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強誘電体の構造

FRAM(Ferroelectric Random Access Memory)はFeRAMとも呼ばれ、強誘電体薄膜(Ferroelectric film)をデータ保持用のキャパシタに利用した不揮発性メモリです。
ここでは強誘電体の構造と信頼性を紹介します。

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強誘電体とは

下図に強誘電体の典型であるPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)の結晶構造を示します。格子の中にZr/Tiイオンが置かれていますが、このイオンは二つの安定点を持ち、外部の電界によってその位置を変える性質(分極作用)があります。さらに、一度どちらの点に位置すると電界を取り去っても位置が変わることがありません。つまり、分極状態が記憶されます。上下に電極を設けてキャパシタを構成し、電極電圧と分極量をプロットすればヒステリシス(履歴)が得られ、"1"、"0"を記憶できることになります。分極による記憶状態は安定です。

PZT強誘電体の結晶構造とFRAMの動作原理

FRAMセルPZT結晶構造PZT結晶のヒステリシス特性

  1. 電界を印加すると分極が発生(Zr/Tiイオンが結晶内部で上下する)
  2. 電界をかけるのをやめても分極は残る(残留分極)
  3. 2つの安定点を「0」「1」データとして記憶

FRAMの信頼性

FRAMは、強誘電体膜を利用したデバイスであるため、一般的な半導体デバイスに必要な信頼性に加え、強誘電体膜の信頼性にも配慮する必要があります。強誘電体膜の信頼性の問題として分極量低下があります。リテンション(データ保持特性)やファティーグ(疲労特性)の影響により、分極量の低下が起こります。当社では、FRAMの信頼性に関し、TEG(Test Element Group)や製品により評価を行い、耐性確認をしています。

FRAMは不揮発性メモリのため、電源オフでも書き込まれたデータを保持することができますが、このデータが壊れることなく長時間にわたって保持される能力を「リテンション(データ保持特性)」といいます。一般にリテンションは温度に強く依存するため、保証される寿命に対して温度条件が規定されます。(例: 70℃以下、10年)
リテンションの評価方法、劣化モードについて説明します。

図1.評価フロー

(1)評価方法

リテンションは温度に強く依存するため、評価には温度による加速試験が可能です。
まずFRAMに、任意のデータパターン(例えば"0"状態、"1"状態のチェッカーパターン)を書き込み、高温下で一定時間放置します。その後データパターンを読み出し、最初に書き込んだデータパターンが保持されていることを確認します。次に、今読み出したデータパターンと逆のデータパターン("0"状態、"1"状態を逆にする)を書き込み、そのデータパターンを読み出し、正しく書き込みができたかを確認します。最後に、最初に書いたパターンと同じデータパターンを書き込み、再び高温下に放置します。
このフローを図1.に示します。

図2.分極量の印加電圧依存性

以上のフローを、読み出しエラーが発生するまで繰り返すことにより、その放置温度でのリテンション寿命を求める (注)ことができます。
なお最初のデータパターンの読み出しは高温放置中のデータパターンをそのまま読むことから"SS(Same State)"読み出しと呼び、2回目のデータパターンの読み出しは、逆データパターンを読み出すことから"OS(Opposite State)"読み出しと呼んでいます。
強誘電体の分極量は、図2に示すような印加電圧依存性を持っています。リテンションは分極量に依存する傾向があるため、不十分な印加電圧によるデータの書き込みは、リテンションの低下をもたらす危険があります。
したがって、リテンション評価はデータシートの動作保証での最低電源電圧で実施しています。

(2)劣化モード

リテンションの劣化モードには「減極」と「インプリント」の2種類があります。これらの劣化モードは"SS"読み出しおよび"OS"読み出しの両方を評価することにより検出することができます。

