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Fujitsu

Japan

複雑多岐にわたる化学製品の製造において
実際原価計算で損益を管理、BIによりデータを全社共有

東亞合成株式会社様 の写真

東亞合成株式会社様 導入事例


瞬間接着剤「アロンアルフア®」など各種の化学製品のメーカーとして知られている東亞合成株式会社。その製品は多品種多工程にわたっており、製品ごとに適切な原価計算を行う必要があります。原価計算制度として、2002年から標準原価計算を採用していましたが、同社のビジネスに適応していない部分があり、その見直しが課題になっていました。そこで、FUJITSU Enterprise Application GLOVIA ProcessC1(以下、GLOVIA ProcessC1)により実際原価計算への変更とともにBIツールも導入し、正確な原価や損益データを全社で簡単に共有できるようになりました。

[ 2018年7月26日掲載 ]

【導入事例概要】
業種 プロセス産業
ソリューション プロセス産業向け基幹業務パッケージ FUJITSU Enterprise Application GLOVIA ProcessC1

「お客様の声」

「例えば、ナフサ価格に連動して価格が決まる原料を使用している製品は、ナフサ価格が大きく変動した時に、最終製品の原価を把握することに苦労していました。それが、GLOVIA ProcessC1の導入で、最終製品の原価を迅速に把握できるようになりました」

【課題と効果】
1 多工程にわたる製品が多い東亞合成では、工程ごとに発生する材料費の変動などの原価差額が川下製品へ反映されず、最終製品の原価の把握が難しかった 既存ERPに実際原価計算(GLOVIA ProcessC1)を追加導入したことにより、原料価格の変動を川下製品に反映して、最終製品の原価を迅速に把握することができるようになった
2 複数事業所で製造している同一製品が出荷段階で混在することがあるため、事業所別の原価や損益の把握が難しかった プロセス産業に詳しいSEの知見をもとにして、製造事業所別損益のメニューを構築し、複数事業所で製造している同一製品の損益や原価が把握しやすくなった
3 実際原価計算、製造事業所別損益、営業所別営業損益などの新たな仕組みを、全社のユーザーに分かりやすく、定着させる必要があった 見やすく分かりやすいBIツールの提供により、全社で原価や損益に関する情報の共有化が進んだ

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導入の背景

多品種で多工程にわたる複雑な製造形態

東亞合成は、カセイソーダやアクリル酸エステルなどの汎用品からアクリル系ポリマーや高機能接着剤などの高付加価値製品まで、多岐にわたるプロセス生産を展開している化学メーカーです。同社では、2002年のERP導入に合わせて標準原価計算を採用しましたが、次第に課題が見えるようになっていました。その状況を同社 管理本部 財務部長 佐々木豊氏は次のように語ります。「原油やナフサ価格に連動する原材料価格は変動が激しいのですが、その変動額が標準原価計算では川下工程に転がっていかないのです。標準原価計算方式では原価の変動は原価差額として一括りになり、ブラックボックス化した数字になっていたため、分析に手間がかかっていました。差額が出た理由は解析できても、それを減らすためにどうしたらいいかを突き止めるには、労力的にも時間的にも追いつかない状況がずっと続いていました」。

東亞合成株式会社 管理本部 財務部長 佐々木 豊 氏の写真
佐々木 豊
東亞合成株式会社
管理本部
財務部長

川上の半製品の製造から一次製品、二次製品を経て、川下のローリーや船で出荷するまでの原価計算の工程は長く、川上から川下へ行くにつれ、製品の数も増えていきます。標準原価計算では、それぞれの工程ごとに、標準原価と実際原価との原価差額が生じますが、川下の最終製品の原価には反映されないため、最終製品の原価や損益の把握が難しくなっていたのです。「ERP導入以前は実際原価計算でしたので、以前だったらできていたことができなくなったと感じていました。当社のようなプロセス産業の実体を把握し経営判断に活かすには、やはり実際原価計算の方が適していると経営トップが判断し、導入を決断しました」(佐々木氏)。

