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Japan

第6回 経済危機が与えたストレージへの投資の変化

2008年秋のサブプライムローン問題を発端とする世界同時不況。日本もこの影響に巻き込まれ、著名企業も甚だしい赤字決算を計上した。このような経済危機に対し、多くの企業はIT予算において、どのように対応したのだろうか。ストレージ市場にも影響があったのだろうか。多くの企業が模索する中、限られた予算をどのような分野に投資したのか、IDCレポートから確認してみたい。

(注)本連載ではIDCのレポートを基に、中小規模の企業=1人~999人以下、大規模の企業=1000人以上と定義している。

突然の経済危機で削減されたIT予算

経済危機発生前と発生後で、IT投資予算の伸び率はどのように変化しただろうか。それを示すのが「金融危機発生前と発生後での2009年度IT投資予算の見込み」である。発生前が青、発生後が水色の棒で示されている。

中堅中小企業の場合、発生前は「増加」が17.7%、これが発生後はわずか2.0%まで下がってしまった。逆に「減少」は発生前は25.7%、これが発生後は50.2%まで跳ね上がっている。大企業もこの傾向は同じである。

IDCのレポートでは、産業分野別では、金融、製造、流通でIT投資予算を「減少」と回答した企業が大きく増加していると報告されている。それが次のグラフである。金融では62.8%が「減少」と解答している。金融危機は企業のIT投資へ、これほどの影響を与えているのである。

2009年ストレージ市場の現状と傾向

次にストレージにフォーカスしてみる。こちらは2009年度の伸び率、すなわち金融危機発生後の調査である。「横ばい」が圧倒的に多く40.3%、「1~5%未満増」は10.4%に過ぎない。そして、全体右側の数値が高く、「減」が増加している。

調査したIDCは次のようにコメントしている。「国内企業を対象としたストレージ利用実態調査を2002年から継続して行っているが、「減少」という回答の割合がこれほど高かったのは初めてである」。さらに付け加えている。「本調査は2008年12月後半に行われており、その後の経済環境の悪化にともない、本調査レポートの発行時点(2009年3月)では、さらに「減少」という回答の割合が高まっている可能性が高い」。

運用効率の向上へシフト

では、企業は限られた予算をどのように使っていくのだろうか。次グラフからみていくと、中小規模では、当面の課題が上位にあがっており、順にクリアしていく姿勢が見られる。これら上位の「バックアップの効率化(バックアップ手法の見直しなど)」「データ量増大への対応」「セキュリティの強化(情報漏洩防止、データ改ざん防止など)」「災害対策(ディザスターリカバリー)」は、ストレージ管理の課題にもあげられており、これらへの重点的な投資は、経済危機だからといって簡単に削ることはできないと思われる。

こういった中で、以下に続く「バックアップ統合」(16.4%)、「データ共有(ファイルサーバ、NASなどの導入)」(16.1%)は、バックアップやファイルの一括管理による運用効率の向上を目指す動きとみることができる。コストの削減はもちろん、企業の成長に向けての投資も行われているようだ。

これは大規模企業の場合も同じである。「データ量増大への対応」「セキュリティの強化」など課題への対応に加えて、「ストレージ統合の実施」(18.9%)、「サーバ統合にともなうストレージ導入」(17.2%)、「サーバ仮想化にともなうストレージ導入」(14.7%)、「ファイルサーバ統合」(13.0%)が見られ、コスト削減と運用効率の向上が目的と思われる。

今後も仮想化と統合化、さらにバックアップの効率化やデータ共有も含め、コスト削減とともに運用効率の向上が進められていくと予想される。

富士通のストレージ・ソリューション

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掲載日:2009年10月7日


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