グローブシップ株式会社
独立系の総合ビルメンテナンス会社として、オフィスビル、商業ビル、学校施設、ホテル、マンションをはじめとするあらゆる建物の清掃、設備、警備業務を手がけるグローブシップ株式会社(旧社名:株式会社ビル代行)。グループ企業統合を機に、統合ERPパッケージソリューション「GLOVIA smart 会計」「GLOVIA smart人事給与 C」の導入により、旧オフコンシステムを一気に刷新。管理会計の方法を全社的に統一。スピード経営の実現、競争力のあるグループ企業のさらなる展開を目指す。
[ 2010年3月11日掲載 ]
以下記事中では旧社名にて、掲載日現在の情報を掲載しております。
導入事例概要 | |
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業種: | 総合ビルメンテナンス業 |
製品: | GLOVIA smart 会計、GLOVIA smart 人事給与 C、WebAS販売管理、WebAS就業管理 |
グループ企業統合により、全国1700棟の管理対象ビルを擁するまでに成長したビル代行様が取り組んだのが、現場やセグメントごとの会計情報の素早い取り出し・分析を同時に実現可能にする新規システムの導入。しかも導入までの時間は限られていた。この難題解決に答えたのが、現状の業務プロセスに合わせたシステム構築より「パッケージに合わせて業務プロセスを改善する」という富士通の提案。経営トップの号令のもと、システムは一新され本格的な活用が進んでいる。
課題と効果 | ||||
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1 | オフコンシステムを改修しつつ使い続けていたので、業務プロセスが属人化。同プロセスを見直し、標準化する必要があった。 | パッケージシステム「GLOVIA smart 会計」「GLOVIA smart人事給与」をグループ全体に導入。従来の業務プロセスをパッケージに合わせることで、一気に業務プロセスの標準化が進んだ。 | ||
2 | グループ企業2社の収益計数のデータ管理の精度が異なっていた。(別会社の為、集計・管理方法が異なり、帳票類もバラバラであった。)両社管理会計レベルをどう統一するかが課題だった。 | 「GLOVIA smart 会計」導入後、管理対象が約1千箇所の各現場をすべて部門として管理、2社ともに営業所・支店別の数値管理ができるようになり、データの詳細な分析や把握が実現。経営戦略に必要な情報を得られるようになった。 | ||
3 | 管理会計の視点が得意先ごとの売上などに固定化され、視点を変えてデータを取り出し、分析することができなかった。 | ビル1棟ごとはもちろん、テナント形態の得意先に対する各管理サービスそれぞれの収益、費用の把握が可能となった。 |
創業から56年を数える株式会社ビル代行様は、オフィスビルの設備管理、清掃業務、警備、各種工事、マンション管理、ビル管理コンサルテーションなど、幅広いサービスを提供するビルメンテナンス業界のリーディングカンパニーである。2006年1月、日本ビルサービス株式会社様がグループ企業として加わったことを契機に、同社はグループ企業の業務効率化を実現するために戦略的IT投資に取り組んだ。
グループ化により、全国各地1700棟の管理対象建物を擁することになった同社に求められたのは、全国の拠点を網羅するトータルマネジメントの構築と、グループ全体の経営管理基盤の整備だった。とりわけ大きな課題は、管理会計の手法が拠点ごとで異なり、経営管理の視点が微妙に違うことだった。
株式会社ビル代行
代表取締役社長
矢口敏和 氏
同社代表取締役社長の矢口敏和氏はこう語る。「全国に展開する営業拠点、また現場ごとの損益は本社一括でざっくりと把握されているといった状況でした。業界動向としては、総売上は微増であっても、業者数はそれを上回る増加傾向にあり競争は激化していました。経営層としては現場ごとの損益の見える化は緊急ともいえる課題でした」。
2007年1月、キックオフ会議と共にスタートした新システム構築プロジェクトは、2008年4月の本格稼働を経て、その後も順調に運用されている。
全国拠点を網羅するトータルマネジメントシステム構築上の第1の課題は、各現場において使い慣れたオフコンシステムからの脱皮だった。じつはグループ化前の同社には、清掃業務管理を強みとする分野と原子力施設のメンテナンスを担当する分野(株式会社アトックス)の2社があり、グループ化後、これに設備管理を強みとする分野(日本ビルサービス株式会社)が加わった。各分野の現場では長年にわたりオフコンシステムに改良を加えてきたため、個別で運用するにはきわめて使いやすいものの、運用主体が属人化し標準化にはほど遠い状況になっていたのである。「この課題解決はベンダー選定にも関わっていきました。6社7案から絞り込まれたのは、原子力施設メンテナンス分野がすでに運用し『新システムを現状業務に合わせる』案のベンダーと、富士通の2社でした。検討の結果、パッケージに合わせて現状の業務プロセスを改善することを重視した提案と、ワンストップサポートを売りにしているGLOVIA smart導入を決定したのです」(矢口氏)。
