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Fujitsu

Japan

VOICE ~ETERNUSの現場から

世界最高クラスの高性能と運用性 富士通株式会社 ストレージシステム事業本部 テープシステム開発部 マネージャー 佐々木 忍 / 堀 大輔 / 富井 大介 クラウド・仮想化時代のビジネスイノベーションを促進 ETERNUS DX S3 series

増え続ける企業データ、そしてクラウド・仮想化という革新的技術の普及は、ICTインフラを支えるストレージの進化をも促すことになった。ETERNUS DX S3 seriesの開発にはどのような背景があったのだろうか。

ETERNUS DX S3 seriesのラインナップを紹介してください。

松田

今回、ETERNUS DX100 S3/DX200 S3/DX500 S3/DX600 S3をご提供します。それぞれこれまでのエントリークラスDX80 S2とDX90 S2、ミッドレンジクラス DX410 S2とDX440 S2の後継機種にあたります。

ETERNUS DX S3 series 製品ラインナップ

ETERNUS DX S3 seriesの開発のきっかけは?

松田

松田近影企業が扱うデータは爆発的に増え続けています。あらゆるデータを安全かつ柔軟に利用するには、より高機能、より高性能のストレージが必要です。ETERNUS DX S3 seriesは、このようなニーズに対応するために開発しました。

西園

市場では、エントリーやミッドレンジクラスでも優れた性能のストレージが求められています。また、SANとNASの両方として使用できるユニファイドストレージへのニーズが大きくなってきたことも、開発理由の1つです。

ETERNUS DX S3 seriesは、ETERNUS DX S2 seriesと比べて性能、運用性、信頼性などが大きく向上している。それぞれの側面での特長を聞いた。

性能面での特長は?

松田

まず、ストレージ用で最新高性能のIntel製CPUを搭載しています。SMP(対称型マルチプロセッシング)に対応しており、従来機(ETERNUS DX S2 series)と比べてパフォーマンスが大幅に向上しています。 また、内部バスにPCI e3.0を採用して高速化を図っています。さらにドライブインターフェースに世界で初めてSAS-3を採用しており、12Gbit/sの高速な次世代ディスクにも対応しています。

従来機とのIOPs比較図

西園

西園近影ミッドレンジクラスのETERNUS DX500 S3/DX600 S3では、Extreme Cacheを搭載しています。PCIe SSDを専用スロットに挿して2次キャッシュとして利用する機能で、最大5.6TBのキャッシュを搭載可能です。これまでは性能を出すには大量のディスクドライブの搭載が必要でしたが、Extreme Cacheを利用すれば少ないHDD本数でも性能を大きく向上できます。

運用性を向上する機能は?

松田

ユニファイド対応です。他社製品はユニファイドストレージとして利用するためにNASヘッドユニットの追加購入が必要ですが、ETERNUS DX S3 seriesはヘッドユニットを追加購入することなくユニファイドストレージとして利用できます。

池内

池内近影管理ソフトウェアとしてETERNUS SF Storage Cruiser 16を導入すれば、ストレージ自動階層制御やQoS自動化といった、これまで人手に頼っていた"使い分け"部分を自動化する運用に便利な機能が利用できます。ストレージ自動階層制御では、よくアクセスするデータを高速ディスク、あまりアクセスしないデータを安価で大容量のディスクに保存するなど、アクセス頻度による振り分けを自動的に行う機能です。QoS自動化は、業務の内容に応じてデータのI/O性能を自動調整します。

信頼性についてはどうですか。

西園

2014年6月にリリースする予定の2次機能の1つに、透過的フェイルオーバがあります。ETERNUS DX S3 seriesを2台用意しておき、1台が故障してもユーザーが意識することなく自動的にもう1台に切り替わり、業務を継続するという機能です。これまでは、このような機能を実現するには仮想化スイッチや業務サーバ側に専用ソフトウェアを導入する必要がありました。ETERNUS DX S3 seriesは仮想化スイッチや業務サーバ側に専用ソフトウェアを導入せず、ETERNUS SF Storage Cruiser 16とストレージだけでフェイルオーバを実現します。

