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Japan

電子カルテシステムをシンクライアント化しセキュリティと利便性を両立。電子カルテ、インターネット、「どこでもMy Desktop」の同時利用により医師の意思決定を支援

独立行政法人国立病院機構 呉医療センター様 外観写真

独立行政法人国立病院機構 呉医療センター様 導入事例


広島県呉市の高度総合医療施設、呉医療センターでは電子カルテシステムの更新に際し、セキュリティと利便性の両立を目的にシンクライアントを導入しました。医師は院内どこでも端末で電子カルテもインターネットも個人用フォルダも利用可能に。また患者基本情報の一元化によりフェイルセーフ機能の強化も図っています。

[ 2011年12月19日掲載 ]

【導入事例概要】
業種: 医療
ハードウェア: PCサーバ PRIMERGY RX300 S6
ブレードサーバ PRIMERGY BX 900 S2
ストレージ ETERNUS
ソフトウェア: 電子カルテシステム HOPE/EGMAIN-GX
シンクライアントソリューション Citrix XenDesktop(XenAppの機能を主に活用)

独立行政法人国立病院機構 呉医療センター様 統括診療部長 川本 俊治 氏
「私は循環器科の医師ですが、常に分単位での判断を求められます。疑問がでたときにその場で調べて解決できることはとても大切です。医師の判断を支援する医療インテリジェンス機能では、院内での移動が多い医師のために電子カルテもインターネットも自分専用のフォルダも、セキュリティを担保しながら院内どこでも利用できる「どこでもMy Desktop」の実現を目指しました」

独立行政法人国立病院機構 呉医療センター 川本 俊治 氏の写真
川本 俊治
独立行政法人国立病院機構 呉医療センター
統括診療部長 (医療情報部長併任、循環器科科長併任)

広島県呉市において地域住民の健康を担う独立行政法人国立病院機構 呉医療センター(以下、呉医療センター)。同院の新医療情報システムでは、電子カルテシステムを中心とした情報活用の推進がテーマの1つでした。セキュリティと利便性の両立を目的に、電子カルテシステムにシンクライアントを導入。電子カルテもインターネットも個人用フォルダも、院内のシンクライアント端末で利用できる「どこでもMy Desktop」を実現し、常に判断を求められる医師の意思決定を支援しています。また患者基本情報の一元化を図りフェイルセーフ機能も強化。シンクライアント化により従来比で端末のCO2排出量の最大約7割削減を見込んでいます。

【課題と効果】
1 セキュリティを担保しながら、院内どこでも電子カルテとインターネットを同時に利用したい 電子カルテ系と情報系の2つの仮想サーバを設置し両サーバ間を隔離しつつ、端末上では2つの画面を同時に表示。シンクライアントと接触型ICカードを組み合わせ、情報漏洩対策を強化
2 患者基本情報の一元化を図りフェイルセーフ機能を強化したい 患者基本情報に既往歴や障害度を入力すると関連システムに自動的に反映。看護師が二重入力する手間もなくなり入力ミスも防止
3 消費電力量を削減し環境負荷低減に貢献したい シンクライアントの導入と、仮想化による部門システムのサーバ統合と合わせて年間約150トンのCO2削減効果が見込まれる

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導入の背景

電子カルテシステムを中心とした情報活用の推進

瀬戸内海に面した呉市。自然豊かな地に呉海軍病院を前身とする呉医療センターがあります。長い歴史をもつ同院は、常に時代の要請に応える最新、最善の医療の提供に努め、地域住民の健康を支えています。現在、中国がんセンター、3次救命救急センター、医療技術研修センターなどをもつ27の診療科、700床、600名以上の看護師を有する高度総合医療施設となっています。

