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Fujitsu

Japan

新システム、サービス構築を迅速化
仮想ストレージが拓く次世代センター

富士通株式会社 コーポレートIT推進本部 インフラシステム部 導入事例


(注)コーポレートIT推進本部は、2008年4月1日より「富士通CIT株式会社」となりました。本記事は2008年3月取材、2008年3月27日に掲載されたものです。

「VS900の導入により、必要なときに必要なディスク容量を短時間で提供できる仕組みを実現できました。例えば、複数ストレージを一つの仮想ストレージとして活用することにより、A部門の事業が急激に伸びてディスクスペースが必要になった場合、ディスクスペースに余裕のあるB部門やC部門から借りて対応するといった、業務状況に合わせたフレキシブルなディスクの使い方が可能になりました」

2008年3月27日掲載/ 印刷用 PDF版ダウンロード (1.36 MB )

導入事例概要
業種: 富士通社内インフラの企画、運用管理
ソリューション: ストレージの仮想化
製品: バーチャリゼーションスイッチ: ETERNUS VS900
テープライブラリ: ETERNUS LT270
ソフトウェア:ETERNUS SF Storage CruiserETERNUS SF AdvancedCopy Manager

データ量増大の一方で、企業におけるストレージ容量の50%近くが使用されていないという調査結果も出ています。投資を抑えつつ、スピード経営、現有資産の有効活用、効率化等を図る解決策としてストレージの仮想化が注目を集めています。富士通のコーポレートIT推進本部 インフラシステム部では、いち早く仮想ストレージ環境を実現するべくETERNUS VS900 バーチャリゼーションスイッチを導入。社内の利用者へ必要なときに必要なディスク容量をスピーディーに提供できる仕組みを確立し、新システムやサービス構築の迅速化、投資効率の拡大、TCO削減等を図っています。またETERNUS LT270 テープライブラリによる統合バックアップ環境を構築し運用管理の大幅な効率化も実現しています。

導入前の課題   導入による効果

ディスク容量不足、設定等に時間を要し、ディスク容量のクイックな提供が不可能

仮想ストレージ環境の実現により必要なディスク容量の提供が1時間以内で可能に

データ量増大に応えるストレージのリプレースによりレガシー資産が遊休資産化

複数ストレージを一つの仮想ストレージとして有効活用、ディスク使用率も向上

情報システム毎にストレージ、テープ装置等があり効率面、投資面で無駄が多かった

統合バックアップ環境を実現し、運用管理コストの大幅な削減を実現

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導入の背景

データ量増大と投資抑制への解答、仮想ストレージ

企業において経営とITの一体化が進められる中、情報システムにはさらなるスピードと柔軟性が求められています。その一方で、データ量増大への対応、TCO削減、環境への配慮も不可避です。こうした情報システムが抱える課題解決は富士通にとっても急務です。

富士通社内のITを推進しているコーポレートIT推進本部、なかでもインフラシステム部では、基幹システムをはじめ4つの社内センター及びネットワークの企画から運用、管理までを行っています。富士通では現在、数千台のサーバが稼動し、戦略的な観点からサーバの追加も随時行われており、データ量も年々増加傾向です。インフラシステム部ではTCO削減、環境への配慮を目的に、サーバ集約等の統合化を積極的に進めています。そうした取り組みの中、仮想ストレージによる効率化、さらには統合バックアップ環境の実現が重要なテーマとなっていました。

「IT全般統制への対応もあって日々バックアップデータは増幅していますが、これに合わせてストレージを増やしていけば投資面で多くの無駄が生じてきますし、運用管理も煩雑となり効率的ではありません。またストレージのリプレースに伴い遊休資産化している旧世代ストレージの有効活用や、ビジネスの変化に合わせた柔軟性、新システムやサービス構築の迅速化への対応も求められています。こうしたストレージの課題を解決する鍵が"ストレージの仮想化"です」と、インフラシステム部長の斎藤孝氏は背景を説明します。

導入のポイント

業務状況に合わせたフレキシブルなディスクの活用

コーポレートIT推進本部 ITシステム統括部 インフラシステム部長 斎藤 孝 氏

仮想ストレージによるストレージ資産の有効活用は、統合バックアップ環境を実現する上でも重要なファクターであり、同部が描く次世代センターのサービス「利用者の要望に応じてCPU、メモリ、ハードディスク等のリソースをスピーディーに貸し出せる仕組みの実現」(斎藤氏)にもつながるものです。「事業部からのETERNUS VS900 バーチャリゼーションスイッチの話はまさにタイムリーでした」と、斎藤氏は語ります。

「VS900の導入により、必要なときに必要なディスク容量を短時間で提供できる仕組みを実現できます。例えば、複数ストレージを一つの仮想ストレージとして活用することにより、A部門の事業が急激に伸びてディスクスペースが必要になった場合、ディスクスペースに余裕のあるB部門やC部門から借りて対応するといった、業務状況に合わせたフレキシブルなディスクの使い方が可能になるのです」(斎藤氏)。

