そんな課題にお応えするのが、Oracle Coherenceによる高速アプリケーション基盤です。
Oracle Coherence (以下Coherence)とは、オラクル・コーポレーションが提供するインメモリ・データグリッド製品です。
複数のサーバをクラスタ化し、そのサーバに実装されているメモリを1つの仮想的なメモリとして利用するためのソフトウェアです。クラスタ化し、データベ-スサーバのキャッシュとして扱うことができるため、頻繁に使用する大量のデータに高速でアクセスできます。
Webサービスなど大量のトランザクションを処理するアプリケーション基盤では、複数のサーバを並列化し、高速性を維持しています。
しかしアプリケーションサーバにアクセスが集中すると、その先のデータベースにもアクセスが集中し、ボトルネックが発生します。これでは高速性を保つことができなくなり、いくらサーバを並列化してもリアルタイム性が維持できなくなってしまいます。
高速性と信頼性を両立するためには、サーバの並列化以外にも、大規模なサーバを購入してデータベースサーバ上に大量のメモリ空間を確保する、という手段もありますが、これではコストが増大してしまいます。
このような場合、低コスト・短期間でシステムを高速化させるためには、ボトルネックとなるデータベースサーバとアプリケーションサーバの間にCoherenceサーバを導入することをお勧めします。既存のデータベースサーバのハードウェアは変更せず、従来のバッチ処理をCoherenceサーバに切り出し、それを並列化してデータを書き戻すことで、スケールアウトを容易にします。
Coherenceサーバを導入し、アプリケーションサーバからアクセスしていたデータベースのデータをあらかじめCoherenceサーバのインメモリ領域に保存しておくことで、データアクセスの高速化を実現します。
最大64TBメモリという大容量メモリを搭載できる SPARC M10 は、Coherenceの効果を最大限に発揮できます。
SPARC M10では、仮想化機能を活用したスケールアウト的なCoherenceサーバの増設が可能なため、トランザクションの増加に応じてサーバを増設し、スループット性能の向上を実現できます。
さらにCoherenceサーバでは、HDDよりも圧倒的に高速なメモリを活用するため、クライアントへのレスポンスを高速化できます。
仮想化技術Oracle VM Server for SPARCを活用して、仮想ドメイン上にCoherenceサーバを構築し、Coherenceサーバ同士の通信を筐体内で行うことで、物理環境よりも高いパフォーマンスを実現できます。
仮想化技術の特長である柔軟なリソース制御と高性能を両立することができます。
Oracle VM Server for SPARC によるCoherenceサーバの追加では、アプリケーションの並列処理や対故障性向上のための複雑なコーディングは必要なく、仮想ドメインを追加していくことで容易に拡張できます。SPARC M10のBuilding Block機能により、最大16台のSPARC M10-4Sを結合し、最大1,024コア、64TBメモリまで拡張することができます。
Coherenceサーバを導入することで、今までデータベースサーバ上で行っていたデータ処理をCoherence上で行うようになります。
そのため、万が一データベースで障害が発生しても、Coherenceサーバからデータを取得ができるため、アプリケーションはそのままの動作を継続できます。
SPARC M10は大容量のメモリを搭載しているため、データベースから大量のデータをキャッシュできます。またSPARC M10には、CPUやメモリの縮退機能など、充実したRAS機能が実装されているため、異常が発生しても細かい単位で故障箇所を切り離し、安定した動作を継続できます。