瀬戸内海と呉市の写真
瀬戸内海に面した呉市の様子

「当院には、急性期医療、慢性期医療、地域連携と大きく3つの柱があります。高齢化率の高い呉市の中核病院である当院にとって地域の病院と連携した医療を考えることは重要です。例えば緊急時の治療は当院で行い、リハビリなどのフォローは地元の病院が対応する。呉市は地域全体で患者さんをフォローしていく、国内でも先駆的な取り組みを行っています」と呉医療センター 統括診療部長 川本俊治氏は語ります。
高齢化や医師不足など医療が抱える課題の解決にICTの活用は欠かせません。同院では、2005年に導入した電子カルテシステムの更新に際し、新しい医療情報システムの目指す方向性を定めました。「基本骨格では1.医療インテリジェンス機能、2.フェイルセーフ機能、3.チーム医療などDWH (Data WareHouse)情報の臨床へのフィードバック、4.地域の病院で呉医療センターの診療情報の参照や診察の予約などが行える地域医療連携ネットワーク(波と風ネット) の4つのテーマを設定しました。新しい電子カルテシステムに関わるテーマは1と2です。電子カルテシステムを中心に情報をどう活用していくかが、今回の重要な課題でした」(川本氏)。

導入のポイント

電子カルテもインターネットも安心して同時に利用できる「どこでもMy Desktop」

従来は、電子カルテに入力しながらインターネットで文献を検索することも、ナースステーションの端末で自分のパソコンに保存している資料を見ることもできませんでした。「私は循環器科の医師ですが、常に分単位での判断を求められます。疑問がでたときにその場で調べて解決できることはとても大切です。医師の判断を支援する医療インテリジェンス機能では、院内での移動が多い医師のために電子カルテもインターネットも個人用フォルダも、セキュリティを担保しながら院内どこでも利用できる「どこでもMy Desktop」の実現を目指しました」。
フェイルセーフの観点では患者基本情報の一元管理が課題となっており、障害情報、家族情報、手術歴などの情報を看護師が二重入力する手間や入力ミスのリスクが生じていました。
「仕様書では、「どこでもMy Desktop」を実現するために電子カルテシステムのシンクライアント化、情報系システムのセキュリティ厳格化、患者基本情報を中心とした全体の業務システムの自動連動についてワークフローをつけて提示しました」(川本氏)。同院は複数の提案の中から富士通を採用することを決定。「特にシンクライアントでPACS(医療用画像管理システム)の動画が診療可能なスピードと画質であったことは高く評価できました」と川本氏は評価ポイントを話します。

呉医療センター様のシステム概要図です。シンクライアントによる仮想化とICカードで、セキュリティと利便性を両立。業務系ネットワークは、PRIMERGY BX900 S2をシンクライアントサーバ(電子カルテ用・仮想化ソフト Citrix XenAppを搭載)として、電子カルテサーバ(電子カルテシステム HOPE/EGMAIN-GXを搭載)のPRIMERGY RX300 S6や、部門システム仮想化サーバ(割当機能は、検査部門、輸血部門、放射線治療、生理検査、二次利用(DWH)他)と接続して、医療支援システムを構成。利用する医師は、ICカードとパスワードを使用してシングルサインオンでシステムにアクセスできます。シンクライアント端末の内訳は、シンクライアント端末(外来・病棟用)、ソフトシンクライアント端末(各部門用)、電子カルテFAT端末(高精細モニタ接続用)で、計約1,200台です。情報系ネットワークは、PRIMERGY BX900 S2(割当機能は、オフィス、メール、データ活用 他。仮想化ソフト Citrix XenAppを搭載)を、WEB電子カルテサーバのPRIMERGY RX300 S6や、ファイルサーバのETERNUS DX80と接続しています。情報系ネットワークのシステムは、セキュリティを確保したうえで、一部情報がインターネットにもつながっています。

導入のプロセス

仮想化、シンクライアント、接触型ICカードでセキュリティと利便性を両立

「どこでもMy Desktop」の実現ではセキュリティと利便性の両立が課題となりました。電子カルテ系と情報系の2つの仮想サーバを設置し、セキュリティを担保するために両サーバ間を隔離しつつ、端末上では2つの仮想サーバ画面が同時に表示される仕組みを構築。データがパソコンに残らないシンクライアントと、利用者が離席中はパソコンを利用できない接触型ICカードを組み合わせて情報漏洩対策を強化しました。また、DWHを経て匿名化された診療データを集計する診療科データベースの作成やガイドラインなどの資料を個人用フォルダに保存でき、どのシンクライアント端末からも利用可能にしました。
「医療業務の実態に合わせながら、端末ごとに見える情報と見えない情報や、USBメモリの制限などきめ細かく設定しています。運用上の設定は複雑ですが、ユーザーに対してはシングル・サイン・オンを実現しています。富士通にはきめ細かく技術サポートをしていただきました」(川本氏)。

