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第12回 バックアップの効率化のカギ

業務で扱うデータは企業にとって大切な資産である。その資産を守るためには、データの定期的なバックアップ、適切な保存・管理が必要となる。さらに、企業データの増大に対応し、「いかに効率的にバックアップを行うか」を考えなければならない。今回はバックアップに関するIDCの調査結果をもとに、バックアップを効率化するためのポイントを考察する。

(注)本連載ではIDCのレポートを基に、中堅中小企業=1人~999人以下、大企業=1000人以上と定義する。

「バックアップの効率化」が課題

業務への有効活用のためだけでなく、事業継続およびコンプライアンスなどの観点から見ても、企業データのバックアップは非常に重要である。しかし、企業データが増えるにつれ、バックアップが煩雑化して作業負荷が大きくなり、さまざまな課題に直面することになる。IDCの調査結果「ストレージ管理の課題」では、「バックアップの効率化」が一番の課題になっている。
2009年度および2010年度(予算)のストレージへの投資の伸び率に関する調査では、約7割の企業が横ばいあるいは減少と答えている。限られた予算の中で実際にどのような見直しを行ったか、あるいは行う予定か、具体的な項目を挙げて調べた結果が次に示す「ストレージインフラの投資や運用方法の見直し」だ。この調査では、多くの企業が「バックアップ手法の見直し」を行っていることが明らかとなった。また、「バックアップ統合」を導入済みまたは導入予定の企業も多い。

ディスクベースバックアップの導入

まず、企業はバックアップシステムにどのような装置・方式を採用しているかを見てみよう。IDCは「バックアップシステムの導入状況」という調査を行っている。なお、調査項目として挙げられている装置または方式については表1を参照してほしい。

表1 バックアップ用の装置・方式

テープ テープドライブ 1本のテープを駆動する装置
テープオートローダー テープドライブへ設定するテープカートリッジを自動交換できる装置
テープライブラリ 複数のテープドライブとテープカートリッジの自動交換機能を備えた装置
ディスク D2D Disk to Diskの略。テープ装置ではなくディスク装置にバックアップを行う方式
D2D2T Disk to Disk to Tapeの略。たとえば、日常的にディスク装置にバックアップを行い、長期保存のためにテープ装置にバックアップをコピーするなど、ディスク装置とテープ装置を併用する方式
仮想テープライブラリ テープドライブをエミュレーション(注1)するディスク装置
NAS LANに直接接続可能なストレージ

(注1)特定のハードウェアやソフトウェアが行う処理を別のハードウェアやソフトウェアが模倣し実行すること

バックアップを行う装置はテープとディスクに大別できる。これまでは、バックアップには安価で大容量のテープ装置を使うのが一般的であった。この調査結果からもその傾向が伺えるが、D2DやNASなどのディスクベースのバックアップシステムの導入率が伸びていること、導入予定についてはテープ装置を上回っていることに注目してほしい。
ディスクベースのバックアップを導入済みまたは導入予定の企業に、その理由を尋ねた結果が次のグラフである。

装置や方式により多少ばらつきはあるが、非常に多くの企業が「バックアップ時間の短縮」「リストア/リカバリー時間の短縮」と回答している。
テープ装置は大容量のデータを連続して高速に読み書きできるため、データ全体を一度にバックアップする際に適している。しかし、テープは順次(シーケンシャル)アクセスのメディアであるため、バックアップのうち変更のあった部分だけを上書きしたり、バックアップから必要な一部だけを取り出してリストアしたりといった、ランダムアクセスが求められる操作ではパフォーマンスが落ち、時間がかかってしまう。
一方、ディスク装置であれば、必要な部分に高速にアクセスできるため、テープ装置に比べると、バックアップやリストアの時間を短縮できる。また、デ・デュプリケーション(重複排除)機能を利用すれば、ディスク容量の利用率を向上させることも可能だ。しかし、コスト面では大容量化が進み低下傾向にはあるものの、まだまだテープ装置には及ばないため、バックアップの効率化に関してコストに見合った効果が得られるかどうかが導入の決め手となる。

バックアップの課題解決のための取り組み

では、バックアップを効率化するためにはどのような取り組みを行えばよいのだろうか。バックアップに関して具体的にどのような課題があるかを調査した結果が次に示すグラフである。「バックアップ時間の短縮」「バックアップ増加への対応」などの回答が多い。

IDCでは、これらの課題を解決するためにどのような取り組みを行っているかについても調査を行っている。この調査によると、企業が導入済みあるいは導入予定の取り組みとして「バックアッププロセスの見直し」「バックアップ統合の実現」「バックアップソフトウェアの変更」などがある。

この調査で実行済みとの回答が多かったのは「バックアップ統合の実現」である。バックアップ統合とは、バックアップサーバを導入し、SANあるいはLANを介して複数のストレージのバックアップを統合して行うようにすることだ。異種OSのサーバが混在する環境で複数のストレージを統一した手順でバックアップできるだけでなく、バックアップ時間の短縮も可能になる。
バックアップ時間の短縮や作業負荷の軽減など、バックアップに関してはさまざまな課題があるが、これらの課題解決に取り組むことがバックアップの効率化につながる。上記グラフによると現状、「デ・デュプリケーションの導入」は、実行予定の伸び率として顕著であることから、バックアップ効率化の有効な手段として検討されていることがわかる。このように、手順に無駄はないかバックアッププロセスを見直すことはもちろん、バックアップ統合やディスクベースバックアップの導入などのソリューションを検討するとよい。

富士通のストレージソリューション

富士通のストレージソリューション

「バックアップ時間を短縮したい」「業務に影響を与えないようにバックアップを運用したい」「バックアップの作業負荷を軽減したい」など、お客様からバックアップに関してさまざまなご要望が寄せられます。富士通は、バックアップの効率化を図るためにさまざまなストレージ製品をご提供しております。
SAN対応のディスクアレイ、ETERNUS DX seriesは、サーバに負荷をかけずにオンラインでの高速バックアップを可能にするアドバンスト・コピー機能を備えています。また、NAS製品の1つ、ETERNUS NR1000F seriesは、Snapshot機能によりオンラインで効率的にバックアップデータを作成できます。どちらも、D2D方式のバックアップシステムに最適です。
バックアップソフトウェアとしては、SANなどのネットワークに接続したストレージの統合バックアップ管理を実現するETERNUS SF TSMをはじめ、数多くの製品をご提供しております。ETERNUS SF Recovery Manager for Oracleは、ETERNUS DX seriesシリーズにおいてアドバンスト・コピー機能およびOracle Recovery Managerと連携して利用することにより、Oracleデータベースの簡単、安全、確実なバックアップ/リカバリーを可能にします。
また増え続けるバックアップデータを効率的に運用・管理したい場合には、デ・デュプリケーション(重複排除)技術により、データの圧縮および重複排除を行いながら高速なディスクバックアップを可能にするETERNUS CS800デデュープアプライアンスがお勧めです。


【参考】
ストレージの基礎用語 シン・プロビジョニング(Thin Provisioning)とは
用語解説 重複排除
用語解説 ストレージ仮想化とは

掲載日:2010年11月24日


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