導入決定の経緯

プロセス産業の知識とパッケージ機能で富士通を選択

実際原価計算の導入決定を受けて同社内でワーキングチームが結成され、2016年から導入のための情報収集がスタートしました。
この時点での要望として、製造事業所別損益と、営業所別営業損益の算出がありました。同社では、カセイソーダなどの同じ電解製品を徳島、名古屋、横浜の各工場で製造していますが、出荷する段階では複数の事業所の製品が同じタンクに混在することもあり、事業所別の損益を把握することに苦労していました。また、東京、大阪、名古屋などの営業拠点ごとの売上高だけではなく、売上に紐づく営業損益を確認したいという要望もありました。これらのメニューの開発に加え、それらデータを全社で共有するために、BIツールを活用する必要がありました。

「当社のように複数の事業所で同じ製品を製造しているメーカーはほかにはあまりなく、製造事業所別の損益算出は当社独特の要件といえるでしょう。そんな特殊な状況でも富士通は『実現可能です』と即答してくれました。その理解力の速さに頼もしさを感じました。また富士通のパッケージであれば標準でBIの機能も備わっています。SEとパッケージの両面で富士通を高く評価し、採用を経営会議に上申しました」(佐々木氏)。こうして2017年2月、富士通のプロセス産業向け基幹業務パッケージ GLOVIA ProcessC1の導入が決定されました。

導入のプロセス

より正確な実際原価計算、分かりやすいBI表示を実現

新システムは、ERPに蓄積されたデータの中から原価損益管理に必要なデータをGLOVIA ProcessC1に渡す仕組みで構築が進められました。「ERPから渡すデータに漏れがあるとERP側と整合性が取れなくなるため、GLOVIA ProcessC1とのインターフェースづくりは気を遣いました。ERPの仕訳データについて改めて解析し、漏れがないか検証を重ねてインターフェースが完成しました。このほかBIの表示についても見やすさ、分かりやすさにこだわって相談や依頼をし、そのたびに提案をいただくなど富士通には丁寧に対応してもらいました」と、同社 グループ経営本部 情報システム部 主査 伊藤英樹氏は構築の状況を語ります。

東亞合成株式会社 グループ経営本部 情報システム部 主査 伊藤 英樹 氏の写真
伊藤 英樹
東亞合成株式会社
グループ経営本部
情報システム部 主査

東亞ビジネスアソシエ株式会社 シェアードサービス事業部 経理グループ 森本 竜史 氏の写真
森本 竜史
東亞ビジネスアソシエ株式会社
シェアードサービス事業部
経理グループ

また、実際原価計算では、製造工程の川上から川下へ原価を転がす計算順番の設定が必要です。多品種多工程の同社では、工場内の計算順番を定めることの難しさに加え、工場や外部倉庫などの拠点間で積送する製品もあるため、全社の計算順番を決めることに時間が掛かりました。その準備や検証を担当した東亞ビジネスアソシエ株式会社 シェアードサービス事業部 経理グループ 森本竜史氏は次のように語ります。「計算順番の設定を正確にしておかないと正しい原価が計算されないので、この点は非常に神経を使いました。開発では、富士通とともに1年分のデータをすべて回して検証し、完了するまでに5か月ほどかかりました」。

東亞合成株式会社様のシステム概要図です
【システム概要図】

導入の効果と今後の展望

最終製品の原価を迅速に把握

新システムは2018年1月度の月次計算から稼働を開始、ERPからの各データをもとに原価計算を実行、月次損益を社内に公開しています。導入後の状況を東亞ビジネスアソシエ株式会社 シェアードサービス事業部 経理グループ グループリーダー 和田哲朗氏は次のように語ります。「例えば、ナフサ価格に連動して価格が決まる原料を使用している製品は、ナフサ価格が大きく変動した時に、最終製品の原価を把握することに苦労していました。それが、GLOVIA ProcessC1の導入で、最終製品の原価を迅速に把握できるようになりました。今まで見えなかったことが見えてきた感じです」。

東亞ビジネスアソシエ株式会社 シェアードサービス事業部 経理グループ グループリーダー 和田 哲朗 氏の写真
和田 哲朗
東亞ビジネスアソシエ株式会社
シェアードサービス事業部
経理グループ
グループリーダー

