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Fujitsu

Japan

全体最適化を見据え、業務システムを刷新
SPARC Enterpriseで高度な拡張性を実現

独立行政法人 産業技術総合研究所様 導入事例


独立行政法人 産業技術総合研究所は、産業技術の広い分野におけるさまざまな技術開発を総合的に行っている、日本最大級の研究機関です。基幹業務システムの更新にあたり、データベースサーバとしてSPARC Enterpriseを導入。業務の効率化、業務の全体最適化を進めるため、パーティショニング機能、DR(動的再構成)、CoD(Capacity on Demand)機能など高度な拡張性が求められました。

2008年12月24日掲載 / 印刷用 PDF版ダウンロード (672 KB)

導入事例概要
業種: 独立行政法人/研究機関
ハードウェア: UNIXサーバSPARC Enterprise M8000、M4000(注)
UNIXサーバ PRIMEPOWER 250
ストレージETERNUS4000モデル500、ETERNUS NR1000F モデルF3020
テープライブラリETERNUS LT270
ソフトウェア: 基盤ソフトウェアPRIMECLUSTER
運用管理ツールSystemwalker Service Quality Coordinator

(注)SPARC Enterpriseの本体装置は販売を終了しました。本製品の後継機種はSPARC Serversです。

「データベースの処理能力の向上や、業務の継続性を実現する高信頼性は非常に重視しました。また、将来的なシステム更改や組織改編、業務の増大に伴うシステム拡張に対し、柔軟に対応できることが重要なポイントとなりました」

変化への対応や、業務の全体最適化の視点をもち、いかにシステム化による業務の効率化を進めていくか。その解答の1つが、産業技術総合研究所が構築中の包括フレームワークを活用した新基幹業務システムにあります。2009年度、30以上の業務システムが本格稼働、所内の約10,000人へサービス提供の開始へ。システムの中核となるデータベースサーバとして、仕様を満たした富士通のUNIXサーバSPARC Enterprise M8000が導入され、高性能、高信頼性のもと高度な拡張性を実現しています。

課題と効果
1 既存のデータベースサーバの能力不足を解消したい。 30以上の業務システムが稼働し、さらに今後の業務の増大や機能強化に対してもゆとりをもった対応が可能に。
2 性能面で不足が生じたとき柔軟に対応できる構成にしたい。 パーティショニング機能、DR(動的再構成)、CoD(Capacity on Demand)機能などにより柔軟な拡張が可能に。また、検証環境と本番環境を必要に応じて再構成することでリソースを有効活用。
3 業務継続性の観点から高信頼性や可用性を実現したい。 データベースサーバは、クラスタ構成により運用の継続性を確保。またETERNUS4000のOPC機能により、高速バックアップを実現。

icon-form 本事例に関するお問い合わせ

取材に対応いただいたご担当者
先端情報計算センター
情報システム管理チーム チーム長
久保 潤一氏
先端情報計算センター
情報システム管理チーム
佐々木 正広氏

導入の背景

高度なITにより研究活動を支える先端情報計算センター

科学技術の進歩によって豊かさが増す一方、現代社会は地球環境問題という新たな課題に直面しています。2001年4月に設立された独立行政法人 産業技術総合研究所(以下、産総研)は、日本の産業発展を牽引してきた旧通商産業省工業技術院傘下の15の研究所と、計量研究所が統合・再編されて誕生。国際競争力の強化や知的基盤の整備拡大とともに、持続的発展可能な地球社会の実現に貢献することをミッションとしています。

産総研では、科学の基盤となる基礎研究から実用化に向けた製品化研究まで、産学官の幅広い参画により連続的に取り組んでいます。

産総研の研究活動をより効率的かつ効果的に進めるため、高度なITにより支援しているのが先端情報計算センターです。同センターでは、産総研の情報基盤の高度化や計算機資源の整備をはじめ、高速ネットワークによる国内外の情報交流の促進、研究用データベースの整備・運用、また所内業務の情報化推進や情報セキュリティ対策などを行っています。

現在、同センターが取り組んでいる大きなテーマの1つが所内基幹業務システムの再構築です。実用性とともに、システム開発の新たな方法論を構築・実証する研究でもあります。

導入の経緯

ITによる研究支援強化と業務の全体最適化に向けて

基幹業務システム再構築の目的について同センターの情報システム管理チーム長、久保潤一氏はこう語ります。「目的の1つはITによる研究支援の強化です。旧システムはリプレース時期も迫ってきており、老朽化、性能不足も課題となっていました。もう1つ、個別業務の最適化ばかりでなく、業務全体の最適化に関する視点をもち、業務の見直しと連動してシステム化による業務の効率化を進めることも重要な目的でした」。

