協和発酵キリンは原価管理システムのクラウド移行を契機に、データベースを従来の海外ベンダー製品から、OSSデータベースのPostgreSQLをエンジンとしたFUJITSU Software Symfoware Server(Postgres)へリプレースした。
その結果、システムのオープン性が高まっただけでなく、従来のデータベースと同等の安定性と処理性能も確保。ビジネス変化に対して、より柔軟かつ迅速に対応できるシステムを実現し、運用保守コスト削減も達成している。
[ 2016年9月30日掲載 ]
業種: | 医療用医薬品の製造・販売 |
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製品: |
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1 | データベースのオープン性をアップさせたい | PostgreSQL搭載商品でオープン性の向上とコスト削減を達成 | |
2 | リプレース前と同等の安定性を保持したい | リプレース後もクラウド上で安定稼働を実現 | |
3 | 従来と同等以上のバッチ処理性能を確保したい | データベース移行後も同等以上の性能を確保 |
医療用医薬品の製造・販売事業で、世界中の人々の健康と豊かさに貢献する協和発酵キリン。抗体医薬品の研究開発に30年以上取り組んできた強みを活かし、治療が困難な病気に対する新薬を中心とした研究開発に注力している。
また、2016年策定の中期経営計画においては、「グローバル・スペシャリティファーマへの飛躍」をテーマに、独自研究による新薬のグローバル展開などを推進している。
篠田 敏幸氏
協和発酵キリン株式会社
情報システム部長
同社は様々なベンダー製品からよりよい製品を選定し、新しい知見と新しい技術でつなぐという方針でシステムを構築。同社 情報システム部長 篠田 敏幸 氏は「最新技術を活かした優れた製品が適正コストでタイムリーに調達できれば、システム最適化をより進められます。そのため、システムに採用する製品にはオープン性を強く求めています」と話す。近年同社は基幹システムのクラウド化に大きく舵を切っている。
システムの新規立ち上げが迅速化でき、業務ニーズの変化にあわせて柔軟に拡張や縮小できる基盤の整備を目指し、2013年から順次移行を進めている。
同社は原価管理システムに、プロセス産業向け基盤業務パッケージ「FUJITSU Enterprise Application GLOVIA ProcessC1」を長年利用している。
2014年、ハードウェアの保守切れやOSのサポート終了を契機に、オンプレミスからクラウドへの移行に着手した。
その際、クラウド対応のためにGLOVIA ProcessC1をV4からV5へバージョンアップ。V5はマルチデータベース対応のため、従来の海外ベンダー製データベースから、コスト削減を主な目的にデータベースの見直しを図った。
「原価管理システムのデータベースのオープン性をより高めたいと考えていました。ベンダーロックインを回避し、システム構築や更改における柔軟性と俊敏性を向上することが狙いです。さらには、従来のデータベースは運用保守コスト増が検討課題となっており、その削減も行う必要がありました」(篠田氏)
データベースのリプレースで、安定性と処理性能が問われるのは言うまでもない。
同社情報システム部 課長補佐 郡 成宣 氏は「原価管理システムは重要な基幹システムの一つです。データベースをリプレースしても、従来のオンプレミス上の動作と同等の安定稼働が要求されます」と語る。
郡 成宣氏
協和発酵キリン株式会社
情報システム部 課長補佐
小方 研二氏
協和発酵キリン株式会社
情報システム部
同社情報システム部 小方 研二 氏は処理性能について、「同じく、新たなデータベースに移行しても、従来と同等以上の性能を確保しなければなりません。特に、月次のバッチ処理は従来と同じ時間以内に終了できることが必須です」と強調する。
検討の結果、GLOVIA ProcessC1のデータベースは旧バージョンで使用していた海外ベンダー製データベースから、Symfoware Server(Postgres)へ移行を決めた。
「実績の豊富なOSSのRDBMSであるPostgreSQLを搭載したSymfoware Server(Postgres)なら、よりオープン性を高め、良いものを迅速に適正価格で調達する、という当社の方針にマッチしていると判断しました」(篠田氏)
富士通の技術力およびサポート力もデータベースのリプレースを選択する後押しとなった。
「一般的にOSSを利用していると、問題が起こったときにどのように解決すべきかという点に不安を残しますが、富士通の高いSI力で解決できるため安心できました」(小方氏)
2014年11月に要件定義を行い、翌月からクラウド移行およびデータベース移行を開始し、2015年4月に本稼働。従来のオンプレミスのクライアント/サーバ型から、クラウドのWebシステムに刷新した。現在はグループの計7工場で利用している。
郡氏は今回のデータベース移行を振り返り、「大量データを一括で変換・ロードする移行ツールを独自開発するなど、富士通SEの技術とノウハウによって短期移行に成功しました」と評価する。
小方氏も「移行直後は目標とするバッチ処理性能が得られない問題が発生したものの、富士通SEがSQL文の最適化や各種パラメーターのチューニングなどにより解決してくれました。ビジネス利用に十分耐え得ることができ、性能にも満足しています」と続ける。
同社はデータベースをSymfoware Server(Postgres)にリプレースしたことで、クラウド上で動作する原価管理システムのオープン性が格段にアップした。
「システムの柔軟性と俊敏性、最新技術の導入しやすさが向上するなど、最適なシステムを構築できる環境を今まで以上に整備できました。その上、運用保守コストも従来使用していた海外ベンダー製データベースをクラウド上で利用した場合に比べ、大幅に削減できています」(篠田氏)
安定性についても、満足いく成果が得られている。「本格稼働以来、安定しています。従来のデータベースをクラウド上で利用した場合と同等の安定性を、よりオープン性の高いSymfoware Server(Postgres)で実現できたことは大きいですね」と郡氏は語る。
処理性能も当初の目標をクリアできた。「Symfoware Server(Postgres)に移行しても、従来のデータベースと同等の処理性能を確保できました。OSSへの不安は富士通のSI力のおかげで杞憂に終わりましたね」と小方氏は述べる。
加えて、クラウド化によって、月次バッチ処理時のみサーバのリソースを増やすといった運用が可能になり、コスト最適化につながっている。
ほかにも、マスタなどのExcelデータのアップロード時間を飛躍的に短縮できたり、Web化によって運用管理の効率化を実現したり、原価管理システム全体で最適化を果たすことができた。
【協和発酵キリン株式会社様導入事例 システム概要図】
同社は今後も、オープン化の流れをシステム全体で強め、新しい技術を素早く取り込み、さらなるシステム最適化を図っていく。
「これからはクラウド化とともに、他システムにもよりオープン性が高い製品の導入を積極的に進めていきたいですね。今回と同様に、富士通の支援を受けつつ、オープンな製品で従来と同等以上の性能と安定性を実現していきます」(篠田氏)。
協和発酵キリン株式会社様と富士通営業/SE
社名 | 協和発酵キリン株式会社 |
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本社所在地 | 東京都千代田区大手町1丁目9番2号 大手町フィナンシャルシティ グランキューブ |
設立 | 1949年7月 |
資本金 | 26,745百万円(2015年12月31日現在) |
代表取締役社長 | 花井 陳雄 |
従業員数 | 7,435人(連結ベース、2015年12月31日現在) |
事業概要 | 「日本発の世界トップクラスの研究開発型ライフサイエンス企業」として、医療用医薬品の製造・販売を軸に事業を展開。バイオケミカル分野の事業もグループで取り組んでいる。
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ホームページ | 協和発酵キリン株式会社様 ホームページ |
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