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チャットボット ~雑談からタスク達成・エンゲージメント構築に進化するのか~

女子高生AI「りんな」をご存知でしょうか。このサービスはコンピュータとチャットするもので、開始1ヶ月でユーザー数が130万人を超える人気となりました。今、このような「チャットボット」の開発競争が起きています。

チャットボットとは

「チャットボット(chatbot/chatterbot)」とは、リアルタイムでテキストの会話を行うプログラムのことです。ボット(bot)はロボット(robot)が語源で、タスクを自動で実行するものです。

ボットは1990年代に登場し、チャットボット以外でもさまざまな用途で使われています。たとえば、Webサイトの情報を集めるGoogleクローラーや、オンラインゲームの経験値をためるために操作をしてくれるボット、さらに、スパム送信やウイルス関連のボットなどもあります。

チャットボットは、2008年頃にTwitter等の自動的な投稿で話題になりました。ただ当時のボットは、あらかじめ設定した内容を投稿する単純なものでしたが、近年会話のレベルが進化して再び注目されるようになりました。

AIでチャットボットのビジネス適用が広がる

以前のチャットボットは、会話の中の特定の単語やフレーズを認識し、事前に準備された文章を応答することで、意味が通っているように見える会話をしていました。これが、人工知能の発達により、会話の文脈(コンテキスト)を認識したり、大量の情報の中から最適な返答を探せるように進化しています。

コンピュータの会話能力を示すエピソードがあります。ジョージア工科大学では、ティーチング・アシスタント(TA)にコンピュータを使い、学生からの質問や相談にメールで対応させたところ、TAがコンピュータだと見抜いた学生は一人もいなかったそうです。コンピュータは特定の用途であれば、自然な会話ができるレベルになっています。

このようにコンピュータの会話レベルが向上したため、アメリカではチャットボットのビジネス適用が広がっています。Facebookが、Messengerアプリ向けのチャットボット機能「Bots for Messenger」を発表し、このサービス使ってUberが配車依頼をできるようにしました。また、ショッピングの「Mezi」など、さまざまなチャットボットが開発されており「ボットラッシュ」の状況になっています。それでは、チャットボットの具体事例を見ていきましょう。

チャットボット事例

アメリカで人気のメッセンジャーアプリ「Kik」は、企業向けのチャットボット「Promoted Chats」を2014年11月から提供しました。Promoted Chatsは導入後7ヶ月で利用者が1,000万人を超え、行われた会話は3億5,000万以上に達しました。例えば映画のプロモーションでPromoted Chatsを使ったケースでは、ボットに設定された映画の主人公とユーザーが会話できます。会話はパターンがあらかじめ決められているので、ぎこちない部分がありますが、今後自然な会話ができるようになると主人公への愛着がさらに高まり、プロモーション手法としてより効果的なものになるでしょう。

レストラン情報の提供や予約を行う「Luka」は、ユーザーとの会話の中で趣味・趣向などをユーザーの背景を学習してお店の予約を行います。Lukaが紹介した店に対して、「彼女はカクテルが好きだが、そのお店にカクテルはおいてあるか」と質問すると、「もちろん、このお店のカクテルはすばらしく、君の彼女はきっと好きになるよ」といった返事をします。LukaはPromoted Chatsより自然な会話ができるようです。

チャットボットの今後の可能性

アメリカでは、チャットは企業と消費者を結ぶ重要なコミュニケーション手段となっています。2013年の調査になりますが、消費者がECサイトに問い合わせる手段を調べたところ、チャットは、電話、E-mailに次ぐ、第3の重要なチャネルとなっていました。ただ、チャットに専任者をつけて対応するとコストがかかります。そこで、チャットボットによる会話の自動化に対する期待が高まっています。

日本でもチャットボットのビジネス適用は始まっています。「LOHACO」や、ケイ・オプティコムのLINE公式アカウント「eo」では、問い合わせ対応で活用されています。まだ、ちぐはぐな返事があるため補完的なものかもしれませんが、会話の学習が進んで今より自然な会話ができるようになれば、本格的に導入されるかもしれません。

AIの進歩により、チャットボットは単語・フレーズ認識からコンテキスト認識に進化して、雑談や楽しみの「エンターテインメント」だけでなく、問い合わせ対応などの「タスク達成」としてビジネス適用が広がっています。今後、AI技術が進化してユーザーの学習や感情認識進めば、ユーザーの心に響く会話ができるようになって、ユーザーとの「エンゲージメント構築」の効果的な手段として活用されるようになるでしょう。チャットボットのエージェントと雑談している中で薦められた商品やサービスをつい注文してしまう、こんなショッピングシーンが広がるのかもしれません。

図:チャットボットの進化

(株式会社富士通総研 田中 秀樹)
株式会社富士通総研(FRI)

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