第2の課題は、分野ごとに異なるシステムニーズをいかに取りまとめるか。じつは同社は以前、コンサルタント会社に依頼してシステム統合に取り組み、失敗した経緯がある。その失敗を踏まえ、システム要件の取りまとめ、費用交渉などはコンサルタント会社に任せるが、イニシアティブはあくまで自社が取る姿勢で臨んだ。「その上で、各分野が要件を主張するのではなく、それぞれの要件の最大公約数を見出そう、用語や帳票の差異については歩み寄っていずれかに合わせようとのルールを、早期から打ち出し解決しました」(矢口氏)。
また、旧来のシステムの使いやすさと新システムでの業務標準化による効率アップのトレードオフについては現場の反発が予想されたが、トップダウンの徹底的な教育・啓蒙でクリアしている。
新システムの全体は、企業ポータル、会計、人事、給与、販売管理、就業管理、SFA(営業支援)、分析から構成され、これらをベースにグループ企業展開を図っていくところに大きな狙いがある。
GLOVIA smart導入の大きな狙いは、管理会計レベルの統一にあった。グループ企業の2社は管理体系が大きく異なり、株式会社ビル代行では本社において収益を一括データ管理し、支店・営業所ごとの数値は紙ベースの管理となっていた。日本ビルサービス株式会社では現場ごとの計数をデータ管理していた。GLOVIA smart導入後、約1000件の計数データはそれぞれ部門としてデータ管理を実現。もう1社との間で用語や勘定科目を統一した上でFDWH(ファイナンシャルデータウェアハウス)に蓄積されることになった。
システムは一気に入れ替えられた。構築に要した時間は約1年。一般的に、これほどの規模のシステム構築には3年程度を要するが、全社員の目的意識を高め、業務フロー改善・標準化のベクトルを一つにまとめるためにきわめて短期間での導入となった。
短期間に、しかも一気に新システムを導入したことにより、拠点ごとにばらばらだった管理会計の標準化はスムースに進んだ。標準化の過程での用語や管理帳票などの統一では苦労もあったが、その作業を通して各分野の相互理解が進んだことは予想外の収穫だったという。
もっとも大きな導入効果としては、管理会計の方法が統一したことで、それぞれ異なる強みを持つグループ各企業の計数データを、共通のレベル、尺度で掌握でき、的確な経営戦略のためのデータが得られるようになった点があげられる。
株式会社ビル代行
取締役
経営企画部長
西村公成 氏
さらに大きな導入効果は、管理会計の方法が統一したことで懸案だった収益の「見える化」が実現したことだ。従来、得意先A社のビル一棟単位の収益を把握するのがやっとだったが、各現場を部門として管理しその動きを数値で管理することで、テナント形態の得意先の各管理サービスごとの収益、費用の把握も可能となった。
同社経営企画部の西村取締役は次のように語る。「GLOVIA会計パッケージに標準でついている管理会計用の帳票によって業種業務別のセグメント情報を取りだして分析が可能になりました。また自由なレイアウトで自社帳票作成が可能なGLOVIA関数によって、集まってきた会計データを自由に、しかも簡単に操作できるので、その結果をタイムラグなく経営判断材料として利用できるようになりました」。
今後の展開として同社が進めようとするのは管理層、さらには現場層の会計情報分析だ。FDWHに蓄積した全てのトランザクションデータを、データビューワー機能で掘り下げて分析することで、いつでも、誰でもが、予算実績、得意先別収益などの詳細分析データを瞬時に入手可能となる。
GLOVIA smart は、今後も企業の業務効率改善、経営情報の「見える化」、より正確な経営戦略策定のためのシステムづくりをサポートしてゆく。
所在地 | 本社:〒104-0041 東京都中央区新富2-3-4 |
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代表者 | 代表取締役社長 矢口 敏和 氏 |
創業 | 1953年10月 |
資本金 | 1億円(2009年3月現在) |
従業員数 | 3,400名(2009年6月現在) |
事業内容 | 設備管理、各種清掃、警備・保安、各種工事、マンション管理、各種コンサルテーション |
ホームページ | 株式会社ビル代行 ホームページ |
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