銀行様 ポータルサイトトップページ

この他に、役員用のスケジュール管理の仕組みもOutlookによる管理に変更されたことで、予定がスピーディーに確認できるようになった、と好評です。

また、スクリーンセーバーを活用した情報共有もユニークです。行内のパソコンがハードディスクを持たないシンクライアント端末であるため、サーバ側でスクリーンセーバーのメッセージを設定すると、一定時間操作しなかったパソコンで今月のキャンペーンや活動目標などのメッセージが表示されて、職員の目に止まる仕組みです。これにより、パソコンを持っていないアシストスタッフとも自然に情報を共有できるようになりました。

百五銀行様 スクリーンセーバー

今後の展望

「知恵の環システム」の活用をさらに推進し、在宅勤務やモバイル活用などの新しい働き方の実現も目指す

新しい「知恵の環システム」は、まだ動き始めたばかりです。このため、今後は新しい「知恵の環システム」の浸透活動にシフトする必要があると、システム統括部 課長 伊藤昌澄氏は次のように強調します。

「稼働して1ヶ月ですから、まだ機能や操作に慣れている段階です。これからは、用意されている機能や便利な使い方、活用方法を、我々IT部門から積極的に情報発信していく必要があります。同じ情報基盤を活用している富士通には、ぜひ引き続き支援をお願いしたいと思います」(伊藤氏)

また、情報基盤が刷新されたことで、在宅勤務やモバイル活用といった、次の展開への期待も高まっています。

「中期経営計画のテーマである働き方改革を推進するため、『働き方改革推進室』という新しい部署を作って、会議時間の短縮やペーパーレス化など、さまざまな取り組みを行っていますが、次のステップは在宅勤務や行内外でのタブレット活用です。その際、新しい知恵の環システムをどう活用するのか、まさにいま、議論がスタートしたところです」(田中氏)

じつは、百五銀行様は、2015年9月と2016年1月に、本部ビルが2棟竣工しました。新しいビルには、新しい働き方を実現するため、生産性の高いオフィスレイアウトやWi-Fi化など、さまざまな工夫が盛り込まれています。この移転が「知恵の環システム」刷新の直接のきっかけになったわけではありませんが、結果的にタイミングが重なったことで、両施策の相乗効果にも期待が高まっています。

「新しいオフィスには、新しい働き方を実現するためのインフラが整備されています。新しい『知恵の環システム』は、このインフラを活用する有効なツールになると思います。逆に、インフラが『知恵の環システム』の価値を引き上げることにもつながると期待しています」(田中氏)

中期経営計画のもと、創立140周年を迎える2018年に向けて、百五銀行様は新しい働き方の実現へ大きな一歩を踏み出しました。お客様へ高い付加価値を提供し、地域と共に成長する。それを支える新しい「知恵の環システム」の構築に貢献した富士通ですが、さらなる活用に向けた真価が問われる本番は、これから始まります。

百五銀行 伊藤 昌澄 氏の写真 伊藤 昌澄 氏
株式会社百五銀行
システム統括部 課長

田中 伸治氏、門前 孝明氏、伊藤 昌澄氏の写真 写真左から百五銀行 伊藤 昌澄 氏、門前 孝明 氏、田中 伸治 氏

担当営業・SEからの一言

今回、百五銀行様と新たな知恵の環システムを一緒に作り上げることができました。現段階では(2017年1月から)行員のみなさまに利用し始めていただいた段階です。今後も働き方を変えるお客様のパートナーとして、我々自身も継続して働き方改革に取り組み、社内実践の経験値を高めお客様に還元していきたいと考えております。

富士通株式会社 高橋 寛の写真 富士通株式会社
西日本営業本部 東海支社 金融営業部
アシスタントマネージャー
高橋 寛

構築に際し印象的だったのは経営層の方の関与でした。新中期経営計画にも掲げられている「働き方改革」に向けアイデアを出されていました。構築目的の「現場から経営陣に至るまで行内全域での情報収集力の向上と共有化」に貢献できる新たな知恵の環システムができました。今後も富士通グループは社内実践や事例をもって知恵の環システムの活用発展をご支援いたします。

富士通株式会社 力武 幸長の写真 富士通株式会社
金融システム事業本部 第四金融システム事業部
マネージャー
力武 幸長

製品の機能を活用し個別の作り込みを極力少なくする方針のもとシステム構築を行いました。特に現行システムからの移行は難易度が高いものでしたが、無事稼働を迎えることができました。今後ともシステムの安定稼働へのサポートと、知恵の環システムの発展をご支援いたします。

富士通株式会社 工藤 幸尚の写真 富士通株式会社
金融システム事業本部 第四金融システム事業部
工藤 幸尚

株式会社百五銀行 様 概要

所在地 三重県津市岩田21番27号
代表者 取締役頭取 伊藤 歳恭
創立年 明治11(1878)年11月19日
従業員数 2,551名(2016年9月30日現在)
ホームページ 株式会社百五銀行様 ホームページ新しいウィンドウで表示

株式会社百五銀行様のロゴマーク

[2017年4月6日掲載]

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