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Fujitsu

Japan

PRIMEQUEST 特別企画
デジタル化時代のお客様の成長戦略を支える高信頼プラットフォーム

デジタル技術を活用し、社会や経済、産業構造を変革していくデジタル革新が加速している。IoT、AI、ビッグデータ、クラウドなどデジタル化による新たなビジネスモデルの創造は、多くの企業にとって将来の根幹をなすものだ。そして、デジタル革新を担うプラットフォームには、高信頼・高可用性をベースに膨大なデータ処理を可能にする高性能が求められる。2017年11月に登場した基幹IAサーバ「PRIMEQUEST」の新シリーズは、オープン環境でのメインフレームクラスの高信頼・高可用性を実現しながら、処理性能が大幅に向上した。また、企業の基幹システムや社会インフラシステムといった既存の重要資産を守っていくとともに、デジタル革新への取り組みによりデジタル化時代を勝ち抜こうとする企業の成長戦略を支えていく。

[ 2018年2月20日掲載 ]

オープン+メインフレームクラスの高信頼・高可用性で利用シーンを拡大

2005年に登場した基幹IAサーバ「PRIMEQUEST」は、富士通がメインフレームで培った高信頼・高可用テクノロジーとインテル® Xeon® プロセッサーや Windows Server®、Linux® といった業界標準のオープン・アーキテクチャの融合である。オープン・アーキテクチャを取り込んだことでPRIMEQUESTは世代を重ねるごとに機能と性能で大きな進化を遂げている。それと同時に、一貫して高い信頼性を保っている。

PRIMEQUESTはメインフレームOS(OSIV/XSP)やメインフレームOSで動作するソフトウェア、 アプリケーションがそのまま動作可能である。この機能により企業の基幹システムや社会インフラシステムといった既存の重要資産を守ることができる。長期に渡る安定運用が求められる社会インフラシステムのニーズに応えるべく、最長10年長期保守のロングライフモデルも用意している。また、高信頼・高可用性をベースにオープン性のメリットを活かし、最新技術を取り込むことができるため、企業のさらなる成長を担うプラットフォームとして利用シーンが拡大している。PRIMEQUESTの利用シーンについて、企画・商品化を担当する高見浩之はこう語る。


富士通株式会社
データセンタプラットフォーム事業本部
プロダクト開発統括部
ハードウェア開発部 マネージャー
高見 浩之

「PRIMEQUESTは世界38カ国で約5,200台の販売実績(2017年末)があります。用途としては企業の基幹システムや社会インフラシステム、データべースサーバ、大規模ERP、仮想化基盤などです。システムを集約する仮想化基盤やデータベースの統合では、ハードウェアの障害発生時の影響が拡大するため高い信頼性と可用性が必要となります。また近年、大規模ERPやビッグデータ処理などの用途でSAP HANAをはじめインメモリコンピューティングへの導入が拡大しています」。

2017年11月から販売開始された新シリーズ「PRIMEQUEST 3000シリーズ」は、コンピュータシステムの標準性能評価法人「Standard Performance Evaluation Corporation」が提供するベンチマーク「SPECfp_rate®_2006」注1と、「SPECint_rate®_2006」注2の双方で世界最高の性能を達成した。性能や機能の強化を図りながら、PRIMEQUESTの代名詞ともいえるメインフレームクラスの高信頼・高可用性を実現できるのは、運用保守までを考慮した一貫した設計思想があればこそだ。

最新のプロセッサーの機能を最大限に活かすための高信頼設計

「オープン環境でメインフレームに匹敵する高信頼性を実現するのは簡単なことではなく、メインフレームの技術を持っている富士通だから実現できたのです」と高見は語り、さらにこう説明を加える。「メインフレームは同一メーカーがすべての開発を担当するため均一の品質を保てます。しかし、オープンシステムでは、多様なメーカーの製品が関わることから、それぞれの品質に違いが生じます。PRIMEQUESTの開発には、オープンサーバの技術者とメインフレームの技術者が参加しています。企業や社会の根幹を支える基幹システムはどうあるべきか。デジタル化が進む中で、企業の成長を担うプラットフォームに求められるものは何か。オープンとメインフレームの両方で培った技術とノウハウを融合し、基幹IAサーバの開発に取り組んでいます」。

PRIMEQUEST 3000シリーズはインテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサーの中でも高信頼・高可用性に優れたPlatinum、Goldクラスのみを採用している。しかし搭載するだけで高信頼が実現するわけではなく、BIOSやファームウェアの作り込みと評価を実施、最新プロセッサーのRAS(Reliability、Availability、Serviceability)機能をサポートし、その能力を最大限に活かすための高信頼設計・開発を行っている。PRIMEQUESTではそこに『高い信頼性へのこだわり』を持って取り組んでいる。