東亞合成株式会社 管理本部 財務部 経理担当課長 鈴木 明 氏の写真
鈴木 明
東亞合成株式会社
管理本部 財務部
経理担当課長

東亞合成株式会社 管理本部 財務部 経理担当課長 鈴木明氏は次のように評価しています。「当社のように多品種多工程の場合、各製品の正確な損益を把握するのはとても難しいのですが、今回の導入でそれができるようになりました。把握したデータをきっちり分析し、原価の低減、損益の向上につなげるのが次のステップです」。
またBIに関して佐々木氏は次のように述べています。「BIの導入により、全社での計算結果の共有が簡単にできるようになりました。全社で統一されたデータをもとに各部門で議論が行えるようになったので、論点がより明確で具体的になったはずです」。

これからは、正しい数字で正しい判断が可能となる

「本格的な効果が出るのはこれからだと思います」と、標準原価計算に慣れ親しんだ社員にとっては、初めて使う実際原価計算の定着と活用に少し時間が必要だと佐々木氏は考えています。「実際原価計算による原価は実績にもとづく数字です。それをベースに議論することでより正しい意思決定につながっていくはずです」(佐々木氏)。 また佐々木氏は、プロセス生産を行っている関連会社にもGLOVIA ProcessC1を導入し、実際原価計算をグループ全体に広げていくことも視野に入れています。そのほか、様々な経営課題にもICTの活用を検討していると述べ、「富士通には有用な提案やそれを実現するための開発力の提供など、今後も幅広い分野での支援を期待しています」と佐々木氏は締めくくりました。

富士通はこれからも、豊富な経験と知識、そして総合力で東亞合成の革新を支えていきます。

担当SE、担当営業メッセージ

富士通株式会社
第二産業システム事業本部 第二システム事業部 第一システム部 マネージャー
名越 龍司

東亞合成様の実際原価計算システムにおいて「GLOVIA ProcessC1」をご採用いただきありがとうございます。
要件の確認・確定から検証まで東亞合成様、富士通プロジェクトメンバー一体となって推進できたことが成功要因であったと考えます。
また、長年課題であった原価の実態可視化実現をご支援できたことを光栄に思います。
今後も実際原価の定着と活用に留まらず、様々な観点から東亞合成様のビジネス発展に向けてご支援させていただきます。

富士通株式会社
産業ビジネス本部 プロセス産業第二統括営業部 第四営業部
大石 文哉

この度は、東亞合成様の長年の課題解決に弊社ソリューションがお役に立てたことを心より嬉しく思っております。
今後も「GLOVIA ProcessC1」の定着とグループ展開をしっかりとご支援させていただきます。
また、東亞合成様の期待と信頼にお応えをすることで、経営課題の解決に貢献できる「真のパートナー」となれるよう、全力で取り組んでまいります。

前列右から 東亞合成株式会社 伊藤 英樹氏、佐々木 豊氏、鈴木 明氏 後列右から 東亞ビジネスアソシエ株式会社 森本 竜史氏、和田 哲朗氏 富士通株式会社 名越 龍司、大塚 唱史
前列右から
東亞合成株式会社 伊藤 英樹氏、佐々木 豊氏、鈴木 明氏
後列右から
東亞ビジネスアソシエ株式会社 森本 竜史氏、和田 哲朗氏
富士通株式会社 名越 龍司、大塚 唱史

【東亞合成株式会社様 会社概要】

本店所在地 〒105-8419 東京都港区西新橋一丁目14番1号
代表取締役社長 髙村 美己志
創立 1944(昭和19)年
従業員数 連結:2,393名 単独:1,197名(2017年12月31日現在)
事業内容

基幹化学品、ポリマー・オリゴマー、接着材料、高機能無機材料、樹脂加工製品の製造および販売

東亞合成株式会社様のロゴマーク

代表製品である瞬間接着剤「アロンアルフア®」
代表製品である瞬間接着剤
「アロンアルフア®」
ホームページ 東亞合成株式会社様 ホームページOpen a new window

【導入事例(PDF版)】

本事例中に記載の肩書きや数値、固有名詞等は取材日(2018年6月)時点のものであり、このページの閲覧時には変更されている可能性があることをご了承ください。

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