株式会社加藤新聞舗様
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旧態依然とした体質のままでは変化の時代に生き残れない。新聞販売業界を牽引する株式会社加藤新聞舗は、ISO9001とプライバシーマークの取得、デリバリーサービスの開始、地域文化への貢献など、地域密着型の総合サービス業を目指した取り組みを進めている。今回のERP導入もその一環だ。GLOVIA-C XIの選択には業務効率化だけでなく、会計と人事、販売のデータ連携、経営や営業を支援する管理会計強化など同社の将来を見据えた経営基盤の観点が大きな理由となった。
[ 2007年12月21日掲載 ]
毎朝、新しい新聞のページを開くことから始まる一日。そんな快適な習慣を支えているのが新聞販売業だ。しかしインターネットの普及、活字離れ、価値観の多様化など、新聞販売業界にも時代の変化の波が押し寄せている。その一方で、業界はいまだ個人経営の販売店も多く、「経験と現金中心」の旧態依然とした体質が残っているのが現状だ。このままでは時代の変化に取り残されてしまう。そうした危機感をもち、経営改革に取り組んでいるのが、読売新聞を中心に配達部数15万部、他社に先駆けて支店制度を導入し、現在では千葉県内8市、19店舗を展開、全国トップクラスの規模をもつ株式会社加藤新聞舗だ。
「古い体質から脱却するには、新聞販売業において組織だった経営ができるマネジメントシステムをつくることが重要です。個人店から当社のような会社組織へ、これから新聞販売業も大きく変わってきます。近い将来に備え、いまからしっかりとした土台づくりをしておきたい。ISO9001とプライバシーマークをいち早く取得したのも、今回のERP導入も一貫した流れの一つです」と、常務取締役 経理部長の加藤久典氏は静かな口調で語る。
お客様が新聞販売店を選ぶ時代。独自のバス旅行の企画、地域の子供たちに読み聞かせを通じ活字に親しんでもらう「よみっ子ひろば」、エリアごとのマイタウンガイドの発行など地域のコミュニティや文化への貢献にも積極的だ。また水やお米を販売・配達するデリバリーサービスもスタート。創業70年の安定基盤のもと「新聞を中心にした総合サービス業」を目指す同社の挑戦に欠かせないもの、それが経営基盤を支えるERPなのである。
今回の導入のきっかけは、旧システムのリース切れだったが、これを契機にERP化することが大きなテーマとなっていた。具体的な導入目標をあげると次の3点になる。
「2006年3月頃から、いろいろな会社のソフトをデモ等で拝見させていただきましたが、富士通のGLOVIA-C XIが最も当方の要望に合っていたことと、Excelベースで利用できる使いやすさもポイントとなり、同年8月にGLOVIA-C XIの会計、人事給与、販売の各システムの導入を決めました」と、人事部 主任の根本治樹氏は振り返る。
同社が、ERPによるデータ連携を重視する背景には新聞販売業ならではの特性があった。この点について加藤氏は、「新聞販売業は労働集約型産業です。例えば営業経費も月によって変動します。営業経費には、契約促進を目的にしたビール券や洗剤などお客様向けの物品関係、外部セールスチームへの費用、自社の営業手当てがあります。会計が営業経費を管理するためには人事給与、販売管理とのデータ連携が不可欠です」と、説明する。
もう一つ、現金中心のビジネスである点も背景の一つにはある。「折込ちらし代なども基本的に現金ビジネスです。月次決算の迅速化もありますが、営業経費や現金の流れなど数値としてできるだけ早く会計で把握することは急務でした」(加藤氏)。また、将来のデリバリーサービス拡大に備える上でも、会計と販売管理のデータ連携は必要だった。
ERP化とともに、GLOVIA-C XI採用を大きく後押ししたのがGLOVIA関数とFDWHへの高い評価だ。
「経理が決算用につくるものと経営者が見たい数字はちがいます。営業経費はある程度、現場の裁量で行っていますので、厳しくなれば絞りこんでほしいと経営サイドから話をしますが、数ヶ月のタイムラグが年間の決算では大きな差となります。また競争が激しくなる中、効率性とともにスピードもこれからはますます重要です。経営者が知りたいのは、営業経費でも増えている理由であり、新規顧客向けか既存顧客向けかなどの視点からの情報です。会計では多角的な分析をスピーディーかつ思いのままに行いたいわけです」(加藤氏)。
いままでは経営が求めるデータを経理部門が提出するために煩雑な手作業で対応していた。「各部門から必要な帳票を紙に出力し、それをExcelで集計しなおすといった作業を毎回、半日くらいかかって行っていました。見たいデータがあってもドリルダウンしていくこともできず、紙で出力して確認する手間もありました。それが、GLOVIA関数の活用により、データが自在に引き出せ、Excelで様々に分析できるようになるわけですから、大いに期待しています。業務の非効率を解決できれば、そのぶん違う仕事に時間を使うこともできます」と、経理部 経理課の中山祐介氏はGLOVIA-C XIへの期待を口にする。
根本氏も「人事でも、いままでは給与の履歴を残すことができず、毎月バックアップをとっていました。それが、GLOVIA-C XIの導入により、履歴を残すことはもちろん一つの会計コードでその月の各部署の各人の給料の内訳もわかるようになります」と、効果を語る。
現在は、マスタ登録を行っており、2007年2月に人事給与、3月に会計、販売の本稼動へ向けての作業を進めている。「マスタの登録作業はやはり大変です。Excelテンプレートを提供していただき登録を進めているのですが、試行錯誤の連続です。富士通のSEの方には丁寧に教えていただき、本稼動へ、そして稼動後もこのままの関係を続けられればと思います」と、中山氏は富士通への信頼を語る。
「当社の成長に合わせ会計システムもステップアップし、漸くここまできました。パワーや容量の大きさだけでなくGLOVIA-C XIにはカルチャーショックに近いものがありましたが、理解さえすれば既存のマスタをメンテナンスし、やりたい帳票をだすためのマスタを入れていくだけなので作業も早くなってきています」と、加藤氏の表情も明るい。
今後について加藤氏は、「経営や営業にとって数字につながるようなデータを提供していきたい。例えば、資金実績表や、営業支援面についてもいろいろなコストをきちんと提示し、無駄は省き、かけるところはかけるといった各部門長の判断をきめ細かくサポートしていきたい。今回の導入により、営業経費や人件費のタイムリーな把握はもとより、お客様の元にお伺いするビジネス形態を活かした新しいデリバリーサービスの展開や、新聞販売業をめぐる環境の変化に対しても、柔軟に対応できる経営基盤は確立できたと思います。GLOVIA-C XIを選択した理由はその点にもあります」と、将来を見据えて力強く語る。
新聞販売業の未来を拓く、新たな挑戦を続ける株式会社加藤新聞舗。その成長を支えるGLOVIA-C XIも同社とともに進化していく。
所在地 | 〒272-0034 千葉県市川市市川2-4-9 加藤ビル |
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代表取締役社長 | 加藤 憲一 |
創業 | 1937年(昭和12年) 3月 |
設立 | 1967年(昭和42年)12月 |
資本金 | 5,300万円(平成18年1月現在)/グル-プ会社総資本金7,800万円 |
年商 | 60億円(平成18年3月実績) |
社員数 | 925名(平成18年9月現在) |
事業内容 | 読売新聞、日本経済新聞、報知新聞、千葉日報その他諸紙含め15万部(平成18年9月現在)。地域に密着したイベントの企画、水・お米の販売・配達をはじめデリバリーサービスにも注力。 |
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