池内

同様に2次機能として高速リビルド機能をリリースする予定です。ディスクが故障したときにデータを他のディスクに再構築する動作をリビルドと言います。ハードディスクの大容量化に伴い、リビルドに数時間、長いときには数日かかっていましたが、高速リビルドにより、最大6倍速くリビルドが可能になります。

開発担当者から見てどのような場面での利用が効果的ですか。

池内

池内近影ETERNUS DX S3 seriesでは、高密度ドライブエンクロージャを採用して1エンクロージャあたり60台のHDDを搭載可能です。この高密度ドライブエンクロージャにより、1エンクロージャあたりのHDD搭載数を増やすことで筐体数を削減しています。設置面積が従来機より50%以上小さくて済むため、データセンターやHPCなど大容量のディスクを必要とする場合でも省スペース化が可能です。また、2次機能のエコモードでは、未使用時のHDDの回転停止に加え、ドライブ制御基板への電源供給を停止することで、消費電力を従来機より削減できます。節電対策の観点からもぜひお使いいただきたいです。

西園

西園近影災害対策や業務継続などに有効な機能をさらに強化しています。例えば、透過的フェイルオーバや高速リビルドを利用すれば、障害の発生時にシステムが停止するリスクや業務への影響を最低限に抑えられます。

松田

ETERNUS DX S3 seriesは、ユニファイドストレージとして利用可能です。SAN対応のディスクストレージシステムでデータベースなどミッションクリティカルな構造化データを管理すると同時に、急増する文書や画像といった非構造化データをNASのファイルシステムで管理したいという場合に、簡単かつ便利にユニファイドストレージとして活用していただけます。

ETERNUS DX S3 seriesの開発ではどのような苦労があったのだろうか。

開発で苦労したことは?

松田

松田近影私はハードウェア開発を担当していますが、特にミッドレンジクラスのETERNUS DX500 S3 / DX600 S3では装置設計に苦心しました。SMP対応のパワフルなCPUを冷却する機構や多数のメモリチャネルなど、ハードウェア内の装置がこれまでと大きく変わるため、メカ担当とハード担当で何パターンもプロトタイプ案を考えて時間をかけてどういう形にするかを議論しました。

西園

ファームウェア担当の立場からですと、今回初めてSMPやユニファイド対応など大きな新機能を複数同時に開発しましたが、これが大変でした。また、性能や信頼性を強化するために装置全体ががらっと変わっているため、ファームウェア全体を作り直しに近いくらい修正しました。

池内

ファームウェア、主にRAID制御を担当しています。ETERNUS DX S3 seriesはSMPでCPUが並列に動作します。AMP(非対称プロセッシング)のETERNUS DX S2 seriesとは異なる制御になるため、ハードウェアが出来上がる前にETERNUS DX S2 seriesを改造したプロトタイプ機を作成し、どう制御すれば性能が出せるか試行錯誤しました。ハードウェアが出来上がってからも、SMPを使いこなして性能が出せているか、設定を変えてのチューニングに非常に時間がかかりました。

開発で工夫したことは?

松田

ハードウェア開発は、高速信号、ノイズ、監視制御論理のシミュレーションを徹底活用しました。特に高速信号シミュレーションは期待する結果が得られるまで試行錯誤を繰り返し苦労しましたが、おかげで、ものづくり前から品質を確保した上で製品開発をすることができました。また、今回はミッドレンジとエントリーを並行に開発し、同じ素材で共通のアーキテクチャーを採用し、ファームウェアから可能な限り同じように見えるように開発しました。ハードウェアが足並みを揃え、同じ素材を使って同じアーキテクチャーで開発することで、コストや開発工数が削減できました。