「例えば、RAS機能の強化によりメモリ全体ではなく重要な領域のみメモリをミラーリングすることでコストを抑えながら信頼性の向上を実現できます。またハードウェアが故障した場合、eMCA2機能によりCPUやメモリのエラーを監視し修正可能/修正不可といったエラーの程度に応じOSへ通知し、修正不可のメモリは使用不可とします。CPUの間をつなぐUPIレーンも監視し、一部のレーンが故障した場合、故障レーンを切り離し、縮退して運用を継続することが可能です(図1)。CPUのRAS機能を実現するためにPRIMEQUESTはBIOSやファームウェアを作り込んでいます」(高見)。


図1: PRIMEQUEST が実現するRAS機能の一例

PRIMEQUEST 3000シリーズは最新のプロセッサーの機能を活かしながら筐体サイズを従来の10Uから7Uのラックサイズに小型化した。しかし、この小型化は問題も伴う。故障の要因となる熱の影響が生じるのだ。この問題を解決するため、PRIMEQUESTでは冷却設計にも工夫を施している。「温度が数度上昇すると故障率もあがります。CPUを冷却することで熱を持った空気が他の重要な部品に直接あたらないように、また熱がこもってしまうことがないように筐体内の風の流れを分析・シミュレーションして各ユニットの最適配置を工夫しています(図2)」(高見)。


図2: 冷却風の流れ

クラスタ構成にすることなく高可用性を実現する予備システムボード

業務継続といっても業務の内容によって求められる可用性のレベルは異なってくる。PRIMEQUESTでは、利用シーンに合わせて高可用性のアプローチを選択できる。金融システムなど一瞬でも止まることが許されない用途には、PRIMEQUESTの高信頼性+クラスタ構成が適している。また小規模で管理者が常駐できない拠点や生産管理システムなど短時間の停止が許容できる用途には、クラスタ構成にすることなくクラスタと同等の高可用性を実現する予備システムボードの活用が有力な選択肢となる。

「クラスタ構成を導入する場合、サーバが2台以上必要となることから機器費用はもとより、構築や運用管理に高いスキルや手間が必要になります。ソフトウェアで制御するため仕組みが複雑で運用できる技術要員も必要です。PRIMEQUESTの予備システムボードを活用することで、万が一運用中のシステムボードが故障した場合、予備システムボードに自動的に切り替わることで、再起動のみの短時間で業務を復旧できます(図3)。ハードウェアの機能であることから、管理者の手間や高度なスキルはもとよりクラスタソフトのライセンスも必要なく、さらに予備サーバを稼働するためのOSやアプリケーションも不要となることから大幅なコスト削減が図れます。予備システムボードは障害が発生していない平時には、開発・検証用途などに有効活用することも可能です」(高見)。


図3:障害発生時に予備システムボードへの自動切り替えで業務を再開

ハードウェアにおける高可用性の観点では電源ユニット、冷却ファン、PCIカード、MMB(サーバ管理専用ユニット)などの内部コンポーネントの冗長化を徹底的に行うことで、単一障害点となりうる要素を排除している(図4)。またPRIMEQUESTはMMBにより故障箇所を特定し、その故障箇所を切り離し、I/OユニットやPCIスロットなどモジュールごとに縮退することができる。


図4:ハードウェアの障害時も業務継続を実現する冗長化

用途や規模の異なるシステムを集約する際、高信頼・高可用性に加え、ハードウェア資源の最適化も重要な課題となる。この課題を解決するのがPRIMEQUESTのパーティショニング機能である。「パーティショニング機能もメインフレームで培った技術を活かしています。分割されたハードウェア資源(CPU、メモリ、I/O)を自由に組み合わせ、それぞれ独立した 物理パーティションを構成することができます。各パーティションでは異なるOSでアプリケーションを稼働させることができることから、業務ごとの特性に応じてハードウェア資源の最適化が図れます(図5)。ハードウェアによる物理パーティションはシステム同士の障害隔離性に優れている点が特長です。この物理パーティションをさらに複数の拡張パーティションに分割することで、CPUコア単位などのより細かい粒度でハードウェア資源を活用することもできます」(高見)。


