昭和シェル石油株式会社様は、お客様サービスのさらなる向上を目的に、以前より利用していたシステムから独立した新しい受発注システムの構築を決定。クラウドを活用した部門システムとして、「Salesforce」のプラットフォーム上で動作する「GLOVIA OM」を採用。約3ヵ月で構築し、受発注業務の信頼性向上とペーパーレス化を実現した。
[ 2011年12月28日掲載 ]
Salesforce CRM、GLOVIA OM |
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システムの短期構築や導入コストの圧縮ができる | |
標準機能をベースに、独自の受発注業務要件を機能追加することで、導入期間を短縮できる | |
製造業 |
昭和シェル石油株式会社 石油事業本部 国際販売部 業務企画課長 前田 典秀 氏
「富士通以外の提案では、当社独自の受発注業務に合わせるための作り込み規模が大きく、限られた期間内で完成させる確信が持てませんでした。多彩な受発注機能を備えた『GLOVIA OM』と富士通SE の組合せを採用することで、短期導入が可能になったのです」
1 | きわめて短期間(3ヵ月)かつ予算内で、新しい受発注システムを構築したい | クラウド上で段階的に受発注システムを構築することで短期間構築の課題をクリア | |
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2 | お客様からの注文データに付随するグループ企業との電話や電子メールでのやり取りを効率化したい | ひとつの注文データの中に、グループ企業との電話や電子メールでのやり取りを保存し、そこからメール発信も可能になり、メール履歴を検索するよりも省力化 | |
3 | お客様からいただく注文データがFaxであり、その確認や内容変更について正確かつ迅速に行いたい | カスタマーポータル機能により、お客様自身による注文データの入力が可能。さらに、お客様とシステム上で注文データを共有するため、手配状況はリアルタイムで確認可能 |
昭和シェル石油株式会社様は、石油事業と太陽電池を中心とするエネルギーソリューション事業を2 本柱とし、生活に欠かせないエネルギーを安全かつ安定的に供給する「エネルギー・ソリューションプロバイダー」として、お客様や社会に支持される企業を目指しています。さらに、国際販売部様では、全世界に展開しているシェルグループと連携し、国内外を航行するタンカーや輸送船等への船舶用燃料および潤滑油の販売を行っています。国際販売部様のビジネスモデルは次の2つのパターンに分けられます。1つめは日本のお客様船舶が海外の寄港地にて給油するパターン(邦船外地)で、海外のシェルグループによる給油をアレンジメントします。2つめは海外のシェルグループのお客様船舶が日本国内の寄港地にて給油するパターン(外船邦地)で、昭和シェル石油様が日本のシェルグループとして燃料や潤滑油の供給を行います。
前田 典秀 氏
昭和シェル石油株式会社
石油事業本部 国際販売部
業務企画課長
これまで同社は、これら2つのビジネスモデルをシェルグループと同一の業務システムで行っていました。しかし、さらなる顧客満足度向上と業務処理の効率化などを目的に、独自の受発注システムを構築することになったのです。同社石油事業本部 国際販売部 業務企画課長の前田典秀氏はこう語ります。「受発注業務の基本部分については、シェルグループのカスタマーサービスセンターが開設される2010 年9 月1 日までに稼働させる必要がありました」。
邦船外地および外船邦地の受発注処理では、多岐にわたる取引が対象となります。お客様からの「引き合い」「注文」「供給」「請求」だけでなく、グループ企業との「給油日程の調整」「海外グループ企業への発注、支払」などです。
たとえば、邦船外地の場合、従来のシステムではお客様からFaxによる引き合いを受け、手作業でシステムに入力し、Faxやメールによるグループ企業との調整を経て注文が確定します。その後、グループ企業が給油した際のレシート(証票)の入手や給油にかかわる諸費用の支払、さらに日本のお客様への請求を行います。お客様やグループ企業との間で正確かつ迅速な情報をやり取りするために非常に多くの労力が必要でした。