図3.ヒステリシス特性の減極による劣化

a) 熱による減極

減極とは図3に示すようにヒステリシス特性がつぶれ、残留分極量が減少する現象です。(+Pr、-Pr低下)
FRAMは分極量を検出して読み出すので、残留分極量の減少は誤読み出しにつながります。この減極現象は温度が高いほど顕著になります。ある温度にさらされた場合の減極は秒単位の短時間で起こり、その後は時間を経てもほとんど変化しません。
この減極によるリテンション劣化が発生している場合には、"SS"読み出し不良となってあらわれます。
なお、これは温度特性であって、物理的な劣化ではありません。常温で書き込めば、また分極量は戻ります。

図4.ヒステリシス特性のインプリントによる劣化

b) インプリントによる劣化

インプリントとは、書き込まれたデータに応じて分極に癖がつき、分極反転しにくくなる現象です。(データの刷り込み)
インプリントが発生すると逆データが書き込みにくくなります。インプリントはヒステリシス特性でみると、図4に示すようにヒステリシス曲線が左右にずれていく現象として観測されます。(抗電圧(+Vc、-Vc)の変動)
図1の評価フローで"OS"読み出しを行うのは、この劣化モードをチェックするためです。
これは、物理的な非可逆的劣化です。

ファティーグ(疲労特性)

ファティーグ(疲労特性)とは、強誘電体の分極反転動作を繰り返すうちに、分極量の減少が発生する現象です。
この分極反転に伴うファティーグは、書き込みサイクル時に発生するのはもちろんですが、読み出しサイクル時でも発生します。なぜなら、FRAMのメモリセルの読み出しはDRAMと同様に破壊読出しであるため、読み出しとその後の再書き込みの一連の動作過程で分極反転が行われるからです。
したがって、FRAMの書き換え回数の保証は、読み出し/書き込みサイクルにかかわらず、個々のメモリセルにアクセスする回数の合計で規定します。
以下にファティーグの評価方法および劣化モードについて説明します。

(1)評価方法

ファティーグの評価は、基本的には書き込みまたは読み出し動作を所定の回数繰り返すことによるファティーグ・ストレスを加え、その後もFRAMが正常な動作をするかどうかをチェックすることによって行われます。
ここでファティーグ・ストレスに要する時間を、たとえば動作サイクル時間を250nsとし、8Kワード×8ビット構成を持つ64KビットのFRAMメモリセルの場合を試算してみます。この場合、1回のアクセスで8ビットが同時にストレスを受けるため、全メモリセルが1回の書き込みを行うのに、8kサイクル必要になります。したがって、所定の回数を実施するのに要する時間は下記のとおりになります。

   10 8回: 250ns×8,192×108=約57時間
   10 10回: 250ns×8,192×1010=約237日
   10 12回: 250ns×8,192×1012=約65年

以上のように、ファティーグ評価はある回数以上は、現実的に実施するのが困難になってきます。
これに対して、以下のような方法で評価時間を短縮しています。

  1. 電圧、温度で加速する
  2. ストレスを加えるセル数を限定する(サンプリング試験)
  3. 複数のセルに一度にストレスを加える(同測試験)
図5.ヒステリシス特性のファティーグによる劣化

(2)劣化モード

書き込みまたは読み出し動作を所定の回数繰り返すことにより、図5に示す様な残留分極量の低下が見られます。
リテンションの減極による劣化に酷似していますが、再書き込みによって元の分極量に戻ることはありません。

ファティーグ後のリテンション

図6.ヒステリシス特性のファティーグ後のリテンション特性

実際のFRAMセルの使用状態においては、リテンションとファティーグは相互に関係しています。
一般的にファティーグを多く受けたメモリセルのリテンション寿命は、そうでないセルに比べて低下します。
図6にはファティーグ劣化の異なる(アクセス回数の異なる)サンプルに対して、"1"状態のデータ書き込み後のリテンション劣化モデルを示したものです。アクセス回数が多い(劣化が大きい)方が、インプリント劣化は大きくなります。
一定回数のストレスを加えた後のメモリセルを用いて、リテンションの評価をすることも信頼性上重要なことです。

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