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Fujitsu

Japan

新プロセッサ「SPARC64™ VII」 開発者メッセージ

SPARC Enterpriseの本体装置は販売を終了しました。
本製品の後継機種はSPARC Serversです。

2008年7月14日

富士通の高い技術力によって開発された新プロセッサ「SPARC64™ VII」。このSPARC64 VIIを支えるテクノロジーおよび開発にかける熱い思いを、当社チーフプロセッサアーキテクト 井上 愛一郎がご紹介します。

動画の配信は終了いたしました。 SPARC64 プロセッサ開発責任者による技術解説

ストリーミング放送(日本語、6分28秒)

当社チーフプロセッサアーキテクト 井上 愛一郎

[ストリーミング放送概要]

本日、私たちが開発したプロセッサSPARC64 VIIを発表できることをうれしく思います。 富士通は、コンピュータの黎明期から開発に取り組み、およそ半世紀に及ぶ開発の歴史があります。 そして、メインフレームの設計者が中心となって、GS21モデル600と双子のCPUとして、SPARC64 Vを開発したのは6年前になります。

SPARC64 Vはメインフレームの技術を投入したことによって、それ以前のSPARCアーキテクチャのプロセッサから大きく性能を向上し、オープン系のプロセッサでは他に並ぶものが無い強力なRAS機能によって、富士通のプロセッサを世の中に知らしめるものとなりました。

SPARC64 Vは、富士通の 90nmの半導体にマップして、2次キャッシュを拡大し、動作周波数を上げました。 SPARC64 VIは、同じく富士通の 90nmの半導体ですが、デュアルコアそしてマルチスレッドとしてSPARC64 Vに比べて大幅にスループットを拡大しました。
このプロセッサは、SPARC Enterpriseに搭載され、富士通および米Sun Microsystems社(以下、米Sun社) の両チャネルを通して全世界で使っていいただいております。

そして今日発表するSPARC64 VIIは、富士通の65nmの半導体を使い、更なるスループット向上を目指して開発を行ってきたものです。
プロセッサのコア数は倍増してクアッドコアとし、同時に内部のデータスループットも4つのコアを支えるように拡大しました。
SPARC64 VIでも採用したマルチスレッド機構は、Simultaneous Multi-threadに進化させました。

コアの豊富な演算リソースは、2つのスレッドで分け合ってスループットを拡大したり、1つのスレッドで占有して最大限のスピードを発揮したり、オペレーティングシステムの助けを借り、状況に応じてダイナミックに切り替えて、常に最大のパフォーマンスを発揮することが出来ます。

また、ハードウェアバリアと呼ぶ4つのコア、8つのスレッドの同期処理機構を設け、コンパイラとの協調動作によって、あたかも1つの高性能なエンジンとして使う、マルチコアの新しい使い方も提案しています。 4つのコアで2次キャッシュが完全共有されていることは、ハードウェアバリアにとっても有用です。

安心・安全・快適をサーバの価値として提供するためには、プロセッサにこれを実現するための機能を組み込むことが必須です。 もちろん、SPARC64 VIIにはSPARC64 V以来搭載してきたメインフレームそのもののRAS機能を組み込んでおり、さらに細部でこれをブラシュアップしています。 キャッシュはECCや2重化によって保護し、汎用レジスタはECCで保護しています。そして、演算器とこれにつながるデータパスをパリティ伝播によって網羅的に保護する仕組みと、命令リトライと組み合わせて、プロセッサチップ上で想定されるあらゆるソフトエラーをほぼ全て救済します。

また、SPARC64 VIプロセッサと、ソケット互換を保ち、SPARC Enterpriseサーバ上ではSPARC64 VIとSPARC64 VIIの混在も可能です。 そういう点からSPARC64 VIを使っているお客様に、シームレスなエンハンスを提供します。

サーバの消費電力は各企業において大きな問題になりつつあります。 SPARC64 VIIでは消費電力削減にも取り組んでいます。SPARC64 VIIでは、クロックゲーティングの適用回路を拡大するなど設計上の工夫を重ねています。 また、装置に搭載する際には、チップの製造ばらつきに応じて、電源電圧とバックゲート電圧をチップごとに最適値に設定できるように、製造から装置搭載までチップを個別にトラッキングし、管理する仕組みを設けています。 これらの取組みによって、4つ備えるコアの、コアあたり消費電力をSPARC64 VIから44%に削減し、チップとしては消費電力あたりの性能を大幅に改善しています。

SPARC64 VIIは、メインフレームで培った堅牢性とオープン系の柔軟性を兼ね備えたプロセッサとして、安心・安全・快適という社会のニーズに応えつつ、処理量の拡大を支えるためにデビューしました。 SPARC64 VIIの開発にあたって、私たちが出した結論は、デュアルコアからクアッドコアへと、あまりにもあたり前の進化を導き出すことでした。 しかし設計思想の違いは、細部のつくりに及び、実際にお客様にお使いいただいたときに、手ごたえのある違いとなって現れるはずです。 価値創造のプラットフォームとしてのコンピュータの役割を考えるとき、SPARC64 VIIは、お客様の期待にもっとも的確に応えるものであると確信します。


[注記事項]

  • 掲載内容は発行日時点のものです。