コーポレートIT推進本部 ITシステム統括部 インフラシステム部 稲垣 明 氏

VS900への大きな期待と同時に、当初は不安もありました。「センターへの仮想ストレージの導入は初めてであり、特に仮想化による性能面の劣化が心配でした。そこで、開発現場まで出向き、自分の目で運用上、レスポンスに問題がないことを確認しました。それが採用の大きなポイントになりました」と、同部の稲垣氏は振り返ります。

富士通のビジネスを支えるセンターのシステムであるため、事業の継続性も重視しました。「VS900を冗長化構成にすることで、万が一の障害発生時にもシステムを停止させることなく継続運用が可能です」(稲垣氏)。

ストレージの仮想化によるディスクの効率的活用

システム概要

業務に影響を与えることなくバックアップが可能

社内業務の仮想ストレージシステムは2007年5月に稼動。システム構成としてはVS900のもとに、既設ストレージのETERNUS3000とGR710を配し物理ディスク構成に依存しない仮想ストレージプールを作成、全体ディスク容量約6テラバイトの有効活用を図ります。VS900のレプリケーション機能により、仮想ストレージプールの中でDisk to Diskの一次バックアップ取得後、ETERNUS LT270 テープライブラリへバックアップする構成によりバックアップ時間も飛躍的に短縮しました。

「従来、バックアップのために3時間程、システムを止めなければなりませんでしたが、ETERNUS SF AdvancedCopy Managerとの連携により仮想ストレージプール上のデータのバックアップ時もサーバ資源を使用せず業務を停止させることなく行えます」(斎藤氏)。またETERNUS LT270はVS900以外にも富士通最大の基幹システム等の統合バックアップを行い、運用管理の大幅な効率化を実現しています。

今後、ニーズに応じてストレージを増設する場合も非常に容易です。「仮想ストレージにアクセスしているサーバはストレージ装置そのものを意識することがないため、ストレージの新規追加等に伴うデータ移行も非常にスムーズに行えます」(稲垣氏)。

社内業務の統合バックアップシステムの概要

導入効果と今後の課題

ディスク容量の提供が1時間以内に

「従来、数日、数週間を要していたディスク容量の提供が1時間以内で行えるようになりました。いままでは、利用者から容量追加の要望があっても、ディスクがなかったり、各種設定等に時間を要していたりしましたが、VS900の場合、仮想ストレージプールを作成しておけば、運用管理ツールETERNUS SF Storage Cruiserを使って容易かつ迅速に仮想ディスクの貸し出しが行えます」(斎藤氏)。

コスト面の効果も魅力的です。「企業においてストレージ容量の50%近くが使われていないという調査結果も出ていますが、これに基づけば6テラバイトのうち3テラバイトの領域が仮想化により利用可能になったといえます。導入費用もディスクストレージ新規設置と比べ約100万円ほど抑えられました。今後、仮想ボリューム規模の拡大により投資効率の拡大、TCO削減が一層期待できます」(斎藤氏)。

旧ストレージ装置から新ストレージ装置へのデータ移行機能にも期待を寄せます。「VS900のマイグレーション機能は、データ移行中であっても業務を停止する必要がないこと、確実なデータ移行を確認した後に旧ストレージを切り離せるという二つの特長により安心した入れ替え作業が行えます。さらに移行作業費用の大幅削減も魅力です」(稲垣氏)。

運用管理の効率面でもメリットが生じています。「ETERNUS SF Storage CruiserはGUIで操作も簡単に行え、ストレージを中心にネットワークの物理結線まで状況が一元的に把握できます。またシステム全体の機器管理も容易になり、安定稼動、運用コストの削減につながっています」と、稲垣氏は評価します。

今後の展開について「当部では社内実践も重要なミッションの一つです。ファイルサーバへの活用や、ブレードサーバとの組み合わせによる開発環境の迅速な提供、データの重要度に合わせたディスクの使い分け等、VS900活用の広がりを事業部と共に考え、実践する中でノウハウを蓄積し、お客様の投資効果の拡大に貢献したいと思います」(稲垣氏)。

次世代センターの展望について斎藤氏はこう語ります。「変化へのさらなる対応、グリーンセンターの構築等、センターはいま大きな転換期にあります。人や環境に優しい次世代センターの構築においては、VS900といった仮想化技術は必須であると考えています」。

本事例中に記載の肩書きや数値、固有名詞等は掲載日現在のものであり、このページの閲覧時には変更されている可能性があることをご了承ください。

【技術情報】

  • ストレージの仮想化
    複数のディスク装置を仮想的に一つのディスクスペースにすることで必要なボリュームを業務状況に応じて割り当てることができます

【製品詳細】

【関連情報】