西園

西園近影ファームウェアを大きく改修したため、評価項目も当然増えました。例えば、エントリーとミッドレンジ、それぞれのクラスでSANとNASの両方の機能を評価しなければなりません。これまではハードウェアが出来上がってからファームウェアを載せて評価するという手順でしたが、今回はプロトタイプやシミュレーターを活用して前倒しでできるところは評価し、ハードウェアを待つ時間が発生しないように工夫しました。今回はこれまで以上に新機能、構成を採用したのですが、評価部隊にも大いに支援してもらい、通常の評価期間で十分な評価を行い、お客様に安心してお使いいただける製品に仕上げています。

ETERNUS DX S3 seriesの今後の展望、熱い思いを聞いた。

ETERNUS DX S3 seriesの今後の展望は?

松田

2014年6月に透過的フェイルオーバや高速リビルドなどの2次機能をリリースし、その後、さらなる機能拡張を行っていく予定です。ハイエンドクラスのリリースも予定しています。ユニファイドにおけるNAS機能の強化、使いやすさも改善されていきます。

西園

仮想化環境で快適に利用するために、重複排除や圧縮などの機能に注力していくことになると思います。 私は主にアドバンスト・コピー機能を担当しているのですが、システムエンジニアやカスタマーエンジニアの方からの要望を受け、コピーの機能や性能のマイナーチェンジを行っています。同様に他の機能についても地道にマイナーチェンジを行い、可用性、汎用性を上げていく必要があるでしょう。

池内

池内近影自分が担当しているRAID制御は、表面には見えませんが、信頼性の観点で非常に重要だと考えています。 例えば、ディスクの故障時に退避したデータをディスクの交換後に戻して再構築を行うと、ユーザーからはストレージの性能が少し落ちるように見えます。性能が落ちないようにするか、落ちる時間をできる限り短くしたいという要望を受け、故障したディスクからデータを退避した後、交換後のディスクへデータを戻すことなくRAIDを再正常な状態に戻すコピーバックレス機能を導入しました。この機能によって、正常な状態に戻るまでデータの再構築を待つ必要がなくなり、保守の手間も軽減されます。 このように、お客様には見えない部分も意識し、お客様の業務への影響を最低限に抑え、信頼性や保守の容易性を向上する機能を開発していきます。

最後に製品に対する熱い思いを聞かせてください。

松田

松田近影データ量の増加に伴い、ETERNUS DX S3 seriesの需要は高まっていくと思います。また、富士通独自のアーキテクチャーで開発している製品でもあります。これまでと同様に、性能や信頼性などの重要な部分を守りつつ最新のテクノロジーを取り入れて、新しい市場や新しいニーズに応えられるストレージ開発を続けていきたいです。

西園

ETERNUS DX S3 seriesは、世界最高レベルの性能と機能を備えたストレージです。エントリークラスでも品質にこだわって製品を提供しています。また、お客様の要望にも随時応えていき、細やかにサポートしてまいります。お客様のご要望に柔軟に対応する会社、富士通として、ETERNUS DX S3 seriesをお勧めします。

池内

ETERNUS DX S3 seriesは世界一の性能を誇ります。これを維持し続けると同時に、世界一の信頼性を備えた富士通製品と言われ続けるように開発に携わっていきたいと考えています。

ビッグデータを安全かつ効率的に格納し、有効活用するには、高性能・高信頼性ディスクストレージシステムが必須である。クラウド・仮想化環境の普及、非構造化データの増大などの変化に応じて、ストレージには今後ますます多岐多様な機能が求められるようになるだろう。富士通は、お客様のビジネスイノベーションを支援する世界最高クラスの性能・信頼性を備えたディスクストレージシステムを今後も継続して提供していく。

(注)取材日:2013年10月28日
本稿記載の肩書きや、固有名詞等は取材日、または公開日時点のものであり、このページの閲覧時には変更されている可能性があることをご了承ください。

掲載日:2013年12月16日

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