新電子カルテシステムの構成は、システムの中核に富士通の「HOPE/EGMAIN-GX」、シンクライアントソリューションに「Citrix XenApp」、インフラに富士通のブレードサーバを採用。今回、シンクライアント上での電子カルテと部門システムの連携がポイントとなるため、富士通沼津工場に各ベンダーを集めて事前検証を実施しました。「富士通が中心になって約35の部門システムのベンダーとの間で綿密な調整を行ったことが安定稼働につながっていると考えています」(川本氏)。

病棟のシンクライアント端末の写真
病棟のシンクライアント端末。カルテ画面とWeb ブラウザ画面を同時に表示。

導入の効果と今後の展望

チーム医療の質の向上、フェイルセーフ機能の強化、消費電力量も大幅に削減

シンクライアント化した新電子カルテシステムは2011年9月から運用を開始。導入効果はすでに表れています。「カンファレンスルームでなくても他の医師と顔を合わせたときに、院内どこでもシンクライアント端末で電子カルテや資料を見ながらディスカッションができるようになり、医療の質の向上につながっています。また作成途中の文書をどこでも作業できるのも便利ですね」 (川本氏)。
導入後、2カ月でインターネットへのアクセスも4倍に増加。SBC(Server Based Computing)方式の「Citrix XenApp」の採用によりサーバ1台に約30台の高い集約率を実現し、コストを抑制しながら利用拡大のニーズに応えています。また患者基本情報の一元管理の実現により一度入力すれば関連システムに反映されるため、「入力の二度手間やミスの心配もなくなったと看護師にも非常に好評です」(川本氏)。
CO2の削減では、従来と比べ、シンクライアント化により端末のCO2を最大で約8割削減、今回同時に実現された仮想化による部門システムのサーバ統合と合わせて年間約150トンのCO2削減効果が見込まれます。またシンクライアント化によりサーバ側でアプリケーションの一元管理が可能となり運用管理の効率化も実現しています。
今後の展望について「これからさらに完成度を高めていくことが重要です。例えば「どこでもMy Desktop」の延長線上で看護師を対象にタブレット端末を使った問診登録やチェックリストの利用も考えています。またオープンオフィスの推進や情報系でのクラウドの活用も今後のテーマです。富士通にはサポート面はもとより先進的な提案も期待しています」と川本氏は語ります。
基本理念「気配りの医療」のもと呉医療センターが取り組む先駆的な医療活動を、富士通はこれからもICTを駆使し支援してまいります。

独立行政法人国立病院機構 呉医療センターの皆様の写真
(右から)富士通株式会社 西日本営業部 中国支社 ヘルスケア営業部 野田 悠介
独立行政法人国立病院機構 呉医療センター 統括診療部長 川本 俊治 氏
(医療情報部長併任、循環器科科長併任)
独立行政法人国立病院機構 呉医療センター 企画課 経営企画室 石飛 順平 氏
株式会社富士通中国システムズ 医療ソリューション事業部 医療第二ソリューション部 甲野 義久

【独立行政法人国立病院機構 呉医療センター様 概要】
所在地 広島県呉市青山町3番1号
病床数 700床
診療科 内科、精神科、神経内科、呼吸器科、消化器科、循環器科、小児科、外科、乳腺外科、整形外科、形成外科、脳神経外科等27診療科
特色 地域医療支援病院、地域がん診療連携拠点病院、臓器提供施設、高度総合医療施設、基幹医療施設(がん)、第3次救命救急センター、母子医療センター等
独立行政法人国立病院機構 呉医療センター様のロゴ
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【導入事例(PDF版)】

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