図5:パーティショニング機能によるハードウェア資源の有効活用

メインフレームと同等の品質保証体制のもと4フェーズで徹底管理

PRIMEQUESTはメインフレームと同等の品質保証体制のもと、部品品質、設計品質、量産品質、出荷後のフィールド品質の4フェーズで徹底管理されている(図6)。

  1. 部品品質:実績のある部品メーカーと連携した品質管理。
  2. 設計品質:ドキュメント・ドリブン、製造を含めたチーム制による徹底した論理検証。高いマージンを確保するためのシミュレーションによるハード設計。振動試験、温度試験などにより、負荷障害を低減。
  3. 量産品質:電圧マージン試験や電源オン・オフを繰り返すなどの負荷テストを行い、初期不良低減のための長時間の動作確認テスト、出荷構成はもとより将来の増設を見据えた部品搭載状態でのテストなど、お客様の利用シーンを想定した様々なテストの実施。
  4. フィールド品質:出荷後はサポート部門と設計開発部門、品質保証部門が一体となって、過去の故障部品の履歴に基づく品質改善や詳細なダンプ解析による障害調査・再発防止に対応。

PRIMEQUESTのフィールドサポートについて、製品の品質保証を担当する小林弘典はこう話す。「ハードウェアに障害が発生した場合、冗長構成や予備システムボード、縮退などでお客様の業務継続を図るとともに、お客様に安心してご利用いただくために故障原因を徹底的に追求し再発防止に全力を尽くします。PRIMEQUESTは決してあきらめません」。
故障原因の早期究明に欠かせないのがログの解析である。「PRIMEQUESTはMMB(サーバ管理専用ユニット)での確実なログ収集によりユニット単体では終わらず、詳細に故障箇所を特定し保守の迅速化を図ります。さらに詳細なログ解析により障害原因の究明を行い再発防止にもつなげています」。


富士通株式会社
データセンタプラットフォーム事業本部
品質保証統括部
第三品質技術部 部長
小林 弘典

またOS(Red Hat Enterprise Linux)に異常が発生した場合、通常はOSの持つダンプ機能(kdump)により情報収集を行うが、PRIMEQUEST ではさらにOSに依存しないsadump 機能を持っている。「OSが停止するような重大な障害が発生したケースでも、異常が発生した時点のシステム情報をダンプ出力することができるため、確実な原因調査や対応が行えます」(小林)。

品質追求の観点から活性交換時の保守性にもこだわりがあるという。「一般的に稼働中に筐体を引き出し、蓋を開けて保守する場合、筐体内に部品が落下するなど故障の原因になりかねません。PRIMEQUESTは中央にミッドプレーンと呼ぶ基板を据え、そこにシステムボードやI/Oユニットなどを装着するモジュール構造となっており、筐体を引き出すことなく、ユニット交換が簡単・迅速で、かつミスのない保守が可能です」(小林)。

オープン環境でメインフレームクラスの高信頼・高可用性を実現する基幹IAサーバ「PRIMEQUEST」には大きく2つのミッションがある。1つは、企業の基幹システムや社会インフラシステムといった既存の重要なお客様の資産や業務を守ること。もう1つは、お客様がさらに成長するためにビジネスプロセスの変革や新しいビジネスを創出していくデジタル革新を支えること。デジタル革新を推進し企業の将来の根幹を担うプラットフォームには、ビジネスチャンスを逃さず事業拡大を加速するために高信頼・高可用性が欠かせない。


図6:メインフレームと同じ品質保証体制で徹底管理

「富士通のDNAである高信頼・高可用性を大切に継承し、オープンな柔軟性を活かし新しい技術を取り込んで機能強化を図り、お客様の企業価値や競争力の向上に貢献していきます」と高見は決意を込める。

業務を継続する「守り」とデータ利活用を促進する「攻め」の両輪でPRIMEQUESTはデジタル化時代を勝ち抜くお客様の成長戦略を支えていく。


左から、富士通株式会社 データセンタプラットフォーム事業本部 小林、高見

注1 「SPECfp_rate®_2006」:
CPU、メモリ、コンパイラーの性能を評価するベンチマークである「SPEC CPU2006」において、一定時間に処理可能な浮動小数点演算タスク数(スループット)を示す指標であり、「PRIMEQUEST 3800E」で8CPU搭載サーバとして世界最高性能を達成(2017年11月8日現在)。
注2 「SPECint_rate®_2006」:
CPU、メモリ、コンパイラーの性能を評価するベンチマークである「SPEC CPU2006」において、一定時間に処理可能な整数演算タスク数(スループット)を示す指標であり、2017年7月に先行販売している同シリーズの海外提供モデル「PRIMEQUEST 3800B」で8CPU搭載サーバとして世界最高性能を達成(2017年11月8日現在)。

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