同社は、これらの機能を独自の受発注システムとして構築するため、従来のようなサーバ設置型システムではなく、クラウドを利用することを決定。ベンダー3社の提案について、機能・期間・コスト等の条件を精査しました。その結果、「Salesforce」のサービス環境上で動作する「GLOVIA OM」の導入を決めました。前田氏はその理由についてこう語っています。「他ベンダーの提案では、当社独自の受発注業務に合わせるため作り込み規模が大きく、限られた期間内に完成させる確信が持てませんでした。多彩な受発注機能を備えた『GLOVIA OM』と富士通SE の密な対応の組合せが、短期導入を可能にしたのです」。
神谷 弥生子 氏
昭和シェル石油株式会社
国際販売部 業務企画課
採用決定から最初の稼働スタートまでわずか3ヵ月。同社国際販売部 業務企画課の神谷弥生子氏はこう述べています。「請求書関連のフローが複雑なロジックになっていました。お客様、船、港、商品ごとにそれぞれ価格が変化するので、価格決定の部分などに作り込みが必要だったのです」。しかし同社開発担当者と富士通SEが一体となって作業を進めたことで導入作業はスムーズに進みました。同社からの業務要件を整理して、Sandbox(開発環境)で実際に操作するようなイメージで業務画面やロジックを試作~検証していきました。打ち合わせの都度内容を確認し、必要に応じて軌道修正するという共同作業を何度もくり返しました。
南部 勉 氏
昭和シェルビジネス&ITソリューションズ株式会社
ビジネスソリューション推進部
業務アプリケーショングループ
導入に係わった昭和シェルビジネス& IT ソリューションズ株式会社 ビジネスソリューション推進部 業務アプリケーショングループの南部勉氏はこう述べています。「ピーク時には週2 回以上、構築中の画面を見せていただきながら『ここは、こうしてほしい』と、画面項目や計算条件など業務要件とのギャップが出ないよう逐次確認し合いながら作業を進めていただきました。そのため、作業の手戻りを最小限に抑えることができたのです。また要望に応えるだけでなく、『従来のこのフローは、このようにして効率化できるのでは』といった提案もいただきました。非常によい形でキャッチボールができたと思っています」。
新システムの稼働、運用では、同社の国際販売部だけでなく、お客様にもお使いいただくことになりました。そのためには、従来Faxで発注依頼をしていたお客様に、新しいシステムを理解していただき、了承を得る必要があります。「お客様側にご負担をかけるのではないか。『めんどうだ』と感じるお客様もいらっしゃるのではと心配しました。しかし富士通さんから『このシステムをご利用いただくことで、こういったメリットがある』ということをお伝えする資料を作成、提供いただき、お客様のご理解とご協力を得られたのです」(神谷氏)。
導入は段階的に進められました。第1次は2010年9月に一部の受発注業務分、第2次は2010年10月に残りの受発注業務分、そして第3次は2011年2月に国内のお客様との間でカスタマーポータルを活用した注文データの共有です。
神谷氏は、導入によるメリットについてこう述べています。「今までは、お客様からの発注をFax で受け、改めてシステムに入力していました。そこには紙ベースの受注票の紛失、データの打ち間違いという危うさがありました。新システムでは直接ポータル上に入力していただけるようになり、正確で迅速な情報伝達が可能になりました。たとえば潤滑油の容器が、供給地の都合でペール缶からドラム缶に変わるなど、お客様から内容変更に対する了承をいただく必要がある場合でも、ほぼリアルタイムで進捗状況や履歴などを共有でき、了承いただいた内容がPDFでアタッチされ、タイムスタンプも押されます。タイムラグはゼロ。受発注業務の信頼性は大幅に向上し、同時にペーパーレス化も進みました」。
富士通グループは、これからもお客様の様々な業務シーンで活躍できるクラウドサービスを提供し、お客様とともに進化してまいります。
所在地 | 東京都港区台場2-3-2 台場フロンティアビル |
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代表者 | 代表取締役社長 新井 純 |
設立 | 1985(昭和60年)1月 |
事業内容 | 石油製品の製造販売事業および太陽電池製品の製造販売事業など |
従業員数 | 930名(2010年12月現在) |
ホームページ | 昭和シェル石油株式会社ホームページ
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