産総研の新基幹業務システムは、3階層で構成され、Webサーバ、アプリケーションサーバ、データベースサーバなどのサーバ群からなります。財務会計、人事給与、各種申請、さらに産学官の連携や研究成果管理といった研究開発支援など30以上の業務システムが稼働し、産総研内部の約10,000人にサービスを提供する予定となっています。

業務が増加傾向にある中、いかに業務の全体最適化を実現していくか。「業務の相互連携を実現しながら、システムの全体最適化をはかるためには、業務システム開発の見える化や開発基盤の共通化が不可欠です」(久保氏)。

産総研では標準的なソフトウェア開発手法、共通ソフトウェア、開発規約などを開発し、それらをまとめた包括フレームワークを作成。「包括フレームワークに基づいて開発を行うことで、開発の見える化や開発基盤の共通化を実現できます。開発業者に頼りきりにならず発注者側が開発・運用のイニシアティブをとることが可能となり、あるべき業務の姿を発注者と開発業者との間で共有することもできます。開発コストの削減、品質向上にもつながります」と、同センターの情報システム管理チーム、佐々木正広氏は説明します。

産総研の包括フレームワークは、産総研内はもとよりわが国の行政・企業体の効率化を目指した取り組みです。今回の基幹業務システム再構築では、現状のシステムの課題解決と研究的側面の両面から包括フレームワークに基づく開発を実施。新基幹業務システムの中核となるデータベースサーバには高性能、高信頼性はもとより高度な拡張性が求められました。

導入のポイント

不足が生じたとき柔軟に対応できることは重要

「データベースの処理能力の向上や、業務の継続性を実現する高信頼性は非常に重視しました。また、将来的なシステム更改や組織改編、業務の増大に伴うシステム拡張に対し、柔軟に対応できることが重要なポイントとなりました」(佐々木氏)。

たとえば、業務継続性の観点からは相互待機型のクラスタ構成であること。また業務量の増大や業務追加への迅速な対応を可能とする点で、高信頼性と柔軟性を兼ね備えたパーティショニング機能をはじめ、CPUやメモリ、I/Oなどのハードウェアリソースを、システムを稼働させたままパーティション間で移動させるDR(動的再構成)機能、コア障害時や将来の処理増大に迅速に応えるCoD(Capacity on Demand) 機能、さらに拡張性の高いメモリなどが必要とされました。


UNIXサーバSPARC Enterprise と ストレージETERNUS

システムの概要

新基幹業務システムのベースを支える

産総研では、同研究所の包括フレームワークを活用した基幹業務システム再構築における要求を提示。三菱スペース・ソフトウェア株式会社が富士通のデータベースサーバ、ストレージ、運用管理ソフトウェアなどを採用したシステムを提案し、一般競争入札において、落札されました。

新基幹業務システムのデータベースサーバにはSPARC Enterprise M8000を2機導入、高信頼基盤ソフトウェアPRIMECLUSTERによるクラスタ構成とし運用の継続性を実現。SPARC Enterprise M8000は、最大16 パーティション分割が可能、CoD機能やDR(動的再構成)機能など、将来の変化にも柔軟に応える高度な拡張性を備えています。

また、バックアップサーバにはSPARC Enterprise M4000、ストレージにはETERNUS4000モデル500を導入し、OPC(高速コピー機能)により高速バックアップを実現しています。

今後の展望について久保氏は「新基幹業務システムは2009年度の本格稼働に向けて現在、順調に構築を行っています。また、産総研の包括フレームワークは、今後も公共機関や一般企業で共通に使える発注者サイド主導の開発手法として完成度を高めつつ、技術普及を広く推進していきたい」と、力強く語ります。

富士通では、新基幹業務システムのベースをしっかりと支えるプラットフォーム製品を通じて、これからも産総研の研究活動を支援してまいります。


(注) CoD(Capacity on Demand): あらかじめ予備のCPUを搭載し、処理能力の増強が必要な際、ライセンス購入により即時、使用可能に。

【独立行政法人 産業技術総合研究所様 会社概要】

本部 東京本部 〒100-8921 東京都千代田区霞ヶ関1-3-1
つくば本部 〒305-8568 茨城県つくば市梅園1-1-1
創立 2001年4月
事業内容
  • 研究分野:ライフサイエンス、情報通信・エレクトロニクス、ナノテクノロジー・材料・製造、環境・エネルギー、地質、標準・計測など
  • 研究センター:全国9カ所に研究センターを展開
URL 独立行政法人 産業技術総合研究所

【お問い合わせ】

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